暴牛所属の偽・獅子王   作:〇坊主

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大鷲の貴族

 静かに構える。

 

 シャムミッドが最初に取った行動はそれだった。

 

 味方であるはずの魔法騎士団員。それなのに気を逸らしてはいけないと直感が警告を発している。それに水蛇に縛られて動けなくなっているセッケをどうにかして解放しないと、動くように動けない。

 セッケを見捨てるという選択肢は彼をここまで連れてきている時点で存在しなかった。

 

 静かに相対する二人の魔導士が所属する団は『銀翼の大鷲』

 

 シャムミッドを一番警戒する団長 ノゼル・シルヴァが率いる団の者だ。よく共に行動している姿を見ているため、顔は覚えていた。

 団長に倣って思考はガッチガチの貴族主義。魔力が劣っていようがいまいが、貴族でない下民出身というだけで見下す典型的な貴族だ。

 

 シャムミッド達が周りを警戒しながら妨害装置を破壊していったことで、彼らが追い付くまでの時間を稼いでしまっていたわけであるが、シャムミッドは眼前の二人に気づかれないように魔力を練りつつも問いかける。

 

 

「…魔宮(ダンジョン)外は今、高密度の魔力で覆われていますが、状況はどうなっているのですか?私達は内側から止めるべく、ここまで来ているのですが。まさか全て問題が終息しているのでしょうか?」

「い~や、まだまだ高密度の魔力が覆ってる状況だよ。今はまだ動きがなかったが、これからどうなるかは知らねぇ」

「魔宮の入り口が破壊されているから(わたくし)達もそれに倣って来た。ただそれだけですよ。周囲の被害に関しては心配はいりません。他の団員が監視していますから」

「それは良かった。ところで今拘束されている彼は敵ではなく、まぎれもないクローバー王国の国民なのです。そろそろ拘束魔法を解呪されてはどうでしょう?」

「クク…そうだなぁ…確かにお前の言ってることは理に適ってる…」

 

 

 先頭に立っていた男は下を向きつつ笑う。

 まるでシャムミッドの言い分がおかしいとでも言うかのように。

 

 

「だがな、言葉がなってねぇな!!」

 

 

 水創成魔法 

 “聖水の凶弾”

 

 

 星魔法 

 “女神の聖骸”

 

 

 掲げる右手に魔力集約。瞬時に水を形成し、砲弾レベルの大きさとなって飛来する。

 相手からすれば不意をついて放ったであろう水の砲撃。だがシャムミッドは瞬時に自身を覆う鎧を形成。魔力放出で右アッパーを決める形で砲弾をかち上げ、強引に弾道を逸らした。

 

 

「…どういうおつもりですか?」

 

 

 水の砲弾が背後で壁に当たるのを感じつつ『銀翼の大鷲』に問いかける。しかし問いかけつつもシャムミッドは問いかけなど無意味だと理解していた。

 もし話し合いで解決するのなら、相手は最初から味方に魔法を撃ってきたりなどするまい。

 今度攻撃をしてくれば躊躇いなく、意識を飛ばす。最悪の場合は命を奪う可能性も考慮しつつ、シャムミッドは相手がどんな行動をするのか冷静に待つ。魔力放出の精度こそそれほど高くはないが、大雑把にでも使える分相手との間合いは無いのと同じだ。

 

 

「このオレの魔法を難なく弾きやがって…下民風情がァ~~…」

 

 

 対する敵対行動をとってきた男。自分の魔法が対処されたことに怒りを覚えているようだ。

 格下だと見下す姿勢は兎も角、絶対に負けるはずがないという謎の思い込みがあるのだろう。歯を思い切り噛みしめて震えていた。

 実にらしい反応である。仮に同じ戦場に立ったのであれば罠にかけやすい性格をしているようだ。

 

 

「フフフ、下民なのに随分とやるのね。ソリド、躍起になるのはいいけど遊んでいる時間はないわよ」

「ネブラ姉様…チィッ!」

 

 

 背後にいた女性団員 ネブラの一声で攻撃してきた男 ソリドは舌打ちをしつつ構えを解いた。それに合わせてセッケを拘束していた魔法も解けて自由になる。

 味方に拘束された事態に理解が追い付かずに呆然としていたセッケを他所にネブラとソリドはシャムミッド達に背を向けた。

 

 

