ゴレイヌさんに会いに行こう!   作:丸焼きどらごん

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うおおぉー!力が漲るぞー!(バリバリッ
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Gorilla23,蜘蛛の情報

 9月1日から10日まで開催されるヨークシンシティでの世界最大規模のオークション。その品を狙って現れるA級賞金首幻影旅団の討伐こそ、私がゾルディック家に依頼した内容である。

 

 少々トラブルはあったものの、クラピカもゾルディック家への依頼が正式なものであると知るとやっと私を信用してくれたようだ。

 ハンター試験からここまで長かった……。

 

 

 そしてクラピカであるが、同族の仇である幻影旅団を倒すために今まで己を鍛えてきたわけだから当然すぐには納得できない様子だった。けど熟考した結果、幻影旅団を始末できるのならば自らの手で罰を下したいなどという欲求は些細な事であると割り切ったようだ。しかし旅団抹殺の際の戦闘には自分も参加するという意思表示だけはやめなかった。

 

 ゼノじいさんは「旅団員全員の暗殺は依頼されていないからな。好きにするがいい」と興味がない様子だったが、その後に「ただし、邪魔されては困る。今のお前さんじゃ足手まといになるだけだから、分はわきまえて行動しろよ小僧」と厳しい一言。

 これに対してクラピカは「悔しいがそれは事実だろう。しかし私はどんな代償を払おうとも、オークションまでに奴らを倒す力を手に入れてみせる。足手まといになどなりはしない」と言い切った。

 ゼノじいさんは面白そうにニヤリと笑いながらもクラピカの事を「強い意志だ。だが危うい」と評した。しかしそれ以上の追及はせず、他の暗殺一家はそもそもクラピカに対してさほど興味がないのか話しかけなかったので話題は暗殺の依頼内容へと移る。

 

 といっても、その内容とはほぼ旅団員の念能力に関してだ。

 

 

 

 私は奴らの能力に関して、あらかじめ1枚の紙にしたためてきていた。口で説明するより、一覧になっていた方が分かりやすいと思ったからである。これをもとに補足説明をすればいい。一応依頼したターゲット以外も全部書いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

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【クロロ=ルシルフル】

 特質系能力者。

 幻影旅団団長。額に逆十字の厨二っぽい刺青をしている黒髪の優男。団長を意識している時はオールバックにファー付き逆十字模様のコートを着用する高度な中二病スタイル。その他の時は髪を下ろして好青年風の装い。髪の毛サラサラで将来は禿げるものと思われる。

 

 能力「スキルハンター」

 他人の念能力を盗む能力。盗まれた相手は能力を使用できなくなるが、生きていなければクロロは盗んだ能力を使えない。能力を盗むにあたって直接相手の能力を見る、オーラで具現化した本に手をあてがわせるなど条件がある。知りうる条件は以上の2つだが、他にもいくつかあると思われる。スキルハンターを使う際は具現化した本を開いた状態で手に持っていなければならない。

 

 

【フェイタン】

 変化系能力者。

 拷問担当の細目のチビ。キャラ作りのつもりなのか妙な喋り方をする。仕込み傘を武器に使う事もある。薬や毒薬の扱いにも長けている。

 

 能力「ペインパッカー」

 カウンター能力。ダメージを受けた分だけ威力が強くなる。発現される能力は太陽のような形態をとり相手を焼き尽くすもののみ認知しているが、もしかすれば別の形態もあるかもしれない。しかしダメージを蓄積する前に仕留めれば問題無いはず。

 

 

【シャルナーク】

 操作系能力者。

 童顔細マッチョ。旅団の情報担当。頭がよくて笑顔でえげつないことを仕掛けてくる。こいつをつぶせば旅団の情報収集能力は一気に低下すると思われる。

 

 能力「ブラックボイス」

 アンテナを対象に刺すことによって、ケータイで相手を操ることが出来る。ただし相手がすでに別の能力者に操られていた場合は操れない。アンテナを自分自身に刺して一時的なオート制御によって普段の何倍もの能力を引き出すブースト能力にもなりえる。

 

 

【ノブナガ】

 強化系能力者。

 和服を好む長髪のジャポン系の顔立ちの男。髭。デリカシーが無い。円の範囲4mの男。

 

 能力「???」

 不明だが、強化系なので複雑な能力は無いと思われる。刀による居合を得意としているので、あるとしてもそれに関する能力だと推測。

 

 

【フィンクス】

 強化系能力者。

 眉毛無しの強面。主にジャージか訳の分からない黄金の被り物姿。ダサい。デリカシーが無い。

 

