暴牛所属の偽・獅子王   作:〇坊主

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偽・獅子王は何を想う

 

 ユリウス・ノヴァクロノ―――“魔法帝”と名乗った彼はこの国クローバー王国において軍事面において国王と同等の権限を持つ存在だった。

 元帥レベルの超大物相手に崩した言葉をかけていたことに気づいて謝罪に向かった時もやんわりと対応してくれた。今まで通りで構わないと言ってくれたことに感謝している。

 

――先も述べたがこの国はクローバー王国。昔、魔神と呼ばれる存在が世界を滅ぼそうとした時、一人の魔道士が現れて打倒。それが伝説となって魔法帝と呼ばれるようになったらしい。ユリウスはその魔法帝の名を継ぐ人物だ。

 この国を表すシンボルはクローバー。だからクローバー王国なのか、安直である。トランプの柄みたいな名前だと思っていたら隣国にダイヤモンド王国などがあることをこの前知った。それも仲が良いわけでなく、臨戦態勢でちょくちょくちょっかいをかけて来ている。全く以て穏やかじゃない。

 だがお陰で治安を守る組織である『魔法騎士団』の仕事が生まれてくるため、色々と複雑である。戦争が最も利益を生むと聞いたことがあるがこれは全く以て頭を悩ませる問題だ。

 

 『魔法騎士団』とは何か?

 

 それは軍事面のトップである“魔法帝”の元に集う9つの戦闘部隊と考えればいいだろう。

 どの団も個性的であり、そこに所属する団員もそこに合った趣味趣向をしている。

 

 

 最近破竹の勢いで活躍する魔法騎士団である『金色の夜明け』

 焔の如き熱血漢が多い印象の『紅蓮の獅子王』

 王族至上主義に特化した『銀翼の大鷲(おおわし)

 構成員の多くが女性団員である『(あお)の野薔薇』

 血の気の多い『翠緑(すいりょく)蟷螂(とうろう)

 平均的で安牌の『水色の幻鹿(げんろく)

 ミステリアスさが売りの『珊瑚の孔雀』

 マッドそうな雰囲気を漂わせる『紫苑(しおん)の鯱』

 そしてザ・問題児の『黒の暴牛』

 

 

 彼らによってこの国の治安と平和は維持されているようだ。…前半はともかく後半は大丈夫か、だって?恐らく大丈夫だ。問題ない。

 

 シャムミッドはユリウスの手助けを借りながら王国で日々働いていた。

 名を変えて生きているとはいえ、容姿はIFのアルトリア・ペンドラゴン。はっきり言えば普通に美女なのである。案内人や魔道具の販売などのアルバイトをしていたとしても美しい女性がいるなら一目見ようとするのが男の性。人が増えすぎて回らなくなり、逆にハブられてしまうというなんともいえない経験をしてしまった。

 女性の身になって男に詰め寄られるというのは第六特異点でも経験したことがない(円卓の面々は皆皮は真面目だった)ため、今回が初めての経験となり、女性の気持ちがわかったシャムミッドだった。

 

 そんな環境も落ち着いて何とか一人暮らしをしても大丈夫になってきた頃、シャムミッドはユリウスから一つ提案を受けた。

 

 どうやらこの国では年に数回、魔法を操る素質を持った者たちを集めて“魔導書(グリモワール)”の授与式が行われるらしい。

 魔導書は魔法の応用性を生み出すだけでなく、持ち主と連動して魔力を高める効果もあるようだ。そのため持ち主が何らかの原因で亡くなった場合などは魔導書も共に消滅するとのこと。生きているか死んでいるかの判断材料にもなれるようだ。

 

 そんな貴重な“魔導書”の授与式は終わったが、特例で受け取ってみては?というせっかくの提案。しかしシャムミッドはこの世界にきて魔法を使用するなどということをしたことがない。というのも、あの世界でメジャーなのはあくまでも魔術であって、物理的法則が基本通じない魔法レベルの事は知らない。なので素質がないのではないかと勝手に思っていたのだが、ユリウスが言うにはしっかりとあるらしい。

 それならばと提案を呑んで次の週の初めに行うことが決定した―――――

 

 

(ふむ…流石にこの状況下は予想外…どうしましょうか…)

 

 

―――のだが、シャムミッドの手元にはすでに一冊の魔導書が収まっていた。これはシャムミッドが魔導書塔に勝手に忍び込んだ訳ではない。早く来過ぎたため、時間つぶしで塔の周りを探索していたら飛んできたのだ。

 シャムミッド自身これといった特別なことをしていないためにただただ困惑するだけであったのだが、折角飛んできてくれた自分の“魔導書”だ。確定ではないのだが、塔から抜け出して自分の手元に収まったことを考えれば自分のものと捉えても問題はないだろう。

 そう判断して近くにあった岩を椅子代わりにしてシャムミッドは観察を始める。

 本革で覆われた本は相応の重厚さと存在感を放っている。この魔導書が特別であることを示すかのように令呪に似た紋章が書き込まれ、手に取るだけで淡い光と温かさを感じた。

 

 ユリウスや他の魔導士たちが使用していた魔導書には葉の枚数は違えどもクローバーが刻まれていた。それはつまりその王国の証でもあり、誇りになるだろう。

 だがシャムミッドの魔導書にはそれらしき紋章はなく、令呪模様が刻まれている。これは正直なところ不味いのかもしれない。最も気にしても仕方ないのでシャムミッド自身、特に気にはならなかった。というか見た目よりも中身、つまるところどんな文字が書かれているのかとか、どんなことが書かれているのかと言った感情が先に来ており、すごくワクワクしていた。

 

 自分でページを捲ろうとする前に独りでに魔導書が開く。

 手も触れていないというのに動き始めた魔導書はすこし待つと動きが止まる。それもただ止まっただけでなく、本の中から何かが飛び出てきた。シャムミッドは驚きながらもそれをつかみ取り、そしてさらに驚愕した。

 

 それは一本の槍だった。

 東洋の槍ではなく、西洋の象徴とも言える突撃槍。

 その外見は中身を一切見せないという意思があるかの如く、銀に編み込まれている。

 持ち手もそれに倣われており、手で触れてみると固く、そして絹に触れているかのように柔らかかった。

 

 シャムミッドはこの槍を知っている。というよりも知りすぎていた。

 なにせこの槍は第六特異点において最も身近にいた武器(相棒)だったのだから。

 

 

(これは…最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)!?)

