向日葵に憧れた海   作:縞野 いちご

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#3 変わらなきゃ

 

 

果南「1.2.3.4」

 

 

話し合いが終わって、今は梨子ちゃんの代わりのポジションに入ってから、初めてのダンス練習中。

 

 

果南「5.6……」

 

千歌「うわっ」ドンッ

 

曜「とっとっと!」

 

 

またダメだ……

 

 

曜「ごめんね!私が遅すぎちゃって……。」

 

千歌「ううんううん。私が悪いの……」

 

 

サビの入りの部分で、舞台中心に2人で背中合わせになるようにバックステップしながら歩かないとならないのだけど、そこが上手くいかない。

 

 

ルビィ「千歌ちゃんと曜ちゃん、ずっとあの練習してるね。」

 

花丸「息を合わせるのには時間がかかるから厳しいのかも。」

 

善子「あと一週間しかないのに、大丈夫なの?」

 

鞠莉「まあまあ!Hardな方が燃えてくるでしょー?」

 

花丸「ちょっと不安ずら…。」

 

 

 

 

曜「……あっ」ドンッ

 

千歌「わわわわっ!?」ヨロッ

 

曜「千歌ちゃん!」ガシッ

 

千歌「ありがとう……。」

 

 

 

 

果南「うーん。あんまりこん詰めてやっても上手くいかない気がしてきたね。」

 

鞠莉「なら、今日はもう休んだ方がいいんじゃない?」

 

ダイヤ「そうですわね。あまり長く練習をしても質が落ちて、練習になりませんし。」

 

果南「わかった。

2人とも、今日はそこまでにしておこう。焦りすぎは良くないしさ。」

 

 

千歌「それもそうだね。今日は終わりにしよっか。」

 

曜「私は千歌ちゃんの気が済むまでって思ってたから、千歌ちゃんがいいなら私も大丈夫だよ。」

 

 

 

結局うまくいかなかったなぁ……

 

 

 

鞠莉「……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

善子「で。なんでまたヨハネがお金を払わなきゃいけないのよ!」

 

花丸「それは善子ちゃんがじゃんけんが弱いからずら。」

 

善子「ぐぅっ。あと、これも2度目だけど、誰よ!?高いの買ったの!!」

 

店員「お客様、くじを一回引けますが?」

 

善子「……!ふふふ♪

堕天使ヨハネの悪運が今、解放されし時!!堕天使のみなさま、この私に魔界卿の力をっ!!」

 

ルビィ「当たらない予感しかしないよぅ……。」

 

花丸「ルビィちゃん、それは思ってても言わないであげるのが優しさだよ。」

 

善子「ていっ!」

 

お客様「D賞です。」

 

善子「だ、堕天使のD……」

 

 

花丸「D賞って、外れでもないし、当たりでもないし、中途半端ずら。」

 

ルビィ「善子ちゃん……」

 

善子「そんな哀れんだ目で見ないでっ!」

 

 

 

 

 

千歌「ねえ、曜ちゃん。」

 

曜「ん?どうしたの?」

 

千歌「練習、しない?」

 

曜「もちろん!いいよ!」

 

 

私と千歌ちゃんと一年生の3人は、練習の後、近くのコンビニに来ていた。

 

善子ちゃんが買い物を済ませてくれるから、私と千歌ちゃんは外で待っていた。そこで今、千歌ちゃんから練習しようと声をかけられた。

 

 

 

千歌「あいたっ!」ドンッ

 

曜「っ。ごめん!」

 

千歌「いいの。こっちこそ、梨子ちゃんと練習してた時と同じようにステップしちゃって……。」

 

 

 

やっぱり……そうだよね。

 

練習の時もそうだけど、私は自分らしくダンスを踊ってた。でも、それだとダメなんだってことが段々わかってきていた。

 

 

千歌「もう一度やろっ。」

 

曜「う、うん。」

 

 

 

だから変わらなきゃ

 

 

 

曜「千歌ちゃん。」

 

千歌「うん?」

 

曜「もう一度、千歌ちゃんは梨子ちゃんと練習してたときと同じようにやってみてくれる?」

 

