暴牛所属の偽・獅子王   作:〇坊主

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 閲覧してくださりありがとうございます。9話目です。

 描いている最中にブラッククローバーがアニメ化するというではありませんか。
 ライバルのユノ役はFGOのガーチャーこと島崎信長さんですし、主人公アスタはブラクロがデビュー作となる梶原岳人さん。どんな声なのか気になるところです。
 楽しみに待っています。

 今回は普段よりも長めにお送りします。
  


ダンジョンへ

 

 

「うわあああああああああああ!!」

 

 

 濃霧に紛れ、骸骨は歩く。

 道を阻むものは全て取り込む。

 骸を増やしては霧が集まり、動き始める。

 

 そうして戦力を増やし、来るべき戦への準備を整えていくのだ。

 

 逃げ遅れた人間をまた一人取り込んで増えていき、それに比例して霧の規模も拡大している。

 このまま対処しなければ恵外界をも覆い尽くして王国の存続を危険に晒すだろう。

 濃霧というバックアップを以って、生命体をすべて亡き者に変えようと行進していた。

 

 

(やばいやばいやばい!なんでよりによってオレがこんな目に合わなくちゃいけないんだ!?)

 

 

 その行進から身を潜めている少年が一人いた。

 木々を盾に身を隠しながらも濃霧に触れないように全力で逃げている少年は今年魔導書(グリモワール)を授与されたばかりの少年だった。

 普段であれば15歳で受け取るはずの魔導書をそれよりも若い段階で受け取れた彼はすでに数個魔法を発現しており、将来が有望だと持て囃されていた。自分は特別なのだと、彼は調子に乗って各地を飛び回っていたのだ。

 

 その途中で濃霧発生に巻き込まれて逃げ回っているのが今の現状であった。

 霧に何らかの探査機能がついているのかと思うほど、彼を追うようにして霧が伸びてきていた。

 かれこれ30分の間、イタチごっこを続けていた。

 

 

(魔法使うと確実にばれる!でもこのまま走り続けても体力がやばい!―――あぁああもう一か八かだ!!)

 

 

 青銅創成魔法

 

   “青銅の流星魔車輪(セッケシューティングスター)

 

 

 自転車の先っぽに天使の彫刻がくっついた痛車のような外見をしたものを呼び出し、すぐに跨る。見た目こそ地面を走って進みそうな外見をしているものの、この魔法は彼が持つ立派な空を移動する魔法だ。

 魔力の事は考えずに最初から全開で飛ばし、障害物のない空から離脱を図る。そういう算段であった。

 

 

「さっさと逃げるぜええええぇ!!!?」

 

 

 だがそれも儚く崩れ去る。

 彼がフルスロットルで飛ばそうとした上空にはすでに濃霧が待っていましたとばかりにその体を広げていたのだ。

 それに動揺してしまった彼は背後から飛んできた矢にギリギリまで気づくことが出来ず、反射で身を捩らせたことでバランスを崩して地面に墜落してしまった。

 

 

「ひ、ひぃ!?」

 

 

 地面に落ち、骸骨に取り囲まれた少年は恐怖のあまり正常な判断を失い、頭部を庇うようにしてその場に座りこむ。

 ガシャガシャと不気味な音を立てながら距離を縮めてくる光景に耐えられず、叫び声を上げた。

 

 

「やめ…やめてくれぇ!!」

 

 

 そんな少年の声を無視するように手に握られているボロボロの剣を振りかざす。

 このままいけば周りから一斉に串刺しにされて殺されるだろう。

 その光景を走馬灯のように感じながらも目を閉じることすら彼はできなかった。

 

 

―――だからこそ、成長した彼がこの場に居ればその時の自分を褒め称えていただろう。

 

 

 目の前の骸骨たちが盛大に吹き飛ばされ、そのまま地面へと叩きつけられる。

 凄い勢いで叩きつけれられた骸骨兵はバラバラになったのも束の間、霧が集まっていくことで瞬時に部位が集まって元の姿を取り戻していく。

 それでもなお攻撃する勢いは衰えず、近づいてくるものから率先して吹き飛ばす。

 

 彼は唖然としつつもそれを生み出した本人を見た。

 

 馬に騎乗し、銀で編まれた突撃槍(ランス)を構えた女騎士。

 攻撃によって発生した風が彼女の美しい金髪を波打たせながらも、近づいてきた骸骨兵を瞬時に鎮圧していく様は物語に出てくる戦乙女のようだ。

 

