〜ラブライブ予備予選当日〜
今日はラブライブ予備予選の日。
正直、緊張で胸がバクバクしてる。
こんな時って、手のひらに人を3回書いて飲みこむと落ち着くんだっけ?
あっ。
おはヨーソロー…………
って、それは恥ずかしいって!
そう思って、後ろにいる曜ちゃんを見る。
あれ?
千歌「曜…ちゃん…?」
曜「……ああ、ごめんね!
少しボーッとしちゃった。」
千歌「……。」
ダイヤ「さあ、会場入りしますわよ。」
みんな「「「「はーい。」」」」
今の反応は、曜ちゃんも緊張してる?
東京に行ったときも、あんまり緊張してなかったのに?
曜「……緊張、してきたね。」
私たちに用意されているお部屋で、曜ちゃんが話しかけてきた。
千歌「曜ちゃんも緊張してるの?」
曜「それはそうだよ。私だって緊張するよ。」
どうしてだろう?
なんか今日の曜ちゃん
曜ちゃんじゃない
千歌「…曜ちゃん?」
曜「どうしたの?」
でも、本番前に変なこと言ったら、曜ちゃんを焦らせちゃうかな……
千歌「…ううんううん。なんでもない。」
そう言って、私は背を向けた。
曜「言いたいことがあるなら、ちゃんと言わないとじゃない?千歌ちゃんの方がよっぽどそういったことが嫌いでしょ?」
曜ちゃんから聞いてくれたなら、話しても大丈夫かな?
大丈夫……だよね?
私は曜ちゃんに向き直って、今自分が率直に思っていることを言った。
千歌「なんか曜ちゃんらしくないなって。なんていうか、梨子ちゃんみたいな雰囲気だから……。」
私の話を聞いて、曜ちゃんが黙りこんでしまった。困らせたかったわけじゃなかったんだけど……
千歌「あ、ごめんね!余計なことを言っちゃった。
えーと、なんだっけ?緊張しないおまじない!」
私は苦し紛れに、梨子ちゃんが言っていたことを思い出して、曜ちゃんに話を聞く。
曜「え?ああ! おはヨーソロー!」ビシッ
千歌「そうそう!それそれ!!
おはヨーソ……ってやっぱり恥ずかしいよ〜!」
曜「あははっ!今恥ずかしい思いをしておけば、ステージでは緊張なんてしないのであります!」
良かった。
ようやくいつもの曜ちゃんになった。
千歌「そうかな?
でも、曜ちゃんが笑顔になってくれたから、緊張もなくなってきたよ。いつもよりも表情が固かったから……ちょっと心配だったんだ。」
曜「そ、そっか……」
千歌「でも、今はいつも通りの曜ちゃん。元気で頼りになる顔をしてる。」
私がそう言うと、曜ちゃんは何かを考えていた。
曜「……。もう。そんな心配してくれなくても大丈夫だよ?嬉しいけど、千歌ちゃんも準備とかしないとでしょ?」
千歌「え……。」
なんで
なんで今日は
梨子ちゃんみたいなの……?
ダイヤ「お二人とも準備はよろしくて?もう直ぐ私たちのステージですわよ。」
千歌「うわわぁっ!ちょ、ちょっと待って!すぐに準備しますからぁ!」
ダイヤさんに呼ばれた私は梨子ちゃんからもらったシュシュを腕につけて、舞台袖へ走っていった。
今日の曜ちゃんなんか変だよ……
まさか、無理に梨子ちゃんになろうとしてる……?
そして私たちの番になり、ステージに上がると私は真ん中でしゃがんでいた。
音楽がかかり、歌い始める。私の声が、会場全体に広がっていく気がした。
ピアノの旋律が聞こえる。と、同時にメンバーみんなでピアノを弾くポーズをとる。
ギターの音が鳴ると曜ちゃんが私の背中に手を乗せてジャンプした。なんでだろ……いつもの曜ちゃんよりは抑えめな気がする。
ここでいきなり私と曜ちゃんのパート。
本当にどうしたの?
