7話目です。
『アガルタの女』配信記念に。
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「さぁフィンラル!キビキビと動くんです!でないと即座にミンチですよ!」
「いやいやいやいや!絶対おかしいってこの状況!?シャム姐さんなら普通に制圧できるでしょ!無敵の力で何とかしてくださいよぉー!!!」
シャムミッドは思いっきり駆けていた。箒や魔法を使わずにただただ走り抜けていた。傍らにはシャムミッドに巻き込まれた共に黒の暴牛へと入団したフィンラル・ルーラケイスも涙目になりながら走っている。
彼らの背後には人程度なら丸呑みできるほどの巨大な猪が突進を仕掛けていた。
「何を馬鹿なことをいっているのですか!私にあのINOSHISHIと共に果てろとでも言いたいのですかフィンラル!」
「いや何今更か弱い女性演じてるんすか!?でも最低でも相打ちはするんすね!」
「思っていたより随分と余裕そうですね。ならここは任せても良さそう」
「すいませんっした!キリキリ走ります!!」
念のためであるが、これは任務遂行中である。
シャムミッドが受けた任務はここら一帯を支配下に治めている主を撃退か捕獲すること。
自然が豊富なクローバー王国であるため、普通の獣であれば主要都市周辺までやってこないはずだった。
しかし今回の主は縄張りを拡大し続けており、周辺に暮らす村民たちに大きな被害を出している。
農作物を食い荒らされるだけならまだしも死者も発生してしまっているため、魔法騎士団に申請を踏み切っていたのだ。
フィンラルが言う通りに討伐してしまってもいいのだが、そうなると主を失った猛獣たちの縄張り争いが発生して被害が逆に大きくなるかもしれないという懸念から、人がいない平原まで誘導し、そこで撃退。
自分では勝てない相手が猪の進行ルートに存在するという事実を叩きつけてやれれば王国まで近寄ってこなくなるのではないか。という考えの下、シャムミッド達は魔法で逃げるのではなく、身体強化のみで走ることで相手の視界に収めさせ、誘導しているのだ。
「……よし、ここら辺でいいでしょう」
「ひ―…ひー…や、やっと着いたんっすか…?もう帰っていいですか?」
「何を言っているのですかフィンラル。貴方には目の前の猪を住処に返す仕事が残っているのですよ?」
「ちょ!?なんっすかそれ!?今初めて聞いたんですけど!っつか俺、さっき見つけた可愛い子が待っててくれているんすけど!」
「安心してくださいフィンラル。それは幻覚ですよ」
「ひどい!?」
なんだかんだ言っても頼まれた仕事はやってくれるフィンラルは悪いやつではない。
ただ街行く可愛いと判断した人全員にナンパを仕掛ける悪癖は如何にかしてもらいたい。
軽いコントを行って時間をつぶしている二人の視界に今回のターゲットが映る。
向こうは自分の縄張りをうろちょろと駆け回る存在として映っているのか、明らかな敵意を持って突進してきている。
ただでさえ人以上の巨体であるにも関わらず生み出される速度に改めて驚かざるを得ない。
「スゥ………」
そんな巨体に対面してもシャムミッドは冷静だった。
思い出すはやはりというか特異点。
円卓を率いて打ち取ったリチャード一世との争いだ。
シャムミッドがまだアルトリア・ペンドラゴンであったあの場所で、聖地を支配していた魔人との戦い。あれを思い出せば目の前のでかいだけの猪なぞ恐るるに足らず。
詠唱もなしに魔術を起動し、落雷かと思うくらいの威力を雨あられに降らしてきた中で勝利をもぎ取った経験を思い出せ。
星魔法
“女神の
戦う覚悟を決めたシャムミッドに呼応し、捲られていく
己から魔力が用いられ、獅子の鎧へと変容していく。
貴族に似た衣装から戦闘を行うための甲冑へ。
頭部を護るは野生の王を冠する獅子の兜。
霊基を核として現界していたかつての自分の姿を改めて浮かべ、構える。
あくまで語るは肉体言語。野生に対してはそれが一番効果的だ。
思い浮かべるは円卓屈指の
シャムミッドに戦闘スキルを叩きこんだ
彼ならここでどうするか。
彼ならここでどんなことを言うか―――。
「ッ!?」
「『何も考えず、物理で殴れ』だな」
シャムミッドは笑う。
その笑みは普段は見せない猟奇的な笑み。闘いに喜びを感じるかのような実に好戦的なもの。
突進を真正面から受け止め、魔力放出で発生する勢いを完全に殺す。
猪が誇る牙を両手で強引に抑え込み、そのまま一歩、また一歩と押し返す。
対する
互いの体面積差は言わずもがな。
多少行動速度が早いことまでは認識していたが、己の突進を止める胆力があるとは。
それどころか進行形で一歩また一歩と押し返されているではないか!
