やぁ。
コンタクトレンズ買うために眼科へ診断しに向かったけど、30分使ってもコンタクトを外すことが出来ずに結局買えなかったのが悔しかったので投稿だよ
「着いたぞ。ここが『紅蓮の獅子王』の拠点だ」
魔法騎士団の入団試験結果として独り立ちする事を決めたセッケは団長であるフエゴレオンと他の新入団員等と共にこれから暮らすことになる拠点へとやってきた。
紅蓮の獅子を冠する組織なだけあってか、関係する建造物は赤をイメージカラーとした作りになっているようだ。
ここ最近勢いを伸ばしている『金色の夜明け』団に押されてきているが、それでも星の取得数を示す祭り『星果祭』では歴代でも常に1位か2位を取り続けてきた由緒あるエリート集団。
周囲の手入れもしっかりとされており、配属されている団員だけでなく、影から支える従業員の方々も厳しく教育を受けてこの場に立っていることは貴族の世界に足を踏み入れたことのないセッケでもわかったほどだ。
「ここに集まっている者達は我々『紅蓮の獅子王』に所属することを認められ、そしてこのクローバー王国を守護するために存在することを義務付けられている者達だ。
そのためにやるべきこと、己自身に課すべきもの。我々に必要なもの。それを常日頃から考え、時に冷静に、時には大胆に動けるようにならねばならないことを念頭に置いて、これから活動を行ってもらう。
当然厳しくすることも多々あるだろう。だが君たちが一人前の魔法騎士団員となり、未来のこの国を担える存在になるべく、サポート体制は万全を期して行っていく。
これからの諸君らの成長に期待している。
『紅蓮の獅子王』総員が、君たちを歓迎する。」
『 はいっ!! 』
団長であるフエゴレオンの激励に新人らはそれぞれの想いを胸に拠点へと足を進めていく。
その光景を後ろで見ながらセッケは今の気持ちを整理すべく、一回だけ大きく深呼吸をした。
(
「…いい顔をしている」
セッケは自分の魔導書を強く握りしめた。
ここまでの出会いと鍛錬が、自分をこの場に立たせている事実。
確かに負けてしまったものの、この場に立っていることがある程度認められた証拠でもある。
喜びや悔しさ、そしてこれから背負っていく責務を受け入れたセッケを見るフエゴレオンは笑みを浮かべた。
『紅蓮の獅子王』は古くから存在する貴族「ヴァーミリオン家」が代々団長を務めてきた。
その関係からか団員の多くは貴族たちが住まう
保有する魔力量や魔力操作などが優れて者が多い王貴界の者が割合を占めていくのは必然的なものであったのだが、今回はそうではない。
平界出身のセッケは今回入ってきた新人らの中で確実に一番強い。
それはすでに最終試験で実証されているし、今の状態でも四等中級魔法騎士ぐらいの者達は一蹴されるだろう。
小さいプライドを掲げて攻撃を加えるような者は『紅蓮の獅子王』には存在しない。
逆にその魔力に当てられて奮起する者達が現れてくれることをフエゴレオンは期待していた。
「フハハハ!貴様がセッケだな!喜べ!このレオポルド・ヴァーミリオンが貴様の名をしっかりと覚えてやろう!!」
「フッハ!…えっ、なんですか突然…びっくりしたぁ…」
「ハッハッハ!そのような反応をするのは初めてだ!よし、セッケ!!歓迎会が行われるのはもう少し後だから時間はある。貴様の力が知りたい!今から貴様の力をオレに示して見せよ!!」
そんなフエゴレオンの気持ちを知ってか知らずか、セッケに声をかけたのはフエゴレオン血縁で弟にあたる団員レオポルド・ヴァーミリオン。
セッケは突然ものすごく偉そうに声をかけられたことで素で反応を返していた。
先輩であるレオポルドにそのような反応をするのは失礼に値するのだが、当の本人は全く気にした様子はなく、むしろそんな反応が新鮮で面白いと大きく笑った。
