設定やら、ストーリーやらを弄りながら試行錯誤した結果をご覧下さい。
また、恐らくあと数話は説明回となります
その後に既出キャラの説明云々を行いたいので、楽しみに待っていただければ幸いです
では、どうぞ!
「とは言うものの、何から話すべきか...」
悩む素振りをしつつ窓際まで行くと、そこに置いてあった小さな丸椅子に座った。
肘を机に置き、どこか曖昧な表情で窓の外に広がる青空を見つめている。
そんな少女から俺はふと目線を外すと、今まで気になっていた自分の体に向けた。
「なぁ」
話す順番に悩んでいるとすれば、先に話題を振って気になる事を聞いてしまった方が少女にとっても都合がいいはずだ、とまだ少し混雑する思考を静するような言い訳を心の中でする。
少女の方を見ずに、右腕を軽く動かしながら声をかけると、「ん?」と返事が返ってくる。
気配で、こちらに向き直ったことがわかった。
「なんで俺はこんなに包帯だらけなんだ?」
包帯はしてあるが、体のほうは動かしてもなんともないようで手を握ったり開いたり、少し体を捻ってみても痛みはない。右腕の調子はそこそこいいようで、大きく肩を回すと最近少しずつ感じるようになっていた肩の疲れがほぼ感じられなかった。
しかし、胸部から腹部にかけても厳重に巻かれているそれは、血の色は窺えないもののかなり不安を煽られるものであるのは確かで。
「丁度良い。そこから話すとするかの」
少し姿勢を正す。といっても、ベッドに座っているため背筋をほんの少し伸ばす程度だったが。
改めて少女の方を見やる。
青空の下、やけに映える銀色の髪。光を浴びて輝く束に、思わず見とれてしまう。
ムッと引き締められた口元。表情は真面目そのもので、でもどこか背伸びをしている子供のような雰囲気は感じられない。
そして少女はその口を開いた。
「わしの名はアグリア。神様なんぞやっておる。」
「...へ?」
一瞬、本当に一瞬何を言っているのかわからなかった。
かみさま?
KAMISAMA?
冗談か?それとも俺の耳がおかしいのか、今この子神様って言ったような...
ああ、痛い子かな...
こんな若い年で厨二病のようなものを発症しているのかもしれない。
そんな俺の思いを知らずに、少女、アグリアは続ける。
「お主は一度死んで、わしの召喚に応えた。そしてこの世界、グロリア...まあ、俗に言う異世界じゃな。そこに召還されたというわけじゃ。」
...正直、何言ってるのか全然わからない。
至極真面目な顔をして話しているのはわかる。でも...でも...
(全く何言ってんのかわかんねぇ...)
「すまん、全くわからん」
「なんでじゃ!?こんなにわかりやすいのに!?」
「そう思ってるのは多分お前だけだよ...」
ええ...というような顔をしているアグリア。
そんな顔をされても困るのだが、なんとなく俺が悪いような気がしてきてしまう。
が、なにか重要なことが全部すっ飛ばされて、結論だけ述べられている気がする。
そんな俺の不満げな雰囲気を読み取ったか、アグリアが再び口を開く。
「えぇと...主、どこまで覚えておる?ここに至る前のことを」
問われたことが一瞬わからなかったが、つまり今ここに座っている状態に至るまでにあったことを覚えているのかという事だと少し遅れて理解した。
数秒ほど悩み、記憶を遡る。
「晴香...妹を助けようとして、なにか起こって、気がついたら変なところにいて、死ぬほど痛くて...それでここに居る。大雑把だがこれくらいしか覚えてないな」
「それで充分じゃ。とりあえず最初から話そうかの」
「まず、主が妹を助けた際に一度主は死んでおる。流石に死の瞬間は記憶に無いのも無理はないのう...そもそもわしが見た時には、頭すら無かったのじゃから多少の記憶の乱れはあっても当然という感じがするしの」
平然とそう語るアグリア。
死んだ?確かに、なにか光に包まれるような感覚に襲われたが、あれは死んだということだったのか。いや、受け入れるにはまだ早い。この少女が語る言葉が全て真実と取るには早すぎる。
「その後、気がついたら変なところにいた、という事じゃな。浮遊感に襲われて、手足の感覚もなかったのではないか?」
「あ、ああ」
