3話目です
シャムミッドは困惑していた。
それと同等なぐらい、今すぐ帰りたかった。
後ろで面白そうに観戦ムードに入って助け舟も出さない男を殴りたかった。
今シャムミッドを取り巻くアウェーの空気から早く去りたかった。
一体どうしてこうなってしまったのか?
魔法帝 ユリウスの期待の目から逃れることは出来ずに何かないかと魔導書を捲り、魔法を唱えたと同時にこれならいけるという確信はあった。
入団試験会場が分からないという初歩の問題もあったのだが、それはユリウスが解決した。
シャムミッドも獅子王となり替わったものの、元は立派な社会人。
時間には細かいタイプであったがために残り一時間しかないと叱咤して、思いっきり駆けた。
結論から言うと間に合った。
それはもう漫画のページを独占できるぐらいのカンペキに。
ただ一つ、問題というか些細なミスを挙げるならば、
それは急停止できずに会場内へ特攻を仕掛けてしまったことだろう。
「…なんだ貴様は?」
シャムミッドの目の前には周りの者たちとは一線を画す魔力を解放した9名の団長クラスの者たちが、明らかな敵意や好奇心を向けてそれぞれの魔法を構えていた。
◇◆◇◆
「…予定時間まで残り僅かなのだが、魔法帝は一体何をなさっているのだ…?今回の入団試験は直々に出席するという特別なものであるというのに…」
「知らん。魔法帝の考えることなど私には図りかねる。そもそもなぜ今回は特別出席に至ったというのだ?下民に対して見せるほど軽い存在ではないはずだ」
「ノゼル。気持ちはわからなくともないが、魔法帝が直々に告げたのだがら我々がどう言おうと無意味ではないか?むしろ私としては今回の件で各々が鼓舞されることを期待している」
「無意味なことぐらい承知しているフエゴレオン。だがそれは私個人の意見とは解離している。下民は下民らしくもがいていればいいものだ。それよりも予定がズレることのほうが問題だ。魔法帝が遅刻するというのならば私はそのまま予定通りに始めるまでだ」
予定が迫ってきているというのにも関わらず、未だに姿を現さない魔法帝に対しての疑問を述べたが「知らん」と素っ気なく返された。
そっけなく返した男はクローバー王国の中でも上位に食い込む魔法騎士団『銀翼の大鷲』の団長。名をノゼル・シルヴァ。今回の魔法騎士団入団試験を取りまとめる人物である。
同じく先に疑問の声を挙げた男も『紅蓮の獅子王』の団長である フエゴレオン・ヴァーミリオン。彼も今回の入団試験のためにノゼルと準備を進めており、今でもノゼルと切磋琢磨するライバルにあたる男だ。
先ほどの会話から察せられるが、王族が率いる魔法騎士団所属の者たちはプライドが極めて高い。そのため、王族のもの以外を下民と見下す悪い悪癖があるのだが、彼に声をかけた人物は思考を柔らかくしろと伝えただけで特に不快に思っているようではなさそうである。
尤もこの場にいる二人はともに王族の出であるからこその軽口のたたき合いなのだろうが。
彼らがいるのは入団試験会場を見渡せる場所であり、会場内で一番高いところであった。
あと30分もすれば開始されるのだが、一向に魔法帝は現れず、側近のマルクスに確認をと思ったが彼の第一声を聞いたと同時にこれは無理だと理解して即通信を切った。
正直なところ、今回の入団試験に介入すると言い出したのは魔法帝自身であり、ノゼルは突然の申し出に若干の困惑を浮かべながらもそれを了承。今日のためにと様々な準備を行っていた。そのため言い出しっぺが明らかな遅刻をかましている現状に静かながらもかなりの怒りがあったのは彼ら二人の秘密である。
「いくぞ、フエゴレオン。…時間だ」
会場に多くの入団希望の者が集まりきり、開催時刻になったことを確認してノゼルは魔法帝は来ないと割り切って試験を始めることに決めた。
フエゴレオンは正直なところ、もうちょっと待ってもいいのではないかとおもっていたのだが、今回は『銀翼の大鷲』が率いているので、そのまま彼に従う。
二人ともクローバー王国が誇る魔法騎士団のトップ。彼らの姿を視界に収めるや否や、騒がしかった会場が一気に歓声へと変化し、より一層興奮ムードへと突入した。