千歌「えっ。でも……」

 

曜「いいから!いくよ?」

 

千歌「うん…」

 

 

 

梨子ちゃんと同じようにステップして、梨子ちゃんになりきる。

 

今、大事なのは千歌ちゃんと私が踊るってことじゃない。みんなのために、やらなければいけないことを考えることなんだ。

 

 

 

 

千歌「……」スゥ

曜「……」スッ

 

 

梨子ちゃんみたいに

 

 

 

曜「1・2・3・4・5・6・7・8!」

 

 

梨子ちゃんだったらもっと優しく、繊細に……

 

 

曜「1・2・3・4…」

 

 

ここでもっとゆっくり!

 

 

曜「5・6・7・8!!」

 

千歌「……」ピタッ

曜「……」ピタッ

 

 

 

善子「おぉっ!天界的合致!!」

 

ルビィ「す、すごい…」

 

花丸「ほわぁ……」

 

 

 

 

よかった。うまく梨子ちゃんっぽくできたみたい……

 

 

千歌「曜ちゃん……!」

 

曜「これなら平気でしょ?」

 

千歌「う、うん。さすが曜ちゃん!すごいね。」

 

 

 

 

prrr prrr

 

 

 

突然、千歌ちゃんの携帯が鳴って、千歌ちゃんがカバンによって携帯に出た。

 

 

千歌「あっ!梨子ちゃん!

うん。今は大丈夫だよ。どうしたの?」

 

電話の相手は梨子ちゃんだったみたい。

 

千歌「そっか。そっちはどう?お部屋とか……」

 

 

千歌ちゃんが梨子ちゃんとおしゃべりをし始めると、みんな千歌ちゃんの近くに寄っていった。

 

 

千歌「あっ!ちょっと待って。みんないるから代わるね。……花丸ちゃん?」

 

花丸「あっ!え、えっとぉ

 

……もすもす?」

 

 

梨子『もしもし?花丸ちゃん?』

 

 

花丸「み、未来ずら〜!!」

 

善子「なに驚いてるのよ?さすがにスマホくらい……」

 

梨子『あれ?善子ちゃん?』

 

 

善子「……。ふふっ。ヨハネは堕天で忙しいの。

だから、別のリトルデーモンに代わまります!」

 

 

梨子『もしもし?』

 

ルビィ「ピギッ!!ピギィィィ!」

 

 

千歌「どうしてそんなに緊張してるの〜?梨子ちゃんだよ?」

 

 

みんな梨子ちゃんに話したいことはいっぱいありそうなのに、変な緊張しちゃって……。微笑ましくて、私は呆れつつも笑顔になっていた。

 

私はルビィちゃんが放っておいてしまったビニール袋を手にとった。

 

千歌「じゃあ、曜ちゃん!!」

 

曜「え。」

 

千歌「なにか梨子ちゃんに話しておくことない?」

 

曜「う、うん……」

 

 

少し考えようかと思った時だった

 

 

ピーピーピー

 

 

千歌ちゃんの携帯から電池切れ間近の警告音が鳴った。

 

その後、私は梨子ちゃんに何か話すわけでもなく、千歌ちゃんと梨子ちゃんの会話は終わった。

 

 

ビニール袋から取り出したアイスは、私が手にとった瞬間に2つに分かれてしまった。

 

アイスについていた水滴が流れて、私の手の甲を伝った。この水滴はアイスが流している汗のようだった。

 

……もしかしたら涙かもしれないけど。

 

 

 

 

千歌「じゃあ、曜ちゃん。」

 

曜「えっ…?」

 

 

私は千歌ちゃんに突然声をかけられて驚く。

 

千歌「私たちも、もうちょっとだけ頑張ろっか!」

 

 

千歌ちゃんの目はキラキラしていた。

 

でも、そのキラキラした目の本当の先には私はいなくて、遠くにいる梨子ちゃんのハニカんでいる姿が映っていたような気がした。

 

 

それでも

 

 

曜「うん。」

 

 

私は千歌ちゃんの力になりたいんだ。

 

 

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