暴牛所属の偽・獅子王   作:〇坊主

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行い

 

 

 入り口を塞いでいた岩盤を力技で粉砕して奥へと進んでいく二人。

 洞窟をドゥン・スタリオンで駆けているため空洞へ出るまで、そう時間はかからなかった。

 外にまで影響を与える魔力を有している魔宮(ダンジョン)のため内部は魔力に満ち溢れており、魔法による妨害がいつ起こってもおかしくはない状況だ。防衛ラインを強引に抜けられたことで魔宮自身が混乱している状況なのだろうか。シャムミッドがわかっていることは迅速にこの魔力源を停止させ、厄介事を無くすことだということだ。

 

 

「…………」

 

 

 星魔法

 

  “風王結界”

 

 

 セッケを脇に抱えながら風の防波堤を築く。

 これで飛来していた岩の針を粉砕し、そのまま岩の発射装置を見つけて壊していく。

 

 

「随分手荒い歓迎ですね…まぁこちらも不法侵入なので何も言い返せませんが」

 

「は、フ、フッハ!す、すげぇ!これが魔法騎士団…!!」

 

「思ってたより余裕そうですね」

 

 

 シャムミッドの対応でセッケが独特な笑いをしながらもうれしそうな表情を浮かべているのを確認し、現状は問題ないことを把握した。

 今度は周囲を確認。

 先ほどまでの妨害行為は目に映るすべての砲台を破壊したためか無くなっていた。そのため、周囲は魔力に満ち溢れているだけで打って変わって静かである。

 ただダンジョン内部と言っても物によって様々だ。今回のは結構狭いほうだろう。かつて人が住んでいた可能性を有している建造物が所狭しにあり、ここから進むのであれば騎馬であるドゥン・スタリオンでは逆に移動に制限がかかってしまうだろう。

 そう判断したシャムミッドは愛馬の魔法を解除する。

 ここから先は徒歩での移動だ。

 

 愛槍を構えているとは言えど、どんなことが起きるかわからないのが魔宮の恐ろしいところだ。

 2か月前、シャムミッドは興味本位で魔宮に一人で乗り込んで行ったときは壁に圧殺されそうになるわ、足元から直径10メートルほどの大穴が開くわ、魔法が封印されそうになるわで大変な目に会っている。正直なところ良く生きてこれたものだ。

 ちなみにその時の成果はめぼしいものはなく、金色に光る杯を手に入れただけだった。(マナ)はあまり感じなかったが、見た目が綺麗だったのでそのまま部屋に飾ってある。

 

 話は逸れたが、魔宮は遊び感覚で行くようなところでは断じてないということだ。

 気を緩めば張り巡らされた罠魔法が起動するのだ。なので脇に抱えているセッケは降ろさずにそのまま進むことにした。

 

 

「シャムミッドさん。なんか壁や床に消えかけた円っぽいのが見えるんですけど…あと降ろしてくれないんすね」

 

「それは罠のスイッチです。触ったりしたら即お陀仏と思いなさい。微かに見えるなら問題はなさそうではありますが、もしものことがあります。なのでもう少しこのままです」

 

「そっすか…正直このままのほうが嬉しいっす

 

「?何か言いましたか?」

 

「なにも言ってないです!」

 

 

 独り言をつぶやくセッケに頭を軽く傾げたシャムミッドは深くは考えることはしなかった。

 罠に引っ掛からないように歩を進めて数分。辺りの罠がなくなってきたところでセッケを降ろす。なぜか名残惜しそうなセッケにさらに首を傾げるがシャムミッドにはその解答が出てこなかった。軽いモヤモヤ感を抱きつつも奥へ進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

「下民が暮らす村付近に『魔宮』が現れたようですな」

「『銀翼の大鷲』団長のノゼル様もすぐに人員を送ったというから問題はないでしょう」

 

 

 場所は変わってクローバー王国の玉座の間。

 国を運営する大臣や側近の者達が集まって雑談へと洒落込んでいた。

 国内の情勢やら敵対している他の王国、プライベートの話まで、各々が思うがままに語っていた。そのなかでも最新な話である魔宮の話が多いのは予測できることだ。玉座に座っている現魔法帝のユリウスも魔力が少ない者たちが暮らす地区 恵外界(けいがいかい)で発生した異常の話を受けている。

 

 

「お伝えします!魔法帝!!」

 

 

