東方大魔王伝 -mythology of the sun-   作:黒太陽

54 / 86
エピローグ -過ぎ去りし時を求めて-  

 

 

 

∴∴∴∴∴∴∴

 

 

 

 

 

∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

 

 

 

 

 

∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから……いったいどれ程の時が経ったのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美しき自然がどこまでも広がる世界

 

いつまでも変わらぬ古き良き時が今も生きる幻想の大地

 

忘れられた者達が造り上げ、集まる隠世の楽園

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  幻想郷……それがこの美しくも残酷な世界の名……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の老人が道を進む

 

「……」

 

もう歩けないのか僅かに浮かんだままゆっくりと徘徊する様に……

 

(情けないものだ……)

 

かつては並ぶ者の居なかった至上の魔力も年月と共に衰え、今では見る影も無い

 

(だが……これも今日で最後、意味など有りはしないが……やらねばな)

 

そして老人は最初の場所へ辿り着く

 

 

 

 

 

 

-人間の里-

 

妖怪と共存するこの世界で人間が集まり生活をする集落

 

「……入るぞ」

 

誰の返事も無く関所を抜け、中に入る

 

「……」

 

大通りを前に立ち止まり、人間で賑わい活気ある場所を眺める

 

(最後の人間が居なくなってからどれだけ時が経ったのか……)

 

今や誰も居ない里を進んでいく

 

(千か、万年か……もう覚えてもおらぬ、気の遠くなりそうな程、昔の事……か……)

 

里は老人の魔力によって当時のままを保たれている、他も同様だがそれももう……終わりの時が近い

 

(そうだ……此処で……少女と余は……握手をした)

 

もはや朧になっている記憶を精一杯に手繰り、当時を思い起こす

 

(……ここの人間は余を受け入れてくれた……そう、守護してやろうと思わせた……人間達……)

 

最後まで伝えはしなかった想いを胸に、出口へ向かう

 

(余を受け入れてくれた事……いつまでも感謝している)

 

里を背に、老人は次の場所へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-命蓮寺-

 

(ここは妖怪でいつも賑わっていたな……)

 

里と同じく無人の寺を回る老人は縁側に腰を下ろす

 

(妖怪を助ける……住職が居たからだ)

 

誰も居ない隣を見ながらそこにいつも笑顔を絶やさない女性が居た事を想起する

 

「お前と話したのは二度だけだったか……あれほど時間が有ったというのにな……」

 

老人が溢すと住職の偶像は変わらぬ微笑みを向けてきた

 

『構いませんよ、言葉など交わさずとも貴方の想いは伝わっていますから』

 

彼女ならそう言う気がして老人も笑みを返す

 

「そうか……」

 

そう返し、立ち上がるとまた次の場所へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-地霊殿-

 

誰にも会う事無く旧都を抜け老人はそこへ来ていた

 

(ここで余は……友情を知った)

 

あの日の事は今でもハッキリと覚えている、魔帝の復活の時にここで地霊殿の主に拘束され生きる理由を得た場所だったから

 

「お前は余の心を読んで不快にさせたのだった、な……」

 

そう呟くとまた声が聞こえた様な気がした

 

『それは言わないでください……あの時は本当に申し訳ありませんでした』

 

困った様に頭を下げるとても幼く見える女性と

 

『もう許してやんな、いつまでも意地悪するんじゃないよ!』

 

隣に立ち笑っている鬼の女性が居る

 

「怒ってなどおらぬ……ただ、懐かしんでいただけよ……」

 

身を返すとまた進む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

旧都から地上に戻る間、老人は思い耽る

 

(そうだ……地獄も居なくなったのだったな……誰も……)

 

幻想郷の地獄を管理する閻魔と死神、それも遠き昔に消えている

 

(地獄へ行く者が居らぬようになり、役目を終えた管理者は連れられて行った……おそらくは何処か異なる地獄へ……)

 