 能力「グルグルパンチ(仮称)」

 腕を回せば回すほど威力が増すパンチ。

 

 

【ウボォーギン】

 強化系能力者。

 2m以上の巨体を誇る大男。おそらく素の戦闘力と肉体の強靭さでは旅団の中でも随一。

 

 能力「ビッグバンインパクト」

 単純な右ストレートだが、強化系の強化を極めた一撃と言える。軽く地面にクレーターを作る威力を誇る。

 

 

【パクノダ】

 特質系能力者。

 鷲鼻が特徴の個性的な美人。背が高くモデル体型。シャルナークと共に旅団内でも頭脳派。

 

 能力「記憶を読む能力」

 対象に触れることによって"自身が望む情報"を読み取ることが出来る。銃を具現化して自分の記憶を対象に撃ち込み、得た情報を相手に植え付ける事が出来る。ただし記憶を抜かれた本人に撃ち込むと記憶が失われる。

 

 

【コルトピ】

 具現化系能力者。

 背が低く、長い髪の毛で顔や体が隠されているため人相は不明。

 

 能力「ギャラリーフェイク」

 片手で読み取ったものをもう片方の手で偽造できる能力。その規模はビル大まで可能であり、複数具現化する事も可能。生き物の具現化は出来ないが死体ならば可能であり、更に具現化したものはそれぞれ円の役割を果たす。具現化したものは24時間経過すれば消える。

 

 

【フランクリン】

 放出系能力者。

 ウボォーギンと同じく2m以上の大男。顔にたくさん傷がある。

 

 能力「ダブルマシンガン」

 両手の指から強力な念弾をマシンガンのように打ち出す能力。威力は凶悪。

 

 

【マチ】

 変化系能力者。

 ポニーテールが特徴の美少女。勘が鋭い。

 

 能力「念糸」

 オーラを糸に変えて使用する。その使用方法は敵の捕獲、千切れた腕を縫合するなど幅広い。糸の強度は伸びれば伸びるほど弱くなるが、短いほど強靭となる。

 

 

【シズク】

 具現化系能力者。

 眼鏡をかけた黒髪の女。可愛い系の顔立ち。盗んだものを能力によって運搬する。

 

 能力「デメちゃん」

 奇妙な掃除機を具現化し、あらゆるものを吸い込んでしまう。生き物や念能力者が具現化した物質は吸い込めない。

 

 

【ボノレノフ】

 系統不明。

 全身を包帯で覆った細身の男。どこかの部族の戦士らしい。

 

 能力「俺の音を聞け!(仮称)」

 自身の体に開いた穴によって奏でる音楽により様々な攻撃を繰り出す。身にまとう鎧を作り出したり、巨大な球体で敵を押しつぶしたりする。詳細は不明。

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

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 紙をコピーして全員に行きわたらせたが、誰もが無言で資料を見ているので不安になってくる。一応参考までにそれぞれの特徴を記したイラストも添付しておいたけど、それがまずかったのだろうか。私、文字もそうだけど絵も汚いからな……。

 

 一応資料を渡す前に「この情報は直接戦う以外の方法で知り得た物も含まれるが、その信憑性については裏付けるものが無いので確実にこの能力を有しているか保証は出来ない。半分信じて半分疑うくらいの気持ちでいてほしい」と言ってある。

 私の前世の知識なんていう曖昧なものの上に成り立つ情報だからな。確証があればこれを値引きの材料にも出来たんだけど、もし違っていた場合リスクが跳ね上がるのでとてもそんな図々しい要求は出来なかった。

 

「エミリア。この絵の端に描いてあるのは、もしかしてヒソカか?」

「ああ、うん。そいつ蜘蛛の4番よ」

「! ヒソカも幻影旅団のメンバーだったのか! それで蜘蛛の事を……」

「でも目的は多分クロロと戦いたいとかそんなだろうから、旅団としてはカウントしてないわ。もしかしたらうまくセッティングすれば勝手に団長を倒してくれるかもね。こいつは嫌いだけど、もしかしたら旅団を追い込むのに一役買ってくれるかもしれないからとりあえずハブで」

「……そうか」

 

 厳しい眼光で資料を見ていたクラピカの質問に答えれば、彼は納得したように頷いて再び資料を上から順に読み始めた。

 

 

 すると再び訪れる沈黙。……私は部屋の空気に耐えきれなくなって、口を開いた。

 