 これと言った不満など無く時間が過ぎようとしていた所に一人の魔法騎士団員が玉座の間へと入ってきた。

 フードで顔を隠しているものの、彼もクローバー王国を陰から支える伝令のものだ。誰も彼の行動を咎めることなどせず、次の言葉を待った。

 

 

「現在恵外界で発生した『魔宮』にて、『銀翼の大鷲』団が調査を開始致しました――!先行しているとされる『黒の暴牛』団の者も周囲の破壊痕などからすでに調査を開始していると思われます!」

 

「なに?あの『黒の暴牛』がか……?」

「あそこは普段から当てられた仕事をしないのではなかったのでは?」

「いや、ここ最近『黒の暴牛』でも一人、仕事に熱心な者がいましたな。名前はシャムミッド・ペンドラゴンでしたか」

「あぁ、試験会場で前例の無い事を仕出かしたあの…」

 

 

 伝令の口から『黒の暴牛』という単語が出てきたことに驚いている様子である大臣らであるが、最も早く行動に移したのは暴牛だった。シャムミッドのやらかしは当然ながら彼らの耳にも入っている。

 そのインパクトは強烈であったものの、蓋を開けてみれば暴牛で一番仕事をしている人間になっていると言っていいだろう事実にならまだ理解が出来るといった反応だ。

 

 

「うん。報告をありがとう。でもその様子からして、まだ何かあるんだろう?」

 

「…はっ!『黒の暴牛』団及び『銀翼の大鷲』団が調査を開始した『魔宮』から高濃度の魔力を感知。現在その魔力は上空に留まっているだけでなく、すこしずつ範囲を拡大している様子です」

 

「なんと…!?」

 

 

 ユリウスの近くに立っていた男が驚愕を露わにする。

 伝令の言葉だけでは状況をすべて把握することは難しいことではあるが、放っておくことはできない案件に成り得るのではないかという懸念があるのだろう。

 だが伝令が伝えたかった報告はそれだけではなかった。

 伝令自身も動揺しているのか、早口になっている。

 

 

「そして、ダイヤモンド王国の魔導士軍隊の存在も確認しました!恐らくは『魔宮』から発生した魔力を感知し、急遽行動に移してきたと考えられます!!」

 

 

 ざわ…

 

 

 動揺が一気に広がっていく。

 クローバー王国の隣国でもあるダイヤモンド王国。

 それはここ最近になって急激に領土を拡大を始めており、武力を以て強引に他国に侵攻を始めている戦争国家であるからだ。

 ダイヤモンド王国にもクローバー王国の『魔法騎士団団長』と同じように『八輝将(はっきしょう)』と呼ばれる将軍クラスが8人存在している。数年前にユリウス率いる魔法騎士とダイヤモンド王国の八輝将で戦争を行った際はそこまで問題はなかったものの、魔宮で希少な魔道具を取られた場合今後悪用される不安もある。

 

 

「落ち着くのだ。多少の雑兵であれば『銀翼の大鷲』の者で対処できる。して伝令よ、敵の戦力は如何ほどのものなのだ?」

 

「…………」

 

「?どうしたのだ?早く報告せぬか」

 

「…軍を率いているのは『奈落』のロータスです――…!」

 

「『奈落』のロータスだと!?ダイヤモンドでも名のある名将ではないか――!」

 

 

 動揺が一帯に広まっていく。

 『奈落』のロータスは『八輝将』ではないものの、戦闘経験豊富で魔法騎士団団長との戦闘においても捉えることはできずに見事に逃げられたことがある。他の者達とは異なって状況判断能力が鋭く、ゲリラ戦を展開されていれば騎士団団長であっても苦戦を強いられる猛者だ。異名を持っているのは伊達ではない。

 そんな人物がクローバー王国内で発生した魔宮に侵入したということはそれだけ今回の一件を取りに来ている証拠でもあった。

 

 

「大丈夫さ」

 

 

 そんな彼らの内心を読み取ったかのようにユリウスは制する。

 ユリウスも昔戦場で『奈落』のロータスと出会っており、実力の高さも理解している。そのうえも尚大丈夫だと言い切った。

 ユリウスの表情は何の不安も存在しない、確信を持っていた。

 

 

魔法騎士団(ウチ)の子達も、強いよ」

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

「シャムミッドさん。どこまで歩けばいいんっすかね?結構な距離を歩いていると思うんすけど」

 

「どこまでと聞かれたら目的地までとしか言えません。周囲はそこまで広くはありませんが、確かに結構な距離ですね。……おや?どうやらようやく階段は終わるようですね」

 

 

