暴牛所属の偽・獅子王   作:〇坊主

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やぁ。
ずっとみんなに隠してたけど、FGOキャラの中で作者が一番好きなのは上乳上なんだ。

 


本物の獅子と偽物の獅子

 

 

 広範囲にわたり広がる緑。

 普段人が住むような場所とは違い、高密度の魔力が常にその場を覆いつくすその場所は強魔地帯(ごうまちたい)の一つ“哭襲(こくしゅう)の樹海”

 

 そこに生息する野獣が、そこに根付いている木々が、そこに流れる流水が。

 有機物無機物関係なく、その濃すぎる魔力に影響を受けて命を宿した者達が喰らいつくし、食らいつくされを続ける魔境。

 一般的に侵入禁止エリアに位置づけられるその場所では本来とは全く異なる雰囲気を醸し出していた。

 

 暴虐を尽くす屈強な獣は逆に鎮圧され、樹海の本質を隠す濃霧は溢れる熱気によって霧散させられている。

 樹海を深く進んでいったその場所だけ、本来とはまるで様相が異なった風景を表している。

 

 解き放たれる暴虐の嵐を炎腕が砕き、火柱は光が埋め尽くす。

 まるでその場所だけ神話の戦いが起きているかの如く、激しい戦闘痕が樹海に刻まれていた。

 

「……―――ッ!!」

「クハハハハ!!いいぞ!もっとだ!もっと見せてみろ!!」

 

 それがたった二人の戦いでは発生したものだと納得できるのはどれだけいるか。

 

 

星魔法

風王鉄槌(ストライク・エア)

 

炎魔法

灼熱腕(カリドゥス・ブラキウム)

 

 

 聖槍に纏いし風の鉄槌を灼熱の剛腕が焼き尽くす。

 

 

炎魔法

灼熱腕(カリドゥス・ブラキウム)”双撃

 

魔力放出

 +

星魔法

最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)

 

 

 襲い来る双腕を掻い潜り、風の補助を受けた槍先が対象を貫く。…が。

 

「ハハハ!防げぬと瞬時に理解して突撃をかましてくるその度胸は誉めてやろう!」

「~~っ!!なんでこの人は平然と掴んで(・・・)くるんですかね!!?」

 

 シャムミッドは眼前の理不尽さに悪態をつく。

 そう。

 魔力放出による不意打ち気味に放った瞬間加速の突き攻撃をあろうことか両手で掴み防いだのだ。それも生身である。

 それでも思考を止めるようなことはしない。

 槍を防がれた経験は多少なりともあったからだ。

 なお決して生身で掴むといった頭のおかしい行動ではなかったが。

 

「そらそらァ!どうしたァ!!この程度で音を上げるかァ!?」

「ッッ!こんっのぉ!!」

 

星魔法

星光(ほしびかり)五光(ごこう)

 

 軽く振り回すことで槍先を両手の拘束から解き放ち、そのまま槍が放つ光が5つの光線となって眼前を駆け抜ける。

 対象を狙う攻撃でなく、行動範囲を狭めるための牽制攻撃。

 眼前の強者はそれには目もくれずに真正面から突っ切ってくるが先ほどの行動から想定内。

 一応風王鉄槌(ストライク・エア)を放つが相手の灼熱腕が強引に突破を図ってくる。

 

 あの馬鹿げた威力を有した腕の攻撃を喰らえばひとたまりもないのは見るよりも明らか。

 というよりも一度被弾をしたのだが、冗談じゃない衝撃を受けた。

 直撃は避けたのだがまさか腕に纏わせた魔力がシャムミッドの腹部を殴打して吹き飛ばされたのだが、それだけでも避けたとは思えないダメージがあったのだ。

 

 そのため戦闘を開始してからうまく距離をとっては中距離から攻撃を繰り返していたのだが、その行動も大した効果が出ないことを確信する。

 故に

 

「スゥ~~~~っ!!」

 

「むっ?」

(ふん)ッ!!」

 

 力業には力技で!