ふざけるな。
そこらの雌が調子に乗るな。
黙って俺に潰されろ。
しかしいくら足に力を入れても押し返せない。
岩どころじゃない。まるで山と押し相撲をしているかのように、相手が動くビジョンが見えない。
ならばと自分が誇る牙を持って引き裂こうにもすでにそれも抑えられている。
引き裂くこともできない。
押しつぶすこともできない。
ならばどうするか―――
「■■■■■■■■■■■■ッ!!」
威嚇の咆哮を怒りのままに解き放つ。
巨体から放たれる咆哮はバインドボイスとなって辺り一帯へ衝撃を伝える。
シャムミッド自身は聖鎧を用いていたため、被害はすくないが、生身で受けていれば気絶する可能性もある轟砲だった。
牙から手が離れ、猪は自由になる。
先ほどのは偶然だったのだ。二度目はないと意気込むように少しの後退後の猛突進。
まさに全霊込めた突進は猪のプライドを懸けた一撃だ。
受けれるものなら受けてみろ。
「―――――■■■■■!?」
そして駆けようとして気づく。自分が一歩も動いていないことに。動けなかったことに。
眼前には拳を構えたシャムミッド。
その拳が振り下ろされた光景を最後に、主の意識は途絶えた。
(うわぁ…やっぱ姐さんやばいわ…普通にしてたら圧倒的美女だけど怒らせたらマジで殺される)
遠い目をしながら一人と一匹の取っ組み合いの後に勝利を収めたシャムミッドを見たフィンラルが思ったことはそれだった。
はっきり言うとフィンラルは最初からシャムミッドが勝つことを確信していたし、何回か任務に連れていかれたこともあるので彼女の考えも何となく理解している。
だがそれでも下位の中級魔法騎士をも打ち砕く魔獣を正面から、それも傷一つ負わず、負わせずで勝利するとは考えもしなかったのだ。
一流の戦人は相対しただけで敵の戦意を削ぎ落とすとは言うものの、それを目の当たりにしている以上、自分と彼女の実力差というものを嫌でも感じ取ってしまう。それも同期の仲間にそれだけ突き放されていると理解してしまうのだ。
(…まぁ俺は落ちこぼれ…勝てないのは当然だし、才能なんかもシャム姐さんのが上だから当たり前か)
細かい話は省くか、フィンラルの家系は貴族階級に位置している。
なのに何故貴族一派のフィンラルがクローバー王国切っての問題組織『黒の暴牛』に所属しているのか。それは彼自身が攻撃魔法を覚えることが出来ずにいるからだ。
特に彼の家系、ルーラケイス家は空間魔法という希少な魔法を攻撃に用いることで他の追随を許さないほどの攻撃魔法を用いることで有名である。
視界に映るものであれば防御など無いかのようにこそぎ取って存在を消滅させる空間魔法。それを扱うことのできないフィンラルは一家の者から落ちこぼれの烙印を押され、ほぼ存在していない扱いを受けている。
暴牛団長のヤミ・スケヒロの勧誘がなければ彼はどこの魔法騎士団への入団もできていなかっただろう。
そんな過去もあって彼は自分を卑下するようになってしまったのだ。
「フィンラル…いつまで下ばかり見ているのですか」
「いてっ…姐さん…」
「最初に言ったはずですよ。下を見すぎ、自分を貶しすぎだと」
任務に強引に連れていき、終わるたびに諦めの境地に向かっているフィンラルに対してシャムミッドはチョップをかます。
あえてシャムミッドは裏方に徹し、フィンラルに活躍させることで勇気づけようと何度か試したこともあったが、あまり効果が出ていないことに対して内心ため息をついた。
彼が悩んでいることも理解できる。
シャムミッドも自惚れでなく理解していることだが、クローバー王国でシャムミッドは上位に位置することが出来る魔法騎士だ。
大気に宿る
そんな彼女と共に入団した戦経験が乏しいフィンラルには羨望の的であり、諦めへと向かえる原因の一つでもあった。戦闘が超一流の円卓の騎士に鍛えられたシャムミッドがフィンラルに才能があるなどと伝えたところで反感を買うだけ。
どこまで声をかけていいのかがまだつかみ切れていないシャムミッドにとって、この人間関係問題は人生の中でも上位に位置する難題であった。
今後どんな乳上を見たい?
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獅子王
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下乳上
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バニ上(第一~三霊基)
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あえての青王
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良いから全部使えよハゲ