今回は神楽真様と共同で書きました。
それでは本編をどーぞ
第4使徒殲滅後、初号機を格納庫へ戻しシンジが降機した。そこへ、リツコが血相を変えてシンジの方へ向かってくる。
「シンジ君!あなた、どうしてATフィールドを使えるの?!」
彼女は、エヴァ初搭乗のはずのシンジが、NERVにとって重要機密のエヴァの操縦方法や、成功例の少ないATフィールドさえも使うことに疑問を持った。
あの時は、ミサトの「応戦して」と言う曖昧な指示で操作方法は説明していない。もちろん、搭乗前にレクチャーしたがそれは、軽く動かせる程度の説明だった。
エヴァは、イメージした通りに動いてくれるため手元にあるレバーで複雑な操作をする必要がなく、難しいものではない。
しかし、エヴァは極端に搭乗者を選ぶため誰にでも扱えるものでない。
それを今日初めてエヴァを見た少年が見事に乗りこなし、使徒を倒したのだ。
厳密に言えば、シンジがエヴァを見るのは初めてでは無いが、とても覚えているような年齢ではなかったので、除外されていた。
さらにはいまだ成功例の少ないATフィールドまで展開し使徒のATフィールドを中和するなど、できるはずがない。
しかし、リツコの目の前にいる少年はそれを全てやってのけたのだ。
「シンジ君!答えて!」
科学者として、疑問に思ったことに真っ直ぐなのはいいことだ。
しかし、先にも言ったがエヴァは搭乗者のイメージした動きを反映するので、操縦している間は脳を長時間酷使する。
長年訓練を積んでいるのならば、耐えられるが素人であればすぐに気を失い半日は目が覚めないだろう。
シンジは仮にも前の世界で1年間、訓練と使徒戦で鍛えられた頭があるのである程度は耐えれる。
「リ、リツコさん落ち着いて下さい。」
しかし、好奇心の塊となった科学者の質問攻めを受け流せるほどの余裕はない。
シンジは適当に誤魔化し、格納庫をあとにする。
その後、ミサトに出会い労いの言葉と感謝と謝罪の言葉を頂いた。
ミサトは......いや、ミサトだけでなくNERV職員全員が初の使徒戦だ。
もちろん、いずれ来るとわかっていた敵に対して何の用意や対策をせずに呆けていた訳でない。
だが、誰でも初めてと言うのは戸惑うものだ。
しかし、ミサトの「応戦して」と言うのはあまりにも酷く、あのような曖昧な指示では素人で敵を倒せるものは少ない。
優れた兵士でも、上官からの指示なしでは動くことができない。
「応戦して」と言う僅かな情報しかない指示では、敵を倒すのか、捕獲するのか理解するのが困難である。
もちろん、あの状況では敵を倒す以外に選択肢は無いが、シンジが「応戦」を本来の意味で受け取ってしまえば、次に「倒せ」と言う指示に誤解が生じ戦闘に影響が出る。
ミサトは戦いが終わった後ではあるがそれに気づいたのでシンジに謝罪をしたのだ。
これは、誰にでも出来ることではない。
大体の上官は、自らの面子を保つためその様なことをすることは少ない。
だが、ミサトは自分の面子よりシンジが持つミサトへの不審を拭うため、自分の半分も生きていない子供に頭を下げたのだ。
(ミサトさん、自分の間違えに気づいてたんだ。よかった。)
「ミサトさん、顔を上げて下さい。もう、気にしてませんから。」
「でも......私は何も知らないあなたに全てを投げ付けたのよ!?」
ミサトは自分の行いに激しく後悔している。
