東方大魔王伝 -mythology of the sun- 作:黒太陽
ソルパレス
「送り込んだ親衛騎団は全滅……そしてキルギルの敗死……か」
映像を見てソルは頬杖をつく
(やはりやりおる……親衛騎団の3名とキルギルを引き換えに落とした駒は1つだけ……実質の戦果は戦場の拮抗を保たせただけだが被害を考えれば大損と言ったところか)
大した悲観はそこには無かった
(キルギル……奴は有能だったのだがな、余でなければ不可能な事を可能にしてきたあやつを失ったのは痛い……だがまぁ……)
「それがお前が望んだ事だったならば好きにさせるが余の務め……満足に死ねた事を祈ろうではないか」
それがキルギルが望んだ事だと思ったからソルは何もせず傍観し残った結果だけを受け入れる
「今までの働き、大義であった……お前の研究はこれからも魔王軍の中で生き続けるだろう」
酒をかざし微笑む
「魔道学士キルギルが成した最大の禁忌にして至高の騎士……神々の領域を侵した負の遺産……魔勇の命と共に……」
弔いの酒を飲むと再び映像に目を向ける
「さて……ようやく着いたがこちらはどの様な絵を見せてくれるか楽しみだ」
最も近い者達の様子を見る……
ソルパレス内・左の通路
「罠は無いわね、行きましょう」
分かれていた道の左側を進むのは輝夜、青娥、芳香、ルナ
「フランさんと大妖精さんは大丈夫かな……」
ルナが不安気に呟く、二人は右の通路を進んでいた
「あんたが心配するなんて1000年は早いわよ」
輝夜が返す
二手に分かれる提案をしたのは輝夜だった
「本命の二人よ、大丈夫に決まってるわ」
どうするかを考えていた6人、片方を全員で行くか分かれるかを悩んでいたところで輝夜が案を出した
片方に全員で向かい行き止まりだったや閉じ込められるのを防ぐ為、時間が無い現状でそれは一番避けねばならなかった
そうする事で決まったが次の問題は人選、誰がどちらへ向かうか
そこでも輝夜の意見が通った、フランと大妖精の二人と残りでと
理由は単純にソルを討つ有力者である二人を一緒にして突破して欲しかったから、何か有るか居るかは不明だがただ分かれているとは到底思えない、だから不安要素を除いた頂点の高い力だけで確実に突破して貰いたかった
「あんたは集中してなさい」
逆にこちらはお世辞にも良いとは言えない、実力的に輝夜は問題ないが罠突破の為の青娥の実力はそう高くないし芳香も同程度、ルナに至っては一番の不安要素
もし戦闘になったら弱い者が弱点になる、自分の身は自分で守れと言われたルナは無論その気だったが非情になりきれない他の者達は違う、必ずルナを守るだろう
だからそう言った不安要素を感じる事無く目的に一心に向かって欲しいからフランと大妖精と分けたのだ
「青娥、壁抜けはやっぱり無理そう?」
「うーん……無理みたい、そういったズル出来る能力は無効化されるみたいねぇ」
「そう……」
先に進む4人
(なら一番怖いのは左右両方の道で閉じ込められるくらい……ね)
すると通路の終わりが見えてきた
(!……何か居るわね……鬼が出るか蛇が出るか……)
開けた空間に出た4人
「何ですかアレ……黒い……影?」
そこには立ち塞がる様に3人の黒い影が立っていた
(人間と魔物を象った影……?見てくれから察するに剣士と武道家と……リザードマン?)