 

 

星魔法

“女神の聖鎧”

 

 

 シャムミッドが有する魔力を己の肉体に全て回す。

 相手も魔力を腕部へと回し、互いに互いの手を握りしめる形になるがどちらも譲る気は更々ない。

 魔法のぶつけ合いもあったもんじゃない、単なる力のぶつけ合い。

 それが何よりも楽しいのか、眼前の女傑は猟奇的な笑みを浮かべて笑う。

 

「クハハハ!この私に対して真正面から挑むか!!面白いぞ!!」

「っっ~~少しぐらい消耗してほしいものなんですがね!!」

  

 シャムミッドは全魔力を身体強化に回して対抗しているというのに、相手は汗一つかかずに対抗してくる。

 それどころか前までよりも圧力が増してきているように感じた。

 まさに身体が温まったことで本来の身体能力を発揮してきているかのようにだ。

 

 聖杯の加護を得ているかのような強力な魔力と強靭な意思。

 それがシャムミッドを凌駕しているのだ。

 

「…実力はまぁまぁだ。魔力に関しては申し分ない。が、それだけだ!」

「ぐっ…!」

 

 ズズッ

 

 地面を踏みしめ、魔力放出で押し出しているはずの足が後退していく。

 今彼女が持てる全力を出しても惜し負けている事実が、彼女を何よりも責め立てる。

 

「ぐぁっ!」

「………」

 

 隙を見せたわけではない。

 強引に組み合った状態の身体を持ち上げられ、そのまま地面に叩きつけられたことでシャムミッドの口から呻き声が漏れる。

 

 

炎魔法

灼熱腕(カリドゥス・ブラキウム)”連撃

 

 

 強い。それも己よりも確実にだ。

 放たれた追撃の連打を何とか潜り抜けて地面に転がる。

 

「ハァ…ハァ…」

 

 回避に魔力を費やした事でさらに魔力を消費した。

 数発被弾したことでダメージも積み重なり、普段の任務では滅多に経験できない格上との戦闘で息も上がってきている。

 そんなシャムミッドを見て女傑は言葉を発した。

 

「魔力操作はまずまずの様だがその程度では私には勝てん。貴様は“鋼鉄の戦姫(せんき)”に似た雰囲気だったから興味が湧いていたが…これまでか。諦めて出直せ。未熟者には私には勝てん」

 

 先ほどまでの笑みはなんだったのか。

 地面に寝ているシャムミッドを一瞥した後、興ざめと言わんばかりの表情を浮かべて背を向けた。

 

「…は?」

 

 相手は自分より強い。

 先程の状態で押し負けたことからも、勝つことは厳しいだろう。

 それはシャムミッドとしても理解しているし、紛れもない事実。

 相手もそれを確信したためなのか、その行動に出たのだろうか。

 だが実際にそれを指摘されて理解することと、受け入れることは似て非なるものだ。

 

「……――――ッ」

「…む?」

 

 実際に戦場で紛れもない強敵と相まみえた際、己の実力を加味して戦略を練っていくことは大事なことであり、必要不可欠だ。

 この現状を冷静に見れば圧倒的な魔力を感じるカラクリが少しわかってきた。

 おそらくだがシャムミッドと戦っていた際、己の魔力消費のみで戦っていたわけではない。

 強魔地帯(ごうまちたい)には空気中に(マナ)が含まれている。

 それを凝縮して魔力腕を作っていたのか、取り込んで魔法を使用していたのかまでは理解できないが、技量も相当高いだろう。

 

 圧倒的な実力差だ。

 「未熟」そして「諦めろ」という言葉は、自分自身(シャムミッド)に向けて放った言葉だろう。

 

 しかしだ。

 戦闘で勝てないから負けを認める?

 ただ格上というだけで?

 どちらも戦闘不能になっていないのに?