「出来れば真っ先につぶしたいのは情報担当のパクノダとシャルナーク。こいつらを無力化すれば、おそらく情報の伝達が遅れて旅団の動きは鈍くなる。バラけさせての各個撃破が容易になると思うわ。そしてターゲットの中で最も確実に殺したいのは団長であるクロロ=ルシルフル。旅団は「生かすべきは蜘蛛」っていうルールを決めていて団長を必ずしも生かす必要は無い、死んでも誰かが後を引き継げばいいという考えだけど、奴のカリスマ性は確実に蜘蛛の要になっている。殺せば瓦解とまではいかなくても、かなりのダメージのはずよ」

 

 これは主にクラピカに向けて言った言葉だ。旅団を止めたいのならば全滅させるのが最善だが、最悪クロロだけでも殺せば旅団にとって最も深刻なダメージとなる事は教えておいてもいいだろう。フランクリンあたりは冷静に蜘蛛再建に取り組めそうだけど、クロロに深い信頼を寄せているメンバーは少なくないからな。奴が死ねば平静ではいられまい。

 

「このコルトピって奴の能力ヤバいな。コピーできる大きさの規模がデカい上に円の能力まであるのか。それに心を読める能力者……たしかに面倒だ」

 

 次に口を開いたのはミルキだった。おい、お前を雇う気は無いって言ってんだろ。何勝手に資料見てんだよ。

 

「団長のクロロは、こりゃまた盗賊らしい能力だな。他人の念を盗む能力ってのは知ってたが……これだけ分かっとればそうそう能力を盗まれることはないだろう。だが、どんな能力を盗んで有しているか分からないのが厄介だ。まったくめんどくせぇの。こりゃ、割に合わん仕事を請け負ったか」

 

 そう言ったのはゼノ爺さんで、面倒くさそうにひらひらと資料で顔を扇いでいる。

 

「あの……資料少なかったですかね。一応私が知る限り書いたつもりなんですけど……」

「いや、これだけ能力が割れとれば念能力者にとって致命的だろうて」

「うん。どうやってここまで調べたか分からないし情報を鵜呑みにして痛い目見るのは嫌だけど、これが事実なら仕事はやりやすいよね」

「ああ。まさか相手も自分の能力がここまで知られているとは思わないだろう」

 

 意外にもゼノ爺さんに続いて口を開いたのは鋲男とシルバの旦那。2人とも無表情なので感情はうかがえないが、お世辞など一切言わないであろう親子の言葉に資料は無駄ではなかったかと安心した。信じるかどうかの判断はそれぞれに任せよう。臨機応変ケースバイケースで柔軟に対応してもらおう。プロなんだし。

 

 

 

 とりあえず、これで渡すべき情報は渡したな。

 その後いくつか話し合ったけど、とりあえずの方針は決まったので私とクラピカはゾルディック家を後にすることにした。

 

 それにしてもクラピカ、あの一家の中で一切怯まなかったな……。旅団が関係している内容とはいえ、その胆力は感嘆に値する。まだ念を覚えたてとはいえ彼らとの実力の差くらい察しが付くだろうに……。

 ちなみに最後までキキョウ先輩とはガン飛ばしあってた。カルト坊ちゃんがクラピカにちょっと引いてた。

 そういやキキョウ先輩と言えばよければ今日くらい泊まっていけばいいと勧めてくれたが、なんとなく嫌な予感がしたので辞退した。キキョウ先輩の背後でミルキが「行け! 早く帰れ! 俺のためにもお前のためにも!!」と念字で必死に訴えていたので、多分この選択は間違っていなかったのだろう。

 …………理由はよく分からないけど、キキョウ先輩には気を付けようと思った。

 

 

 そしてククルーマウンテンを下った私とクラピカは、町で待っていたイズナビと合流し晴れて私はクラピカの念の師匠をお役御免になった。あとはイズナビに任せよう。

 クラピカは「9月までに私は旅団討伐に参加するための力を必ず身につける。それと、身動きは取り辛くなるが緋の眼を探すための雇い主も見つけるつもりだ。……世話になった。また9月が近づいたら連絡するから、それまで私が教えた事をちゃんと復習しておくんだぞ」と言い残してイズナビと共に去っていった。

 意外だったのは、その去り際に彼が一度は手にいれた緋の眼を私に返してきたことだ。

 

「人体収集家の雇い主を探す手前、これは持ち歩けない。よければ君が預かっていてはくれないか?」

 

 とのこと。なのでひーこさんは再び私の手元に戻って来た。

 …………クラピカに託されたのだし、今まで以上に大事にしよう。もう二度と杜撰な扱いはすまい。

 

 

 

 

 

 いや、疲れた。本当に疲れた。

 

 …………早く天空闘技場に戻って、ゴンさんキルアさんと一緒に美味しいものでも食べよう。

 

 

 

 


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