キリトin太刀川隊   作:ZEROⅡ

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どうもZEROです。初めての方は初めまして。お久しぶりの方はごめんなさい。

最近は活動の場をpixivに移していたのですが、また戻ってきてしまいました。

今更ながらSAOにドハマリし、WTとのコラボを妄想したら止まらなくなってしまい、このような作品が出来上がりました。

とりあえず、pixivに投稿済みの4話まで投稿いたします。感想お待ちしております。


序章編
桐ヶ谷和人


 

 

1万人もの人間を死の牢獄に捕らえた最悪のVRMMORPG《ソードアート・オンライン》通称SAO。

ゲームでの死が現実での死に直結するデスゲームと化してしまったSAOは2年も続いた。

そしてそのSAOは今……終焉の時を迎えようとしていた。

 

第75層のボスを倒した直後に判明した最悪の真実……それはSAO最強ギルド《血盟騎士団》の団長である男《ヒースクリフ》が、このデスゲームの元凶にしてSAO開発者である茅場(かやば)晶彦(あきひこ)であるという事。

 

それを《黒の剣士》の異名を持つプレイヤー《キリト》が暴き、ヒースクリフは自分の正体を見破った報酬として、この場でゲームクリアを賭けた最後の戦いを行う事を提案した。

 

 

「いいだろう、決着をつけよう」

 

 

「キリト君!」

 

 

「ごめんな……ここで逃げる訳にはいかないんだ」

 

 

キリトはヒースクリフのGM権限によって麻痺状態にされている最愛の恋人《アスナ》に薄く微笑みながら謝罪の言葉を口にする。

 

 

「死ぬつもりじゃ…ないんだよね?」

 

 

「ああ。必ず勝つ……勝ってこの世界を終わらせる」

 

 

「……わかった。信じてるよ、キリト君」

 

 

静かだが、確かな覚悟が宿ったキリトの言葉に、アスナは彼を信じて送り出す事を決めた。

そしてキリトはアスナから離れると、ゆっくりとヒースクリフに向かって歩き出しながら、背中に背負った二刀の剣を引き抜き、彼にのみ許された《二刀流》の構えを見せる。

 

 

「キリトーー!!」

 

 

後ろから聞こえた自分を呼ぶ声に、キリトは一旦足を止めて、振り向きながら麻痺状態で倒れている2人の男性に声をかける。

 

 

「エギル」

 

 

「!」

 

 

1人は黒人の男性《エギル》。キリトにとっては気を許せる人物で、数少ない理解者の1人である。

 

 

「今まで剣士クラスのサポート、サンキューな。知ってたぜ、お前が儲けの殆ど全部を中層プレイヤーの育成に注込んでいた事」

 

 

「っ………!」

 

 

キリトのその言葉に、エギルは何も返さない。まるで最後の挨拶を交わすかのような彼の口振りに、何も言えなくなってしまったのだ。

 

 

「クライン」

 

 

次にキリトが目を向けたのは、野武士のような顔立ちと頭に巻いたバンダナ特徴の男性《クライン》。キリトがSAOにログインして最初に知り合った人物で、キリトにとっては兄貴分のような存在である。

 

 

「あの時……お前を、置いて行って悪かった」

 

 

「っ……て、てめぇキリトォ!! 謝ってんじゃねえ!! 今、謝ってんじゃねえよ!! 許さねえぞ!! ちゃんと向こうでメシの1つも奢ってからじゃねぇと、絶対許さねぇからなぁ!!!」

 

 

「わかった……向こう側でな」

 

 

クラインの涙ながらの叫び。その声にキリトは現実世界での再会を約束した。

 

 

そしてキリトが最後に目を向けたのは、最愛の恋人であるアスナ。だがキリトは彼女に対して言葉を紡がず、小さく微笑みかけると、顔をヒースクリフへと向けた。

 

 

「悪いが、1つだけ頼みがある」

 

 

「何かな?」

 

 

「簡単に負けるつもりはないが、もしオレが死んだら──しばらくでいい、アスナが自殺できないように計らってほしい」

 

 

「!……ふっ、よかろう」

 

 

キリトのその頼みにヒースクリフは一瞬だけ意外そうな顔をしたが、すぐに笑みを浮かべてその願いを了承した。

もしキリトが敗れたら、アスナは彼の後を追って自殺するつもりでいた。だがそんなアスナの考えを見抜いていたキリトは、事前に彼女が自殺するという道を絶ったのだ。

 

 

「キリト君ダメだよ!! そんなの……そんなのないよぉ!!!」

 

 

後ろから聞こえるアスナの叫びを背負いながら、二刀の剣を構えるキリト。対するヒースクリフも自身に施していた不死属性を解除し、剣と大盾を構える。

 

 

最後にして最強の敵と対峙する中で、キリトは自身の心に言い聞かせるように内心で呟く。

 

 

 

……これは決闘(デュエル)じゃない、単純な殺し合いだ。そうだ……オレは、この男を──

 

 

 

──殺す!!!!