 

「あ…あぁ…」

 

「安心してください。もう大丈夫ですよ」

 

 

 相手の動きがすこし止まった所で、そう戦乙女は自分に向かって微笑んだ。

 それだけで彼をどれほど救ったのかは本人にしかわからない。

 だが救われたことは確かである。

 

 自分を安心させるために見せてくれたであろうその笑顔を見て少年 セッケは先程まで恐怖していた骸骨たちの事を忘れたように目を奪われた。

 

 

(格好いい…)

 

 

 まさにそれは一目惚れと表現するのが正しい。

 自分を襲ってきた恐怖の存在を、瞬く間に鎮圧する美しき騎士。

 闘い方に惹かれるのもあったが、それ以上に先程の微笑みが彼の脳裏に刻み込まれた。

 今まで自分が抱いていた魔法騎士への憧れなど吹き飛んでしまうほどの衝撃だとも言ってよい。

 

 

「貴方は…見たところ魔導書を所持しているようですね。ならばこの光景をわすれてはいけません。魔法騎士団として将来を希望するのであれば、この程度の障害は一人で越えなければなりません」

 

 

 セッケは何も答えなかった。

 答えることが出来なかったと言ったほうが正しいのかもしれない。

 

 目の前の騎士から発せられる魔力。そして彼女が見せる背中に、並ぶようにして立つ騎士たちの姿を見たからだ。

 彼らが彼女にとってどんな存在だったのかはセッケは知らない。だが、悪い感じはしなかった。むしろ彼らはセッケに対しても好意的に捉えているようにも感じていた。

 

 

「…聖槍、抜錨!!」

 

 

 改めて、セッケがこの場面に出くわしたことが幸運であったかもしれない。

 己の槍を煌かせて敵陣へと切り込んでいくその姿が、彼にとって初めての恋となり、憧れになり、そして魔法騎士を目指すべき目標になったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 騎馬召喚魔法

 

   “ドゥン・スタリオン”

 

 

 星魔法

 

   “聖槍顕現(せいそうけんげん)

 

 

 世界を繋ぎとめる嵐の錨を解放した主を助けるはかつての名馬――そのものではないが、王の馬を模した魔力の馬。

 機動力と俊敏性に優れており、平界でこの異常を聞いてすぐさまこの魔法で急行した。

 

 特異点で共に駆けたように進む姿に軽く涙が浮かんだこともあったが、今では身の一部と言ってもいいぐらいの操作性を誇っていた。

 ちなみに魔法騎士の試験会場で特攻を仕掛けたのもこの魔法であったりする。

 それに加えて相性のいいロンゴミニアドを用いる今の状態はシャムミッドにとって最も理想の武装形態と言えるだろう。

 

 元々突撃槍は騎乗し、対象に突き刺すのが最も効率的な攻撃方法である。刃物がついておらず、円錐に保たれたその形状と有する長さ、そして馬を用いた威力。これらが組み合わさることで重装兵の強固な鎧すら貫いたともされ、西洋で普及した武器だ。

 物によっては小回りが利かない、長さも相まって重いなど、様々な理由で他の武具も携帯するのが一般的であるが、聖槍は重いという概念が無い。

 柔らかくも強固な素材に身を纏い、羽根の様に軽く、一撃で五百もの兵士を吹き飛ばすと言われる名槍だ。

 そんな唯でさえ強力な兵器であるのに、彼女が乗るのは至高の名馬。

 ただ目につく生き物に剣を持って突き刺すだけの骸骨に負ける要素など存在しない。

 

 

 濃霧による視界妨害なぞ気にしない。

 数百を超えた骸骨兵に対して情けなんてものは不要。

 万全の状態で、尚且つ周りは森。被害がなんて感じる必要すらない。であるならば、だ。

 

 

「ここに来て初めての開帳…行きましょうか!」

 

 

 聖槍を天へと掲げれば、内部から発光を起こし、瞬間的に光の柱にふさわしい輝きを取り戻す…のではなく、槍にとりつくかのように風が一転へと集まっていく。

 

 

「と言っても本当に撃てるわけじゃないので気持ちだけなんですが…ね!」

 

 

 星魔法

 

   “風王鉄槌(ストライク・エア)

 