裁く者の居ない地獄に管理者は必要無い、それでも閻魔と死神は残ろうとしたが地獄の神の様な存在が他にも居るのだろう、それの言葉には逆らえず幻想郷から気付けば消えていた

 

「壮健だろうか……」

 

『勿論ですとも、そう……貴方は少し情が深過ぎる』

 

何処からかそんな声が聞こえた気がして老人は小さく笑む

 

「……そうだな」

 

安堵しまた次へ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-白玉楼-

 

冥界に在る長き階段を越えた先に存在する幽霊の都

 

今は不気味な程に静寂している

 

「……」

 

そこへ来た老人は庭が見える縁側に座り枯れた桜の木を見上げていた

 

(そこへ還ったのかお前は……?成仏を忘れた亡霊の姫であったお前は……そこに居るのか?)

 

西行妖と呼ばれる桜木の中に感じる者に問うも答えは返らない

 

「そして……唯一にして最高の剣士よ……」

 

その桜木の根元に立てられた一本の剣、その心剣一体の魔剣に寄り添う様に星の皇を冠した双剣が並んでいる

 

「……天地魔神を断つ剣技、教授してくれた事……今でも感謝している」

 

猪突猛進で危なっかしい彼女へもう何度目かもわからぬ礼を贈る

 

『うふふ……見つけてみてはどうかしら?』

 

『俺が打ってやった剣は元気か?』

 

そんな声が聞こえてくる様……

 

『魂魄流は不滅!いつまでも……!貴方の血と共に!』

 

嬉しそうに、誇らしそうに半人半妖の剣士は言ってくれた

 

「そうだな……今は何をしているか知らぬが……そうでなければな」

 

老人も嬉しそうに、だが寂しそうに白玉楼をあとにする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

道中、老人は不意に声を掛けられた気がして立ち止まる

 

「……お前か天邪鬼」

 

そこは昔に一人の妖怪を助けた場所だった

 

「お前には何度も助けられたな……感謝している」

 

誰かへ礼を言う老人はまた声を聞く

 

『バーカ!救われたのは私の方だ……嘘じゃないよ、本当さ……ありがとう』

 

照れ臭そうに本心を言う少女が可笑しく、老人は笑う

 

「フッ……天邪鬼の言葉を信じるわけ……なかろうが……」

 

弱者の理想郷を作ろうと強くあろうとした弱者、弱くも強き心を持つが故に幾度も勝利の決め手を作った正と邪が混在する弱鬼

 

老人は尽きぬ感謝を表しながら時を進む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-永遠亭-

 

迷いの竹林の中に在る隠れた住処、月から来た永遠達が建てた幻想郷唯一の診療所でもある

 

だがそこに医者も患者も存在していない、もうずっと……

 

「……」

 

パチッ

 

碁盤に石を置く

 

「……永遠に飽きたのか?お前達は……」

 

本来ならそこに居るだろう姫に問い掛ける

 

(いつの間にかここも無人になっていた、億年を生きた天才は武を修めた兎と悪戯好きの兎と共に月に帰ったのかもしれぬな……フッ……天才の考える事などわからぬわ……)

 

今は竹林で隠れ更には陽が照らす故に見えないがそこに在るだろう月を老人は見上げる

 

(だが……お前はきっと、アレを飲んだのだろうな……皇帝不死鳥もその娘も居なくなり、時間に取り残される永遠に耐えられずお前は……違うか……?)

 

よくここで打っていた仲間を想い、碁盤に新たな石を置く

 

「輝く夜よ……お前は何処で永夜と共に眠る……?竹取りの翁は……要らぬか……安らかに眠れているか……?蓬莱の姫よ……」

 

浮かび上がりそこを後にしようと背を向ける老人に声が届く

 

『そうよ……私は永遠に耐えられなかった弱い人間、後悔だらけの人生だったけど……貴方達と過ごせた日々は、永遠にしたいくらい……楽しかったわ……』

 

「そうか……それならばよい……」

 

月姫と傍らに寄り添う3人の想いを感じた老人は笑みだけを浮かべ振り向く事無く次へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-太陽の畑-

