天使と悪魔の友達   作:ほにゃー

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第1話

世間一般的に天使と聞いて、殆どの人は背中に白い翼が生えていて、頭に光る輪っかが浮いた女性を思い浮べるだろう。

 

世間一般的に悪魔と聞いて、殆どの人は背中に蝙蝠の様な翼が生えていて、頭に角が生えた恐ろしい顔の種族を思い浮べるだろう。

 

天使は神の使いで、善なる存在で、悪魔とは悪の象徴である。

 

俺の貧相なおつむではゲームや漫画で得た知識だとその程度の認識しかなかった。

 

だが、俺は自分のその考えが間違っていたことを思い知った。

 

天使とは意外と悪魔的な考えを持っていて、悪魔は意外と真面目だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ヤベェ。もうこんな時間だ」

 

薄暗い部屋でパソコンを弄ってた手を止め、そう呟く。

 

「おい、ガヴ。もう七時だぞ。そろそろ学校に行く準備しないと」

 

俺は背後で人のベッドに横になり、同じネトゲをしてる少女、天真=ガヴリール=ホワイトに声を掛ける。

 

「学校~?いいよ、今日は休みだから」

 

「勝手に学校を休みにするな。とにかく、俺はもう落ちるからな」

 

そう言って、やっていたネトゲをログアウトし、パソコンの電源を落とす。

 

「てか、毎日毎日学校から帰ってくるたびに、俺の部屋に来てネトゲするの止めろよな」

 

「いいじゃん。直接会ってプレイする方が、連携取りやすいし、ここなら晩飯タダで食えるし」

 

「人の家で実家並にくつろいでるんじゃねぇよ」

 

そう言い、俺は鞄に教科書を詰めて、制服に手を伸ばす。

 

「着替えるから早く自分の部屋に帰れよ。そして、学校に行く準備しろ」

 

「ちぇ~、分かったよ」

 

そう言い、ガヴはしぶしぶとパソコンを手に取り、部屋を出て行く。

 

「…………アイツ、ちゃんと学校に行くのかな?」

 

制服に着替えつつ、そんな事を考える。

 

仕方ないし、家出る前にガヴの部屋に寄るか。

 

制服を着替え終え、簡単な朝食を作りて食べ終えると、家を出る。

 

俺が住んでるのはごく普通のアパートで、ガヴは俺の隣の部屋に住んでる。

 

「あれ?ヴィーネ?」

 

「あ、蒼空(ソラ)。おはよう」

 

「ああ、おはよう」

 

家を出ると、ガヴの家の前に俺とガヴの友人である少女、月乃瀬=ヴィネット=エイプリル、通称ヴィーネが居た。

 

「ガヴを連れに来たのか?」

 

「そんな所。だけど、さっきから全然反応なくて」

 

「アイツ……やっぱり学校に行く気ないな」

 

「仕方ないわね」

 

ヴィーネはそう言い、ガヴには内緒で作った合鍵を使い、扉を開ける。

 

玄関には山積みにされた雑誌が置かれ、廊下はゴミ袋で溢れていた。

 

そんな中を歩き、俺とヴィーネはリビングの扉を開ける。

 

そこでは、ガヴが床に横になりながらネトゲをやっていた。

 

やっぱり学校に行く気なかったか………

 

そんなガヴに呆れながら、ヴィーネは三叉槍を取り出し、LANケーブルをぶった切る。

 

「おおおおおおお!?なっ………な!」

 

「まったく、朝っぱらから何やってるのよ、ガヴ。だらしないわね、天使がそんなんじゃダメなんじゃない?」

 

「ちょ、ちょ、ちょっとヴィーネ、なんてことしてんの!?今、ヴァルハラ王国が危機的状況なんだよ!?」

 

ガヴはそう叫んで、ヴィーネに詰め寄る。

 

「は?ヴァルハラ?なんのこと?」

 

「ネトゲだよ。ヴァルハラって国を舞台にしたRPG」

 

「ソラの言う通り!今、ヴァルハラの民がモンスターに襲われて大変な事になってるんだから!天使ともあろう私が、民を見捨てることになるなんて……罰当たりもいいところだよ!」

 

「それ以前に、天使とあろう者が朝からネトゲやってるんじゃないわよ」

 

違うんだよ、ヴィーネ。

 

本当は昨日の夜からずっとだ。

 

「それより、学校に行く支度しなさいよ。今日も休むのはまずいんじゃない?」

 

「いいよ、学校とか今日休みだから」

 

ガヴはそう言って、新しいLANケーブルを繫ぎ、ネトゲを再開する。

 

「まったく、あんた最初に会った時」

 

『全ての方を幸せにするのが私の夢なんです!』

 

「って言ってたじゃない」

 

「はぁ?そんなこと知らないよ。人類とか勝手に滅んでくださいって感じ?」

 

(こいつ本当に同一人物か?)