「ま、当然じゃろうの。文字通り手も足もなかったのじゃから」
「...と、言うと?」
「さっきわしが言った「頭すらなかった」という言葉の続きになるのじゃがな。わしが主を見つけた時にはおよそ人間の部位と見られるようなものもなく、ただ魂だけの状態じゃった。浮遊感はそのせいかのう。意識があっただけすごいものじゃよ、頭も無かったのにの。そして、その状態から突然の痛み。まあその原因はわしなんじゃが...それはもう分かってるはずよな?」
「ああ、なんとなくな」
「顔も見られておったものなぁ...まあよい。あの時に、主を魂だけの状態から再生させるために主の魂から肉体の情報を抜き取って、再構成したわけなんじゃが...ああよい、わかっておらんのは空気でわかる」
まあ語れるようなことでもないしの...と呟く。
「その包帯は、主の身体に魂が定着するまでに肉体の性質が変化しないようにするための物じゃ。痒みは性質変化防止の副作用のようなものじゃし、少しすれば消える。特別製の物じゃからあんまり剥がすでないぞ」
「え?あ、わかった」
かぶれからか腕が少し痒く、つい取りかけていた所だった。よくわからないが、外したら俺の体が大変なことになるらしい。正直包帯一つで大げさな...と言いたいが、真面目な雰囲気なのでそれも言えない。
それに、さっきから話している「魂だけの状態」とか「再構成」とか、およそ人間とは縁遠い言葉に俺は違和感しか感じられなかった。なんとなく、この自称神様の少女が俺を助けてくれたということは何となく理解出来たものの、具体的なことまではよくわからないままだ。
アグリアは、ハテナを浮かべている俺の顔を見て、具体的に言うとな、と話し出す。
「主の住んでいた世界は、数ある世界の一つに過ぎず、主の知る言葉でいうと平行世界...パラレルワールドの世界が無数に存在するのじゃが、そのうちの一つの世界に主が...いや、正確には主ではないが...召喚されたわけじゃ」
「つまり...ここは異世界?」
「そうなるじゃろうな」
にわかに信じがたい話ではある。
自分が異世界に召喚されるなどといった夢物語が本当に存在すると、この少女は言っているが俺にはなんとも実感のない体験で疑うより他になかった。が、その一方で本当とも思えてしまう。
ちらり、と少女の脇に佇む晴香(?)に視線を移す。
現実だとして、こんなに似た人間がいるのだろうか。雰囲気や、いつもと着ている服が違うなどの人間的な違いはあれど、ここまでそっくりな見た目や声...いっそ異世界の別の人間だと言われた方が納得しやすいのも事実なのだ。
今まで何かを考えているかのように目を閉じていた晴香(?)が目を開き、俺の視線に気づいたのか合わせてくる。
急いで視線を外す。やましいことはしていないはずなのに、何故か目を合わせることに抵抗があった。
そんな俺に気づかずに少女は話を続ける。
「召喚するにあたって、元いた世界から一度主という存在を抹消する必要があったのじゃが、その為に因果律を少々強引にねじ曲げ無ければならなくての。しかも取り返しはつかない上に多用出来ないという少しばかり使い勝手の悪い方法ではあったのじゃが...これしかやり方がないからの。それで召喚されたのが主というわけなんじゃが、実はその時点で失敗しておってな」
トン、と少女の指が、今まで肘を置いていた丸机を叩く。
それに合わせるように、話を一度切るとバツが悪そうに言った。
「やー、その、なんじゃ...召喚する人間、間違えてしまってのー...」
...
何となく、『やらかした』『正確には主ではない』と来て薄々そうではないかと心の隅で思っていたが、本当にそうだとは思いたくなかった事実をこの自称神様は言い放ってくれやがった。「あっははは...」と目線を逸らしているアグリアに俺はかける言葉を失っていた。
なんかもう、何も言えなくてため息しか出てこなかった。
如何でしたでしょうか?
楽しんで見ていただければ幸いなのですが、どうもストーリーがわかりにくい場合がやはりあるようです
そういう時は是非読み返していただいて...(宣伝)
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