 

 槍に集う風が幾多にも重なって層を形どり、巨大な風の槍へと変化する。

 まるで小さな台風であるかの様に辺りの空間をかき乱し、流れに乗って急加速。

 本来の輝きとは異なった暴風の牙が雑多の亡者へ叩き込むために、一つの台風へと昇華する魔力を維持しながら勇猛果敢にドゥン・スタリオンを奔らせる。

 減少していく魔力を体内で感じ取りながら最前列へと解き放った。

 

 いくら物理的に吹き飛ばしても無意味だというならば、周りの霧ごと纏めて吹き飛ばす。

 ガウェインによって叩き込まれた脳筋的思考の結果である。が、普通に攻撃していた先程とは全く異なった結果を生み出した。

 直線状に木々が抉られて無くなってしまったものの、覆いつくしていた濃霧は霧散し、骸骨兵は見る影もなく綺麗に居なくなっていた。

 

 シャムミッドは風王を解除しつつも、警戒は怠らない。

 奥で魔力を感じ取っていた。おそらくは霧の原因が奧に存在しているのだろう。ならば大本を絶たなければ再び繰り返されるのは明白である。

 

 

(あまりにも急ぎすぎたのは失敗でしたね…フィンラルを強引にでも見つけてから来るべきでしたか…)

 

 

 奧で待ち受けているのは確実に魔宮(ダンジョン)だ。

 普段の魔宮であればそこまで問題ないのだが、今回は周囲の環境にも影響を与えるほどのものだ。一人で突っ込んでいくのはもしものことを考えれば危険にもほどがあるだろう。

 

 特異点では自分から行動しようとすれば忠臣であったアグラヴェインからの進言で押しとどまっていた。だがこちらには誰もいない。つまるところシャムミッドを止める人はいなかったのだ。

 結果として一人助けることが出来たからまだ救いはあるだろうが、これで負けていたら目も当てられない。

 シャムミッドは自分を静かに叱責した。これではいけないと。これでは誰も守れない(・・・・・・・・・・)

 

 

「あ、あの!」

 

 

 背後から聞こえる声にシャムミッドは我に返った。

 声の主はセッケであり、奥を見つめて動かないシャムミッドを追いかけてきたようだった。

 

 

「どうしました?」

 

「これから、向かうのですか?」

 

「…そのつもりではあります。ただ、他の魔法騎士の方々が来るまでは無茶はしないつもりです。私一人では手が余る可能性がありますので」

 

「…な、なら!俺を連れて行ってくれませんか!?」

 

「…駄目です。わかっているでしょうが、危険すぎます」

 

 

 セッケの言葉をすぐに否定する。

 シャムミッドがいるから魔宮に入っても大丈夫だと思っているのであれば物理的に教えなければならない。

 

 そもそも魔宮とは場所によっては宝石や古代の魔道具などが眠っているとされている地帯だ。

 その宝物を侵入者から守るために幾多に張り巡らせた罠が存在し、それによって命を落とすものも少なくない。

 一人で入っていくのが不安なのはそこにあるのだ。転移トラップに引っ掛かり、外部の助けがないと出れない仕掛けであったりすればそこで終了なのである。

 先ほどの骸骨兵もその防衛装置の作動によって発生したものならば、相応の危険があるということだ。

 

 

「私の傍に入れば安全などと思っているのであれば間違いです。移動魔法は習得しているようですが、それだけでは足りません。最低でも攻撃、そして防御魔法。それもそこそこに耐えれるものは必須条件。はっきりと言いますが、自衛すらできない足手まといを連れていくほど私は愚か者ではありません」

 

「…なら、これはどうですか!」

 

 

 青銅創成魔法

 

    “青銅の防護魔砲球(セッケマグナムキャノンボール)

 

 

「――――!」

 

 

 セッケが展開した防御魔法を見てシャムミッドは口を閉じた。

 彼を全方位から守れるように球体に展開された防御魔法。その各所に魔力弾を発射できそうな砲がついている。

 先程敵の攻撃を受けていたのは動揺して魔法を展開するということが頭から消えてしまっていたのだろうと、シャムミッドは考えを改め、無言のまま右手に握る槍で魔力壁を突き刺した。

 

 

「~~~っ!!」

 

 