この影は親衛騎団の残る3名
先に地上で全滅した大魔道士と兵士と陸戦騎を除いた月に居る親衛騎団の総数
(いえ……奥にも何か居るわね、こいつらなんか比にならない化物が……)
輝夜だけはこの3人を率いるキングの存在を感じていた
「かと言ってこいつらが楽なわけもなし……面倒ね」
構えを取り臨戦態勢となった輝夜に応じ青娥と芳香も構え親衛騎団の3人も構える
「数では有利……一気に蹴散らすわよ!」
「わかったわぁ!行くわよ芳香!」
「了解だぜー!」
まさに始まらんとしたその時
「ここは私が引き受けます」
3人の前にルナが立った
「ちょっとルナ!?何を言ってるのよ!?」
青娥が驚きやめさせようとしたが手をかざされ止められる
「ずっと考えてました、弱い私が役に立てる事はなんだろう、って……今、わかったんです、ソルと戦うレベルが足りない私の役目は他を活かす事だって!」
ルナは親衛騎団の3人を1人で引き受け輝夜達を先に行かそうと考えていた
「馬鹿言わないの!ルナじゃ無茶よ!」
あの3人の実力はまだ不明だが弱くないのは見ただけでわかる、少なくともルナより強いのは明白
自殺行為にとてもではないが賛成出来なかった
「……待ちなさい青娥」
説得しようとした青娥を輝夜が止め、ルナの瞳を真っ直ぐ見つめる
「1つだけ聞かせなさいルナ……」
「……はい」
「死ぬ気は無いのね?」
「ありません!」
「なら良いわ」
先に行くことを決めた輝夜は能力を使う
「!!?」
親衛騎団の前で3人は突然消える
「任せたわよルナ!」
そして背後から声が聞こえ振り向くと奥に進む通路の前に輝夜達3人は居た
一瞬を集める能力を一瞬だけ使用し青娥と芳香を連れて瞬間移動紛いの方法で先に進んだのだ
「ちょちょっと!私は認めてないのよ!?」
「いいから行くわよ、芳香!青娥をお願い!」
「オッケーだぜー!」
「こ、こら芳香!降ろしなさいってば!」
芳香に抱えられた青娥は喚きながら輝夜と先に進んでいく
「!!」
親衛騎団の武道家とリザードマンの影、獣王が追いかけようと踵を返す
ゴウッ!
通路を炎の壁が覆った
「行かせない……私が相手だ!」
火を纏ったルナが指を突き立てる
幼き雛鳥の孤独な戦いが始まろうとしていた
「ちょっと!ちょっと輝夜ってば!」
「……煩いわね、行こうとしたら引き摺ってでも連れていくわよ?」
「貴方に敵わないのはわかってるわよ!もう何も言わないから一先ず降ろして芳香!」
「うーい!」
降ろされた青娥は若干の不機嫌を出しながら輝夜と共に進む
「理由だけ教えなさい」
理由とは輝夜がルナを止めなかった理由、青娥はそれが知りたかった
「覚悟と意思を見たのよ」
輝夜は嬉しそうに答える
「ルナの目は言ってたわ、あいつ等を足止めじゃなくて絶対に倒すって本気で言ってた……自分の実力を鑑みて自分に出来そうでかつ今一番有益な事を考えてやると決めたのよ」
「でもだからってルナじゃ……」
「わかってるわ……ルナが身の丈を越えた事をしようとしてるなんて事は……だけど青娥、私は死なないと思うの」
「……それは希望かしら?」
「確信よ、だってあの時のルナの目は気高き不死鳥の目をしてたから……皇帝不死鳥だったあいつの母親……妹紅と同じ……」
「……」
青娥はそれ以上は言えなかった、輝夜が今言った事は希望に違いなかったが言わなかった
「わかったわぁ」
輝夜と同じく信じる事にしたから……
「じゃあ早くソルを倒さなきゃね!」
「そう簡単には行かせてくれないけどね……この先にヤバイのが居るわよ」
「みたい……ね……向こうは大丈夫かしら?」
「さっきはルナには大丈夫って言ったけどこっちにこれだけのが居るんだし向こうも同じくらいのが居ても不思議じゃないわね……でもあの二人ならきっと平気よ」
「そうねぇ……それより私達ね」
「そういう事よ……さぁ行くわよ!」
3人は奥に有る部屋に向かって行った
ソルパレス内・右の道「滅びの間」
「広い所に出たね……」
「うん……障気が充満してるから気をつけて大ちゃん」
一方、大妖精とフランはドーム型の広い部屋に着いていた
「ッ!!?」
フランが異様な気配に逸早く気付き目付きを鋭くさせ庇う様に大妖精の前に立つ
同時に来た道と奥に繋がる通路に壁が競り上がり封鎖された
「どうしよう!?閉じ込められちゃった!?」