 

「……」

 

老人は辺り一面に咲き誇るヒルガオに迎えられていた

 

(今日も綺麗に咲いているな……)

 

その中で一目でわかる特別なヒルガオが咲いている

 

「元気そうだな」

 

老人が贈った特別なヒルガオ、一部の者しか触れる事を許されなかった花の大妖怪が一番大事にしていた愛花

 

「勝てたか……?」

 

畑の主を想いながら傍に生える大樹を見上げる

 

「竜の王に……」

 

その大樹は世界樹、新芽だった世界樹も悠久の時を経て巨大な樹に成長していた

 

数百年に一度、死者を生き返らせる花を咲かせ、幻想郷に届けている

 

誰も甦りなどしないが……

 

(何者も恐れぬ大妖……その美しく気高き魂は胞子の様に飛んでいった……そこに幽かな香を残して……)

 

花の大妖怪は遠い昔に約束を果たしに行くと異世界へと旅立って行ったまま、帰って来る事は無かった

 

自慢の花が己の代わりだと言うように畑だけを残して……

 

『バカね……まだ貴方と交わした約束は終わっていない、首を洗って待っておくのね……せめて優しく介錯してあげる』

 

幽幻の言葉を風に運ばれる花香が一緒に運んでくる

 

「そうだ、そうだったな……フフフ……」

 

老人は思い出した様に微笑みながら畑を後にする

 

「余を殺すのだったな……お前は……」

 

果たされなかった約束を胸に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-香霖堂-

 

外の世界、魔法、妖怪の道具全てを扱う店

 

「……入るぞ」

 

次の老人の行き先は此処だった

 

「……」

 

カランカランと来客が来た事を店主に知らせる鐘が鳴り、老人はあの男が奥から出てくるのではないかと一瞬期待してしまうがそんな事がある筈も無く、鐘の音は止むまで空しく響くだけ

 

(わかってはいても期待してしまうのは絆故か……)

 

老人はゆっくりと商品を見ていく

 

「シャハルの鏡……魔王の指輪……」

 

目にする2つの非売品、両方老人が贈った物

 

(これこそ此処にお前達が居た証……そして、これを残したのは余の為か……?)

 

まるで形見の様に置かれているそれは老人が忘れない様にする為なのか

 

『違うさ』

 

『私達の方が貴方に忘れて欲しくなかったからよ』

 

店主と人形使いの魔女が微笑んでいる

 

「たわけが……そんな事をせずとも、忘れるものか……」

 

店を後にまた次へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-妖怪の山-

 

地上で最も多く妖怪が集まっていたその場所もやはり誰一人の気配も無く、動く者は老人ただ一人と孤独をより際立たせている

 

「相も変わらず不釣り合いな建物よな……」

 

その中で一際に目立つ近代的な研究所の前に老人は居た

 

(きっかけを与えたのは余だが……)

 

開いたままで放置されている研究所の中にはいくつもの機械のボディが並べられている

 

(核はマスターと共に川に流れたか……)

 

振り返り次へ向かおうとする老人に一陣の風が押す

 

『私も思い出してくださいよ!この清く正しい私も!!』

 

そう鴉天狗に怒鳴られた気がして老人は風が流れる彼方を見つめる

 

「逃げられたか……速くなったな、文屋よ……」

 

『あんたのお陰で楽しかったよ!ありがとう!』

 

『ギギッ!』

 

風の後を追う様に2つの声が背から追い抜いていく

 

「……余も楽しかったぞ」

 

感謝を風に乗せ、老人はそのまま山を進んでいく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-守矢神社-

 

乾と坤、天と地を司る神が居た社、俗にまみれた現人神が賑やかしていた社

 

(信仰無き所で(お前達)は生きられぬ……)

 

それも今や遥か遠き事……

 

(また……お前と酒を酌み交わしたいと思うのは……贅沢な願いなのだろうか……)

 

机の前に唯一の神の仲間である者を思い浮かべ、注がれていない空の御猪口を差し出す

 