 シャムミッドはセッケと共に階段を降りていた。

 行き止まりで立ち往生していた時、セッケが躓いてこけた拍子に偶然見つかった地下へと続く螺旋階段。そこを今二人は進んでいた。

 結構深いところまで降りているのだが、周りは暗くはない。

 人を探知する魔法でも仕掛けられていたのか、シャムミッド達が進んでいくのに合わせて壁に取り付けられているランタンに灯が灯り、通り過ぎれば消えていく。螺旋階段は出口から一番下まで空洞であるのだが、一定の深さまで来たためか、頂上の光も届かないほどの深さまで歩いてきたようだ。

 あまりの深さに先にセッケが根をあげるものの、それに合わせて最下段まで到達した。

 

 

「ふぃー…こんなに階段降りたのは初めてっすよ…でもわざわざ歩いておりる必要なかったんじゃないっすか?」

 

「そこはあれです。お決まりというものです。壁に何らかの細工がある可能性もあったので歩いていましたが、特に問題はなさそうですね」

 

「お決まりって…」

 

「それにいい運動になったではありませんか。魔法に頼るのは構いませんが、魔法騎士団に入りたいのであれば一定以上の身体能力も保持していないと入ってからキツイ思いをすることになりますよ。場合によっては不眠不休で戦い続けることだってあるのですからね」

 

「…うげぇ…」

 

 

 現役騎士団員からの言葉に露骨に嫌な顔をするセッケのデコを突き、直線に伸びる通路を見る。

 それに呼応するかのように通路の両端に設置されたランタンが灯っていく。

 遠目で見るに通路の奥には巨大な扉が道を塞いでいるようだ。

 

 詳しく調査するために通路を歩き始めるとセッケも慌ててかけてくる。

 側面には守護者と見立てて設置されているのか、4メートルほどの巨大な石像がこちらを見下ろしているかのようだ。

 

 

(今にも動き出しそうな威圧感を感じますね…)

 

「でっけぇ…目的地はこの奥なんっすよね?どうやって入るんすかね」

 

 

 シャムミッドが側面の巨像に目を奪われている間にセッケは10メートルを超えそうな扉に近づいていく。

 力押しでこの扉を開けることは二人の力では無理があるだろう。鍵穴があればそれが扉を開く手段となり得るのだろうが、視認した感じでは鍵穴など存在しないようだ。

 あまりの巨大さに上を見すぎて首が痛くなる前にセッケは目線を降ろす事にした。

 どうするか聞こうとシャムミッドに尋ねたのだが、一向に返答が来ない。どうしたのかと振り返るとシャムミッドは扉の模様を見て驚いている様子だ。

 

 

「馬鹿な…偶然…?いや、いくら何でもこれは…」

 

「……?シャムミッドさん?どうしたんすか?確かにでっかくて壊せそうにもないっすけど、そこまで驚くことですかね?」

 

「…えっ?あっ、いえ、すいません。どうしましたセッケ?」

 

「いや、こんなにでっかい扉があるから進めそうにないしどうしようかを聞こうとしたんすけど…」

 

「そうですね…強引に突破もこれでは無理でしょうし…何かできそうなのをしらみつぶしに探しますか。時間は余りないですが、ここで慌てても意味ないでしょうし、慌てて見落としがあれば本末転倒ですからね」

 

 

 近くの石像などをセッケに探させながらシャムミッドは内心気が気ではなかった。

 当然セッケに心配されたからではない。今シャムミッド達を阻んでいるモノに心当たりがありすぎたからだ。

 だが心当たりはあれども到底信じられるものではない。もしも長い年月を経ていたとしても、こんな地下深くに存在するものではないはずだからだ。

 

 脳裏に浮かぶは恐怖に耐えながらもこちらの攻撃を受け止め続ける儚き少女の姿。

 十二分の活躍、いやそれを超える働きをしているのにそれでも足りないと藤丸 立夏(希望)に全てを授けていた少女とそれに手を貸していた一人の英霊。

 彼らが手にした盾。まさに円卓を用いたその盾と全く同じものが、眼前の扉に彫られているのだ。

 深く考えたことはなかったが、特異点で築き上げたキャメロット城の城門もこれに近い大きさであったのではないか。それをまさかこのような場所で見ることになろうとは思いもしなかったのだ。

 見た目は同じでも性質まで同じとは当然限らないが、もし『魔を弾く城塞(ロード・キャメロット)』と同義の性質を持っているのならばいかなる魔法でも破壊するのは不可能だろう。それだけでなく、敵意や悪意をほんの少しでも有している人間をも通すことはない。

