ひだまりスケッチ&無敵鋼人ダイターン3withクレヨンしんちゃん(凍結)   作:越後屋大輔

67 / 72
ナゼか一気に書き上げてしまった話、本日2回目の投稿です。
タグに『鬼灯の冷徹』入れてあるので出してみました。こちらの地獄にヒロはいません、念のため。


帰って来たイナバだゾ

 ここは地獄、楽しい地獄と歌にはあるが現世で死んだ亡者には当然楽しいハズなどある訳なく今日も今日とて生前の悪行の罰を受けている。

 地獄の管理を務めている閻魔大王の第一補佐官の鬼灯はある日獄卒の1人から衝撃の報告を聞かされた。

 

 「鬼灯様!等活地獄の亡者が脱獄して勝手に現世へ戻り再び悪事に手を染めようとしています!」よほど急いできたらしく息を荒くする獄卒に対して鬼灯は冷静に

 「落ち着いて下さい。亡者が脱獄したのは確かに問題ですが悪事など働けません、現世では肉体がないのですから。大体ナゼそんな事が分かるんですか?逃げる際にわざわざ宣言していった訳でもないでしょう?」

 「そ、それが奴は去り際に高笑いしながら肉体に予備があるとか言って…」

 「では連れ戻しに行きますか、その亡者の名前は?」

 「因幡礼子、享年16才。但し」

 「但し?」

 「人間としての生を一度終えてメガノイドとやらになってから数年間、魂は現世に留まっていた模様です」

 

 文字通りの意味で地獄から逃げ出した因幡は恨みのある宮子の体を乗っ取ろうとしたが彼女の大食漢ぶりを見て吐きそうになり断念した、同じ理由で幸太もその毒牙から逃れた。メガノイドになった頃から幽霊である現在まで胃腸がないから吐く事はないのだが。

 次に夏目に目をつけた因幡は、取り憑いてから少しずつ体を乗っ取ろうと企んだ。

 「何でだろ?ここ最近気分が悪い」微熱が続き常に頭痛がする、体を動かす度に骨が悲鳴をあげている気さえする。

 「いいぞ、いいぞ、間もなくこいつの体は完全に私のモノだ。まずはこの体で破嵐万丈を始末してその首をコロス様への土産に差し出しコマンダーに改造して頂こう」夏目の体を操って破嵐邸へと歩かせる因幡に予想外の出来事が待っていた。

 

 「ヨッ、豆狸軍曹」破嵐邸にはしんのすけがいた。

 「何の話よ?今、疲れてんの、君の相手してる余裕はないから」

 「えー?じゃ、サキュバスの巨乳っ娘とか天才腐女子のがいい?」

 「だから意味が分かんないわよ」か細い声しかでない夏目の背で因幡の霊は

 (こやつ、破嵐万丈の関係者か?まさか私の計画に気づいてワザと足止めを?クソッ、一刻も早く彼奴を亡き者にせねばならんのに!)苛立つ因幡はしんのすけの首に手を掛けようとしたが夏目の体が倒れてしまった。

 (バカな!一体何が起きたのだ?ナゼこいつの体が動かぬ?)

 「ナゼもへったくれもないでしょう、貴女悪霊なんですよ。取り憑いた人間の具合が悪くなるのは当たり前です」

 (お、お前は地獄の…)

 「帰りますよ、貴女には脱獄の罪が加算されて阿鼻地獄が待ってます。こちらは堕ちるまで2000年かかりますから流石に現世まで逃げる気も失せるでしょう」

 「ネェ、黒ずくめのお兄さん、さっきから誰と喋ってるの?」しんのすけに突っ込まれた鬼灯は現世(こっち)用の偽名と肩書きを名乗る。

 「これは失礼を。私は霊媒師の加々知(かがち)と申します。今、彼女に憑いていた悪霊を追い祓ったところです。君はこの邸の人とはお知り合いですか?」

 「ウン仲良しだゾ、オラ幸ちゃんと遊びに来たんだゾ」

 「では、どなたかを呼んできて下さいますか?女性を道端にこのまま寝かせておく訳にもいきませんからね」

 

 破嵐邸内では幸太が超人的な聴力で鬼灯としんのすけの会話を聞いていて万丈とギャリソンに内容を伝える、一緒にいたチェブラーシカも何かを感じとったようだ。

 「どうもあの霊媒師ってのは胡散臭いね」

 「でもオバケがいたのはホントだよ、それをあの黒い人が捕まえた。僕見えるよ」

 「チェブ様は霊的な力をお持ちのようですからな」

 「お前、変な特技持ってんな」チェブラーシカにそう言う幸太だが

 「君の聴覚も充分異常だがね」万丈に突っ込まれる。

 

 夏目は病院の一室で目を覚ました。

 「アレ?私何で?確か足がひとりでに理事長のお邸に向かって、そこでしんのすけ君に会ってそれからえっと」

 「柚、起きたの?余計な事は考えなくていいのよ」母がベッドに付き添っていた。

 「夏目、具合はどう?」沙英がお見舞にやってきた。

 「さ、沙英?」真っ赤な顔になる

 「オラもおミマワリに来たゾ」しんのすけもいた。

 「見回ってどうすんの?警備員か君は?」

 「そんじゃあっちの病棟見回れ、おっさんしかいないから」幸太も来ていた。

 「えー?オラ、ナースのおねいさんをおミマワリしたいゾ」

 ゲ・ン・コ・ツ!

 「帰るぞ!」

 「気持ち悪い~、口から内蔵が飛び出そうだゾ~」

 「出るか‼あっこれお見舞のチョココロネと干し芋です」

 「だからその意味は?」しんのすけを仰向けにして肩に担いで病室をでる幸太。この後夏目は沙英と少しだけ話をしたが母の手前もあっていつもより素直になっていた。

 (お~の~れ~!今度こそ破嵐万丈を地獄へ叩き落としてやる!)そういう因幡に鬼灯が

 ゲ・ン・コ・ツ!

 「ふざけないで下さい、生者は地獄へ行けません。それに死後地獄に落とすかどうかは我々が決めます。貴女にそんな権限がある訳ないでしょう?」無念を晴らすのも叶わず再び地獄に舞い戻る因幡礼子であった、彼女こそかつてひだまり荘を破壊したコマンダー・イナバその人である。

 

 

 




コマンダー・イナバ久し振りに出てきました、懐かしいです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。