暴牛所属の偽・獅子王   作:〇坊主

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 8話目でっす。
 漫画内の専門用語のようなものがあったら後書きで軽い解説でも残そうと思います。

 ここまでまともな戦闘がないってやばいですな。
 
 


~魔宮災害~
魔宮


 

 

(さて…今日の任務は…)

 

「おーシャムミッド。おはよう」

 

「あ、おはようございます。ヤミ団長。お茶要りますか?」

 

「おー頼むわ」

 

 

 シャムミッドが魔猪(まちょ)を撃退してフィンラルが無事に住処へと送り帰したあの後、周辺の村に現れることがなくなったらしい。それどころか偶に出てくる危険な獣たちの出現も抑えられたことで、いつも以上に安全になったと歓喜の報告を後ほど受けた。

 確実であるが魔猪との取っ組み合いで血の気の多い獣たちはここは危険だと判断したのだろう。何であれ、平和はいいものだ。

 

「最近お前すんごい勢いで任務こなしてるらしいな…ちゃんと休んでんの?」

 

「ん?はい。勿論休む時は休んでますよ?四六時中任務は流石に御免ですから」

 

「……そうか」

 

「?では私は任務に出かけてきますね。あぁ、それと使ったコップ、洗わないのでしたら水につけておいてください」

 

 

 ヤミへそう伝えた後、シャムミッドは扉を開けて外へと出かけて行った。

 ヤミはシャムミッドが出て行った扉を少しの間眺め、淹れられて間もない煎茶をそのまま机に置いた。

 

 

「シャムミッド…お前は何を焦ってんだ…?」

 

 

 クローバー王国は他国にも負けず劣らない大国だ。

 首都圏の大きさはもちろんの事、王国を取り囲むようになる村の数も相当なものだ。

 毎日舞い込んでくる任務の数々は王国が誇る魔法騎士団だけでなく、フリーで活動する魔導士達も含めても溢れて手が足りないぐらいほどだ。

 任務と言っても密偵から物探しと大から小まで。それでも一日にこなせる量は簡単なものでも限られるのは当然。後回しにされたり、そもそも受注されなかったりするものがあったりと様々なのだが。

 

 彼女が『黒の暴牛』への入団が決まってからもうすぐ半年になる。

 入団して活動を始めてから彼女がこなした任務の数は大まかにいうと500。受けている中には戦闘も数多く存在している中でのこの数字は誰の目から見ても異常な数字をたたき出していた。ヤミはシャムミッドに伝えていないものの、魔法騎士団の名誉でもある『星』の授与も確定している。

 他の団員であるバネッサなんかは常に酒を飲み漁っては二日酔い。フィンラルはナンパ。ゴードンは部屋に篭ってなんかしてるしで、仕事をまともに実行しているのを見たことがなかった。他にも団員はいるのだが、誰も仕事と言う仕事をしていないのが現在の黒の暴牛である。黒の暴牛が所持しているマイナス20もの星がもうすぐでマイナス10になろうとしているのはすべて彼女のお陰であったりする。

 そんな中で真面目に任務に取り組んでいる彼女が拠点にいる時間帯は任務から帰ってきてから翌日の早朝までだ。極稀に昼頃に近くの広場で素振りをしている姿を確認しているものの、休んでいるとは言い難い。つまりぱっと見て、休暇と言う休暇を行っていない。

 

 彼女の異常な働きを考えれば不調が出てもおかしくはないのだが、先ほどの会話をしてみるに無理をしている様子ではない。元々働かないと落ち着かない性分なのか。

 ただの思い過ごしであればいいのだが、ヤミは胸に(つか)えたような感覚を取り払うことはできなかったようだ。

 

 

「……今度帰ってきたら無理やり休暇取らすか」

 

 

 湯呑を手に取り、中のものを一気に飲み干す。

 先ほどまでのお茶は生温くなり、あまり美味くはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました。えーっと、ダンゴトゲムシ3匹と各薬草、そして素材の鱗です。合っているか確認お願いします」

 

「はやい!もう見つけたんですか!?まだ2時間程度しか経ってないですよ!?」

「なんだお前姉さんに頼むの初めてか?姉さんはいつも仕事が高速よ。おかげで物凄く助かるんだ!この前の頼みなんて1時間もかからずに終えてくれたんだからな!」

「おいお前ら何ぼさっとしてんだ!目標のもん届いたんならさっさと取り掛かるぞ!時間がねえんだからな!」

「おっと大将がお怒りだ。行くぞ、早くいかねぇとどやされんぞ」

「あ、はい!本当にありがとうございました!報酬です。またお願いするときはよろしくお願いします!」

 

 

 いつものように軽い任務をこなして報酬をもらう。

 身に着けている懐中時計を確認すると時計の針は午前10時頃を指していた。これなら昼までにもう一つこなせるだろう。

 

 今シャムミッドがいる場所は平界。

 貴族ではないものの、魔力を有する国民の多くが暮らす地区である。魔法帝や貴族たちが暮らす王貴界と魔力をほとんど持たない者たちが暮らす恵外界。その間に位置する場所だ。

 その中央部に位置する城下町 キッカ。

 シャムミッドはそこで日々雪崩れ込んでくる任務をこなしていた。

 

 

「あ、シャムミッドさんだ!」

「ホントだ!お疲れ様です!」

 

「そちらも暑い中お疲れ様です」

 

 

「あら、シャムミッドちゃん。この前は本当に助かったわぁ。あの後ウチの旦那も感謝しとったよ~」

 

「本当ですか?それは良かったです。受けたかいがありました」

 

 

