『サイド7、再び』
サイド7。
一年戦争当時、地球近傍の宇宙空間の大半は緒戦の1週間戦争でほぼジオンの制圧下におかれ、ルナツーの守備範囲内にあるこのサイドのみが連邦軍の勢力下にあった。表向きは疎開地のような扱いをされており、住民は老人や子供の比率が高い。
そのような環境を隠れ蓑とし、ここにV作戦により開発されるモビルスーツの性能試験等を行う施設が極秘に建造される。そして、宇宙世紀0079年9月18日にホワイトベースがモビルスーツの受領のため入港した時、シャア率いる偵察部隊との間で史上初めてのモビルスーツ同士の戦いがコロニー内で展開された。その時コロニーシリンダーに被った甚大なダメージにより、住民の生存者はホワイトベースに避難。コロニーは放棄されることとなる。
放棄されたサイド7をジオンに奪われる事を懸念した連邦軍はとある部隊を派遣。
その部隊の名はファントム。連邦軍直属の非正規の特殊部隊であった。
「まあ……こんな無法地帯の探索の為に派遣されるとはな」
特殊部隊ファントムのリーダー、ライア・イーグルスはポツリと呟いた。
こんな辺境に流しておいて何もする事が無い。所謂、憂鬱というやつである。
「しかしだな、ライア君。元ジオン兵の私からすればここはジオンが狙いそうな場所だ。連邦もここを放棄したが修理はされている。狙われるのも当然だろう?」
この元ジオン兵と名乗っているのはガイ・スティンガー。階級は軍曹である。元々はジオン公国に無理矢理パイロットにされたのが嫌で連邦軍に投降した奴。
でも無罪になって釈放された為、このように連邦軍へと転機した。元々センスが良い為かみるみると階級を上げて行った。
「ガイさんよォ、俺はこんなノホホンとする為に士官学校卒業した訳じゃねーんだぜ?」
ライアは告げた。こんな放棄されたとこでゆっくりと宇宙食を食べる様な生活はもう懲り懲りだ。そう言った直後だった
《サイド7宙域に敵影発見!出撃をお願いします!》
基地内にそう警報が流れた。ライアは驚きの顔のまま走り出す。
RGM-79FPB ジム・ファントムのコクピットへと飛び込む。
ジム・ファントムはこの特殊部隊ファントム用にカスタマイズされたジム・ストライカーで、後にビーム・トンファーと呼ばれるものを両腕に装備し
黒く塗装され、宇宙空間で幻影の様に動く事から名付けられた。
魔改造ジムとは少し違ったりするのだが。
「ライア・イーグルス、ジム・ファントム、行くぞっ!!」