「……こんな壁ならあたしの能力で壊せるから大丈夫だよ、それより油断しないで大ちゃん……とっても危ない奴が居るから」
障気が濃霧の様に立ち込める部屋で気配の出所を探す
「あ……フランちゃん……アレ……」
「!!?」
大妖精が指を向けた先を見ると赤く光る巨大な3つの眼光が二人を見ていた
「……大ちゃん、障気を飛ばせる?」
「うん……やってみるね」
何かを確認する為に大妖精は風を吹かせ赤い目の辺りの障気を吹き飛ばす
「!?え……ウソ……」
「ここ……これって……」
正体を見た二人は驚きを隠せなかった
焦げた茶色の肌、朽ちた様にボロボロになって外郭が剥がれ生身の筋肉が露出している部分もある
体から刺の様な突起物が至る所に生え、頭に生える象徴するかの様な大きな角は片方が根本から無い
体勢は四つん這いのまるで獣の様、それを証明するかの様に言葉が通じる素振りすら見えない
ただの化物……普通なら驚くがそう思うだけ
だが二人が驚いたのは違う理由が有った
「エスターク……」
そう、その姿は夢現異変の時に進化の秘法を使った破壊神になる手前、最終段階のエスタークの姿に酷似していたから
「ななな……なんでこんな所にエスタークが……」
怯える大妖精、嫌な思い出が脳裏に浮かび焦っている、それはエスタークに対してではなくエスタークが行った更に先に対してだが
「……よく見て大ちゃん」
フランが落ち着かせる様に言う
「ほら尻尾が生えてる、エスタークに似てるけどよく見ると違うよ!魔力も全然違うし!エスタークはこんなに邪悪な魔力じゃなかったよ!エセタークって感じ!」
似て非なる存在だと笑って告げ安心させるフラン
(……邪悪ってよりは闇そのものって感じだけどね……)
違うが異様さだけは間違いなかった
『余を守護する災厄の王よ……かつてアストルティアを守護せし帝王の成れの果てよ』
災厄の王と呼ばれし獣にしか聞こえないソルの声
『余の敵を討て』
告げ終えると3つの赤き瞳が強く発光する
「オオオオオオッ!!」
咆哮を発した災厄の王の四肢が動きだし二人に迫る
「やるよ大ちゃん!」
フランが体に力を込める
「うん……わかったフランちゃん!」
大妖精も戦う意思を見せ構える
待ち構えるは大いなる闇に触れし帝王の残骸、ソルの飼う2匹目の獣
変わり果てたかつての守護神は二人の頂点へ牙を向ける……
紅魔館
「……!」
妙な胸騒ぎを感じバーンは天井を見上げる
(なんだ……?月から何か形容しがたいものを感じる)
ちょうど月の有る辺りを睨んでいる
(微か、本当に微か……余でなければわからぬ程だが月から地上まで感じさせれる程のものがあるというのか……ソルではないな、なんだこれは……)
バーンが不安を感じるレベルのものが月にある
(フラン……大妖精……)
案ずる事しか出来なかった
異様な気配、それを感じたものがバーンの他にも居た
地上・戦場のある一帯
「……!?」
死体の山を作っていた常闇ノ皇は空を見上げる
「これは……ちっ!ろくでもないのを連れてきてるわね……」
今は見えないが月の有る場所を睨み舌を打つ
(もしアレが干渉したりすれば狭いここなんてすぐに……)
手近の魔物を食い千切ると闇の球体を発生させ纏う
「そうはさせるか……ここは私の戻るべき場所なのよ……」
闇が覆いきると今だ危うい地上を残し皇は姿を消す
戦場のある一角
「……これはまた厄介な者が居るではないか」
襲い来る魔物を指先1つで容易く氷死させながら優雅にその場所に向かう闇の影が呟いた
「まさかこんな所で同じ存在を感じるとは……つくづくここは飽きさせぬ所だ」
闇の影は進んでいく
「助け船は出さん、そこまでしてやる義理は無い……例えアレによってここが滅びようが知った事ではない……我が望むは己の愉悦のみ」
ある妖精と魔女がつい先程まで戦っていた氷獄のフィールドに向かって……
ソルパレス・正門前
「ヌゥ!?」
忍が背にしているソルパレスに振り向く
(息を潜めていた力が解放された……異常じゃこの力……こいつはヤバイ、ヤバ過ぎるの……)
直ぐ様依姫に告げる
「儂は中へ行く!ここを任せてもよいか!」
「!……お任せください!必ず死守します!」
この場所の最重要人物が急に内部へ向かうと言った事にとても重大な事だと察した依姫は了承する
ドオッ!