『許せ……その程度の願いすら叶えれぬ不甲斐なき私を……すまない……』

 

そんな謝罪が聞こえてくる様……

 

「何を言うか……」

 

老人は呆れた様に笑う

 

「お前が余を仲間と思ってくれたからこそ……お前が余にまた生をくれたからこそ……余は珠玉の時を過ごせたのだ……謝るのは余だ、これ以上を望んでしまう愚か者の……な……」

 

どれほど感謝をしてもしきれぬ程の事をしてくれた女神に最後の感謝を贈り、外に出る

 

『あの~……私の書いた本を処分して……何でもないです!さようなら!』

 

『今までありがと!』

 

風祝と地の神に見送られて老人は山を離れる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴方には迷惑を掛けてばかりでした、最後まで……申し訳ありません……』

 

最後の場所へ向かう最中、神出鬼没を表す様に、スキマから声が届く

 

「余の好きでやっていた事だ、お前が気に病む必要は無い……」

 

そんな事は気にもしていない

 

「お前が余を見つけてくれたから今がある……余は応えたに過ぎんのだ……故にお前は誇り続けろ、余を幻想郷に連れてきた事を……」

 

そう言われ、始まりを作った賢者は深く頭を下げ、スキマの彼方に消える

 

(巡り逢わせてくれた事……永久に感謝している)

 

始まりを担った者からの想いを受け、老人は行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-博麗神社-

 

幻想郷の命を担う場所、博麗大結界と言う幻想郷を幻想で在らせる根幹を管理する聖域

 

「……」

 

その境内で博麗の巫覡たる老人は静かに佇む

 

(最後の博麗の巫女から役目を引き継ぎ、もうどれ程もの時が流れただろうか……)

 

老人の目に一番記憶に残る二人の巫女と消え去った龍の神が居た風景が浮かぶ

 

(忘れられた者達が集う楽園……今はそれ等からも忘れられた忘却の楽園……か……)

 

気の遠くなる様な時の果て

 

忘れられた者達からも忘れられたこの世界

 

幻想に成り果てた夢の跡

 

「せめて余だけは忘れまい、此処に幻想達が生きていた事は……」

 

この幻想郷で残る最後の一人たる老人は消え入りそうな声で呟く

 

『元大魔王がなにらしくない事言ってんのよ!まったく!』

 

見てられないと紅白の巫女が叱責をくれる

 

『今日まで御苦労様でした!』

 

『サンキュー!』

 

その後継たる弟子と奉る龍の神の謝礼

 

「……ああ」

 

身に受けて老人は家に向かい神社を出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うっ……ッ……」

 

もう目前といった所で老人は急にふらつき、魔力の操作も途切れ地に膝をつく

 

(もうくたびれた体だからな……酷使など幾度となくしてきた……寧ろ、この日を迎えれた事が奇蹟と言える程に……)

 

苦しそうに吐く息をゆっくりと整えようと頭を下げる

 

 

老人の生は戦いの歴史でもあった

 

生まれた世界の魔界に居た猛者達、地上の勇者、幻想郷の伝記に記されるだけでも魔帝、帝王、破壊神、太陽神……これだけの難敵と戦ってきた

 

そして戦いはそれだけではなく、幾度となく起きた異変や戦いがあり、復活した妖怪の皇との決着、世界を原初の混沌に戻そうと幻想郷の世界樹を狙った異なる世界の魔神とたった一人で戦った事もあった

 

 

(……戦う事でしか、力でしか己を表現出来なかったが……悔いは無い、此処は余が運命を共にする墓場であり、皆が愛した場所……だからこそ守らねばならなかった、そうしたかった故に……そうしてやりたかった故に……)

 

そこまでされた身体はもう死に体も同然な程に痛んでいた、こうして天寿を迎えられたのが本当に奇蹟な程に……

 

 

(だがもはや……なけなしの魔力すら……操れぬか……)

 

かつて誰からも畏敬と羨望を集めた大いなる魔の王、この地で誰よりも強かった幻想ノ王

 