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉおおおお!!!!!」

 

 

こうして……《黒の剣士》キリトのSAO最後の戦いが始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──とまぁその後も色々あったけど、結果的に茅場との勝負に勝った俺と約6千人のプレイヤーは現実世界に戻ってこられたんだよ」

 

 

「「「いや良い所で端折るなよ!!!」」」

 

 

俺が過去の話を終えた途端に、一斉にツッコミが入れられた。

 

 

『お~、キリ君かっこいい~』

 

 

それに続くように、俺たちが耳にしている通信機から、間延びしたしたような口調で称賛している少女の声が聞こえる。

 

 

ここは《三門市》と呼ばれる街の市街地の一角。だけど周囲には市民の姿がまったく見受けられず、時刻が夜ということも相まって、まるでゴーストタウンと化している。

それもそのはず、ここら一帯は《警戒区域》と呼ばれる廃棄された区域で、俺たち《ボーダー》に所属する人間しか立ち入ることが許されない場所だからだ。

そんな場所で民家の屋根の上で腰を下ろしている、俺を含めた4人の男たち。

 

 

「こら桐ヶ谷、肝心なとこを省くな。そのヒースクリフとかいう奴はどれくらい強かったんだ?」

 

 

太刀川(たちかわ)(けい)さん。

もじゃもじゃ頭に顎鬚が特徴の大学生で、俺がいる部隊の隊長。ボーダーにおいて《攻撃手(アタッカー)ランク》、《個人(ソロ)総合ランク》共に1位にして、A級1位部隊の隊長というあらゆる1位を総なめにしている規格外な人だ。

 

俺もこの人とは何度か戦ったことはあるが、1度も勝てていない。もしこの人がSAOに居たら、俺やヒースクリフを凌ぐ最強のプレイヤーと言われていただろう。

 

その反面、勉学が壊滅的で、毎回大学でレポートが出る度に手伝ってくれと高校生の俺に頼み込んでくるほどだ。あと《Danger(デンジャー)》を《ダンカー》と読んだ時は、本当にダメだこの人と思った。

 

 

「いやそこじゃないでしょ太刀川さん!! 桐ヶ谷先輩も、そのあとどうなったかちゃんと最後まで説明してくださいよ!!」

 

 

唯我(ゆいが)(たける)

俺の1つ下の後輩。《ボーダー》の大手スポンサーの息子で、コネでこの部隊に配属されたお坊ちゃんだ。実力が低く、態度だけはデカいので《お荷物》と揶揄されている。

 

 

「うるせーぞ唯我!!」

 

 

「出水先輩理不尽!!!」

 

 

そんな唯我に容赦ないケリを入れたのは出水(いずみ)公平(こうへい)

ボーダーでも天才と称される《射手(シューター)》で、高いトリオン能力と豊富な弾丸トリガーを使いこなすことができる。通称《弾バカ》だ。

俺の数少ない同世代の友人の1人で、同じ部隊ということもあってよく一緒につるんでいる事が多い。最近では俺の薦めで《ALO》にキャラクターを作り、その天才的なセンスですでに新規プレイヤーながら高難度ダンジョンでも充分に立ち回れているほどになっている。

 

 

『これこれ~、ケンカはいかんよ~』

 

 

そして先ほどから耳につけた通信機から聞こえる声の主、国近(くにちか)柚宇(ゆう)さん。

俺の1つ上の先輩で、かなりゆるふわな雰囲気を持つ女子高生だ。少なくとも、俺の知っている女性陣の中にはいないタイプの人だ。

因みにあまり見た目からは想像できないが極度のゲーマーで、VRMMOにも精通している。もちろんALOにもキャラクターを作っており、たまに出水と共に徹夜でクエストを手伝わされることがある。

 

 