同時に魔物が居る場所に爆発が起き、爆煙の中から巨大なシルエットが現れる
「ええい!?こんな時に面倒な……!」
今すぐ行かねばならないが先程に存在を感じ魔王軍を蹴散らしていた敵か味方かわからない者が現れた事でどちらを構うか事態は深刻になっている
「……我は味方だ」
シルエットが二人に話しかけた
「ふざけるな!お前の様な魔族がいきなりやってきて味方……?そんな言葉が信じられるものか!」
騙し討ちを警戒した依姫は懐疑の目でシルエットに怒鳴る
「信じないならそれでも一向に構わん、我はただ借りを返す……それだけだ」
シルエットが動きだし依姫が攻撃をしようと構える
「……ちょいと待て嬢ちゃん」
忍が止める
「お主の素性を聞いても意味は無い、どうせ知らんからの……じゃが1つだけ問いに答えれば主はすぐにでもここを通れるかもしれん、別に答えなくともよい、その時は儂が全霊を持って主を葬るだけじゃからな」
「……」
シルエットは忍から感じる力に嘘も駆け引きも無い事を悟る、もし答えなければ忍は迷わず全力で殺しに来るだろう、そしてその力は自分を越えている事も……
「どうする魔族の王よ?時間が限られとる、早く答えい」
「……言ってみろ」
シルエットは答える事にした
生前なら間違いなく答えず力ずくで突破を試みただろうが今は違う
忘れられぬ恩の為に魔王としての矜持を捨て目的まで最短最適の道を行くと決めていたから動かない
「お主の目的はなんじゃ?」
出された問い
「皇帝の名を冠した不死なる鳥……藤原妹紅に受けた借りを返す為」
「よしお主味方!」
忍は信じた
「それだけで信じてよろしいのですか?」
疑心している依姫が警戒を解かず問う
「もちろんじゃよ、今の答えでこやつの背景が見えた、こやつは大局ではなく不死の小娘一人の為に来ておる、誰も知らんところを見るにこやつはバーンに直接関係はしておらんが間接的に関係しておるのじゃろ」
「そうだ、天魔王オルゴ・デミーラ様と同じく自身自らの協力を断った幻魔王デスタムーア様によって我は魂を地獄から探しだされ代理として再びこの地に現界を果たしたのだ」
このシルエットはデスタムーアが己の代理として使わした者だった
初めは幻想郷と魔王軍の戦争の為だったがその昔に妹紅に受けた借りを忘れていなかった事から主に願い出て妹紅の為に戦う事を許可された古の魔王
「そうと決まれば急ぐぞ!儂も中に用が有る、共に行くぞ!早くせい!」
「いいだろう」
シルエットが爆煙から出てくる
「名前だけ聞いておこうかの、儂は忍野忍じゃ!お主は?」
法衣を纏った怪人、その体はかつて妹紅が出会った時の様に腐ってはおらず生前のままの姿
その異様なれど威厳ある巨体が姿を見せると同時に答えられた
「貴様に名乗る必要は無い」
「カッ!生意気な奴じゃなお主」
これもまた幻想郷が紡ぐ奇縁
幻想郷を歩んできた一人の少女が出会い、繋げた縁の一欠片
皇帝不死鳥が起こした出会いの奇蹟が猛々しくその力を添える
無縁塚
「レミリア様!」
「待ってたわウォルター!」
ようやく合流にきたウォルターに迎撃の指示を飛ばす
「……咲夜とミストはどうしたの?」
「申し訳ありませんレミリア様……咲夜さんとミストは敵軍団長クラスの強襲を受け応戦、私だけが来れた次第です」
「そう……わかったわ」
返したウォルターはレミリアの辛そうな表情が目に入る
「どうされましたか?」
「……チルノの冷気がね、消えてしまったの」
「!!?馬鹿な……」
それを聞いて驚愕する、ウォルターもチルノが負けるとは思っても見なかったのだ
「……お願いがあるのウォルター、聞いてくれるかしら?」
「……何なりと」
「……ッ!?」
言い淀むレミリア、立場と状況からこれを言うべきではないとわかっている
でも出てしまった
「チルノの居た場所を見てきて欲しいの……」
今は戦いの真っ最中
そんなわかりきった事に人員を、ましてやウォルターを割くなどしてはいけないとわかっている
だがどうしても気になるのだ、無駄だとわかっていてもやはりレミリアにとってチルノは大事な友だったから……
「承知しました、すぐに!」
ウォルターは何も反論を言わず向かって行った
想いを汲んだのだ
それに自分にとっても紅魔館で主であるフランやレミリアの次に長く過ごした者の事でもあったから
「……」
無意味……そんな事は知っている
それでも信じてしまうのは絆故に……
紅魔の王女はただ槍を振るう……
「ぐえー!?やーらーれーたー!」
青髪のへカーティアが弾幕を受けて倒れた
「よし!私の勝ちね!」
笑顔で霊夢はガッツポーズをしている
「……ってそんなわけないでしょうが」
ポーズを解いた霊夢が冷ややかな目で告げる
「バカにしてんの?」
「そんな事はない……よっ!」
浮かび上がったへカーティアは掴み所の無い笑顔を見せた
(何なのこいつ……まるでやる気が無いし勝つ気も無い……負けても良いって言うの?)