 

「どこに行くというのですか…っ!」

 

 息が上がっていても立ち上がる。

 ここで無様な姿を晒すのは己が一番許せない。

 やれると意思を示し、再び槍を構えなおした。

 まだそれを言うには早すぎるだろうがと言う様に。

 

「見てわからんのか?寝床に帰る。これ以上今の貴様とやったところで時間の無駄だ」

 

 その言葉に一瞬言葉を失い、そしてすぐにふざけるなという激情に駆られた。

 己の未熟さは自分が一番理解している。

 だがそれでもだ。

 それは諦める理由にならない!

 

 そして何よりも

 その目(・・・)彼女(・・)に向けさせているのはどこの誰だ?

 

 

 私自身だ!!

 

 

 シャムミッドの腰に付けられていた魔導書(グリモワール)が独りでに宙に浮いてページが捲られる。

 そうして捲られ終えたその場所は一切の記載がされていない白紙のページ。

 今まさにこのために存在したのだと言わんばかりに白紙であった部分が文字で埋められ、載っていなかった魔法が刻まれていく。

 

 この世界の魔導書(グリモワール)に魔法が刻まれるその瞬間とは、自分だけではない周囲の環境も含めた様々な要因が関係している。

 基本的には持ち主の修練による魔力量の増加だったり、魔力の操作性の向上などの持ち主の成長が主に関係してくるものだ。

 例外的な例をあげれば魔宮(ダンジョン)での遺物などの外的要因で発起する魔法もあるのだが、それ以外にも一時的な感情の高ぶりや覚悟によっても発現しうることもある。

 

 今この瞬間、彼女が強く想い、そして願った覚悟。

 負けず嫌いを引き継いだが故の意思。

 それ即ち己の原点への存在!

 それが彼女(シャムミッド)が生み出した新たな力となる。

 

「―――~~!!!」

 

 相手の行動は大まかにだが把握した。

 膨大な魔力と人間離れした動きで真正面からぶち破るその実力の高さは確かに脅威的。

 だがそれだけでなら、やりようはあるだろう?

 

 思い返せ。

 かつての特異点で、いくら傷ついても諦めなかった駆け引きを。

 

 見つめなおせ。

 これまでの自分を支えてくれた円卓の騎士(英雄)を!

 

 

「なめんじゃ…ねぇッッ!!」

 

 

 己の役割を果たすまでは、絶対に負けたくない反骨心。

 絶対に一泡吹かせてやるという負けず嫌いの意地。

 

 そしてなによりも『この身体の持ち主(アルトリア・ペンドラゴン)』に対して、一矢報いずに逃走などと泥を塗る行為なぞしてたまるかという己への怒り!

 

 それがまさに力となって発動する!!

 

 

星変転魔法

善性変転(オーダーチェンジ)

 

 

 魔法を使用するのとほぼ同時。発動するために練った魔力をあえて暴走させ、己を巻き込みながら暴風を放つ。

 普段の彼女からは想像もつかない荒々しい言動。

 怒りの感情を示すかのように暴風がいつも以上に生み出され、それが一つに集約することで一つの台風へと変化していく。

 

 その行動は予想外だったのか迫りくる魔力の嵐を片手間に燃やしながら、一旦距離をとった女傑はクククッと再び笑いを零す。

 

「まだまだ折れる気はないようだな?」

 

 そこには先ほどまでの興味を失った表情ではない。

 追い詰められた獲物の抵抗を楽しむ狩人がする表情(もの)だ。

 

 その言葉を肯定するかのように先ほどの行動で巻き上がった土埃が吹き飛ばされる。

 その影響を受けて飛んできた飛翔物を何事もなかったかのように殴り燃やしながら往なす女傑は見た。

 彼女に発現した魔法の異質さを。

 

 

「―――」

 

 

 ドドッと地面を踏みしめる蹄の音がする――。

 暴風で周囲の音など聞き取れないほどだというのに、その音は確かに聞こえた。

 

 再びドドッと踏みしめる音がする――。

 侵入者を阻むかのように立ちふさがっていた台風が二つに裂けた。

 

 否、裂けたという表現は間違っているのだろう。 

 女傑にはまるで台風がこれから現れる者に対して道を譲るために自ら分裂をしたようにしか感じなかったのだ。

 久々に己の中で感じた昂る感情。

 これまで介入する気配もなかった大気中の(マナ)を支配するかのように凝縮されていく。

 

