「さてみなさん。いよいよ期末の時間がやってまいりました。」
殺せんせーが待ってましたと言わんばかりの顔で言う。
聞くところによると、中間では殺せんせーが全員五十位以内に入らないと真っ平らにして出ていくといったものの、理事長による妨害が入り、惨敗する結果。
このことを予想できなかった殺せんせーは落ち込んでいたが、カルマをはじめとするE組の煽りで期末のリベンジを宣言したらしい。
「殺せんせー、期末もまた全員50位以内を目標にすんの?」
「いいえ、先生はあの時総合点ばかり気にしていました。しかし気付きました。皆さんの個性をもっと伸ばすべきだと。そこで今回。この暗殺教室にぴったりの目標を立てました。」
そこまでいうと殺せんせーは「はっ!」となり、マッハである人物の元へ。
「だ、大丈夫!寺坂君にもチャンスがある目標ですから!」
寺坂は口には出さなかったものの
こめかみにイカリマークが出ている。
殺せんせーは教卓に戻り、
「さて、前にシロさんが言った通り、先生は触手を失うとスピードが落ちます。一本減るだけでその影響は大きい。ほら、子供の分身が混ざってきた。」
「分身ってそういう減り方するもの?!」
渚のナイスツッコミ!
「もう一本失うと、子供分身がさらに増え親分身が家計のやりくりに苦しみます。さらにもう一本。父親分身が蒸発。母親分身は女手ひとつで子供を育てねばなりません。」
「「「重いよ!!」」」
そしてクラスの大合唱。
「茶番はさておきテストについて本題です。前回は総合点だけで評価していましたが、今回は皆さんの得意科目でも評価します。各教科と総合で学年トップを取った人には、答案の返却時に触手を一本破壊する権利を差し上げましょう。」
「つまり、満点取った分だけ殺せる確率が上がると。」
「その通りです。五教科と総合でトップを取れば、6本の触手が破壊できる。これが暗殺教室の期末テストです。賞金百億は皆さんの成績次第。」
その言葉にクラス全員の目が変わる。
これはもう……殺る気だ。
あの先生は、殺る気にさせるのが本当に上手い。
その休み時間。意外な人物が声を上げた。
「頑張りましょう!」
「珍しく気合入ってんじゃん奥田さん。」
奥田さんにカルマが声をかける。
「はい、理科だけなら、私の大の得意ですから!ようやく皆のお役に立てます!」
あ、なるほど。俺はいなかったけど、殺せんせーを毒で殺そうとしたとか。
「そうだね、一教科限定なら上位ランカーは結構いるから、皆本気でトップ目指して頑張ってるかも。」
茅野が同意するように言う。
「だな、理科は奥田で社会は磯貝。英語は中村だし……国語は有希子。数学はカルマだろ?」
「だな。でも俺らも頑張らねぇと!」
と、そこで桃花が、
「そういえば、拓実君は今回が初めてでしょう?成績どうなの?」
「ん?ん〜確か転入試験の時は理事長が、「E組なのがもったいない。」とか言ってたような……。点数知らねぇな……。」
「意外にいいんだ!」
意外ってなんだ桃花!
まぁ、姉ちゃんとクリムに記憶のない間の勉強を、叩きこまれ、そのままずっと教えてもらってるからな。
「あと心配なのは、その理事長による妨害だな。」
「今回も妨害入んのか...鬱だな」
そんな話をしているまさにその時、理事長室では、
----------------------------------------------
「E組の成績を落とす為なら何でもする。そう思っていませんか?」
「いいえ、でも隣の堅物が貴方を疑って聞かないんですの。」
ボスと防衛省と暗殺者がお話。そう、お話をしていた。
「なるほど、我が椚ヶ丘中学校では、生徒の自主性を育んでいます。ですから成績を決めるのはあくまで生徒です。私は…何もしません。」
その言葉を聞いて理事長室を、後にした二人。
「なーんか含みのある言い方だったわね。生徒の自主性がどうとか。」
「ああ、だが前回のような不正ギリギリの小細工は無さそうだ。」
「ま、今回は成績が直に暗殺に関わってるみたいだし、私も一肌脱いでやろうかしら。保健体育なら私に任しぇてぇ〜?」
「外国語はどこへ行ったっ!」
その廊下で、電話をする一人の野球部員……。
--------------------------------------------
pppppppp!