若く、強かった時はもう遥かな過去

 

今は面影すら無き老いた死に際の男

 

 

 

「……!」

 

そんな命短し老人は誰かが前に立っている気配を感じる

 

「……」

 

ゆっくりと顔を上げる老人

 

「お前か……」

 

膝をついた老人と同じ位の小さな鬼に素直な笑みを見せた

 

『何やってんだい、あんたともあろうもんが情けないねぇ……もう少しなんだろ?ほら頑張りな!』

 

「言われずとも、だ……霧の鬼よ」

 

霧の様に消えた像に奮い立たされ、老人は立ち上がる

 

『さぁ……進みくだされ、不安ならオレも付き添いましょう』

 

立ち上がった老人の前には魔族の男が佇んでいた

 

「大丈夫だ、供は要らぬ……すまぬな」

 

異次元からの古き知古の傍を自らの足で通り過ぎる老人の先には紅き館が建っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『異常ありません』

 

『Zzz……』

 

紅い館に入る為の門、その両脇に立つ二人の門番が老人を迎える

 

「御苦労……余の最も古き忠臣と不敗の武神よ……」

 

誰も護らぬ門を抜け、老人は館を見上げる

 

「そうだ……」

 

そう呟き、歩を進める

 

 

「余の求めた太陽はいつも……この場所に在った……」

 

 

老人は在りし時を思い出し、懐かしみながら中へ入る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過ぎ去った時の終着で……

 

 

過ぎ去りし時を求めて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-紅魔館-

 

『『お帰りなさいませ』』

 

中へ入った直後に二人のメイドと執事が待ち構えていた

 

「……今、帰った」

 

最後まで尽くしてくれた二人に応え老人は図書館へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

図書館の一角、自分がいつも座っていた椅子に座り、静かな光景を見つめる

 

「……」

 

誰も居ない静寂な空間を見つめ続ける

 

(そう……此処には……確かに……居たのだ……!)

 

その手は強く握り締められていた

 

「……此処には……いつも……!」

 

痩せ果てた心が痛む

 

「お前達が居た……!」

 

此処でいつも見ていた光景

 

 

 

 

 

『妹紅!かき氷買ってきなさい!あんたの奢りでね!』

 

『あぁ?今冬だぞ?雪でも食っとけ!……あ~!ったくしょうがねぇな……わかったよ親分、行くぞルナ』

 

『ルナはあたしと鬼ごっこするからダメだよー!』

 

『あー!パチュリーさんまた勝手にケーキ食べましたね!?』

 

『違うわ、犯人は魔理沙よ』

 

『コラァ!擦り付けんじゃねぇぜ紫もやしコラァ!』

 

『もう……騒がしいのはいつもだけど、もう少し落ち着いて欲しいものよね……ねぇ?』

 

 

 

 

 

浮かぶあの頃

 

「……!」

 

もう戻らない、もう戻れないのはわかっている

 

わかっているからこそ、老人は苦しそうに拳を握り締めるのだ

 

愛しいから……

 

 

 

 

 

『……んじゃ行ってくる』

 

『杏仁豆腐頼むぜ!』

 

『あたしはプリン!』

 

『私はケーキをお願い』

 

『あっ……えっとじゃあ……私もケーキを……』

 

『では私はA5のシャトーブリアン1トン、もちろん妹紅の奢りでね』

 

『また私にたかるのかよ……いいけどさ……でも最後のはふざけんな!』

 

 

 

 

 

今も光景が浮かぶ

 

(遠く儚き時間は夢幻……過ぎ去りし時は今や遠き理想郷……)

 

浮かぶだけでそこには誰も居ない、もう見れる事も無い

 

 

(余の生涯の友よ……)

 

机に並べられた7つ装飾品

 

老人が生涯の友に贈った王の想いの形

 

 

 

2冊の魔導書

 

 

これを持った二人の魔女の内、黒白の大魔導士は人間の短い生を全うし、二度目の天寿を終え……最初に居なくなった

 

