マッハと暗殺教室   作:ジョンウォン

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父の時間

皆で先へ進もうとした時、何かの気配と、冷や汗が出た。

 

その気配は明らかに俺を狙っている。

このまま受けてしまえば肩を貸してくれている桃花にまで被害が及ぶ。

 

そう考えた俺はすぐに桃花を突き飛ばした。

 

「桃花!」

 

「きゃ!?……なにす……!?」

 

突き飛ばされた桃花は少し怒りかけたが怒れなかった。

その時すでに俺は、何者かの飛び蹴りを食らっていたからだ。

 

「ぐゎぁぁ!!!……あがっ!」

 

十メートル近く飛ばされ壁に激突し俺は、肺から空気が抜けたような感覚になった。

 

「拓実君!?大丈夫ですか!?」

 

「だ……大丈夫……殺せんせー……。」

 

とりあえず息をして蹴り飛ばした奴を見る。

 

そして……俺の中で時が止まった(ような感覚になった)。

 

「なん……で……!お前が…!!」

 

「どういうことかね!君は…!」

 

俺とクリムが動揺を抑えきれない。

 

E組のやつは何者かわかっていない。

それはそうだ。

俺を蹴り飛ばした奴の姿は

 

仮面ライダー。

 

金色に輝く体にタイヤ跡のようなものが

肩から斜めに入っている。

その名前を、

 

「ゴルドドライブ……蛮野天十郎!!」

 

俺がそう叫ぶと金色の仮面ライダー……ゴルドドライブは

 

「おいおい…実の父親を呼び捨てとは……そんな子に育てた覚えはないぞ。」

 

「そ、そうか…拓実の言ってた拓実のお父さんは……あの人か!」

 

「蛮野……君は以前チェイスと共に……」

 

クリムがそう言うと蛮野は一つのシグナルバイクを取り出した。

 

「それは……チェイスの……シグナルバイク……!なんで!お前が!」

 

「理解したろ?拓実。チェイス……プロトゼロは無駄死にした。」

 

 

-----------------------------------

〜約一年前〜

 

俺はあの時、チェイス…仲間の…いや、あの時は維持張って認めいなかったが

ロイミュードのナンバー000のチェイスと共に、蛮野天十郎ことゴルドドライブと戦っていた。

 

その時俺の体調は悪かった。

甘く見てた。

倒せると、

 

それで油断して圧倒的な強さに倒れてしまっていた。

チェイスもまた同じく、少し離れたところに倒れていた。

 

「くっ……」

 

「お前は私の恥じだ。醜く死ね!」

 

そういって蛮野はチェイスの専用武器、シンゴウアックスを構え、振り落とそうとした。

 

正直、諦めた。

 

だが、

 

「拓実!」

 

〚Break up〛

 

チェイスは普段は仮面ライダーチェイスとして戦っているがライダースーツが限界にきていたため、本来のロイミュード、魔進チェイサーに姿を変え、

俺をかばった。

 

「がぁぁぁ!…ぐわぁぁぁ!!」

 

容赦なくチェイスを切り、再び人間の姿に戻ったチェイスを抱えると、

それはもう、死にかけのように弱々しかった。

 

「なんで……なんでなんだよ!」

 

「これでいいんだ…拓実。大切なダチ守れた。それだけだ……。」

 

そして、急に目を開くと、俺を押しのけゴルドドライブにしがみついた。

 

そして、ロイミュードとしての体に限界がきて……

 

「や、やめろ…離せ……ぐ、ぐゎぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ドォォォオン……ズガァァァァン!

 

「チェイスー!!」

 

000のナンバーが……割れた。

 

ゴルドドライブと共に散っていった。

 

 

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ありえない。あの爆発で跡形もなく散ったはずだ……。

 

そんな疑問を見透かしたかのように蛮野は

 

「クリム……。君の研究は実に役に立った。人間でありながらベルトに意識をコピーさせる。

その研究を私が知っていたからこそこうしてベルトに意識を写せた。

……だがね、君はそれまでしかしてない。私はある者と共にナンバーのないロイミュードを作り出すことに成功した。

その一体を使えばこうしてベルトでありながらもの姿として動くことができる。

ありがとうクリム。感謝するよ。」

 

その言葉にクリムは心底悔しそうな表情をしている。

 

……だが…そんなことより……。

 

「あいつの……チェイスの……俺の友達のシグナルバイクを返せ!」

 

「フン…返してほしけりゃ力ずくでこい。……もっともウイルスでやられたた上にデットヒートをバースト状態で使ったお前には無理だろうがな。」

 

あのロイミュードはこいつの差し金…!!