 

 

 それは聖槍。星を繋ぎ止めるという嵐の錨。

 それは十三の拘束によって力を制限されてなお、星の輝きを湛え輝く最果ての柱。

 それはこの宝具の解放だけでも世界を荒らせる神造兵器。

 

 こちらに来てもう握ることはないと思われていた聖槍が、再び偽りの王へと戻ってきた瞬間であった。

 

 

 

 

 

  ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「―――というわけでして…」

 

「なんだって!?それは絶対珍しい魔法じゃぁないか!見せてくれるかい!?」

 

「あ、ハイ」

 

 

 その後待ち合わせていたユリウスに事情を説明すると彼はものすごく興奮した様子を見せた。

 魔導書塔外の人物に魔導書が飛んでくることは前例がないというわけではないらしく、シャムミッドもその希少例にはまったらしい。そのためユリウスから特にこれといった注意喚起などもなく、ただただその魔導書に興味を持って接された。

 魔法帝である彼は生粋の魔法マニアらしく、普段から勝手に町へ出歩いて珍しいものを探す日々を過ごしているのだとか。仕事をほっぽり出してそんな活動を行うらしいがそれでいいのか魔法帝…

 

 

『いやなにしてるんですか魔法帝ーーッ!!』

 

 

 彼の熱意に若干引いていると通信魔法で怒声が響く。

 通信相手はたまに見かける魔法帝の側近であった。名前は確かマルクス。

 

 

「おやマルクス君、どうしたんだい?」

 

『どうしたもこうしたもないですよ!どうしてこんな重要な日に勝手にいなくなってるんですか!?』

 

「なぜってそれは新たな魔法との出会いを求めて魔導書塔までぶらりと」

 

『魔導書塔って、会場からかなり遠いじゃないですか!あなたは自分の立場が「魔法との出会いは一期一会」』

 

『ちょ「どこでどんな魔法との出会いがあるかわからないからね」』

 

『人の話を「それではまた新たな魔法に出会いに行こうか――」待てやゴルァァァアア!!』

 

「―――もう、どうしたんだいマルクス君。そんな言葉遣いは似合ってないよ?」

 

『あんたが人の話聞かずに語るからだろうがぁあ!!』

 

 

 側近の会話を見事に妨害しつつ煙に巻いていくユリウスの舌腕に感嘆しながらも、シャムミッドはいつも煙に巻かれる側近の胃が心配になってきた。円卓勢の我の強さに胃が荒れそうになった経験のあるシャムミッドはその気持ちに同感したのだ。そのため通信越しに漫才を始める魔法帝とその側近に呆気に取られながらもなんとか冷静さを取り戻して側近に助け舟を出すことにした。

 というのもこのまま放置していれば延々とこの会話が続く気がしたためだ。

 

 

「あの…魔法帝、何か大事な話なのではないのですか…?」

 

『…魔法帝以外に聞いている人がいらしたとは…先ほどの会話は忘れてください。そしてそこの魔法マニアが失礼しました。こんな奴に貴重な時間を使わず、貴女のやるべきことをなさってください』

 

「いや、私がここにいるのはその魔法帝の提案で来ているんですけど…」

 

『………どういうことですか魔法帝。しっかりとした説明を要求します。いくらなんでも入団試験の日に年下をナンパするのは許されませんよ?』

 

「いやいや気が早すぎるよマルクス君。」

 

 

 マルクスの指摘をユリウスは笑いながら否定する。

 確かにナンパと決めつけるには早計ではあるものの、第一候補にそれが上がってくるだけでもマルクスが抱くユリウスの印象なのだろう。

 まぁ魔法を見せてくれという特殊なナンパと言えば間違ってはいない。

 

 

「ユリウス。先ほどマルクスさんがおっしゃっていた入団試験とやらは大丈夫なのですか?」

 

 

 その一言で騒ぎ立てていたマルクスが静止する。

 やってしまったとばかりの表情を見せたあと、思い切り叫んだ。

 

 

『全、然!!大丈夫なわけないですよ!さっさと戻ってこい魔法マニア!!あんたが居ないと始められないんだよ!試験開始までもう一時間もないんだよ!!なんでこんな重要な日に限ってふらふらと勝手に動き回るんだよ!さっさと戻ってこい!!!』

 

「やだなぁマルクス君。ここから会場まで2時間はかかるんだ。無茶は言わないでくれたまえ」

 

『お前なぁ!!』

 

 

 憤死しそうな勢いのマルクスとの通話をそこで強引に切ったユリウスは振り返り、

 

 

「どうやら魔法に夢中になってしまったようで時間を忘れてしまっていたようだ。すまないね。まぁ君の“魔導書”は決まっているから用が済んだと言えばそうなんだけど…そうか、今日は入団試験の日だったか。これはどうしたものか…」

 

 

 明らかにこちらを見て、それも確信めいた目でこちらを見る彼は本当に底が知れない――――。

 

 

 

 

今後どんな乳上を見たい?

  • 獅子王
  • 下乳上
  • バニ上(第一~三霊基)
  • あえての青王
  • 良いから全部使えよハゲ
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