 

(こんなのでも天使なんだな……)

 

そうガヴは天使なのだ。

 

別に、○○ちゃんマジ天使とかの意味ではなく、正真正銘の本当の天使だ。

 

最初であった時は、品行方正で金髪碧眼のサラサラのロングヘアーが似合う美少女だったのだが、今ではネトゲに嵌り、自堕落とした生活を送ってるダメな奴だ。

 

そして、俺の隣にいるヴィーネも人間ではない。

 

ヴィーネは悪魔だ。

 

だが、真面目で困っている人を見ると助けてしまうなど一般的イメージの悪魔からはほど遠い性格をしており、とてもいい奴だ。

 

本人は悪魔らしくないことを気にしているが………

 

お前ら二人とも、中身入れ替えるか、立場変わればいいんじゃね?

 

「私は下界に来て決めたことがあるの」

 

「何を?」

 

「私は天界には帰らない。下界でずっとこの生活を続けて行く」

 

「「はっ!?」」

 

「人間たちの娯楽に触れて気付いたんだ。展開に居た頃の優等生な私は偽りだった……本当の私は怠惰でぐーたらな救いようのない駄目天使、そう、駄天使だってことにね!」

 

言い切りやがった!

 

「そんなわけで、人間が幸せになろうが不幸になろうがご自由に。私は学校には行かないから」

 

「ここまでハッキリ言われると、清々しいわ」

 

「下界にもこういう人間居るから、あながち笑えないな。てか、ヴィーネ、そろそろ行かないと遅刻するぞ」

 

「そうね。じゃあ、私とソラは先に行くけど、ガヴも来なさいよ」

 

「気が向いたらねー」

 

そう言うガヴに背を向け、扉を開けようとすると、ヴィーネがガヴの方を振り返る。

 

「あー、そうそう。学校に来る来ないはガヴが決めることなんだけどさ、だらけ過ぎて天界に強制送還される………なんてことにならないようにね」

 

ヴィーネはそう言い残し、部屋を出て行く。

 

「じゃ、待ってるから来いよな」

 

俺もそう言い残し、ヴィーネの後を追う。

 

「アイツ来るかな?」

 

「どうかしらね。一応忠告はしといたけど、結局はガヴが決めることだし」

 

本当に悪魔らしくないよな………

 

「ところで、ヴィーネ。昨日の宿題で一つ分からない所があったんだけどさ」

 

「ん?何処?」

 

「ここなんだけどさ………」

 

ヴィーネに宿題の事を教えてもらったり、世間話をしているうちに学校に着いた。

 

教室に行くと、何故か誰かの机の周りに男子たちが集まって手を合わせていた。

 

どうしたんだ?

 

「あそこって、ガヴの席じゃない?」

 

「そう言えば……どうしたんだ?」

 

場所がガヴの席だったこともあり、気になり近づく。

 

机の上には女性物の下着が置いてあった。

 

あれってもしかしてガヴのパ「ちょっ!?ソラは見ちゃダメ!」

 

ヴィーネに思いっきり、顔を掴まれ後ろを向かされる。

 

「ぐおっ!?……く、首が!」

 

首を抑え、蹲ってる間にヴィーネはガヴの下着を回収していた。

 

その後、首の事はしっかり謝ってくれた。

 

やっぱ悪魔らしくないな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、なにやってるのガヴ?」

 

「なんで学校にお前じゃなくて、下着が来てたんだ?」

 

放課後、ガヴの家に行くと、ガヴはベッドの上で、布団に包まっていた。

 

「まさか、下着だけ学校に来て、出席になると思ってたわけ?」

 

「思ってないわ!」

 

布団から顔を出し、ガヴが叫ぶ。

 

「だって行けるわけないじゃん!私のパンツが高校デビューしたんだよ!?ありえない!」

 

「まぁ可哀想だと思うけど……(自業自得だけど)」

 

「こうなったら……」

 

ベッドの上に立つと、ガヴはある物を取り出す。

 

「見た奴等を全員消すしかない!!」

 

それは角笛だった。

 

「ちょ、それ世界の終わりを告げるラッパでしょ!?」

 

「お前、パンツ見られたぐらいで世界を滅ぼすつもりか!?」

 

「それも止む無し!」

 

「止む無しじゃねぇーよ!」

 

「とりあえず、落ち着けー!!」

 

結局、ヴィーネと俺で必死に説得し、世界が滅亡することはなかった。

 

こうして今日も、俺、天使(アマツカ)蒼空(ソラ)の一日は過ぎて行った。

 

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