 

「くっ……」

 

〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

俺はがむしゃらに走り出した。

長期戦は望めない。

 

短期決戦で叩きかける。

 

「はっ!はぁ!!」

 

パンチはキックを放つが全く通らない。

弾かれる。

 

関係ない。

 

俺はしがみつき壁に押し付けた。

 

カチャ…

 

「記憶力のないやつだ。そもそもお前の体の不調が!プロトゼロを殺したのだと、もう忘れたのか!!」

 

ブチッ

頭の何かが切れた。

 

「だ………まっれ〜!!!!!」

 

横に押しのけ再び襲いかかる。

 

「はぁ!……おりゃぁあ!」

 

回転を、入れながら連続で叩こうとするがあっさり避けられた。

そして…

 

「はぁ!」

 

ゼンリンシューター持っていた手を蹴られ、落としてしまう。

 

「フン……はぁ!せぃ!!」

 

「がぁ!……ぐわ!!」

 

腹に、背中に足に……

連続でダメージを受けてしまった。

 

「はぁ!!」

 

すこし力の入った蹴りに倒れてしまった。

 

「ぐっ………うゎ…」

 

すぐに立ち上がろうとしたがウイルスの体力の限界に立てなかった……。

 

「これで終わりだ……拓実!!」

 

ゴルドドライブの強烈な蹴り上げは俺の肩に直撃。蹴り上げられそのまま後ろにに倒れていってしまう。

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁあ!…ぁぁ……」

 

俺は大馬鹿もんだ……

大切なもん、最後まで気づかないで、

失って気づいて……。

 

ゴルドドライブはみんなの方に歩いて行くのが倒れてながらも見えた。

 

----------------------------------------

 

「ダチとは心を通わせた仲だと解釈している。お前とはそうなれないのか。」

 

「お前はロイミュードなんだ慣れるわけあるか!」

 

-----------------------------------------

 

今度こそ……大切なもん……守らねぇと………!

 

 

桃花sid

 

私はもう、見てられなかった。

蛮野さんに向かっていく拓実、明らかに無茶してる拓実。

なのになにもできない私。

 

涙も止まらない……。

これじゃあ……だめだよ……。

 

有希ちゃんとの約束も……守れない…!

 

 

------------------------------

 

ウイルスの治療薬を奪うために出発する寸前、声がかけられた。

 

「あの…、矢田さん…。」

 

「奥田さん?どうしたの?」

 

「神崎さんが…話したいって……。」

 

そう言われて小走りで有希ちゃんのもとへ。

 

「有希ちゃん?どうしたの?」

 

「うん…あのね、約束…してくれないかな?」

 

「約束?」

 

「多分今回ね、拓実君、かなり自分のせいだって思ってると思うの。というかクリム先生と話してたの。

だから、絶対無茶をする。

無茶させないようにするのは無理だと思う。それが拓実君だから。」

 

確かに、拓実の性格なら……。

 

「だから、極力無茶させないように、もし無茶をしちゃっても、桃花ちゃんが支えてあげて?……お願い。」

 

「うん……分かった!まかせて!」

 

そして安心したように眠りについていった。

 

 

----------------------------------------

 

拓実と有希ちゃんと出かけた夜、有希ちゃんから電話があって、告白した、けど降りたこと。だからちゃんと向き合って。と、言われた。

あの時の有希ちゃん声、泣いた後のようにも感じた。

だから、その想いも無駄にしちゃいけない。ちゃんと支えないと…!

 

 

 

そう、思ったのに。

 

 

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁあ!…ぁぁ……」 

 

ついに倒れて動かなくなってしまった拓実。

 

嘘……でしょ?

 

「た、拓実!!」

 

「無駄だ。もう動く気力など残っていない。」

 

蛮野さんはもう歩いてきてる。

 

「てめぇ拓実!そんなもんなのか!さっさと倒しっちまえよ!!」

 

寺坂君がそう叫ぶけどピクリともしない。

 

「にゅ……まずいです…。」

 

殺せんせーまで……!