「けどカズもスミに置けねーよな。ゲーム内とはいえ、恋人と結婚して、現実に戻って来ても関係が続いてるんだろ? しかもあんな美人と」

 

 

「確かに、前に写真を見せてもらいましたけど、キレイな女性でしたよね」

 

 

「ほう? そんなにか?」

 

 

「そりゃもう、メチャクチャ美人ですよ。羨ましいんだよこのリア充が!」

 

 

「ちょっ…やめろって出水!」

 

 

じゃれつくように軽いヘッドロックをかけてくる出水に苦笑しながら抵抗する俺。こういった気安い悪ふざけも、同世代だからこそできることだな。

 

 

『アスナちゃんは可愛い上に優しいからね~。キリ君が惚れちゃうのもわかるよ~』

 

 

「なんだ、国近は桐ヶ谷の彼女を知ってんのか?」

 

 

『直接会ったことはないけど~、私と出水くんはALOの中で何回かあったよ』

 

 

「あぁ、例のVRMMOとかいうゲームか」

 

 

『アスナちゃんはね~、キレイで優しくてすっごく強いんだよ。ボーダーの人で例えると~……加古さん!』

 

 

「桐ヶ谷………強く生きろよ」

 

 

「待ってください太刀川さん、そんな憐れんだ目で俺を見ないでください! アスナはゲームでも現実(リアル)でも料理上手ですから! あんな殺人炒飯と一緒にしないでください!」

 

 

「加古さんに聞かれたらまた炒飯食わされんぞ、カズ」

 

 

俺は絶対にあんなものを料理とは認めない。今でも思い出す……《ゴーヤホイップ炒飯》なるものを口にした時に感じた臨死体験を。あの時は一緒に堤さんも死んでたな。

 

 

『あ、みんな来たよ~。誤差5.23ね』

 

 

柚宇さんの間延びした口調でそう告げられた瞬間、今までの和気藹々とした雰囲気はなりを潜め、代わりにピリッとした空気に切り替わる。

 

 

「来たか。よしお前ら、仕事の時間だ。桐ヶ谷のSAO体験談と彼女の話はまた今度な」

 

 

「「うぃ~す」」

 

 

この場で隊長である太刀川さんがそう言って立ち上がると、それに続くように俺たちも立ち上がる。

 

 

「おい唯我、今日はモールモッドに落とされるなんてヘマすんなよ。もし今回も落ちたら後でケリ入れっからな」

 

 

「出水先輩ヒドイ!! 暴力支配だ!!」

 

 

「あはは…でも、最近唯我も少しずつ成長してるみたいだし、ちょっとは期待してるぞ」

 

 

「桐ヶ谷先輩……! 任せてください! 今日こそA級1位としてボクの実力を存分に──」

 

 

「うるせーお荷物。カズも甘やかすな」

 

 

『任務前に揉めちゃダメだよ~。あ、そうだキリ君、出水君、任務が終わったらALOでクエスト手伝ってね~。今夜は徹夜だよ~』

 

 

「マジですか……いいですけど」

 

 

「ってか柚宇さん……今夜は、じゃなくて今夜も、でしょう?」

 

 

そんな雑談を交わしながら、太刀川さんを先頭にして俺たち民家の屋根から飛び降りる。

そして全員が三日月をバックに3本の刀が描かれた紋章(エンブレム)が刻まれている《太刀川隊》のユニフォームである漆黒のロングコートをなびかせながら、誰も居ない三門市の街を駆け抜ける。

 

 

するとその瞬間……街の上空に小さな黒い穴のようなものがいくつも開かれ、さらにその穴から何体もの異形の怪物が出現した。

 

 

だけど俺たち4人は、その怪物に臆することなく、それぞれが愛用している武器を手にした。

 

 

太刀川さんは2振りの刀を、出水は両手に立方体のキューブを、唯我は2丁の拳銃を、そして俺は刃が輝く片手剣をそれぞれ構えた。

 

 

「よーしお前ら……今日もサクッと終わらせるぞ」

 

 

「「「了解!」」」

 

 

太刀川さんの号令のもと、俺たちは異形の怪物の集団へと向かって駆け出して行ったのだった。

 

 

A級1位 太刀川隊 攻撃手(アタッカー)

桐ヶ谷(きりがや)和人(かずと)

 

 

かつて《黒の剣士》と呼ばれた英雄は、今日も三門市という現実世界を守る為に──剣を振る。

 

 

 

 

 

つづく

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