うちの父はLBX開発者です   作:東雲兎

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みなさま、エタッていたのにも関わらず、また見てくださって誠にありがとうございます。
感想をいただいたり、一瞬ではありますがランキングの方にも載ってたので大変モチベーションの起爆剤となっております。

これからも励んで参りますのでよろしくお願いします。


兵器か、玩具か

 

◎シーカー本部◎

 

 

 機材を借りて、『アキレス・リュカリオン』の修理を行う。のだが、あまりにもひどい状態に、何から手を付けるべきか悩んでしまう。

 

「腕か、どうするかな」

 

「武器腕にしようぜ!」

 

「馬鹿かデブ、それだとメイスと槍の使用が出来ないだろうが。無難ならナイトフレーム、もしくは少しバランスは悪いがブロウラーフレームだな」

 

「……ストライダーフレームは無理?」

 

「強度がな……あと下半身がワイルドフレームで機動力も確保できてるし、わざわざ軽量なのを選ぶ必要はない。優先度は低いな」

 

「それを考えるとパンツァーフレームもだな。こっちは逆に重い。脚への負担がでかい」

 

「俺のブルドとかも、バズーカとか移動しながら撃ったりするからかなり頑丈に仕上げる事多いもんな~」

 

「なんで、無難にナイトフレームを選ぼうと思ってたんだが、なんというか似合うのが無くてな。ペイントとパテ盛りついでに形成するのも視野に入れてる」

 

「あー、なるほど。俺、いまやってるブルドの整備終わったら手伝うぜ!」

 

「頼む。いやむしろお願いしたい。センス良いし」

 

「……リュウはこういうの得意だよね」

 

「ほう、というか。お前、その『アマゾネス』かなりガタがきてるな」

 

「……最近無茶させすぎた。今新しく準備してたLBXの調整が終わったら家に飾る」

 

「整備徹底しててもバトルするとどうしても限界がくるもんな。俺の『ブルド改』もコアスケルトン二代目だし」

 

「……ただ最近は余計に消耗が激しい。イノベーターとの闘いはとても厳しい戦い」

 

「イノベーター……?」

 

「そういえば仙道には話してなかったか……後で宇崎さんに説明をお願いしよう」

 

 

 

 

 

 

「なんか、すごくすごいニッチな会話が繰り広げられてます」

 

 

 LBXプレイヤーたちが会話を弾ませている中、バンの隣に座ってる先の少女が思考停止し、背景に宇宙を背負いながら呟いた。

 

 

「ぬ、ニッチだったか?」

 

「え、なにがニッチ?」

 

「? どこが?」

 

「一般常識だろこれくらい」

 

「い、異世界ギャップっ……! こんなところでも……!」

 

「というか、本当に異世界から来たのかこいつ。あんまりにもなんというかこう」

 

「ふつう」

 

「LBX見て驚いてるし、まあそうなんじゃないか?」

 

「バンのLBX知名度への信頼が篤い」

 

 いやだってLBXだぜ? と、素面で言いのけるバン、そしてなんかニヒルそうな男(仙道)が頷いているのに若干引いた少女こと『スズノ』は、自分の記憶のバンとのギャップに驚いていた。眼鏡をかけて常に落ち着いて、知的な雰囲気を醸し出し、こちらを気にかけてくれていた山野バン博士。

 彼の幼少期がこんな感じとはこの李白(スズノ)の目をもってしてもと、勝手に盛り上がっているスズノにバンが問いかける。

 

 

「スズノさんはどの程度、このLBXを知ってるんだ?」

 

「……スズノでいいです。いえ殆ど知りません。実際にそんな小さいロボットはこちらに来て初めて見ました。こちらに来てしまった際に襲われたのですが、知っていることについてはとんでもなく性能が良いことくらいです」

 

「そうか……なら、簡単に説明すべきか?」

 

「お願いします」

 

 意を決した様子で問いかけてくる。

 

「では、おほん。始まりは八年ほど前、タイニーオービットから発売された玩具。これこそ、小型バトルロボット玩具こと『LBX』だ」

 

「初手でLBXが出てきました!? こう、もっとないんですか!? その玩具となるまでに! 例えば実は兵器として開発されてたとか!」

 

 ガビーンという効果音が聞こえてきそうな様子でまくし立ててくるスズノ。それに心外だといった様子でバンは反論した。

 

「俺の親父殿がそんなの作るわけないだろ。もっととなると家のベランダで俺用の遊び道具として作ってくれたのが始まりくらいしか出てこないぞ」

 

「待て! 俺も知らない新情報が出てきたぞ! まさかお前の親、LBXの生みの親のあの人か!?」

 

「今ベランダって言った?」

 

「……あれ、バンってお義父さんのこと親父殿って呼んでたっけ?」

 