 

 それだけだとものすごく便利な存在であるのだが、その時のことを考えると嫌な汗が出てくる。

 畜生に落ちる覚悟で行ったこととは云えど、似た力を模して築いたキャメロットを悪用していたのだ。

 万が一のための緊急装置とは言え、敵意を感知すれば決して通すことはしなかった。

 カルデアと相対したときは太陽王の力で破られたが、もしそれがなければ彼を慕うサーヴァント達の敵意を感じ取って女神の聖槍(ロンゴミニアド)を用いて決して出会うことはなく。それに伴って人理を修復させることも許さなかっただろう。

 

 人類種を護るために、人類の歴史をすべて見捨てようとしたその姿勢を眼前の扉はその事をどう受け取るのか。

 もしシャムミッドが行動を起こしても何ら反応を起こさず、寧ろ拒絶された場合に平静を保てるのか…

 

 

(……怖い)

 

 

 怖い。

 

 自然に手が震える。

 呼吸が自然と早くなる。

 それに合わせて袖を握りしめる。

 そう、怖いのだ。

 

 確かにシャムミッドは偽物だった。

 本来の役目を果たす者の場所を奪い、人類の守護(カウンター)として呼び出された円卓の者達に頭を下げた時は激怒されたが、それでも足掻くと決めた。彼らの神経を逆撫ですると分かっていても、頭を下げた。頼み込んだ。

 彼らに師事し、偽物(シャム)を名乗り、最後の特異点の足枷とならないように特異点を変質させた。

 必死でよく覚えてはいないが、円卓の騎士(みんな)とは友好な関係を築けていたと信じたい。

 

 だがキャメロットそのものから拒絶されてしまった時、今まで行ってきたこと全てが否定されてしまうのではないか。友好だと思っていたのは自分だけで、裏ではそうではなかったのではないか。

 悪い考えを一度持ってしまうと底なし沼の様に深く沈んで行ってしまう。それはわかっていても、簡単に止められるものではない。

 

 

(…私は……)

 

「ん?うおっ!?な、なんだ!?」

 

「!?どうしました!?」

(しまった!考え込みすぎた―――!)

 

 

 敵――!?

 

 すぐにセッケの声がした方向を見る。

 セッケは突然の出来事で反応できなかったのか、水で出来た蛇に巻きつかれて動きを封じられてしまっていた。

 

 

「やれやれ、なんで魔宮内に役立たずの下民がいるんだぁ?」

 

「フフ、全くね。下民をこんなところまで連れてきている者がいることに(わたくし)は驚愕ですよ」

 

 

 奥から足音が二つ。

 灯によって姿は見えるため、敵ではないことは確かだ。

 

 

「…それはそれは大変なことですね。私としてはそんな下民をわざわざ魔法を使って拘束するあなた方の思考回路に驚愕を覚えますけどね」

 

「ククッ、言ってくれるじゃねぇかァ。役立たずの暴牛風情がァ~…」

 

「魔宮内に騎士団でもない下民がいるなら、警戒するのは当然ではなくて…?もしやそんなこともわからないのかしら?」

 

 

 煌びやかな衣装から貴族であることは察せられた。

 セッケを拘束した者達はクローバー王国の騎士団のローブを羽織っている。

 

 『銀翼の大鷲』

 

 不敵な笑みを浮かべながら歩いてくる二人が所属する団。

 シャムミッドが団長でも一番苦手とする団長 ノゼル・シルヴァが率いる団員である。

 

 警戒は怠らない。

 いくら同じ王国を護るために魔法騎士団に入っているからと言っても、各団員が仲がいいわけではない。

 何よりも先ほどから魔法をいつでも放てるようにしている二人に対して、隙を見せるわけにはいかない。

 

 

(まったく、面倒な増援を送って来たものですね…)

 

 

 変な前髪をした団長に愚痴を言いながら、シャムミッドはいつでも対処できるように気を引き締める。

 魔宮を踏破し、事態を収拾するまでもう少し時間がかかりそうだ。

 

 




 
 
 
 
 FGOは水着イベント始まりましたね。
 イシュタルがライダー枠だったのが驚きでした。正直ルーラー枠かと。
 
 前回の水着は中途半端なところで周回が止まってしまったので今回のはやり遂げたいですね。

 ではまた次回にお会いしましょう。

 

今後どんな乳上を見たい?

  • 獅子王
  • 下乳上
  • バニ上(第一~三霊基)
  • あえての青王
  • 良いから全部使えよハゲ
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