マッハと暗殺教室   作:ジョンウォン

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ガスと素手の時間

 

 

十六人の中学生と、三人の教師は崖を登っていた。

 

もっとも、教師の内一名は鳥間先生におぶってもらい、一匹は行動不能なのだが。

 

「ほっ、ほっ、ほっ!みんな〜置いてくよ〜」

 

「流石は岡野だな。こーゆーのやらせると右に出るものはいない。」

 

「元体操部だしね。」

 

E組にはそれぞれの特徴を行かす場面が必ずある。

野球で戦える杉野。

射撃がすごい千葉と速水。

体操部でアクロバットな動きができる岡野。

アートが好きな菅谷。

…暗殺の才能がある渚…。

 

E組にいる全員に特技があり、長所がある。

 

だからこそ、俺の仲間をあんな目に合わした黒幕が許せない。

 

俺のせいだというのはわかっている。

最悪……俺が…この手で。

誰かが汚れ仕事をするのならば、それは俺だ。

 

「はぁ………はぁ……」

 

体もだるくなってきた。

 

みんなが倒れた時、気づいていた。

 

俺もウイルスにかかっている事。

 

とにかく、今は悟られないようにしないと。

 

 

建物に入ってすぐ、俺達はいきなり最初の壁にぶちあたった。

俺達が使う階段にたどり着くためには扉のない部屋の前を横切らないといけない。

だが、その部屋には大量のSPみたいなのがいる。

この人数で通ろうものなら見つかってしまうのがオチだ。

 

どうしようかと考えていると、

 

「何よ……普通に通ればいいじゃない」

 

…………。

 

「お前、バカなの?死ぬの?」

 

「やかましい!!……だから、普通によ。」

 

そう言っておいてあったワインを片手に……あぁ、そういうこと。

 

みんなはまだわかってないようだが、俺とクリム、鳥間先生と殺せんせーはわかったよう。

 

ワインをもったビッチ先生はフラフラとしながら部屋に入っていった。

 

そして、一人のSPにぶつかった。

 

「……ごめんなさい、部屋のお酒で酔ってしまって……︎」

 

SPは顔を真っ赤に……えろえろな目線を送りつつ「お、お気になさらず…」言った。

 

ビッチ先生は続けて

 

「来週そこでピアノを弾かせていただく者よ。ピアノの調律をチェックさせてもらっていいかしら……?」

 

「なら……フロントに確認を」

 

「私のことをよく審査して?ダメなところがあったら叱ってください……♥︎」

 

………なんだろう。

普段のビッチ先生を見てるからか……複雑な気分だ。

 

ビッチ先生がピアノを引き出すと、俺達は目を奪われた。

 

ずげぇ………幻想即興曲……!

こんな完璧に……!

 

「めちゃくちゃ………上手い」

 

俺達だけでなく、SPも全員目を奪われていた。

 

「……そんな遠くで見てないで、もっと近くに……来て?︎」

 

そんな発言と同時に、

 

【20分稼いであげる。行きなさい】

 

と、サイン。

 

普段あんな先生だけど、やっぱりハニートラップの殺し屋なんだなと改めて実感したE組でした。

 

「……さて、入り口のチェックを抜けた今、こっからは客のフリをすることができる」

 

「客?こんな俺らみたいな奴らが泊まるんですか?」

 

まぁ、普通の奴らではないけどな。

 

「あれだろ?金持ちの坊ちゃんとかちやほやされてるやつは、酒やドラッグをやって俺かっこいいとか思い込んでるやつが多いんだろ。」

 

「ああ、中学生の団体客も少なくないらしい。」

 

確かに、ここの客もトラブルを避けたいのか出会ってもなにもないな。

 

ほら、また前からおっさんが。

 

………!!!違う、あいつは…!!

 

「ヘッ!はいっちまえば楽勝じゃねぇか!早く進もーぜ!」

 

寺坂!!バカか!!………忘れてたバカだったー!!

 

とっさに止めようと思ったとき、

 

「寺坂君!!そいつ危ない!」

 

不破さんが叫んだ。その声に反応して

鳥間先生が人間とは思えない速さで寺坂と吉田の元に行き、後ろに投げ飛ばした。

 

そしてそいつはなにかガスをだした。

 

「殺気を見せずにすれ違い様殺る。俺のおはこだったんだが、なんでわかったんだ?オカッパちゃん」

 

「……だっておじさん、最初にサービスドリンク配った人でしょ?」

 

おぉ、俺の他にも気づいたやつがいたとは……!