シンジは、悪い方向に進まなかったから特に気にしている事ではない。
先のミサトの謝罪も不審を拭う為の物だったが、意味はあまり無かった。
「せめて、何かしらあなたに形のある謝罪をしたいのよ。」
「......じゃあ、僕の保護者役になってください。」
「......へ?」
ミサトは腑抜けた顔をして、シンジを見た。
それはそうだ。形のある謝罪をしたいと言ったが、いきなり保護者役を提案されたのだ。
シンジはなぜ父親という存在が居ながらもミサトに保護者役と提案したのか何故だろうと思うだろう。
シンジは本当は父親のことが苦手なんだろうとミサトは悟った。
シンジの目は、綺麗な磨かれた黒曜石のように濁りのない真っ直ぐな瞳だった。
その目を見てミサトは、形のある謝罪をするつもりだったのでこれでもいいんじゃないかと思って快く受け入れた。
~赤木リツコ博士執務室~
赤木リツコは現在自分の執務室で今回の戦闘の映像を見ていた。
「やっぱり、ありえないわ。どうしてこんな動きができるの?」
初号機の動きは、どの様に見ても使徒戦に慣れた者の動きだ。
リツコは映像を見ながら思考を深めていた。
そうしていると、扉が開く。
「先輩、初号機の第4使徒との戦闘データの資料化完了しました。」
そこには部下で自分の右腕とも言える伊吹マヤがいた。
「あら、ありがとう。早かったわね?」
「そこまで、難しいものでもありませんでしたから。先輩、何をしてるんですか?」
マヤは、資料をリツコに渡し何をしているのかを尋ねる。
「これよ.....どう思う?」
リツコは、開いていたパソコンをマヤに見せて意見を聞いた。
1人で悩むよりは、新たな者からの意見も参考にするのも一つの手。互いに、科学者であるため戦闘は映画を見るのとあまり変わらず、素人の意見しか出てこない。
しかし、一致する意見もある。リツコが考えていた、エヴァでの使徒戦の慣れた様な動き。これだけは、2人の意見が一致したのだ。
「シンジ君は一体何者何でしょうか?」
「わからないわ。質問しようにも逃げられてしまったもの。」
シンジについて考えるもわかることは少なく、正体に近付くことが出来ない。
2人で頭を抱えていると、執務室の専用電話が鳴る。
「はい、赤木です。」
「あ~リツコ~?私だけど」
「ミサト?どうかしたの?」
「シンジ君は私が引き取ることにしたから。」
「‥‥‥は?」
「だ~か~ら~、シンジ君は私と一緒に住むから。人事部にはもう、申し込んであるから。」
「ミサト、あなたは男に縁が無かったとはいえ、自分の半分も生きてない子供に手を出すの?」
「心配しなくても子供に手を出さないわよ。」
「当たり前でしょ!!」
声を荒らげて怒鳴るように叫ぶ。
「とにかく、手続きは済ませているからあんたには報告だけ。以上!」ガチャ!
バッサリ切られた電話を見て、額に青筋を浮かべる。
マヤは顔を青白くして、これ以上ここに居るととばっちりを食らう、と思いすぐに部屋を出ようとする。
「待ちなさい?伊吹二尉?」
しかしそれを制止させるように低い声で囁く。
「は、はい。な、何でしょうか?…赤木博士。」
若干涙目になりながら、リツコの方へ振り向く。
そこには、綺麗ではあるが影が濃く見えて背後に黒い化け猫を幻視した。
「少しお願いがあるんだけど、いいかしら?」
ニッコリと笑顔を見せるが、恐怖以外の感情はマヤの中から消え去っていた。
(だ、だれか!助けて~!)