 槍先はセッケの魔力壁を貫く。

 聖剣が勝利をもたらす剣なら、聖槍はあらゆるものを貫く槍。

 シャムミッドは貫けたことにはなんの驚きもなかった。ただセッケが槍を眼前にしても尚、こちらを見据えていたことに目を見開く。

 先ほどまで動くことすらできていなかった少年が魔法が破られていても前を見ているのだ。恐怖もあるのか足が震えてはいるものの、ほんの数分しか経っていないというのに成長していたのだ。

 

 

「……貴方の意思は伝わりました。ですが、それでもいけません。万全で挑めるのなら、万全で挑まねば余計なしっぺ返しが起こりえます」

 

「――でも」

 

 

 セッケがシャムミッドに言葉を返そうとしたその時、二人は濃密な魔力を奥から感じ取った。

 シャムミッドが瞬時に戦闘態勢へ移行する。それに遅れるようにしてセッケは魔力壁を修復して待機した。

  

 ピカッと光ったと同時に幾多の矢が二人を襲う。

 牽制による攻撃のためか威力はそこまで有していない。だがそれ異常に脅威に感じるのは矢の数だ。まるで局地的大雨が真横から来ているのではないかと思うぐらいの密度。セッケは己の周囲にバリアを張っていたから無傷であるが、シャムミッドも風王結界を反射的に使っていなければ少なくない怪我を負っていただろう。

 

 

「―――ッ!!風王(ストライク)鉄槌(エア)ァァァア!!!」

 

 

 大雨には大嵐で対抗する。

 矢を巻き込んでうねる嵐は目標を巻き込むべく災害を喰らう。

 それによって一瞬生まれた空間を活用してセッケを脇に抱えてドゥン・スタリオンで特攻を仕掛ける。

 

 

「!?行かないんじゃなかったんすか!?」

 

「そうするつもりでしたよ!ですが、向こうはそれを許してくれないようでしてね…空を見てください」

 

 

 今まで否定的だったシャムミッドが魔宮へと向かっていくことに驚くセッケだが、シャムミッドの言葉通りに空を見上げて理解した。

 

 セッケが追われていた時の濃霧は異なった雲が魔宮の周囲から放出され、広範囲を覆い始めているのだ。それも魔力を感じ取れる。

 骸骨兵を動かしていた濃霧とは異なっているのは確かであり、シャムミッドも直感で放置していたら大変なことになるのを察したのだ。

 王国がある方向だけならまだ何とかなりそうであるが、円を描くように広がっていく雲を抑えようとすれば魔力がいくらあっても足りなかった。

 

 矢の大雨もこれを感づかれないための牽制であったのだ。

 それにすぐ気づけなかったことにシャムミッドは歯噛みする。先手を打たれ、こちらが後手に回ってしまったのはこの状況では痛手である。魔宮内部へと侵入して原因を止めるのが急務になってしまった。

 

 

「雲が…!」

 

「あれを放置していればどんな形かはわかりませんが、必ず被害が出てきます。そうなる前に止めに行きますよ」

 

「で、でもオレの防御魔法は…」

 

「及第点です。魔宮ではいつでも先ほどの魔法が張れるように気を配っていてください」

 

「は…はい!」

 

 

 自分の魔法を認められたことがうれしかったのか表情を明るくする少年に現金なものだと内心思った。

 だがその明るさが今は助けられる。暗く考えすぎていた思考を切り替えて、どう対処するかへとスイッチできたからだ。

 

 

「…この状況でなんですが、名乗っていませんでしたね。私はシャムミッド・ペンドラゴン。あなたは?」

 

「――!!お、オレはセッケ。セッケ・ブロンザッザです!」

 

「セッケですね。正面突破で入ります。反動で吹き飛ばされないように」

 

「りょ、了解しましたー!」

 

 

 魔宮の入り口に向けての突貫作戦。

 二人は魔宮の入り口に張られた防御魔法を貫いて、強引に突入していくのだった。

 

 




 
 
 
 
 


 というわけでセッケに登場していただきました。
 原作では普通通り、15歳から魔導書を授与されていると思っておりますが、諸事情でそれよりも若い段階で受け取っております。

 これがどんな変化を生み出すかは追々。
 では次の話でお会いしましょう。 
 
 
 

今後どんな乳上を見たい?

  • 獅子王
  • 下乳上
  • バニ上(第一~三霊基)
  • あえての青王
  • 良いから全部使えよハゲ
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