「え、ホントにおもちゃとして発売されたんですか? あ、もしかして私を襲ったのが魔改造されたやつで、市販は実はそこまでだったりとか……」

 

「いや特にそんなことはない デフォルトでそれ」

 

「特にそんなことはない!?」

 

 いやホントにそんなことはないんだってと、バンは宣う。

 

「実際、傷害事故とか多発したからな。そのまま出したのはなんか上からの圧力っぽかったけど」

 

 事実、LBXが玩具として明らかなオーバースペックで販売されたのは、海道などの政治家たちからの圧力だったはずとバンは記憶している。ただそこは関係ないとそこら辺を濁しつつ、彼は話をつづけた。

 

「時間を置かずに、LBXは販売停止となった。けれど四年後くらいに、強化ダンボールというのが発明されて状況が変わった」

 

「強化、ダンボールですか?」

 

「そいつはあらゆる衝撃を吸収し、ほとんど無にしてしまう。受け売りだが、輸送手段の革命ともいえるものだ。詳しくは知らんがダンボールと言いつつも実際は構造のことを指すはずだから、ダンボールとは別物と考えてくれ。ただ、その発明が全く別の事柄に使われることになった。それこそLBXたちの戦場、パノラマ、Dキューブだ。戦場を得たことによってLBXは安全なおもちゃとして再び発売されることになった」

 

 それこそが現行のLBXである。とバンは修理中のLBX達を指差した。

 

 それにスズノは生唾を飲み込んだ上で恐る恐る質問をしてきた。

 

「……性能は?」

 

「据え置き」

 

「ですよね!? 安全ってなんですか!?」

 

「強化ダンボールの中なら安全だぞ。中なら」

 

「外ではどうなるんですか!?」

 

「そもそも外でバトルさせるなって話だ」

 

 にべもなく切り捨てる。実際そうなのだとバンは主張する。結局のところ罪は道具ではなく使う人間にあるのだと。良心を持たぬゆえに高尚な技術は最低な行為に使われてしまうのだと。

 

 それはさておきとばかりに話を戻すバン。

 

「そう、ストリートにて行われるバトル、強化ダンボールのジオラマの中で繰り広げられる熱き戦い。人はそれをダンボール戦機と呼んだ」

 

「呼ばねえよ、初耳だぞ。どこ中のローカルルールだ」

 

「たまにバンとち狂ったこと言いだすよな」

 

「……そこもまたバンの味」

 

「ミカ、全肯定が過ぎるとおもうよ俺。流石に灰汁強いから。重曹使わないといけないって」

 

「誰が山菜か。いやまあ、これは俺が親父殿に連れられてタイニーオービットに行ったときに提案した名前なんだけども。最終選考に負けてそのまま発売にはなったが」

 

「危ねぇな! 下手するとそんな名前で販売されてたのかよ!?」

 

「落とした人グッジョブ!」 

 

 

 なお真実はタイニーオービットの見学の際に、ついポロっと口にしてしまった『ダンボール戦機』という名前を誤魔化した結果、巡り巡ってのことなので、バンからしても採用されていれば精神的な絞首台送りになっていたので命拾いした形になっていた。

 

 

「さておいて、LBXってのはコアスケルトンという人体にアーマーフレームという鎧を着せて戦ってるわけだが。フレームにもかなり特徴があってな。大まかに、汎用性の『ナイト』軽装甲で機動性に優れた『ストライダー』。重装甲、高出力の『ブロウラー』ジャンプに優れた逆関節などの異形に近い『ワイルド』。キャタピラとか、ガチタン……あーっと、戦車に近い形の機動性と火力、装甲を有する『パンツァー』の五種類ある。正確にはもっと細分化出来るけどそういう区分けと思って欲しい」

 

「すでについていくので精一杯です……」

 

「カッコいいのがパンツァーフレームだぜ!」

 

「ふ、お子様だな。ストライダーフレームの良さがわからんとは……」

 

「……前までは『アマゾネス』……ストライダー一択だったけど、最近ナイトフレームにも興味がある。今調整してるのも、『ズール』を私用に改造してるやつだし」

 

「へぇ、『ズール』も含めて、あのフレームは汎用性高いからモロに操作者の癖が出やすいからな……ああ、そうだ。スズノ、最初はナイトフレームのLBXが良いかもしれないな。『ウォーリアー』があるし、少し触ってみるか?」

 

 ミカの言葉から発想を得て、スズノにバッグより箱詰め保管していたLBXの『ウォーリアー』を差し出す。念の為に貯めていたアキレスのアーマーフレーム分のお小遣いを使って購入したLBXである。

 もし何かあった時用に、端的には『ハンター』を受け取れなかった時にカズに渡すか、なにかあった時に自分の使う予備として準備していたのだが。試しで操作した時以外、なんやかんやで結局使う機会を逃していた。