「あからさまなものがあるけれど、ソリドの魔法を受けてもなんの損傷もないところを見ると別に仕掛けがあるのでしょう。調べ損ねがないか確認しに行きますよ」

「わかりましたネブラ姉様。……次は無いぞ黒の暴牛…ッ!」

(仕掛けてきたのはそちらなのですが…)

 

 

 一方的に攻撃を仕掛けてきたというのにも関わらず、こちらが悪いとでも言いたげな態度をとるソリドと呼ばれた魔導士にため息をつきつつ、尻もちをついていたセッケに近寄る。

 セッケ自身に外傷はなく、ただ魔法が解けたことでバランスを崩しただけだったようだ。

 だが外傷はなくとも内心は多少なりの動揺はあるだろう。魔導士のトップに位置する貴族達が普段からどのような考えなのかもわかってしまったのだ。フエゴレオン魔法騎士団長という良い一例も存在するが、彼ほどの人材は稀であろう。

 

 

「セッケ。大丈夫ですか?」

「…はい。ありがとうございます」

「貴方が気を落とす必要はありませんよ。どの国であってもああいう輩は出てくるものです。貴方が行うべきことは落ち込むのではなく、見返すために這い上がる努力をすることですよ」

「這い上がる…努力…ですか?」

 

 

 そのため気落ちしているセッケに声をかける。落ち込むよりも前に進めとのメッセージを直接告げたことで下を向いて暗い顔になっていたセッケは顔をあげた。

 魔力は多少なり有していても、実際に貴族と戦って勝てるとは一切思っていないのだろう。シャムミッドの言葉に疑問を抱いて問いを投げてきた。

 

 

「貴族だから強い。下民だから弱いなんて考えるのは退化している証拠ですよ。確かに魔力の才能という点であれば貴族の方々が有利な位置にいるでしょうが、そんなものはスタートラインでしかありません」

 

 

 私も貴族ではありませんからね。

 

 そう言った瞬間のセッケの驚き様はすごかった。どうやらセッケに貴族だと思われていたようだ。

 聖槍を用いるこの身体は騎士王のものであり、外見で言えば貴族と取られてもなんら問題ないのであるから仕方のないことだろう。

 

 

「…な、なら!シャムミッドさん!一つお願いがあります!」

「む?どうしましたか突然?」

「お、俺を鍛えてくれませんか!!」

 

 

 そう言われたシャムミッドはクローバー王国に危機が迫っている状況を隅に置いて、どうしようと内心慌てるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーんどうしたものかね~~あの扉の奥に何かがあるのは確実なんだろうけどねぇ~」

 

 

 そんな二人を影で観察する者が存在していた。

 

 顎に立派な髭を持った男はどうしたものかと頭を掻く。

 彼の周囲にも3名ほどの魔道士がいつでも行動できるように準備を進めて待機しており、今か今かと彼からの指示を待っている。

 

 彼も一人事のように喋っているものの、先ほど戻っていったクローバー王国の魔法騎士やまだ残っている二人には気づかれていない。

 それは彼が持つ魔法の力でもあり、彼のとっておきともいえる強みでもあった。2年前にもクローバー王国の魔法騎士団団長との戦闘があった際にも、彼の魔法は通じることが証明されていた。

 

 

「ロータス様。このまま奇襲をかけるのがよろしいのでは?まだこちらに気づいていないようですし、またとない機会であるかと」

「そのはずなんだけどねぇ~男の子はともかくとして、もう片方が曲者だねぇ~。やれやれ…さっきのいざこざのせいで一層警戒しているようだし、下手すればこちらが後手に回りそうなのが大変だ」

「では…如何に?」

 

 

 部下の問いに対して静かにロータスは笑みを作った。

 

 

「ま、今回のお仕事はあくまでも遺跡の調査。僕らがやることはそれ以上もそれ以下もないよ。まぁ扉の奥も気になるところではあるけど、さっさと撤退の準備をするよ。ここにいると気付かれたとき厄介事に僕らも巻き込まれかねないからね」

「ハッ。了解しました」

 

 

 静かに、されども俊敏に。

 

 ダイヤモンド王国の軍属『奈落のロータス』

 相手を観察し力量を計りながら戦術を立てていく戦巧者は文字通り煙を巻くようにして、その場から4人の魔導士と共に姿を晦ませるのであった。

 

 

今後どんな乳上を見たい?

  • 獅子王
  • 下乳上
  • バニ上(第一~三霊基)
  • あえての青王
  • 良いから全部使えよハゲ
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