曜ちゃん、なんかいつもと違うよ……
その後、他のみんなのパートが歌い終わり、また私と曜ちゃんのパートへと移る。
私と曜ちゃんが近づきながら、背中合わせになって歌う。
曜・千歌「なにかを つかむことで
なにかを あきらめない!」
上手くいった……けど……
その後、みんなも同じメロディで続く。
こんなの曜ちゃんらしくない!!
いつもの曜ちゃんのテンポに私が合わせるんだ。そのための自主練だって、頑張ってきたじゃん!
練習の成果か、私はサビに入っても体力が切れることなく、スピーディーにダンスを踊る。
曜ちゃんが私を驚いた顔をして見ていたのが一瞬見えた。
サビになって、曜ちゃんはいつもと同じようなキレがあって、大胆に動くステップで踊り、私たちのステージは終わった。
舞台袖にはけた私たちは、やりきったって顔をしていた。
ダイヤ「す、すごいですわ!」
ルビィ「今までの中で一番良かったよね!?」
鞠莉「私たち最っ高にShinyだったわ!」
千歌「やったね!…っとっと!」ガクッ
花丸「ち、千歌ちゃん!?大丈夫ずら!?」
ガッツポーズをした途端、目の前がフラッとした。
果南「やっぱり……。かなり千歌にしては最後まで飛ばして踊ってると思ったよ。」
果南ちゃんにはバレバレかぁ……
私と果南ちゃんのやりとりを聞いて、驚いていたのは曜ちゃんだった。
曜「まさか今日は無理してたの!?」
千歌「いやぁ。なんかやらなきゃ!って思ったら、勢いがついちゃって。
最後まで速いテンポのままでも踊れそうだったから踊りきっちゃった!」
鞠莉「Oh!ちかっちもメラメラ燃えていたものね♪」
千歌「そう!まさに、千歌のバカ力!」
善子「はあ??」
千歌「今のはね?千歌と力をね?」
花丸「親父ギャグずら…」
一年生って、結構塩対応だよね……
ダイヤ「もしかして、火事場の馬鹿力とかけていますの?」
善子「その言葉、多分千歌さんは知らないと思う。」
うん。わかんないです。
……それよりも
千歌「曜ちゃん。」
曜「ち、千歌ちゃん…?」
千歌「楽しかった?」ニコ
曜「!!」ドキッ
私の質問にドキッとした顔をした曜ちゃんは、はっきりと答えてくれなかった。すると、曜ちゃんの背後から鞠莉ちゃんが現れた。
鞠莉「と〜〜〜っても楽しかったっ♪って曜は思ってるヨー、ソロー!!」
曜「ま、ま、鞠莉ちゃん!?」
果南「だってさ、千歌。良かったね♪」
千歌「うん!それなら良かった♪」
曜「なんか勝手に私が言ったみたいになってる!?」
果南「じゃあ、楽しくなかった?」
ふふふ♪2人のノリにのっちゃおっ♪
千歌「ええっ!?そ、そんなぁ。」
すると
曜「うっ……!はい!とても楽しかったし、とても感動しました!!」
顔を真っ赤にしながら、曜ちゃんはそう言ってくれた。
ルビィ「えへへ。良かったね!」
ダイヤ「さあさあ、あまり舞台袖ではしゃいでいると、他のスタッフにも迷惑がかかりますわよ?ここはもう帰りましょう。」
善子「灼熱の砂漠から抜け出した天使たちを癒すための聖都へ…!」
花丸「沼津ずら。」
とりあえず、今日は乗りきれたかな?
梨子ちゃん。やり遂げたよ。
後ろで曜ちゃんと果南ちゃんが何か話しているところを見た。
なんの話だろう?
でも
みんなを優しく見つめていた曜ちゃんの顔は幸せそうで、曜ちゃんのそんな笑顔を見れて、私は嬉しかった。