 

「え、私が、ですか?」

 

「触れてみた方が理解が進むってものだ」

 

 自分のCCMに『ウォーリアー』を接続させ、スズノに渡す。それからDキューブを展開し、『ウォーリアー』をフィールドに立たせた。

 

 スズノが両手で恐る恐ると言った様子でCCMを持つ姿に、少し笑って簡単な操作方法。歩くための操作を教えてみる。が流石に上手くいかずに二、三度転けた。難しい様子で、それでもパンが横に立って教える。

 すると少しずつバランスを取れるようになってきた。

 

「これが……LBX……」

 

「そうだ、一歩ずつでいい。ある程度の補助はLBXが考えて、行ってくれる」

 

「LBXが、ですか?」

 

「LBXはただの道具ではない。LBXは相棒、そうパートナーでもある。こう動きたい、こんな事をしたい。そういう思いに応えてくれる。けれど、一方的過ぎればそれは破綻する。だからこそ、LBXの声を聞かないといけない」

 

「声……」

 

「ここまでなら力を出せる。ここまでなら動ける。ここまでなら反応できる。ここまでなら耐えられる。そんな限界をLBXは教えてくれる。それを聞けるようになっていけば……」

 

「あ……」

 

 バンの視線の先にはスズノの操作でぎこちなさがあるものの、走り出したウォーリアーがいた。

 

「こうやって走らせる事だって出来る」

 

 機敏に動くようになってきた。『ウォーリアー』に少しずつ楽しくなってきたのか、次々といろんな動きをさせてみ始めるスズノ。当然だと、バンは口の端を少し吊り上げた。LBXは楽しいのだ。

 先ほどまでどこか暗さのあったスズノも、夢中になって『ウォーリアー』を動かす様子は、大変愛らしい少女であった。

 

「……初心者が楽しそうにしてるのほど健康にいいものはないね」

 

「ブルド勧めたくなるぜ」

 

「キャタピラはクセ強いだろうが、ここはジョーカーをだな」

 

「そこ喧しい。初心者は優しく見守れ」

 

「あ、す、すみません。一人で盛り上がってしまって……」

 

 楽しそうにするスズノを微笑ましそうに見守る面々。それに気がついたスズノは恥ずかしそうに縮こまる。

 

「そのLBX、良ければあげよう。後でCCMも用意すれば君も立派なLBXプレイヤーだ」

 

「えっ!? いや! そんな!! こんなすごいのを貰うわけには!!」

 

「LBXを楽しんでくれる、それだけで俺たちにとっては報酬になり得るからさ。修理が終わったらバトルしよう」

 

「……私もしたい。お古のCCMあるから、明日でも持ってくる」

 

「おー! 俺もしたい!!」

 

「は、勝手にやってろ」

 

「仙道、教えるの下手そうだしな。無理する必要はない」

 

「あ? 出来るが? やってやろうじゃねぇかテメェ。おいスズノとかいうやつ。バトルができる様になったら俺がみっちり扱いてやる。覚悟しておけ」

 

「えぇっ!? な、何故か話が勝手に進んでます……! で、出来れば優しくお願いしたいのですが……」

 

 

 『ウォーリアー』をジオラマから取り出して、話の流れでおよび腰になっていたスズノに手渡す。恐る恐ると言った様子で彼女は受け取ると、顔を綻ばせた。

 

 

「そいつをよろしくな、スズノ。大切にしてやってくれ」

 

「は、はい! えっと……よ、よろしくお願いします、『ウォーリアー』」

 

 

 とても初々しい光景が眩しく、バンは目を細めた。いつの日か、こういうのが当たり前になって、兵器としてではなく玩具としてだけ使われる様になってくれればと、祈りの様な目標を再確認するのであった。

 

 

 

 と、ウォーリアーと交換する様に受け取った自分のCCMを見て、海道ユウヤからのメールを受け取っていたことを思い出す。

 

「そういえば、は……海道ユウヤからなんか来てたな」

 

 まだ言い慣れぬ名前に詰まりながらも、CCMを操作して、メールボックスから、届いた最新のものを確認した。

 

 

「……は?」

 

 

 そうして、そのメール、いや、招待状の内容を見て、バンは言葉を失うのだった。

 

 ———海道邸への招待状。それがバンに届いたものの正体であった。

 

 




今回の回は話進みませんが、こういう日常でわちゃわちゃしてるのが好きなので無理やり入れ込んだものです。

必要か不必要か問われれば、まぁ不必要に思われる方も多いかもですが、書きたかったので書いた次第です。後悔はない……。

ちなみにバンの発言していた『ダンボール戦機』の名称が通った場合は初期PVの世界線になってたかもしれません。
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