天使と悪魔の友達   作:ほにゃー

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第2話

「ガヴ、そろそろ俺は落ちるぞ」

 

ログアウトの準備をしつつ、俺は背後のガヴにそう言う。

 

「え?まだ八時じゃん?」

 

「今日買い物に出かける予定があるんだよ。どっかの誰かさんが、容赦なくウチに飯を食いに来るから、俺の計算より食料の減りが早いの」

 

「うっ…………」

 

ガヴに嫌み気味に、言いつつ、ネトゲをログアウトし、ノーパソの電源を切る。

 

「だから、お前はもう帰れ。俺はシャワー浴びたら家出るから、それまでに出てけよ」

 

「分かったよ……ま、私もヴィーネと出掛ける用事あるし、少し仮眠取ってから行くかな」

 

「出掛けるって何時からだよ?」

 

「えっと………十時に待ち合わせ」

 

「今、仮眠したら絶対起きれなくなるぞ」

 

「大丈夫だってまだ二時間あるし。それに、いざとなったら寝ないでいくからさ」

 

「たっく………遅刻するんじゃないぞ」

 

そう言い残し、俺はシャワーを浴びに、風呂場へ向かう。

 

風呂から出ると、既にガヴは居なかった。

 

服を着替え、簡単な朝飯を食べ終えて、俺は家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出ると、俺はまず駅前の本屋に向かった。

 

「えっと………確か新刊が今日出てるはずなんだけど………おっ、あった!」

 

お目当てのライトノベルの新刊を見つけ、棚に近寄る。

 

「最後の一冊か、ラッキーだな」

 

それに手を伸ばそうとしたら、別の人と手がぶつかった。

 

思わず、顔を見上げる。

 

「あ、蒼空」

 

「あ、サターニャ」

 

そこにいたのは、同じクラスで友人の胡桃沢=サタニキア=マクドウェル。通称、サターニャだった。

 

サターニャはヴィーネと同じ悪魔で、根拠ゼロの自信家だ。

 

悪魔的行為とか言って、様々な悪いことをしているが、俺から言わせてもらうと、しょぼい。

 

誰が見てもしょぼい悪さしかしていない。

 

例を上げると、ペットボトルのキャップを外さずに、ごみ箱に捨てたり、宿題をやってこなかったりだ。

 

「この本、蒼空も買うの?」

 

「ああ、そうだけど」

 

どうやらサターニャもこのラノベがお目当てらしいが、残りは一冊。

 

どちらかが諦めなければならない。

 

「ふ、ふん!べ、別に私はこんな本読まないし!ただちょっと、暇つぶしで読もうかと思っただけ出し………別に本ならなんでもいいし!」

 

そんなに読みたいなら、我慢しなくていいのに。

 

「あ、この本、俺が探してたのと違うな。どうやら、新刊が出る日、間違えてたみたいだわ」

 

そう言い、ラノベをサターニャに差し出す

 

「ほい。サターニャ読んでみたら?これ、結構面白いって有名だぞ?」

 

「そ、そう!そ、そこまで言うなら仕方ないわね!読んであげるわよ!」

 

嬉しそうに本を受け取り、サターニャはうきうきとしながら、レジへと向かっていた。

 

「………本当に悪魔らしくない連中だな」

 

そう呟き、俺は別に欲しかった本を数冊手に取り、レジで会計をした。

 

本屋を後にした後、ゲームショップで新作ゲームのチェックをし、欲しい新作のゲームの予約をしてから、スーパーに向かった。

 

「さて、今日の晩飯は何にしようかな………」

 

買い物カゴを手に、スーパーの中を歩いていると、俺はふとある事を思い出した。

 

「そう言えば、ガヴの奴、カレーが食いたいとか言ってたっけ…………カレーにするか」

 

今日の献立を決め、カレーの材料以外に、必要な物をカゴに入れて行く。

 

「これで買い物は終了っと。早く家に帰って、昼飯にするかな」

 

家に帰ろうと足を進めていると、ヴィーネを見つけた。

 

ヴィーネは一人、そわそわと時間を気にしながら、ぽつんと立っていた。

 

「ヴィーネ、なにしてんだ?」

 

「あ、蒼空」

 

「今日、ガヴと買い物に行くんじゃなかったのか?」

 

「そのガヴが来ないのよ。もう二時間も待ってるのに……」

 

「いや、そこまで待ったら電話しろよ……ってか、もっと早くに連絡しろよ」

 

ヴィーネって真面目過ぎて、本当に悪魔らしくない………

 

「多分、アイツ仮眠取るって言ってそのまま寝てるだろうし、家まで迎えに行ったらいいんじゃないか?」

 

「………ああ、そっか」

 

気付かなかったのかよ…………

 

結局、ヴィーネと一緒に家に向かい、ヴィーネはガヴの家に向かい、俺は買った物を家に置きに行った。

 

「……俺も様子見に行くか」

 

二人の様子が気になり、荷物を置くと、すぐに隣に向かった。

 

部屋の中では、ガヴとヴィーネの二人が掃除をしていた。

 