マヤが助けを心の中で叫んだ頃、シンジとミサトはルノーに乗っていた。
「さあ、今日はシンジ君の歓迎会をパァーとやりましょ~!」
しばらく車を走らせていたミサトが急に
車を止めた。
「シンジ君ちょっち降りてくれる?」
最初はなんだか分からなかったが、ミサトの歩く先を見て思い出す。
そう、ここはシンジが第3新東京市に来た時に初めて連れてこられた隠れスポット。
街の全景を見渡せる高垣でミサトと並ぶ。
そこには、本来のあるべきビル群がなく殺風景な景色が見える。
「なんだか、寂しいとこですね。」
シンジが前回と、同じ台詞を口にする。
あの時は、自分の現状を理解できず、流れに身を任せていた。
しかし、今回のシンジは目に迷いはない。
端から見れば、憂鬱そうな目だがその奥には決意の炎が燃え上がっている。
「時間よ。」
ミサトが腕時計で時刻を確認して顔を上げる。
目の前には、下からまるでビルが生えてくるかのようにどんどん現れる。
そうして、30秒後にはさっきまでの寂しい街はなく、おおよそ都市と言える街がある。
「す、凄い!」
「これが使徒迎撃専用要塞都市第3新東京市よ。あたし達人類の最後の砦であり、そしてシンジ君あなたが救った街よ。」
「え?」
シンジは、この景色を見て今一度決意する。
今度こそ、守って見せる。こんな小さな手では溢れ落ちてしまうかも知れないが、エヴァンゲリオン初号機の大きな手があれば溢れてしまうものも救いあげてみせる。
~NERV ドイツ支部~
シンジが決意を固めた頃、ドイツ支部では凍結封印されていた第3の使徒が活動を再開した。
緊急時に配備されていた、2号機と仮設5号機があったが一機だけで十分とされ2号機はそのまま待機となった。
第3の使徒はそれを見図るように活動を再開したのだ。
仮設5号機で第3の使徒を迎え撃つ。
「Eintrag Start(エントリースタート)」
「Starten Sie die L.C.L Ladung(L.C.L電荷を開始)」
「Aufrechterhaltung der Stecktiefe Anfangsset(プラグ深度 初期設定を維持)」
「Kein autonomes System Problem(自律システム問題なし)」
「Deaktivieren Sie die Ausgangsspannung kritischen Punkt(始動電圧 臨界点をクリア)」
「Alle Start-up-Position(全て起動位置)」
「Klare Synchronrate angegebenen Wert(シンクロ規定値をクリア)」
「Betreiber(操縦者)」
「Ich wünschte, das Denken Sprache fixiert(思考言語固定を願いします)」
ドイツ語でエヴァの起動設定を終え、搭乗者の思考言語の設定に移る。
「え~っと、まだ初めてなので日本語で。」
「Verstehen(了解)」
言語設定を終え、仮設5号機が起動した。
「新型のプラグスーツの支給間に合わなかったな、おまけに急造品の機体で実戦とは申し訳ない」
「体に合わなくて、胸が窮屈で気持ち悪い。でもまあ、やっと乗せてもらえたからいいかニャ~。」
「お前はこんなときでもふざける問題児だからな、いい罰になるだろ。」
「ひっどいニャ~!」
渋い男性の声と、若い女性の声。
男性は特務機関NERV特殊監査部所属加持リョウジ一尉、女性は第4の少女フォースチルドレン真希波・マリ・イラストリア。
「じゃあ、頑張れよ?」
「まっかせるニャ~!」
阿呆はここにいた。
阿呆との会話の間に第3の使徒は拘束具を引きちぎり、脱出をしていた。
「Hengoku Bereich ist weiß zu verteidigen!(辺獄エリアは死守しろ!)」
「Bedauerlicher den Kerl von Acheron nicht geben!(奴をアケロンから出すわけにはいかん!)」
「Und sicher geschlossenes System ist deaktiviert(まさか封印システムが無効化されるとは)」
「Es ist möglich, Geschichte(あり得る話ですよ)」
ドイツ支部の司令部の老人たちは、使徒の異常性を目の当たりにして叫び散らしている。
そこへ、流暢なドイツ語で声をかける加持リョウジ。
「Sie können nicht die Apostel stoppen nur die Macht der Menschheit(人類の力だけで使徒を止めることは出来ない。)」
