渚以外の男子は今、廊下の隅に隠れている。
進む扉が内からしかあかなかったので
女子がバーから侵入して開けてくれることになった。
女子だけでは不安なので渚が女装してつい行った。
俺はこの間に休憩をと思ったが、
「拓実、少しいいか?」
「………なに?」
腰につけていたクリムが言ってきた。
「単刀直入に言う。ウイルスにかかっているか?」
「………!」
「私は拓実の体調を管理している。だが、体温が異常に高い。」
こいつ…まじかよ。
だが、ここでリタイヤする訳にはいかない。
「……黙ってろよクリム。わかってるだろ?」
「本来は勧めたくない。このまま引き返してほしいのが本音なのだがね。」
こうなったのも俺とクリムの不注意ということがあるので気持ちは理解してくれている。
「……わかった。だが、もしマッハの力が必要になった時、デットヒートの使用を禁止する。」
……正直俺も使いたくねぇ。
ただえさえ体が熱いってのに。
「……わかった。」
「男子おまたせ〜。」
女子達が帰ってきた。
渚はさっさと着換えにいった。
とりあえず俺は桃花に
「大丈夫だったか?」
「うん、途中男二人に近寄られたけ……」
「大丈夫だったのか!?」
さっきより強く聞いてしまった…。
……あれ?なんでこんな熱くなってんだろ?
ウイルスか…?ウイルスのせいか。
「う、うん。大丈夫だったよ。これのおかげでね。」
そういって取り出したのがヤクザのバッチ。
なるほど。ビッチ先生の受け売りか。
ナイスです!ビッチ先生!!
俺たちは先に進む。
ん?寺坂の様子が……まさか寺坂!!
「大丈夫か?寺坂…」
「まさか、ウイルスに?」
寺坂の異変に気づいたのは俺だけでなく渚も。
「もし無理をしているのなら…」
クリムが警告しようとすると、
「うるせぇ…黙ってろよ…。
鳥間の野郎がああなったのも俺が飛び出しちまったせいだ……。
こんなところでリタイヤできるかよ…。」
寺坂………。
俺も同じ立場なのでこれ以上言うことはできなかった。
それを黙認しているクリムも。
「見張りは二人か……。」
「いいですか?皆さん。先生は今回のミッションで殺す事は認めません。
殺さずになんとかするには、寺坂君の武器など有効でしょう。」
殺せんせーがそういうと、みんなが寺坂を向く。
寺坂…そのカバンに一体なにが…!
「てめぇは透視能力でもあんのかよ……」
そういって出したのはスタンガン。
それ、お高いやつじゃないの!?
「タコに電気試そうと思って買っておいたんだよ。」
「買っといたって…高かったでしょう?」
「ん?あ、あぁ。臨時収入があったんだよ。」
片岡の質問に答えたが……そうか。
シロの時か。
金で釣られたな、こりゃ。
「おい、木村!あいつらここまでおびき出してくれ。」
「どうやって…。」
「じゃあ、こう言ってみ?」
カルマがいたずら全開で木村にこそっと耳打ち。
それを聞いて、見張りの前に立つ木村。
「……あんれぇ?脳みそ君がいないなぁ〜?こいつらは頭の中まで筋肉だしぃ〜?
……人の形してんじゃねーよ。豚肉どもが。」
「「…………。」」
一瞬の静寂。のち
「「マテやゴラァ!」」
そりゃ、怒るわ!
だが、男二人は木村に追いつかない。
木村が早すぎるのだ。
そして木村が俺たちのいる角を通り過ぎると、寺坂と吉田がタイミングよく飛び出し、首にスタンガンを浴びせた。
そして進もうとした時、入り口から一体のロイミュードが出てきた。
「ナンバーなし………。」
「拓実、もしかしたらここにナンバーなしを作ったなにかがいるかもしれない!」
ちらっと時計を見ると、あまり時間はない。
ここで全員止まるのはもったいない。
「殺せんせー。ここは俺がどうにかするから。先に行っといてよ。」
殺せんせーは少しだけ迷い、そして、
「……わかりました。ですか、クリム先生ともう一人、残ってください。
なにがあるかわかりませんから。」
もしかして殺せんせー……。
俺のウイルスに気づいて……?
「私残ります!」
桃花が手を上げた。
「では頼みます。拓実君、矢田さん。」
「任せ任せ!……変身!」
〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛
俺とりあえず扉から離すため突っ込む。
ロイミュードと組み合い。
奥に転がる形で扉から離れた。
そのスキにE組御一行が、中には行っていく。
「追跡!撲滅!いずれも〜マッハ!
仮面ライダー………マッッッハ!」
「グルルル……」
ゼンリンシューターを構えて斬りかかる。
だが、簡単に止められた。
そのまま振り払われ蹴りを一撃。
「のわっ!」
そしてそのまま四、五発ほど殴られた。
それだけで俺はざっと十メートルほど飛ばされた。
「はぁ………はぁ……っく…。」
やばい…ウイルスのせいでうまく戦えない上にナンバーなしってことは強化された方……。
「拓実……大丈夫!?」
「やはり無理か……。」
その時、扉の中から一発の銃声。
間を開けてもう一発。
「な、なに?なんで銃声……?」
考えるのはやめた!
俺はデットヒートを構える。
「!?やめたまえ!デットヒートは使わないと約束しただろ!」
「こんなところで殺られるわけにもいかねぇんだよ!数分で終わらせるから!」
〚シグナルバイク、シフトカー!ライダー!デッートヒート!〛
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
時間はかけられない。一気に決める。
そう言い聞かせて構え直す。
ちょっと踏ん張ればいい。
「……はぁ!おりゃ!」
ゼンリンシューターで相手の攻撃を弾き、相手の右肩から一気に振り落とす。
「グゥォ!」
相手の体から火花が散る。
気にせずにさらに振り上げた。
「はぁ…はぁ…らぁ!!」
ロイミュードが怯んだので蹴りを入れた。
「でい!……はぁ…はぁ……」
ロイミュードも流石に耐えられなくなり、床に倒れた。
今この瞬間を逃す訳にはいかない!
〚必殺!フルスロットル!デッートヒート!〛
「はぁぁぁぁぁあ………うぉりゃぁぁぁぁぁ!!」
ちょっとしんどいのでいつもより回転を少なくして、低空でぶち込む。
ロイミュードは爆発したが、それと同時に限界を迎え、変身解除。
意識はあるものの床に手をついた。
「……はぁ…はぁ……はぁ……」
「拓実君!捕まって!」
殺せんせー……あんたやっぱり見抜いていたな……。
「無茶しすぎだよぉ……。
なんでウイルスにやられてるのに……。」
パァン!
また銃声……!
今は急ぐほうが先だ。
「とりあえず今は言わないでもらえると助かるかな……。」
桃花も察したのかなにも言わなかった。
俺達が入ると、殺し屋の一人をぐるぐる巻にしたところだった。
最初に聞こえた銃声は速水と殺し屋。
最後は千葉。
どれも人には当たってはいなかったよう。
「安心したよ……。」
ほっとしていると、殺せんせーをもった鳥間先生が近づいてきた。
「すまない、坂上君…。
ウイルスに感染していたことは知らずに……。」
「あ、いえ、勝手に来ただけなので。」
おそらく次はボスだな。
と思いつつ部屋を出ようとした時、
俺は冷や汗が出た。