GATE もう一つの帝国 作:コッコ
翌朝、ロイス帝国軍は身構えてイタリカに向いていた。見ただけでも分かる大軍でイタリカを囲み補給も退路も全て絶った状態でいつでも攻めれるように準備していた。
「レオン様。ご命令をください。私はどの様な結果になろうと受け入れるつまりです」
「・・・全軍。掛かれ」
「角笛を鳴らせ!攻撃開始!」
ルーレが叫ぶと兵士が角笛を鳴らす。それを合図に兵士達は雄叫びを挙げる。攻撃が開始されカタパルトと呼ばれる投石械を使い城壁を攻撃し始め兵士と共に屋根付きの破城槌が城門を破壊しようと迫る。
「怯むな!矢を放て!」
ピニャは負けてなるものかと矢を放つように命じて民兵達は弓で矢を放つ。次々とロイス帝国側の兵士は矢を受けて倒れていく。ルーレは状況を打開する為に全線で指示を出す。
「可動防護壁を前に出せ!」
可動防護壁と呼ばれる大型の盾を出して矢を防ぐ。可動防護壁を盾にしつつ開けられている隙間から矢を放つ。次々とイタリカ側の兵を仕留めていくがイタリカ側の兵に煮えたぎった油をかけられる者が多く現れ怪我人や死亡者が続出し始める。ロイス帝国軍はイタリカ側の思わぬ攻勢に怯み始める。
「敵は怯んだ!押し返せ!」
「くそ!退却。退却よ!」
「退却だ!」
兵士の士気が下がったのを気にルーレとガーウェンはやむ終えず退却の命令を下して後方に下がる。レオンは大軍で攻めたのにも関わらず落とす所か一度引かされるとは思っていなかった。
「なるほどな。どうやらこの5年でそれなりに戦いの技術を身に付けてきたか・・・」
レオンは本陣でイタリカの戦いを見ていたがイタリカ側の兵士は民兵が殆どでろくに訓練を受けていない者ばかりだと睨んだ。
「恐らくは異世界での敗北が大きな痛手となってそんな事態になっているのだろうが俺は容赦はしないぞ・・・ピニャ」
戦いが始まって1日が経った。ロイス帝国側は攻撃を止めて包囲を保ちつつ布陣し続けていた。
「敵が動きを見せないだと?」
「はい。敵は布陣を保ってイタリカを包囲を続けていますが動きが無いのです」
「・・・恐らくは我々の兵糧が無くなるのを待っていると小官は思います」
「それは兵糧攻めを相手はしてきていると言うのか?」
兵糧攻め。相手の防衛する拠点を完全に退路と補給路を絶って囲んでの持久戦の基本的な戦術。メリットは安全に拠点を落せるがデメリットで敵の援軍の到達を許したり長期戦になるなどデメリットの方が多い。下手をしたら奇襲をされる事をあるので相当念入りに条件を揃えなければいけないのだ。
「ハミルトン。兵糧の方は?」
「はい。イタリカに備蓄されている兵糧はまだ充分にありますが・・・」
「何か問題でもあるのか?」
「民兵達の疲労は大きくとても持久戦には・・・」
ピニャはハミルトンの言葉を聞いてうつ向く。一度はロイス帝国側を引かせたが次は持久戦とくる。ピニャはこの状況ををどう対象するか考えるのだった。
「レオン様。何故イタリカを攻めないのですか?」
「一回退けられましたが我々はまだ負けてはいません」
「・・・分かっている。だが父上からある兵器の実験をしてほしいと頼まれてな。その兵器が届くのを待っているだけだ」
「兵器?」
レオンの兵器と言う言葉にガーウェンは疑問に思う。何故持ってくる必要があるのかと。殆どの兵器は簡単な物でその場で作る事ぐらいはできる。それを持ってくるのは相当な大掛かりな物だとガーウェンを推測する。包囲してから更に1日が過ぎるとその兵器が届いた。
「これがそうなのですか?」
「台に大きな鉄の筒を乗せているだけではありませんか」
二人は兵器を見て更に疑問に思い始める。見た目は台に大きな鉄の筒を乗せただけの物でその傍らに鉄の大玉と何かの黒い粉まで同封していた。
「この兵器は火薬を使うらしいな」
「火薬?」
「火薬は火を着けるとな・・・爆発する」
「爆発!」
ルーレは驚いて火薬から離れる。レオンはそれを見て兜越しで苦笑いをする。
「大丈夫だ。火薬は火さえ着けなければ安全だ。それより早く使って威力を見るぞ」
「わ、分かりました」
レオンは新兵器を一直線に並べると準備する。最初は兵達は戸惑っていたが何とか使用可能な状態にできた。ルーレはレオンの元に来ると使用可能と伝える。
「準備できました。何時でも撃てます」
「では・・・撃て」
「発射!」
ルーレの合図で次々と新兵器が大きな音と共に火が噴く。そして、飛ばされた玉は一直線に城壁に向かっていきそして再び大きな音を起こして直接では確認できない程の煙が立った。煙が晴れるとそこにはボロボロに半壊している城壁がそこにあった。
「とんでもない威力だな・・・」
「これ程の兵器・・・敵に渡ったら怖いですね・・・・・・」
「あぁ・・・」
三人は思った以上の威力に驚きを隠せなかった。その兵器の名は大砲。地球の時系列からすると相当前に作られた兵器だが現在でも改良された大砲を使用されている位に有能な兵器なのだ。
「装填を急げ」
「まだ撃つのですか・・・?」
「どっちにしろまた使う事になるだろうからな。俺達が拒んだとしても他が使うだろう・・・」
「・・・各自装填を急げ!」
大砲の弾が装填をされ始めた頃、一つのこの世界ではあり得ない物がやって来ていた。その物は鉄でできており下には車輪が着いている。そして緑や土色の色で何より馬を使っていなかった。その中には緑の服を着た男達とプラチナブロンドの少女と神官服(ゴスロリ衣装)を着た少女とエルフの娘が乗っている。
「隊長。何か武装した人が多いです。何でしょう・・・」
「これは・・・戦」
「あの旗はロイス帝国の物ね」
「ロイス帝国・・・?」
「もう一つの帝国よ。帝国が宣戦布告して今も戦争をしているのだけどまさかもうここまで攻め混んでいるなんて」
男達は再び前方を見ると発見されたのか馬に乗った数人の騎士と数十人の兵士が走ってくる。
「こっちへ来ます!」
「全員警戒体勢を取れ。戦闘になりそうなら逃げるぞ」