「Es wurde von Permafrost ausgegrabenや)それが永久凍土から発掘された」
「Gehacktes einen dritten Apostel(第3の使徒を細かく切り刻んで)」
「Wir sind wieder Schlussfolgerungen erhalten(改めて得た結論です)」
「Nachdem er mit solchen Dingen Grüße(てな訳で後はヨロシク)」
加持リョウジは、老人たちに使徒の説明をしながら航空用ヘルメットを被り、別れの挨拶をする。
加持リョウジが支部を離れて、5号機を第3の使徒の元へ走らせてるマリ。
一昔前の歌を口ずさみながら進んでいたら目の前に使徒が現れた。
「おっ!おいで出なすったね、フィールド展開。」
前方から猛進撃してくる第3の使徒。
A.Tフィールドを中和し、槍を突きだす5号機。
しかし、第3の使徒は眼球から出す高エネルギーレーザーでそれを弾き、その衝撃で槍の軌道と自身の身体を横にずらした。
その間を縫うようにすり抜け、5号機の後ろへ躍り出た。
「ウソ!あれを外した!?」
5号機は急旋回してブレーキをかける。
「クッ!機体が重い。」
5号機は無駄な機構が多く組み込まれており、機体が重くなっている。
「でも、面白いからイイ!」
第3の使徒は、広めの通路に出て頭上に天使の輪を出現させ、何十もの特殊装甲で造られた天井に穴を開けた。
「Die obere Außenwand beschädigt!(上部外壁破損!)」
「Die letzte Station ist gebrochen(最終結界が破られます)」
最後の第一特殊装甲まで、綺麗な円柱の切り身を押し上げ、脱出しようとする。
「Das Ziel ist gekrönt Hengoku Bereich(目標は辺獄エリアを突破)」
「Sie erhalten zu Acheron(アケロンへ出ます)」
とうとう、結界要塞から脱出した第3の使徒。
押し上げられた円柱の切り身を真ん中から均等に5つに切り分けられる。
「Was ist die Yattoru Unit 5! ?(5号機は何をやっとる!?)」
司令部の老人が無責任に怒鳴り散らしている間、第三使徒はもう一度天使の輪を出現させ何かを探している。
「み~つけた!」
5号機は第3の使徒の、その僅かな隙を逃さず手に持つ槍を使徒のコアに突き刺す。
「チィ!A.Tフィールドは中和できてるけど、パーツを無理やりシンクロさせてるからパワーが足りない!」
いかに、A.Tフィールドが強力とはいえ、使徒本体もそんじょそこらの兵器とは比べ物にならないくらいの、硬度を誇る。
コアの破壊は結局は力業に限られてくるので、シンクロ率が低いのは致命的だ。
「エ~イ!こうなりゃ賭けだ!腕の一本くらいくれてやる!」
パイロットの腕に付けられているチューブを外す。これは、シンクロに伴う痛みを可能な限り抑えるための薬品だ。
もちろん、後遺症を考えずに作ったので被験者の体質に合わなければ、後で廃人になってしまう。
だが、マリは体質と適合し問題なく使えてる。
「これで、どお~だ~~~!!!」
身体を抑えていた左手も使い、一気に槍を押し出す。
コアには直ぐに皹が入り、赤光がひかる。
「Hochenergetische Reaktion aus dem Inneren des Ziel! !(目標内部から高エネルギー反応!!)」
エヴァ5号機のエントリープラグが脱出装置に結合され、上空へ飛ばされた。
「Das Ziel Verlust(目標消失)」
「Verdampfungseinheit 5(5号機は蒸発)」
「Pilot entkam Muster(操縦者は脱出した模様)」
リョウジは戦闘機の中で、使徒の爆発を眺めていた。
「第3の使徒の復活、エヴァ5号機の破棄。ここまでは、シナリオ通りか。世界のためとはいえ、子供を巻き込むのは気が引けるな。」
脱出したエントリープラグから出てきたマリは、頭部保護プラグヘルメットを外す。
「イタタ、エヴァのシンクロって聞いてたよりもきついじゃん。」
爆発の影響か、頭部に血が滴る。
「まあ、生きてりゃいいかニャ。」
使徒の爆心地から光の十字架を見上げ死んでしまった、エヴァ5号機に感慨深い顔で礼を述べる。
「さようならエヴァ仮設5号機、お勤めご苦労様。」
以下かでしたでしょうか?
感想やアドバイスお待ちしております。
次は第5使徒戦です。