ひだまりスケッチ&無敵鋼人ダイターン3withクレヨンしんちゃん(凍結) 作:越後屋大輔
バレンタインデーを控えた、2月1日。やまぶき高校の理事長にして普通科2年生の破嵐万丈は学食である人を探していた。
「ゆの君はどうしたんだ?」昼休み、この日はひだまりズは3人しかいない、待ち人は現れなかった。
「ゆのっちなら風邪でダウンしてるよー」宮子が答える。どことなく寂しそうな万丈の姿にニヤける3人。
「やっぱ理事長って」
「そうね、ゆのさんの事が…」
「隠すの下手だねぇ」そこに吉野屋先生が割り込んできた。
「愛、なんて甘美な響き。愛、それは世界で最高の言葉。そうです、愛さえあれば年の差なんて…」
「先生、理事長17才ですよ」
「私達と同い年です」
「いうほど年の差ないよ」コテッ、ズッコケる吉野屋。
その頃双葉幼稚園では吉永と松坂がバレンタインの話で盛り上がっていた。
「吉永先生、本命は石坂さんにあげるんでしょ?」
「そう言う松坂先生こそ今年は行田さんとム・フ・フ❤でしょー?」
「イャだぁーん!ム・フ・フ❤だなんて吉永先生だってスウィートゥイー❤な日を過ごすお・つ・も・りでしょ?」
「ンモゥーッ、松坂先生ったら❤」
「お2人共いいですね、私なんてそんなお相手いるハズもなくたった1人…ウッウッ(泣)」悲しみの上尾先生。
「2人共、気持ち悪いゾ」いつの間にか職員室に入ってきていたしんのすけが顔を青くしていた。
「しんちゃん、職員室に入ってきちゃダメじゃない!教室に戻りなさい」
「子供が大人の話を盗み聞きするんじゃないの!」しんのすけを職員室から追いやる2人、上尾先生は心の中で
(しんちゃん、グッジョブ‼)と親指を立てる。
「皆さん、仕事して下さい」副園長先生に突っ込まれる3人。
「ねえ副園長先生は園長先生にチョコあげるの?」ネネちゃんに聞かれる。
「内緒です、だいいちこんなオバさんから貰っても嬉しくないんじゃないかしら?」ませた園児の質問にもきちんと答える副園長先生、この様子を見たしんのすけは吉永先生に
「これこそ大人ですなぁ、みどりも身罷りたまえ」
「先生を呼び捨てにしないの!それに見習うでしょ、身罷るって死ぬ事だからね!」
「しんちゃん、私は吉永先生があなた達くらいの時から大人なのよ」怒る素振りも見せず優しく諌める副園長先生だった。
学校から帰った万丈は唯一この手の相談ができるギャリソンに質問する、いくら大財閥の代表で文武両道な彼でも恋に関しては普通の17才男子、こればかりはどうしていいか分からないのであった。
「なあギャリソン、君なら知っていると思うんだが」いつになく言い淀む万丈に対してしっかり受け答えするギャリソン。
「万丈様、バレンタインデーのプレゼントでございますかな?日本では男性から贈るのはあまり一般的ではありませんが」
「ああ、解ってる。だがただ待つだけというのもしんどいからね、いいアドバイスはないかい?」
「そう言う事でしたら心当たりがない訳でもありません、先方には私から連絡しておきましょう」
バレンタインデー当日、事前に連絡をしてから野原家を訪れた万丈はゆのにあるモノを手渡す。
「ガトーショコラさ。これをみんなで食べてほしい、お菓子作りなんて人生初だから味は保証できないが」
「理事長がケーキを?どうしたんですか?」万丈のまさかの発言にびっくりしたゆの、驚き過ぎて口が四角くなる。
「今の僕の気持ちだ。ゆの君、もしよかったら僕と…」
「クンクン、よき香りがしますぞ」
「万丈おにいさーん、それってケーキですかなぁ?」
「でもバレンタインには普通女性から渡しますよね」ヒロが珍しく突っ込むが
「それって日本独自の習慣でしょ?欧米では男性から贈るのが常識よ、海外のVIPとも親交がある理事長ならではね」沙英がフォローする。
「そ、そんなトコかな。アハハ(結局ゆの君に告白できなかったな、まあこれはこれでいいか)」ギャリソンの紹介であるパティシエに教わり初めてケーキを作った万丈だったが本来の目的は遂げられずじまいに終わった、しかしあまり後悔はしていない。
「全てはメガノイドを倒してからだ、その時改めて機会を窺えばいいさ」この日から8年を経て万丈の想いは実を結ぶのだがそれは別の作品で。
万丈がケーキ作りに挑戦的する様子は次話で。