(まったくレオの奴め…まだまだ子供だな…だがいい機会だ)
そんな反応を見て、フエゴレオンは見守る。
レオポルドは兄の補佐として入団試験会場にいた。
そこで行われた試合を観て、自分の力をぶつけてみたいと考えていたのだ。
補佐として来ている以上、勝手な行動は許されない。
しかし彼らの本気で戦う姿勢に心を動かされたのは事実。
試験が終わったことと、己の心に灯る炎に同調するかのように静かに昂る魔力はレオポルドを行動に移させるのに十分であった。
団長に見守られながら、セッケはそのまま引きずられていく。
他の団員とは違った意味で、熱烈な歓迎を受けたのである。
「本日をもってこの『金色の夜明け』に所属する諸君等の活躍、期待しているよ」
時刻はセッケと同じタイミング。
アスタとセッケのライバルであるユノは団長直々の歓迎の言葉を頂いていた。
ユノは普段通りの冷静な表情でその集いを受けていたのだが、他の新人たちの中には団長に陶酔しているのか、歓喜の涙を流す者もいる。
『金色の夜明け』は王国内でも新興勢力であり、歴史は他の団と比べて浅い。
そんな中で瞬く間に王国最強の魔法騎士団へと押し上げた存在に思うところがあるのだろうが、生憎ユノにはそんな感情は一切なかった。
「ヴァンジャンス団長、そろそろお時間です」
「おや…もうそんな時間になっていたか…」
側近の団員が予定が押していることを告げると団長のウィリアム・ヴァンジャンスは顎に手を当てる。
少し思考を巡らせた後、少し残念そうな表情を浮かべた。
「済まない新入団員の諸君。私はこれより重要な任務が入っているのでね、ここで失礼するよ」
『はいっ!お疲れ様でした!!』
団長らが退席し、数人の魔導士以外は新米になって少しすると一斉に騒めき立った。
国を護る英雄に期待されているという言質が彼等にとってこれ以上にない幸せとなったであろう。
「オレ達ももっと強くなって、団長を支えられる存在にならないとな!」
「ああ!俺、1年で一等下級魔導士まで上がって見せる!」
「負けないぞ!!」
成長への意欲を見せる彼等は貴族出身だけではない。平民の出の者もいた。
『金色の夜明け』はノゼル率いる『銀翼の大鷲』やフエゴレオンが団長を務める『紅蓮の獅子王』と比べて王貴界出身は少ない。
これも身分を一切重視せずに実力と今後の見込みのみで採用を決めてきたからだ。
それでも一部の団員は平民以下を下民と侮蔑の意味を込めて言い放つのだが、今期の彼等には通用しない物言いだ。試験で格上に打ち勝った団員もいるのだ。
これから『金色の夜明け』を担っていく者が多くいるこの団は将来も安泰であろう。
「そういえばオレ達の中でも一際目立つヤツがいたな」
「あぁ…!四つ葉の魔導書に認められた天才…!!」
「ユノと言ってたな…!これから同じ団員としてよろしく!」
「はい。よろしくお願いします」
フランクに接してくる団員にユノも返す。
彼等全員が魔法帝を目指しているかはわからない。だがこれから苦楽を共にしていく仲間であるため、コミュニケーションを忘れない。
「さっき先輩に確認したんだけど、これからは自由時間らしいんだ。こうやって全員集まる機会は任務を始めると少なくなってくると思うし、どうかな?良かったらオレと手合わせしてくれないか?」
「手合わせを?」
「ああ!伝説の魔導書を持つ天才に、オレがどこまでやれるのか…それを確認したいんだ!」
「…わかりました。手加減はしませんよ」
「望むところだ!」
こうしてユノと団員らの一日は過ぎていく。
合わせずして別々の場所で起こった御前試合。
期待以上の結果を得られた二つの陣営はこの日の出来事の後、新人の力量を図るため、歓迎会と称して事前に決められた団員と今期の有望株を戦わせることが恒例になっていくのだが、それはまた別のお話。