「ガヴ、何があったんだ?」

 

「いや、ヴィーネを怒らせないように、適当に嘘ついたら何故か部屋の掃除をする羽目に……」

 

「どうせ、部屋掃除していて時間忘れてたとか適当なこと言ったんだろ?」

 

「そうだよ。流石は私の(ネトゲでの)相棒」

 

「はぁ~……仕方ないし、俺も手伝う」

 

「悪いね」

 

「悪いと思うなら、日頃から掃除しろ」

 

ガヴが物を片付け、ヴィーネは掃除機をかけ、俺は雑巾で床を拭いていると、ヴィーネがふと口を開く。

 

「しかし、ホント汚い部屋ね。天使ってみんなこんな感じなのかしら?」

 

「失礼な。私だけだっての」

 

「それもどうなのよ………」

 

「しっかし、本当にお前は天使らしくないな。実は、お前天使じゃないんじゃねぇの?」

 

「うむ……その可能性はあるな」

 

冗談のつもりで行ったのに、ガヴはその冗談を可能性があると言った。

 

「お前……本当に天使かよ?」

 

「天使だよ。その証拠に……綺麗な天使の輪っかがあるでしょ?」

 

そう言う、ガヴの頭の上には黒くなっている天使の輪っかがあった。

 

「「真っ黒なんだけど!?」」

 

「あれ!?」

 

「ちょ!?それ大丈夫なの?」

 

「う~ん……どうやら私には堕天の才能があったみたいだ……」

 

それってあったらいけない才能だと思うんだが………

 

「堕天ってちょっとカッコいいし、一度やってみようかな」

 

「アンタ、それ簡単に言ってるけど、それって悪魔になりますって宣言だから」

 

「まぁ、私が天使らしくないのは今更だけどさ………ヴィーネは自分が悪魔らしくないって自覚ないでしょ?」

 

「あー………」

 

思わず納得してしまった。

 

すると、ヴィーネは掃除機を離し、ガヴに詰め寄った。

 

「ど、どのへんが!?」

 

「やっぱ自覚なかったんだな………ほら、世話好きだったり、困ってる人を放って置けなかったり………」

 

「ああ、そうだな。ガヴの世話してるし、学校でも真面目だし、ヴィーネも悪魔らしくないな…………」

 

「ど、どうすればいいと思う!?」

 

悪魔らしくないことに焦り出す、ヴィーネはガヴにそう尋ねる。

 

「それを天使に聞く?ん~、そうだなぁ…………誰か()っちゃえば?」

 

「悪魔かっ!ちょっとは真面目に考えなさいよ!」

 

悪魔かって、悪魔だろ。

 

「だって、悪魔の事なんてわかんないし」

 

「まぁ、それもそうよね………どうすれば………」

 

真剣に悪魔らしくなるのを考えるって凄い光景だな。

 

あ、この本、雑巾掛けするのに邪魔だな。

 

本を退かそうと持ち上げると、その陰からカサカサっと黒い物体が飛び出す。

 

それはGだった。

 

「きゃあああああああああ!!?」

 

Gを見た瞬間、ヴィーネは悲鳴を上げ、下がる。

 

「なに!?どうした!」

 

「ゴッ……ゴゴ……ゴキ……ゴキッ!」

 

「ゴキ?なにそれって………うおっ!なんだこの黒いの!」

 

ガヴはGを見るのが始めてたのか、慌てて飛び退く。

 

「アンタこいつの事知らないの!?これは全ての人々を不幸にするモノ……下界が生んだ過ち(ブラック・ウェポン)!……一たびその姿を目にすると恐怖で夜も眠れない………人間はこいつの存在に日々おののきながら生活してるのよ!」

 

いや、そこまでの脅威じゃ…………確かに、居たら嫌だけど。

 

「ウェポンだが、何だが知らないけど……私の部屋で好き勝手するのは許さん!」

 

ガヴは教科書を丸め、Gを叩き潰そうとする。

 

が、危険を察知され、Gは逃げ出す。

 

そして、ヴィーネの方に向かった。

 

「ヴィーネ、そっちに向かったぞ!」

 

「いやああああ!こっち来ないで!」

 

逃げようとするヴィーネだが、部屋の隅に移動してしまい、逃げ場が無くなる。

 

それでも尚、Gはヴィーネに近づく。

 

「あ……あ……~~~~~こっちに……来ないでええええ!!」

 

ヴィーネは三叉槍を取り出し、Gに向ける。

 

「ちょ!?そんなもの振り回したら……!」

 

ガヴが止める間もなく、ヴィーネは槍を振り下ろし、Gは吹き飛んだ。

 

部屋の中も…………

 

余計に散らかった部屋を見つめ、ガヴはヴィーネに言う。

 

「随分と愉快な空間にしてくれたな。今日は部屋の掃除をしてたと思うんだけど……」

 

「…………あ、悪魔らしく人に迷惑かけて見ました!」

 

「それで許されると思うなよ」

 

結局、ガヴの部屋は天使的な不思議な力で元通りに直った。

 

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