 眼前を阻むものがいなくなったその嵐の道に現れた存在は、先ほど戦っていた騎士とは似て非なるものだった。

 先ほどまで身に纏っていた白銀の甲冑ではない。

 獅子の意匠が凝らされた兜ではない。

 一目見て誰もが美しいと言える魔法で生み出された白馬ではない。

 

 それはまさに漆黒だった。

 獅子でなく、所々鋭く厳格に構築されたその鎧はより重装化され、まるで竜を象ったかのよう。

 騎乗している馬は白髪の毛が漆黒の肌色を強調し、まるで死神が使役するかのように強靭な肉体を有している。

 そして何より彼女から発される荒々しい威圧感は、神話に登場する竜が顕現したかのような畏怖を周囲に叩きこんでいた。

 

 元々白かった肌はさらに青白くなり、生気を感じさせない。

 瞳の色すら金へと変化し、主兵装であった白銀の槍は見る影もない。

 十三の楔が撃ち込まれた渦巻く漆黒の長槍は彼女の変化を如実に表していた。

 

「ククク」

 

 だがそんな彼女の変化を見ても、高ぶる熱意は変わらない。

 場違いであると理解しながらも、小さく笑うのは止められない。

 

「良い。前言撤回だ。良いぞ貴様は」

「――……」

「『黒の暴牛』のローブを身に付けている以上、ヤミの小僧が務める団員…。奴の口癖の通り見事貴様は限界を超えて見せた。であれば、だ」

 

 

 ゴッ!!

 

 

 そんな音を立てながら暴風を熱気が押し返す。

 大気の(マナ)を奪い合うところから魔導士の戦いは始まるのだ。

 周囲の環境なんてなんのその、そよ風を受けるかのように女傑は前へと足を進めて眼前に立つ。

 

「私の名はメレオレオナ・ヴァーミリオン。貴様の名を聞いておこう」

「――シャムミッド・ペンドラゴン」

「シャムミッドだな。確かに覚えた」

 

 

 女傑――メレオレオナが拳を握る。

 嵐の王――シャムミッドが槍を掲げる。 

 

 

 それは第二開戦開始の合図であり――。

 

 

「貴様の怒りとその意思に敬意を評し、私の最大魔法で屠ってやろう」

 

「―――戦だ。蹴散らすぞ、ラムレイ」

 

 

―――樹海での戦いが終わる合図でもあった。

 

 

 




 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・星魔法“星光・五光”
 名前の由来はゲーム「Fate/EXTELLA LINK」の技名から。
 こちらの主兵装は槍なので、槍の魔力を開放して閃光を放つ技に。
 威力は最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)よりははるかに劣るが、一般的な魔導士であれば一撃で倒せる威力を有する。
 五光の名の通り5つのレーザーを発射するが攻撃しても良し、対象の周りを攻撃して逃げ場を奪うもよしの魔法になってる。


・星変転魔法“善性変転(オーダーチェンジ)
 名前の由来はFGOからみんな大好きオダチェン。
 星変転魔法というよくわからない魔法で登場し、己の姿と魔力をIFの姿へと変化させる。
 今回は上乳上が下乳上に早変わりしたが、ある理由で作った魔法なので察しのいい方はその理由がわかるかも。
 

・下乳上
 みんな大好き下乳上。
 出た当初は衝撃を受け、ガチャをまわしたのは記憶に新しい。
 スキルも強いし、当時のFGOキャラでは色々と凝っていた。
 ストーリーではボスとして出たが、イベントで他のアルトリアに負けないキャラ付けをしていった子。

 『余は悪くないもん!!』


・メレオレオナ・ヴァーミリオン
 アネゴレオンでお馴染み女獅子。
 作中でもめっさ強くて、5対1でフルボッコにされても容易に反撃して普通なら死んでる攻撃も平然と耐えてたとこから敵から恐れられるバイオレンスメスライオン。
 正直ブラクロキャラでも結構好き。
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