 

殺せんせーにまでそう言われて、みんなが

 

もう……ダメだ…!

 

そう思ったとき、寒気のような感覚が

ぞわっとした。そして、

 

「待てよ。」

 

蛮野さんがゆっくりと後ろを確認すると、そこにはゆっくりと立ち上がっているマッハ……拓実の姿が。

 

「バカな…もう動く気力すら残されていないはず……。」

 

「ふざけたこと言うな…俺の全身から溢れ出す、怒りの炎が見えねぇのか!」

 

怒りの炎…すなわち殺気。それはもうものすごく伝わる。

今まで拓実がここまでの殺気を見せることはなかった。

 

「蛮野…お前はいくつも許せないことをした…。俺の心を利用し、姉ちゃんを侮辱し、クリムの研究を悪用した!

……たがな、俺が一番許せねぇのは…俺のダチの命を奪い、再び手をかけようもしていることだ!!」

 

そついって拓実は黒のシグナルバイク…先程蛮野が持っていたものを構えた……え!?

 

「拓実…いつの間に…!……はっ!」

 

お、おそらく拓実が壁に押し付けたとき…なんかカチャ…って言った気がする…。あの時?

 

そして構えたチェイスさんのシグナルバイクを見て、

 

「…行くぜチェイス……一緒に戦ってくれ!」

 

そしてそのシグナルバイクを…使った。

 

〚シグナルバイク!ライダー!チェイサー〛

 

そこには胸部から上はマッハだが胸部から下は紫……おそらく仮面ライダーチェイサーと思われる姿になっていた。

 

「追跡!撲滅!いずれも…マッハ!仮面ライダーマッハ…タイプチェイサー!」

 

「なんだ、その姿は…そんな形状のマッハはありえない!」

 

拓実はそんな蛮野さんの言葉を無視して

 

ブゥン!……ブゥン!ブゥン!ブゥン!

 

〚ずっーと、チェイサー!〛

 

シフトアップ……そして、見えなかった。

早すぎて見えなかったが、一瞬でゼロ距離に接近、膝蹴りを入れた。

 

「はぁぁぁ…はぁ!はぁ!はぁぁ!」

 

そして怯んだところでそのスピードを維持したまま強打を放つ。

 

「ぐっ……この…はぁ!」

 

蛮野さんも金色のエネルギー弾を放つ、連発で。

たが、拓実はそのスピードで周囲を大きく移動しながらよける。

そして一瞬の隙を見つけて、

 

「はぁ!せい!」

 

「ぐっ……がぁ!」

 

それでもエネルギー弾を放つがまた加速して避けていく……。

 

「はぁぁぁぁぁぁあ!!……らぁ!」

 

そして連続パンチ。

漫画でしか見ないような残像まで見えてしまう。

 

その中でも蛮野さんの反撃を冷静に避けて、再び連続パンチ…。

 

最後は力を最大に込めて一発。

さすがの蛮野さんも壁に激突した。

 

 

「速い……」

 

思わずつぶやいた。

実際私達の目に見えていない。

見えているのはただエネルギー弾を無造作に放っている蛮野さん……。

 

多分今は殺せんせーにしか見えていない。

 

 

「ありえない……マッハの性能がゴルドドライブを上回るなど!!」

 

そして高速移動する拓実に金色のオーラを出した。

拓実は全くうごけない。

さらに蛮野さんの手にはゼンリンシューターと信号のついたオノ……多分シンゴウアックスだと思う。

 

ゼンリンシューターを構えると拓実に向かって撃った。

 

「ぐゎぁぁ!…くっ…」

 

動けなくするなんて!