「今回はよく集まってくれた受験生の諸君。今回の試験は私が仕切らせてもらう」
『おぉっー』
「クローバー王国でもトップを争う魔法騎士団『銀翼の大鷲』団長…ノゼル・シルヴァ!」
「そのとなりにいるのは『紅蓮の獅子王』団長のフエゴレオン・ヴァーミリオンだ!!」
「この前のダイヤモンド王国の侵略から守ってくれたってよ!」
「魔法帝最有力候補の一人かーあこがれるぜ」
「俺も騎士団に入って活躍してぇー!!」
クローバー王国でも最強格の騎士団を率いる二人を見てこれからの期待と試験に対する緊張を高めていく会場の入団試験車たち。
興奮を鎮めるべくノゼルは自分の魔導書を手に魔法を発動した。
水銀魔法
“ 銀の天幕 ”
会場内に影が落ちる。
受験生たちは一体何事かと見上げると空には銀色のオーロラが支配していた。
勿論ただのオーロラではない。ノゼルにとっては問題ないものであるがこれも一つの防御魔法。中級レベルの魔法程度なら容易く呑み込み、範囲を拡大するこの魔法は見た目に反してかなり凶悪で強力な防御魔法だ。それを会場から溢れんばかりの広範囲を制御するためには一般魔法騎士が何十人と必要な高レベルの魔法である。
一般の中級魔法騎士だと畳二枚分の壁を作るのが精一杯程度だと言えば彼の、彼ら魔法騎士団長のレベルの異次元さがわかるものだろう。
それを平然と苦にしないノゼルがいかにクローバー王国でも強者なのかを如実に表していた。
そしてそれを再確認した受験生は一気に気を引き締める。
団長がここまでして見せた。次は自分の実力を示し、魔法騎士団へと入団してやると覚悟を決めたのだ。
彼らの目つきが一斉に変わる。
それを一つのタイミングと見たノゼルは各員に試験で使う箒を渡し、高らかに宣言する。
「これより、魔法騎士団入団試験を開始す―――ー」
と同時に天から会場へと光が猛烈な速度で突撃し、会場を一気に混乱へと陥れた。
◇◆◇◆
なぐりたい。
会場に突撃し、煙が晴れたとおもったら強者たちからいつでも攻撃できるように魔法を展開されていた。シャムミッドは連れてきたユリウスにどうすればいいのかと聞こうとしたのだがいつのまにか魔法で姿を隠していたことで一気に殺意が湧いていた。そしてその殺気に反応して魔法を強化してくる始末。
止められずに地面にクレーターを作ってしまったシャムミッドにも当然非があるのだが、問題ないから突っ込めとGOサインを出したユリウスも一緒に怒られるべきではないかと切に思う。
後ろにいる人達は目の前の人たちが展開している魔法があるせいで固唾を呑んで見守っているため、味方はいない。
かと言って目の前に視線を戻せば9人。それも特に一人だけ青筋を立てたまま仕留めるという意思をヒシヒシと感じてしまう。
今更謝ってもどうにもならないと思うが、シャムミッドはこのままではどうしようもないと判断して行動に移す。
時間にして2分ほど行動がなかった侵略者(仮)が動いたことで緊張を高めていく会場。
目の前の人物がどんな行動をとってもすぐに制圧できるように各々が意識を高める。
あまりの緊迫した会場の空気に堪え切れずに気を失ってしまう受験生たちもいるほどだ。
一体なにを喋る?
どんな魔法で応戦してくる?
どこの魔法騎士だ?
そんな考えを頭に浮かべる団長たちを他所に、シャムミッドは言葉を発した。
「お邪魔しました。では私はここで失礼します」
当然ながらこの後大惨事になった。
今後どんな乳上を見たい?
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獅子王
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下乳上
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バニ上(第一~三霊基)
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あえての青王
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良いから全部使えよハゲ