ダイヤpart1の次の日
屋上にみんなより先に来て道具の準備をしていると、意外な来客が現れた。
果南「……ん?おっ。最近会ってなかったから懐かしいね。」
ななみ「そうだね。私も果南が元気そうで安心したよ。」
果南「元気なのは私の取り柄だったからね。」
ななみ「いわゆる運動バカ的な?」
果南「相変わらずの毒舌……」
鞠莉ともダイヤとも違う性格だけど、彼女も私の昔からの友達。初めてスクールアイドルをするって言ったときも、水泳部があるのにも関わらず協力してくれていた。
果南「そういえば大会とかっていつあるの?行けたら見に行きたいな。」
ななみ「そうそう。今日はその話をしに来たんだけど。」
果南「わざわざありがとう。でも、電話で良かったんじゃない?」
ななみ「ちゃんと果南の顔を見て話したくてさ。」
果南「……?」
ななみの一言で空気が変わった気がした。大会のこと以外に大事な話があることを予感させた。
ななみ「次の大会はもう県予選なんだけど、知ってるよね?」
果南「うん。曜からその話は聞いてる。」
ななみ「その時に予選がいつかは言わなかったの?」
果南「そうだね。」
ななみ「……。」
ななみは俯いた。何か悩んでいるように見えた。ななみが俯いている理由が私にはわかった気がした。
果南「私たちの予選と被るのかな?」
ななみ「……!
さすが果南。勘がいいね。」
そっか。残念だ……。
果南「じゃあ、お互いに応援はできないね。」
ななみ「果南は来れないと思うけど、私は果南たちの応援には行くよ。」
果南「同じ日じゃ無理じゃない?」
ななみ「大丈夫。私の大会は果南たちの大会の前日だから。」
果南「そっか。でも、私の方からは応援に行けそうもないね。ごめん。」
ななみ「別に謝ることでもないでしょ?果南がスクールアイドルに戻ってくれて嬉しいからさ。」
果南「ありがとう。」
ななみ「あのさ。」
話を付け足すように、ななみは話し始めた。
ななみ「私と果南の大会が被るって、どういうことかはわかるよね?」
果南「お互い応援できないってこと以外で?」
私がそう言うと、ななみは一層険しい顔をした。
ななみ「曜のこと、考えてくれてる?」
ななみに言われて私は初めて気づいた。
果南「……曜は何か言ってた?」
ななみ「私もそのことを聞きたかったんだけど、その反応だとそのことについては何も果南に話してなさそうか。」
水泳の大会が私たちの予選と被るなら、曜はどちらかを選ばないといけないってことになる。
果南「千歌になら……。千歌になら何か話してるかもしれない。」
ななみ「ちか?ああ、曜の隣にいる子か。仲が良いし、何か話してるかもね。」
果南「千歌から曜のことは聞いておくよ。何か話してそうだったら、また連絡する。」
曜に直接聞くっていうのもアリだけど、今まで話してないってことは何か理由があるんだよね。
なら、それは得策じゃないか……
ななみ「果南。」
果南「うん?」
ななみ「曜のことさ、引きとめてあげてよ。」
果南「……。」
ななみ「私も曜と一緒に大会出られるのは最後だし、出られたら良かったって思ってる。でも、アイドルしてる時の曜は飛び込みの時より、楽しそうに見えるからさ。」
ななみ……
ななみ「だから、曜のことは引きとめて。」
ななみがそう思ってくれるなら、私としても曜にいてほしい。
果南「わかった。曜が嫌がらなければ、こっちの方に来てもらうよ。」
ななみ「その方がきっとあの子も喜ぶよ。じゃっ」
そう言って、ななみは屋上から出ていってしまった。
善子「果南さんの友達?」
果南「善子ちゃんか。早いね。」
善子「ヨハネは先に来て、俗人たちが慌ててやってくるところを嘲笑しながら待つことが好きなのよね。」
果南「うーん。中々、ゲスな性格だね?」
善子「ぐっ。冗談よ!
遅刻して人を待たせるのが嫌なのよ。」
果南「ちゃんと言えたね〜。」
善子「私、完全にバカにされてるじゃない……。って私が早く来たことはどうでもいいわ。
あの人となんの話をしていたの?」
……うまく話をそらしたつもりだったんだけどなあ。
果南「あんまりいい話じゃないよ。」
善子「だからこそ気になるのよ。」
いつかはわかることになるし、言ってもいいのかな。
果南「曜の飛び込みの大会が、私たちの予選の日とほぼ被ってるって話。」
善子「えっ。」
善子ちゃんは驚きと絶句の間をとったような顔をした。
善子「じゃあ、曜さんは……」
果南「両立は難しいだろうね。」
善子「それで、曜さんはどうするの?」
果南「さっきの子は水泳部の子でさ。曜は私たちと一緒にいさせてあげたいって言ってきたよ。」
善子「そう……。」
善子ちゃんは複雑そうな顔をして、海を見つめていた。
千歌「よーし!今日も頑張るぞー!」
ダイヤ「練習前に体力を使いきらないようにお願いしますわ。」
ルビィ「おはよう、善子ちゃん。」
善子「おはよう。」
みんなが続々と屋上に来てくれたおかげで、善子ちゃんとの間にあった重い雰囲気もなくなった。
鞠莉「なに〜?ヨハネちゃんをじっと見ちゃって、マリーの嫉妬ファイヤーが燃えちゃうよ?」
果南「なにそれ?鞠莉の新ネタ?」
鞠莉「ノー!
私の果南へのアツい思いを表しているのデース!」
果南「もう、鞠莉ってば……。
ふふっ。」
鞠莉「……ふぅ。ようやっと、いつもの果南だね。」
果南「え?」
鞠莉「ものすごい怖い顔してたよ?ハンニャみたい。」
果南「般若って、言い過ぎじゃない?」
鞠莉「ふふっ♪It's joke!」
なるほど。私が怖い顔をしてたのを見越して鞠莉は変なジョークを言ってくれたのか。
果南「ありがとう、鞠莉。」
鞠莉「一人で抱え込むのは果南の悪い癖だから。」
果南「にしても、嫉妬ファイヤーってねえ?」
鞠莉「ノー!!」
果南「あははっ!」
ダイヤ「あなたたちはいつまでイチャイチャしているつもりですの?」
鞠莉「Oh. ダイヤの方がよっぽどハンニャみたいね。」
ダイヤ「鞠莉さん!?」
鞠莉「It's joke!!」
こんなやりとりをしてる時に
私たちの運命の歯車を狂わせる出来事が起きてたなんて私は知らなかった。