「よお杉野。」
「進藤か?球技大会ぶりだな。」
「ああ、高校でけりをつけると言ったが、お前が高校に進学できるか心配になってな。」
電話の主はかつて球技大会で俺たちを苦しめたあの野球部、進藤。
ほんとこの二人和解してよかったよ!
「はは、相変わらずの上から目線で。」
「というのもな…。今、特進クラスA組が、会議室で勉強会を開いているんだ。音頭を取る中心メンバーが、うちが誇る秀才達、五英傑だ。」
------------------------------------------------
「大事なのは、その出来事が社会にもたらした変化の大きさ。これ分からないと、君、社会から置いてかれるよ。」
中間テスト総合2位!他を圧倒する、マスコミ志望の高い知識!放送部部長!荒木…鉄平!
「一日に、千里の道を行くよりも、君と一里を行くが楽しき。さあ学ぼう、美しい言葉が君の動脈を満たすまで…」
総合3位!人文系コンクール総なめー。鋭利な詩人!生徒会書記、榊原…蓮!
「死ぬ気で詰め込めー!中高の理科は暗記で十分だ!」
総合5位!4位を奪った赤羽への雪辱に燃える暗記の鬼!生物部部長、小山…夏彦!
「俺が住んでたLAでは、そんな文法じゃ笑い者だぜ。」
総合6位!口の悪さとLA仕込みの語学力は追随者ナッシング!生徒会議長、瀬尾…智也!
そして、その頂点に君臨するのが…
「僕らは太陽、名門、椚ヶ丘中学の皆を照らす太陽だ。しかし、その輝きを覆い隠そうとする、不穏な暗雲が発生しつつある。あのE組が、中間テストでは全員50位以内を目指していたという。ならば、僕たちが上位を独占し、その暗雲を晴らそうじゃないか。地上と太陽の間に暗雲があってはいけない、彼らの不遜な考えを正し、光を守ろうじゃないか。僕たちの手で。」
「おーー!!!!」
「総合1位、全国模試1位、全教科、パーフェクト!支配者の遺伝子を引き継ぐ、生徒会長、浅野学秀!」
--------------------------------------------
ためになる、ためになる情報なのだが……。
「進藤、そのナレーション、お前がやってんの?」
「ああ、一度やってみたかったんだ、こういうの…………。ゴホン!
人望厚く、成績はトップ。プライドの高いA組の猛者をまとめ上げるカリスマ性。彼自身の能力に加え、
全教科パーフェクトの浅野と、各教科のスペシャリスト達。奴等、お前達を本校舎へ復帰させないつもりだ。」
そんな言葉に杉野は笑顔で、
「ありがとう進藤、心配してくれて、でも大丈夫、今の俺たちはE組脱出が目標じゃない。けど目標のためには、A組に勝てる点数を取らなきゃならねえ。だから見ててくれ、俺たち頑張るからさ」
その言葉に進藤も心なしか嬉しそうに
「ふん、勝手にしろ。E組の頑張りなんて、知ったことか。」
と。
茅野と渚と帰ろうと校舎を出たとき、磯貝が走ってきた。
「明日の放課後、本校舎で勉強しないか?期末狙いで、随分前に予約しといたんだ。E組は基本後回しだから、俺らにとっちゃ、プラチナチケットだぜ。」
「行く行く!」
「ん〜、俺は多分姉ちゃんとクリムに叩き込まれるから。」
俺は丁重にお断りした。
その様子に殺せんせーは、
「皆懸命に頑張ってますねえ。触手を賭ける価値ありです。」
「命かかってんのにのんきなのな。」
--理事長室--
「貴方の御意向通り、A組の成績の底上げに着手しました。これでご満足でしょうか。」
一組の親子が、親子とは思えない雰囲気で話していた。
「浅野君、必要なのは結果だよ。結果の伴わない報告に意味はない。
そうだな、A組全員でトップ50に入り、各教科で一位を独占する。この辺りが合格ラインだ。」
「E組は他を上回ってはならない。貴方のその理念は分かります。が、何故そこまで拘るか分かりません。
確かに、彼らの成績は上がっています。が所詮限界がある。 僕らに及ぶとは到底思えません。」
「私が君に教えたいのはそこだよ、浅野君。弱者と強者の立場は、時にいとも容易く逆転する。
強者の座を維持し続ける。これこそが最も難しい事なのだよ。」
浅野は少し考え、
「分かりました理事長。僕の力でその条件、クリアさせてあげましょう。
そしたら、生徒ではなく、息子として一つおねだりしたいのですが。」
その言葉に表情を一切変えず、
「おねだり?今更父親に甘えたいとでも?」
「いえいえー、僕はただ、知りたいのです。E組の事で、何か隠していませんか?
