GATE もう一つの帝国 作:コッコ
レオンが出発したから帝国は油断をしていた。突然の宣戦布告に戸惑い慌てて軍備をしていると思っているからだ。帝国はロイス帝国と国境に挟まれているノラトと呼ばれる城塞都市に軍を集めて遠征を始めようとしていた。
ノラトは左右は大きな谷に挟まれて建設されており唯一ロイス帝国への陸上で行ける帝国の重要な通路であり砦でもある。
「飲むが良い!今夜は無礼講だ!」
帝国軍はノラトに集結し夜に酒を大量に飲んで寝静まった。見張りは動ける者で僅かでかなり疎かになっている。そこにレオン率いるロイス帝国軍がやって来てレオンはルーレと共に自ら城塞を見る。
「あれがノラトか」
「見た所かなり見張りが少ないですね・・・」
「どうせ油断をして酒でも飲んだんだろう。今日は付いてるな・・・まさか要所の守り手が油断をしているんだからな。ルーレ明かりを消させろ。静かに迫るぞ」
「分かりました」
自ら遠目で確認したレオンはルーレに松明の火を消させ暗闇に紛れさせる。そんな事を知らない帝国兵は呑気にあくびをしながら見張りをしているん。帝国兵はそろそろ交代しようと他の兵士に呼び掛けようとした瞬間、帝国兵は首に矢が刺さる。それを合図に見張りの帝国兵は次々と矢が刺さる。
「よし。これで静かに登れるな・・・」
「攻城梯子を掛けなさい・・・」
ルーレの命令でロイス帝国兵は梯子を掛ける。そして、静かに登っていき城壁の上に到達する。ある程度のロイス帝兵数人が登り終えて内部に降りる。内部はレオンの思った通り油断して寝てしまっている帝国兵でいっぱいだった。
「門を開けるぞ・・・」
ロイス帝国兵は静かに門を開け放つと外の味方を招き入れる。
「油断するからこうなるだ・・・全軍掛かれ」
「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」
レオンの指示で一斉に帝国軍へと襲い掛かる。寝てしまった帝国兵達は一斉に飛び起きて混乱の中で武器を取ろうとし瞬間、斬られる。
「敵の大将は街の館にいる筈だ。敵大将を討ち取った者には望む褒美を取らせる」
ロイス帝国軍は街の中心にある館を一直線に目指して突き進む。道中、帝国軍が棒やら斧等武器と呼ぶにはお粗末な物を持って戦い始めているがまともな武器ではないので簡単に殺される。
「えぇい!情けない奴らめ。帝国軍としての意地を見せないか!」
館の近くで帝国兵とは違う鎧を着た男が怒鳴っていた。その男が大将であり突然の夜襲を受けてどうにか統率しようと試みるが結局失敗している。ロイス帝国軍は男を見つけると一斉に掛かるが男は思っている以上に強く何人も斬られる。
「どうした蛮族共!掛かってこい!」
男の気迫に押されロイス帝国兵達は少し怯みあがった。武器を構えつつも包囲する中で一人の両手剣を持った青年が出てくる。
「私が相手をしよう」
「ふん、雑兵風情が・・・行くぞ!」
男が剣を振り上げて青年に斬り掛かるが青年の両手剣が先に男に届く。
「へ?」
「残念だが終わりだ・・・」
男の剣は青年の両手剣を振るいぶつかったと同時に折れて男を襲う。両手剣はそのまま男の首を吹き飛ばして血が溢れて倒れる。
「敵将を討ち取った!」
青年が首を持って宣言すると一斉に歓声が挙がる。そして宣言を聞いた帝国兵達は武器を捨て始め降伏し始めた。ノラトは制圧されレオンは敵将を討ち取った青年の元へ行く。
「よく討ち取った。話によると敵将は中々の強さを持っていたそうじゃないか。そんな奴を一撃で倒したお前にほうびを授けたいが何が良い?大きな願いなら父上に掛け合ってみるが」
「はい。自分をあなたの臣下に加えさせてください」
「俺の臣下に?何故だ。敵将を討ち取る事は領主は無理でもそれなりに高い地位に就ける筈だ」
「私はあなたの臣下になりたくてこの軍に志願しました。そして、あなたの望み通り敵将を討ち褒美としてあなたの臣下になる事を望みました・・・」
レオンは青年の望みを聞いて少し考え決める。
「お前・・・名は?」
「ガーウェン=ロードシェルクです」
「ガーウェン・・・お前を俺の臣下に加える。存分に腕を振るえ。期待しているぞ」
「ありがたき幸せでございます!」
新たに臣下に加えたレオンは明日に備えてノラトで軍を休ませる。この戦いを切っ掛けにますます謎の黒騎と名が高まったとはレオン自身も知らない。