どうしよう……私には何も……

 

そう考えたとき、私達の後ろから三台のミニカー。

銀色に輝いている。

 

シンゴウアックスを構えて振り下ろそうとした蛮野さんに襲いかかり、離れさすとマッハドライバーに入っていった。

 

一瞬銀色の翼が見えて、拘束から解き放たれた拓実は

 

「……返せ、それは俺たちの武器だ!」

 

横に薙ぎ払われたシンゴウアックスを腕と腰で挟むと、蛮野さんごと振り回し、奪い取る。

ゼンリンシューターをシンゴウアックスで受け止められ無理矢理奪った。

 

「はぁぁぁぁぁあ!」

 

シンゴウアックスで一撃、

 

「せいゃあ!!」

 

ゼンリンシューターのゼンリンでもう一撃。

さらに蹴りを入れて地面を転がる蛮野さん……。

 

「おそらく…次の一撃で決まります…。」

 

殺せんせーがそう言うと、私達全員息を呑んだ。

 

「許せさん……許さんぞぉ!!」

 

蛮野さんが必殺モーションに入る。

 

「俺もだ!!」

 

〚必殺!フルスロットル!チェイサー!〛

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」」

 

溜めでお互いのオーラがぶつかり合う。

同時に飛ぶと、

 

「「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

飛び蹴りと飛び蹴りがぶつかり静止する。

 

「拓実……終わりだ!!」

 

蛮野さんがさらに力を入れる。

拓実が少し押された…。

 

拓実……頑張って!!

 

心の底からそう思った。

 

「チェイス……行くぞ!!」

 

この声と同時に後ろに紫の仮面ライダーの姿が見えた。

 

あれが…仮面ライダーチェイサー……。

 

仮面ライダーチェイサーとマッハの動きがシンクロ。

拓実はさらに力を入れた。

 

「はぁぁぁぁ……はぁ!!!」

 

今度は止まらなかった。

そのまま押し切った。

 

蛮野さんはゴルドドライブからロイミュード姿を変え…

 

ドォォォォォオン!!!!

 

爆発した。

 

「「「や、やったぁぁぁ!!」」」

 

みんなが笑顔になる中、拓実の方に目を向けると、

 

「はぁ……はぁ……うぅ!?」

 

ゆっくりと立ち上がってる最中にベルトがスパークし返信解除、その場に倒れかけた。

 

「拓実!!」

 

気づいたら駆け出していた。

拓実……拓実……拓実!!

しっかりと抱きとめて

 

「大丈夫!?」

 

だが、拓実は

 

「まだ………終わっていない……。」

 

「え?」

 

私から離れると、シンゴウアックスを拾った。

 

何を……する気なの…?

 

フラフラと頼りない足取りで進むと、

ある場所で止まった。

 

「ま、待て……拓実……」

 

蛮野さのベルト……。

あっ!!

 

「そのベルト意識があるから、放っておくと再生する。だがら、見逃すわけには…行かない。」

 

「ちょっと待て……私はお前の父だぞ……」

 

〚必殺!マッテローヨ!〛

 

静かにシグナルバイクを、セットした。

 

「ま、待て……偉大な私の脳を消してはならない…!」

 

〚イッテイーヨ!〛

 

「逝って良い………てさ…」

 

「まて!!!拓実ー!!」

 

そのシンゴウアックスを……振り下ろした。

 

ズガァァン!……パラ…パラ…

 

粉々に砕けた…。

 

「さよなら…父さん……俺の……未練。」

 

そして、完全に倒れた。

 

 

 

 

拓実sid

 

目を開けると、俺は仰向けになっていた。

正確には桃花の膝枕……何これなんのご褒美?

頭に幸せな感触と共に、泣いていた桃花の顔……。

 

この位置で見ると、破壊力のある……やめておこう。

 

「あれからどうなった?」

 

「みんなは先に進んだ。元々全員来いっていうのじゃなかったから…。殺せんせーが良いだろうって…。」

 

「そっか…。」

 

起き上がろうとしたが起きれなかった。

 

「無茶しすぎだよ……。ただでさえ動けなかったのに……うっ……うぅ……。」

 

また泣き出してしまった。

 

「…悪い…。俺もよくよく考えていなかったからな…。」

 

「……ぐずっ……有希ちゃんも言ってた…。無茶するのは今更止められないって……。でもさ、こういうの……もう……やめてほしいな……。」

 

そういうわけには行かない……。

無茶をしなきゃいけない時だってある。

というか、マッハで有る以上、それは仕方なのないことだ。

 

「拓実が無茶したらそれだけで心配ではちきれそうな人がいること…忘れないでね…?」

 

そういって抱きしめられた…。

それはものすごく温かい……優しい気持ちになれた。

 

「あぁ……わかったよ……。」

 

再び桃花の肩を借りて、ゆっくりと追い始めた


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