 

紫天の賢者はある日、いつもと同じ様に魔導書を読み、気付けば魔導書の中で眠り……二度と目覚める事は無かった

 

 

 

青いイヤリング、緑のネックレス

 

 

これを着けていた二人の妖精、自然が有る限り不滅である二人はまたある日、装飾品だけを残し……忽然と幻想郷から消えた

 

 

 

紅黒のブレスレット

 

 

この持ち主である義妹、王女の妹たる吸血鬼は晩年、形見の様にブレスレットを置いて、同じ寿命を与えられた従者の執事と共に……幻想郷から出ていき戻る事は無かった

 

 

 

 

不死鳥を象った御守り

 

 

己と象徴を同じとした皇帝不死鳥に贈った物、一度は娘に託したが返却された死に抗う魔守り、これを持った不老不死の呪縛から解放された少女はその優しき勇気を血に連なる勇者に託し、人間に戻った必然を喜びながら……逝った

 

 

 

真紅の宝石

 

 

王が想曲を込めた最愛の者への贈り物、その最愛の吸血鬼は僅かでも愛した男と一緒に居られる様にと長い寿命を懸命に更に延ばし、最期まで王の傍に居続け、王と子に看取られながら……眠りについた

 

 

 

 

 

「……」

 

この幻想郷で、此処で過ごした日々を、楽しかった時が夢の様……

 

(わかっていたつもりだった……だが痛い……こんなにも……辛き事だとは……思ってもみなかった……)

 

想いは痛み、時間は重さ、全てが過ぎ去った後の今まではまるで地獄

 

(だがそれも……今日で終わる……)

 

それでも老人は生きねばならなかった

 

そうしなければならない理由が有ったから……

 

「……」

 

立ち上がった老人は7つの装飾品を持ち、重い足を引き摺る様にでも動かしながら図書館を出て、ある場所に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-紅魔館・バルコニー-

 

「……」

 

老人は机に装飾品を並べ、自分の首に巻かれた赤いスカーフに手を掛ける

 

(お前達と余は……確かに此処で生きていた……)

 

友が皆で編み、自分にくれた想いの結晶、自分の友であった事の今や唯一の証明であり太陽の代わり

 

「これがあったから……余は今日まで生きられたと言っても過言ではない」

 

スカーフを友の装飾品の傍に並べると椅子にゆっくりと腰掛け、机に最初から並べられていた2枚の写真を見つめる

 

「……過ぎ去りし時か」

 

どちらも皆で撮った幻想達の写真

 

在りし日の時間を切り取った色褪せる事無い永久の記録

 

(楽しかったとも……今も尚……断言出来る……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

陽が照らす日溜まりの中で老人は太陽を見上げる

 

「約束は果たせたであろう……?なぁレミリア……」

 

老人が生きていた理由、一人になっても長き時を生き続けた約束

 

 

 

『永遠なんて言わない……だけど、1日でいい……ほんの1秒だけでも良いから……』

 

 

『私より……長く生きて……』

 

 

 

それが……老人が生き続けた理由

 

誰よりも愛した者の願いを叶え続ける為に……一人でも生きていたのだ

 

「余は……些か疲れた……」

 

老人は確認する様に天に呟く

 

「もう……よいだろう……?」

 

力を抜き、瞼が下がっていく

 

(後悔は無い……余が選んだ道なのだ……後悔など……有ろう筈もない……)

 

今……かつて大魔王と呼ばれた男の命が尽きようとしている

 

(……だが、ああ……心残りは有ったか……)

 

幾度となく幻想郷を救い、受け入れられた最後の一人の命が……

 

(元気にしていれば良いが……余と……レミリアの血を分けた……)

 

尽きる……

 

(双生の……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          「父上!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かの声が……老人の命を繋ぎ止めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おお、帰ったか……」

 

目を開けた老人は不死鳥の剣を背負った傷だらけの少女を見て、微笑む

 

「ルナよ……」

 

友の娘から名を貰った愛娘に……

 