霊夢とへカーティアは戦いになっていなかった
やる気の欠片も無いへカーティアが霊夢の攻撃を適当に受け流したりしていただけで戦う意思を感じれない
「どういうつもり?」
それが疑問に思うから問う
「どうってさっき言った遊びのつもりだけど?貴方人間のくせにとんでもなく強いでしょ?私は全力じゃないしなぁ……今のこれじゃ逆立ちしたって勝てないから適当に遊んでるのよ私」
「……」
「だからやる気出ないわけなのよ、負けるのは当然だからね~わかったかな?」
何の事無く答えたへカーティアを見る霊夢
「……匂わすじゃない」
額には青筋が浮かんでいた
「ヘラヘラしながら全力なら勝てる……みたいな事を匂わせてくれちゃって……」
ズオオオッ!
霊夢の高い霊力が怒気と共に解放される
「上等よ……二度とそんな口が聞けない様に徹底的に退治してやるわ……!!」
鬼のごとき霊力をその身に歴代最強の巫女は地獄の神に祓い棒を突き立てる
「おー!スゴイスゴイ!やっぱり今じゃ勝てないよこれ!」
強さをまるで気にしていないへカーティアは笑っていた
「確率は3分の1だったけど……これは無理ね、諦めよ」
迫る暴力を前に地獄の神の3つの内の青き身体は敗北を受け入れた
無縁塚
「八坂ァァァ!!」
弾幕を放ちながら神奈子へ突進する純狐
ズンッ!
弾幕を避けたところに繰り出した純孤の平手の一撃は神奈子の出した平手により防がれる
「本当にそうか?だと!?お前に何がわかる!?知った様な口を叩くなと言ったァ!」
掴み合った手から神の力を直接食らわそうと神気を放つが神奈子も同じ事をして互いの手から行き場を失った神気がフィールドを荒れ狂う
「わかるさ……私も似た様なものだったのだからな」
「黙れぇ!」
尾の一撃が神奈子を打つ
「お前の辛さ……よくわかる」
「黙れと言っているのよ八坂ァッ!」
尾を振り上げ滅多打ちにする
ドズッ……
「……かはっ!?」
神奈子の拳が腹を打っていた
「ただ……違いがある」
「ッ……アアアアッ!」
神奈子の顔を殴り飛ばした純孤は息荒く睨む
「お前のそれは先が無い」
顔から流れる血を拭いながら神奈子は悲しそうに純孤を見ていた
「アアアアッ!!」
「ハアアアッ!!」
同時に動いた二人の一撃が神の血を飛散させる
「私には希望が有った!再び死ぬと知っていてバーンを甦らせた私には罪が残った!だが!それは希望として私の生きる糧となった!」
「黙れ……!」
打たれれば打ち返す、その度に血が流れる
「そして希望が形と成り……それは私の新たな生きる糧となった!」
「黙れ……!黙れッ!」
弾幕を撃てば撃ち返す、その度に体が削れていく
「お前にはそれが無い……恨みを純化させたお前はもはやそれだけが生きる糧だった……叶えた今……お前は生きる糧を亡くし路頭に迷う哀れな神狐……」
「黙れ……!黙れッ!黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
神奈子を殴り飛ばすと凄まじい神気を集中させる
「ぐたぐだとくだらない事ばかり喋って……何様のつもりだ八坂!」
集中された怨念の神気は大玉に形を作っていく
「お前にわかるわけがない!愛した者を奪われた私の想いが!殺してやりたいくらいに憎むこの気持ちが!悲願を叶えたこの嬉しさが!」
純孤の何十倍もの特大弾を作り終え構える
「わかるものかァァァァ!!」
神奈子目掛けそれを放った
「……そうね」
ズッ……
特大弾の一部が脹れ上がる
「お前の想いは私が思う以上に深く強い……私が軽々しく立ち入っていい領域ではなかった」
御柱が貫き弾は消え去った
「それでもお前の凶行は止めねばならない、同じ神としてではない、ここからは……」
恨みを打ち払った神奈子は告げる
「八坂神奈子としてお前を止める!」
幻想郷、そしてバーンの為に……
次々と追加判明していってまるで進んでいない……戦いの半分もまだ終わってないのに……
名有りキャラの説明
・災厄の王
DQXより登場のエセターク、表記は付いてませんが中身は真・災厄の王の方です。
しっかりボスを張れて尚且つ前作のエスターク繋がりもあり登場していただきました。
独自解釈のアレンジを少々入れてますので本編とは少し違います。
早くにとりの話が書きたいなぁ……
次回も頑張ります!