やっぱりE組は面白いやつが多いな。

 

「断定するには証拠が弱いぜ…ドリンクじゃなくても、ウイルスを盛る機会はたくさんあるだろう?」

 

こいつ……バガだ。

 

「………なぁ、俺達まだドリンク配ったとしか言ってないんだけど、

ウイルス盛られた〜なんて言ってないんだけど。

な〜んで知ってるのかなぁ〜?」 

 

「………………あ。」

 

バガだ……。

 

「…………ま、まぁもう手遅れだ。」

 

「……は?」

 

その瞬間、ドサッと鳥間先生が倒れた。

 

「鳥間先生!!」

 

「毒物使い、ですか。しかも実用性に優れている。」

 

「俺の室内用麻酔ガスだ。さて、お前らに取引の意思が無いことはよ〜くわかった、交渉決裂。ボスに報告するか………」

 

だが遅い。

俺達だって、この半年遊んできたわけではない。

 

「なっ……」

 

出口は俺達でもう塞いである。

あとは……

 

俺がマッハドライバーを出そうとした瞬間、

 

「いかんよ、拓実。人にそれを使っては。」

 

「クリム……綺麗事言ってる場合じゃない。殺らなきゃ殺られる。そういう状況だろ……。」

 

俺がマッハの力を使わなかったらただの中学生だ……。

 

生身で戦闘能力があるわけじゃない。

 

俺とクリムが話してる最中、おっさんは今がチャンスと俺達に向かってくる。

 

だが、おっさんの後ろには怪物がいることを忘れるなよ!

 

「お前は……我々を見た瞬間攻撃せずに報告しに帰るべきだったな……」

 

「なっ………だが……」

 

そう言いかけたが、高速回し蹴りを食らって気を失った。

 

ガムテープでぐるぐる巻にしてテーブルの下に隠す。

 

律の案内で進んでいくと、ガラスの前に立つ一人の男性……。

 

「流石にもうわかるわ……。ありゃ殺る側の人間だ。」  

 

隠れていたがすぐにバレ、全員出ることに。

 

「素手……。それがあなたの暗殺道具ですか……!」

 

「こう見えて需要あるぬ。身体検査に引っかからない点は大きいぬ。」

 

「だが、」と、付け足し、

 

「………がっかりだぬ、お主らがそんなザマでは殺し合いもできないぬ。大方、スモッグのガスにやられたぬ?

ボスと仲間を呼んで皆殺しだぬ」

 

ヒュン……ガシャァァァァァン!

 

カルマ……カルマが……グリップの持ってた電話を鉢植えを持ってガラスに叩きつけやがった……!

 

「ねぇおじさんぬ、意外とプロって普通なんだね、ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ?

っていうか速攻仲間呼んじゃうあたり、中坊とタイマン張るの怖い人?」

 

「よせ!無謀だ……!」

 

「ストップです鳥間先生、カルマ君のアゴが引けている。」

 

そう言われて気づいた。

確かに今までのカルマなら余裕をひけらかして顎を突き出し相手を見下していた……。

 

そして、カルマとグリップの戦いが始まった。

 

始まった瞬間、鉢植えを殴りつけようとしたが、グリップに受け止められ

 

グジャ!

 

「柔いぬ、もっといい武器を探すべきだぬ」

 

「必要ないねぇ。」

 

そしてグリップが突っ込んでに来た。

 

が、当らなかった。

 

グリップが連続で仕掛けているが、カルマは見切ってすべて避けるか弾いている。

これは……

 

「鳥間先生の防御テクニック……!」

 

「そのようですね、目で盗んでいましたね、彼は。」

 

それは簡単なことじゃない。

 

「どうした。攻撃しなければ永久ににここを抜けられぬぞ」

 

「どうかな〜?俺が戦ってる内にみんながちょっとづつ抜けてくって手もあるんだけど〜………安心しなよ、今度は俺から行くからさ。あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着つけるよ。」

 

そして、カルマから仕掛けた。

グリップも仕掛けるがまた躱す。仕掛ける。

 

すげぇ……。

 

そして、膝に一撃入った。

 

「ぬ……」

 

……なんか殺せんせーみたい。

殺せんせーは「にゅ」だけど。  

 

痛かったのか足を抑えて背中を見せた。

「チャンス」と、トドメに入ったが……

 

ブシュー!

 

ガス!?

 

「俺は一度も素手だけと言ってないぬ、至近距離のガス噴射、予期してなければ絶対に防げ………ぬ?」

 

残念だねぇ、グリップのおっさん。

相手が悪かったよ。

いたずらやだまし討ならそいつは天才だよ。

 

「奇遇だね、2人とも同じこと考えてた。」

 

よくわからなくなったグリップは最後の力でナイフで刺そうとする。

カルマは避けて固め技に入った。

 

「ほら寺坂、早く、ガムテープと人数使わないとこんな化物なんかに勝てないってれ」

 

「ハッ!」と笑って、

 

「テメェと素手のタイマン約束とか、もっとないわな。」

 

 

 

「俺のガス攻撃……。読んでいたから吸わなかったぬ…。何故ぬ!」

 

「とーぜんっしょ、素手以外の全てを警戒してたよ。あんたが素手の戦いをしたかったのは本当かもしれないけど、あんたのプロ意識を信じたんだ、信じたから警戒してた。」

 

「大した奴だぬ、少年戦士よ、負けはしたが、楽しい時間を過ごせたぬ」

 

「え、何言ってんの?楽しい時間はこれからじゃーん」

 

その夜、辛いぬの苦いぬ叫び声が響いたとか。

 

合掌……礼拝……。

 

 

 

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「そうだ……こい……拓実……。

感動の再開といこうじゃないか……

クリムもまだあんな姿なのか……。笑えるな。」

 

律が細工をして見えないはずのカメラから俺たちを見ているやつがいたなんて、

 

そしてそいつが紫のシグナルバイクを持っているなんて

 

この時の俺は当然知らないでいた。




次回やっとマッハ変身します。
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