 

 

 

「良かった……まだ生きてて……!」

 

駆け寄って来た娘が抱き付いてくる

 

「瀬戸際だがな……」

 

娘の頭を撫でてやる、だがその余りにも弱々しい手に娘は辛そうに老人の服を握り締める

 

「ルナよ、お前が帰って来たという事は……」

 

「はい……間に合いました……!」

 

娘は立ち、振り返って叫ぶ

 

「兄さん!!」

 

すると柱の陰から竜の剣を差した娘と同じく傷だらけのまま少年が苦々しそうに出てきて、老人の前に立った

 

「久方振りだな……我が息子、ソルよ……」

 

かつて戦った太陽神の名を貰った息子へ笑みを向ける

 

「父上……」

 

息子は身を震わせながら目も合わせられず言葉を絞り出す

 

「私が……愚かでした……!」

 

出るのは謝罪

 

「父上が望んだ事は……「魔界に太陽を与える」という、潰えた大望ではなかった……」

 

王と王女の愛の果てに産まれていた双生の陽月

 

魔族と吸血鬼が持つ長寿の命が交わる事で両親を越える寿命と若さを保てる様になっていた双子は母である王女が死んだ後、幻想郷から消えていた

 

何かを読んだ双子の兄である息子がある日、突然幻想郷から行方を眩まし、父の死期がそう遠くないと知った娘が連れ帰ると捜しに出ていたから

 

 

「母上が本当に願ったのは……父上が本当に望んだ事は……!「共に生きて欲しい」……それだけだった……!ルナが……教えてくれた……」

 

過ちを犯した己への後悔で顔向けが出来ない

 

「……全てを許そう、ソルよ」

 

そんな息子へ老人は、父は言う

 

「お前は己の心のままに成そうとしただけだ、ただ……成そうとしたそれを余が望んでいなかっただけの事……お前の余を想うその心だけは嘘ではないのだからな、嬉しく思うぞ……」

 

「ッ……!?」

 

「すまぬな……お前は余の修羅の部分を強く受け継いだ、お前の過ちも、残した夢幻の残骸も……親たる余に責が有る……許せ」

 

「父上……ッ!?」

 

怒るのではなく、蔑如でもなく、感謝され、謝られる

 

それが息子には堪らなく、崩れる様に父に抱きついた

 

「すみま……せん……父上っ……!」

 

「……ソルよ……敢えてだ、敢えて言ってやる……レミリアの遺志を違えよって……この、親不孝者めが……」

 

「……ごめん……ごめん……!父さんっ……!?」

 

「……よくぞ無事に帰って来た、生きたままお前の顔をまた見れた……それだけでも今日まで生き永らえた甲斐があったというものだ」

 

「~~~~ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「……ルナ」

 

「はい……何でしょう……父上……?」

 

「よくぞやってくれたな……」

 

また娘の髪を撫でる

 

「お前は母に似た……スカーレットの誇り高き魂を受け継ぐよき女になった、嬉しいぞ父は……綺麗な髪だ……レミリアに……昔の母にそっくりだ……」

 

「そんな……勿体無き御言葉です……父上ぇ……!」

 

兄と同じように父の胸に崩れる

 

「あぁ、随分と苦労をかけてしまったな……愚かで、不甲斐の無い父で……すまぬ、な……」

 

「ううん……!そんな事ないよッ!父上はいつだって賢くて!本当の強さを持った私の誇れる人だった……!いつだって私達を想ってくれてた……すごく優しい……父さんだったよ……!」

 

「お前には感謝しかない……ルナ……愛しき我が子よ……ありがとう」

 

「うー……うぅー……父さん……!お父さぁん……!!」

 

そこにはもはや何のしがらみも無いただの家族の姿だけがあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前達よ……1つだけ、約束しろ……」

 

掠れる様な声で王は告げる

 

「お前達は太陽と月……これからは……互いに照らし合うように……仲良く暮らせ……出来るな……?」

 

心配そうに見つめてくる二人に精一杯に出せる笑みで言う

 