 ほぼ毎日のように訪れ、そして任務をこなしていく彼女はすでに有名人扱いだ。その為歩いているだけでも街行く人に声を掛けられている。

 愛想の良さと仕事の速さを持ち合わせる彼女がなぜ暴牛のローブを纏っているのかと疑問を持つ人すら居るほどだ。

 黒の暴牛が日頃からどんな目で見られているのかがわかる場面でもある。

 

 

「―――大変だぁ!!」

 

「!?」

「なんだ!?」

 

 

 大通りを走りながら大声で叫ぶ男が近づいてくる。おそらく彼の目的地はシャムミッドがいるギルドだろう。魔力強化で視力を上げているシャムミッドにはわかった。

 

 

「一体どうしたんだ?そんなに慌てて…」

 

「はっ…はっ…さ、さっき森の中で…『魔宮(ダンジョン)』が現れたんだ!!」

 

「――!わかった。すぐに魔法騎士団に連絡を取る。君は落ち着いて――」

 

「それじゃあ駄目なんだ!早くしないと村の皆が殺されちまう!」

 

「――何があったのか教えてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――団長。ヤミ団長。』

 

「――――……んあ?んだぁテメー?折角人が気持ちよく昼寝してるってのに…」

 

 

 気持ちよく昼寝をかましているヤミは突然の交信魔法での接触に不機嫌さを露わにした。

 団員の件で連絡を入れたマルクスは理不尽なヤミの怒りに一瞬戸惑ったが、なんだかんだでいつも通りだったため受け流した。

 魔法帝の側近を任されている彼はこのぐらいではへこたれないのだ。

 

 

『いや、いくらなんでも団長が昼寝はやめていただきたいのですが…まぁ今のは聞かなかったことにします。それよりもヤミ団長。ご報告が』

 

「……結構急ぎの件か?」

 

『急ぎといえばそうなります。つい先ほど『魔宮』が発生しました。場所は恵外界のブリテ村付近です。私達は先程連絡を受けましたが、それよりも早く暴牛所属のシャムミッド・ペンドラゴンさんが単身で魔宮に向かっているとのことです』

 

「……まじか」

 

『マジです。話によると魔宮から濃い霧が発生、それとともに霧に隠れるようにして骸骨たちが溢れ出ているとの報告を受けています。興味本位で近づいた村人が殺されたとのこと。放っておくと被害が拡大すると予測され、それを防ぐために率先して動いたのだと思われます』

 

 

 マルクスの報告にヤミは頭を悩ませる。

 今朝ももやっとした違和感を感じたというのに、今日中にそれが現実になるとは。

 

 

「この件は他に誰か知ってんの?アイツのことだから戦闘面では問題ないだろうが、一人は流石にきついだろ」

 

『はい。報告と同時に近くの騎士団に報告。援軍を送ってもらう手筈です。魔宮を攻略する分、気合を入れていきましたよ』

 

「……あー、念のために聞いておくけど、どこの団に声かけたの?」

 

『…『銀翼の大鷲』です』

 

「………そっか。やべぇな」

 

『…緊急を有するとの判断でしたが、今思えばやばいですね』

 

 

 入団前にやらかした事件を思い出す。

 あの一件でシャムミッドは銀翼の団長 ノゼル・シルヴァに目を付けられているのは周知の事実になっていた。

 一目見れば親友と会話していようが、挨拶がてらに殺気を放つ。いつでも殺れるように体位を変える。

 シャムミッドはしょうがないと理解しつつも、そこまで嫌われているのかとすこし落ち込んでいる姿を珍しく思ったのが記憶に新しい。ちなみにその時は『紅蓮の獅子王』の団長に励まされていた。

 出会いは良くなかったもののノゼル以外との団長とは良好な関係を持っており、接し方は様々だが可愛がられているような印象がある。

 

 そんな団長内でも敵意を抱く彼がシャムミッドに対し援軍として自分の団員を送り込む。

 ヤミはノゼルとも短くない付き合いをもっているため、相応の魔法騎士を送り込むだろうと予想するのは容易だった。

 ゴッテゴテの王族主義で実力者を送り込んだ場合、階級や血族などまるで興味を持たないシャムミッドと反発しあう姿を簡単に想像できる。

 

 

「んー、まぁなんとかなるだろ」

 

 

 どうあがいてもややこしくなることを確信したヤミは深く考えないようにし、再び昼寝をし始める。

 清々しいほどの丸投げ状態であった。

 

 




 
 
 

・【星】

 数々の任務をこなしたり、侵略してくる敵国相手に獅子奮迅の活躍をしたものに対して魔法帝が授与するもの。クローバー王国が有する9つの魔法騎士団はこの星を最高の名誉として競い合っている。この小説現時点でのトップは『銀翼の大鷲』と『金色の夜明け』団の53個。最下位は『黒の暴牛』のマイナス12個。
 断言されてないので不明だが、1年ごとにリセットされていると仮定して書いてます。


・【ギルド】

 物探しや犯罪の相談までいろいろ受けている受付。
 原作で特に描かれていないが、こういうものがないと不便じゃないだろうかという理由で増やしました。
 ちなみにフリーの魔導士がいる設定も勝手に追加してます。


・【王貴界、平界、恵外界】
 
 生まれつき有する魔力によって住み分けられた地区。
 膨大な魔力を有し、王国のためになる者達は中心で暮らし、魔力量が少ない者たちは他国の襲撃をいつ受けるかわからない隅っこで暮らす。昔からの悪しき風習と言えばそうなのだが、組織としては理に適っている構造。
 範囲がわからない方は『進撃の巨人』の人類種を護る壁 ウォール・マリアのような領域を想像すると分かりやすいかも。

今後どんな乳上を見たい?

  • 獅子王
  • 下乳上
  • バニ上(第一~三霊基)
  • あえての青王
  • 良いから全部使えよハゲ
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