どうもそんな気がしてならない。貴方のE組への介入は、今年度に入っていささか度が過ぎている。
まさかと思いますが、教育以外に、何かヤバい事に手を出してらっしゃるとか。不審者の噂もありますしねえ。
空飛ぶ黄色い巨大タコを見たとか、コンビニスイーツを買い占める黒ずくめの巨大な男とか。
Gカップ女子の背後でヌルフフフと笑う黄色い影とか。ま、これらは根も葉もないデマでしょうが。 」
「知ってどうする?それをネタに私を脅迫する気かい?」
浅野は不気味に笑って、
「当然でしょう。すべて支配しろと仰ったのは、貴方ですよ。」
「さすが、最も長く教えてきた生徒だ。」
「ハハッ、首輪付けて飼ってあげますよ。一生ね。」
「奇遇だね、私も君を、社畜として飼い殺ろそうと思っていた所だよ。」
「「フハハハハッ」」
ピキッ……ピキピキ………パリン!
「痛!!なんだぁ?」
偶然下を歩いていた俺の頭にガラスの破片が……。
「割れた……?まぁいいか。……イテテ。」
--数日後--
どうやら図書館を利用していたら、例の御英傑が煽ってきたらしく、流れでA組対E組の殺し合い……どっちが五教科で学年トップを多く取れるか勝負するようだ。
負けたほうはなんでも言うこと一つ聞くらしい。
「明らかに何かあるよねその、A組の賭けってやつ。」
「間違いない。どーせ、これに合意しろ〜とか三つに増やせ〜とか言ってくるよ。」
カルマの問に答える。
「なにかする魂胆が見え見えだっての」
クラスはその一つを何にするか楽しそうに話してる。
増やしたりしないのはほんとに…なんというか……うん、いい子だ。
「なんでも、ひとつかぁ〜学食の使用権が欲しいなぁ〜」
すると、殺せんせーはある一つの提案をする。
「賭けの戦利品ですが、これをよこせと言うのはどうでしょうか」
「おおーっ!」
その戦利品を嫌がるやつはいない。
満場一致だ。
「君たちは一度どん底を経験しました。だからこそ次はトップ争いを経験して欲しいのです。」
そして、ついにテスト当日。
「どう渚、調子はどう?」
「うん、ヤマが当たれば〜」
「男ならシャンとせい!あんたも英語トップ狙えるんだから」
中村、渚と教室に向かう。
テストだけは回収等の問題があるので本校者で受ける。
「アンタはどうなのよ。」
「俺か?俺は……うぷっ……クリムにこってり絞られたよ……思い出すのも辛い……。」
「「あ、あははは……」」
一番かな〜と教室へはいると、
………誰?鳥間先生が後ろから、
「律役だ、人工知能の参加は認められないからな。事情説明の際、こいつも大変だという、憐れみの目を理事長から向けられた俺の気持ちが分かるか?」
「「「頭が下がります!」」」
俺と中村と渚は全力で礼をした。
意外と長くなりそう。