「約束し……余を……安心して……死なせてくれ……」

 

もう既に命は尽きているのだと……

 

「約束します……!生涯破らぬと誓います!だから……だから父上ッ……!」

 

「まだ、死なないで……父上ッ!!」

 

二人の答えに王は満足そうに笑い、それが本当に最後の力だったかのように……また目は閉じられていく

 

「そうだ……父上!私を慕う魔物達が幻想郷に住むのです!大結界の維持もオレ達が……!だから父上……ッ!」

 

「人間も住みたいって言ってくれてるんだよ!幻想郷はまた前みたいに戻るから……!それに……私……父上に……紹介したい人が……!」

 

「……フフ……フ……そう……か……余が守った幻想は……皆が紡いだ幻想は……まだ終わらぬか……」

 

必死に呼び掛けるが止まらない

 

 

 

「「父上ッ!!」」

 

 

 

(もう……心配無い……もう……これで心残りも無い……最期を我が子に看取られ……逝けるのだから……な……)

 

 

今……ようやく物語が終わろうとしている

 

幻想に触れ、大魔王と呼ぶには愛が過ぎた、変わり果てた男の物語が……今……ようやく……

 

 

(さぁ……また戻るとしよう……あの時の様に……幻想を照らす……太陽に……)

 

 

幸せな生だった

 

永遠という時の中で、刹那に燃え尽きる流星の様な、閃光の様な時間

 

故に辛きも有ったが楽しかった、終わりが有るから真摯に生きたその刹那に生まれる想いは生きた証として、思い出として永遠に消える事なく王の魂に在り続けたから

 

 

そんな男の生が……今……ようやく幕を降ろすのだ、どうか騒がずに……眠らせてやって欲しい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……もし……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(もしもだ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こんな……骸にもまだ……奇蹟が起きるというのなら……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(余の願いが……1つだけ叶うならば……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(幻でも構わぬ……最後に……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(もう一度だけ……お前達に会いたい……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         起きてバーン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

バーンは目覚める

 

視界には泣き崩れる二人の我が子の姿がある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこ見てんだぜ!こっちだこっち!」

 

誘われる様に顔を上げ……

 

「……フッ」

 

太陽達へ微笑んだ

 

「お前しぶてーんだよ!ったくよ?こーんなに待たせやがって……ホントバッカヤローだぜお前は!」

 

霧雨魔理沙

 

「久し振りにみんな集まったね!」

 

フランドール・スカーレット

 

「あうー!会いたかったですバーンさ~~~ん!」

 

大妖精

 

「あたいが来てあげたのよ!感謝しなさいよね!」

 

チルノ

 

「フフッ……驚いたでしょう?」

 

パチュリー・ノーレッジ

 

「また会えて嬉しいよ……お疲れ!」

 

藤原妹紅

 

「迎えに来たわよ……バーン」

 

そして……レミリア・スカーレット

 

 

 

「……」

 

バーンは嬉しさからか何も言わず友を見つめている

 

 

「……会いたかった」

 

 

そして溢れる心からの言葉

 

別れた日から片時も、ほんの一瞬すらも想わなかった事の無い叶わぬ……小さな願い

 

「あぁようやくか……ようやくだ」

 

叶わぬと知るからこそ、それは月日と共に際限無く積もり続け……王の悲願となっていた

 

それが……遂に叶ったのだ

 

 

 

「何やってんのよバーン!行くわよ!」

 

「バーンさん早く早く!」

 

二人の妖精に手招きされるが感極まったのかバーンは動けないでいた

 

「もう……ほら……」

 

見かねたレミリアが手を差し出す

 

「……わかった」

 

手を重ね、起こされる皆が在りし時の頃のバーンは振り返らない

 

 

「1つの時代が終わった、そして新たな時代が拓かれる……新しい時代を作るのは老人ではない……次はお前達の番だ、幻想は終わらぬのならば……繋げて行け、無限に…………強く生きるがよい……」

 

 

そこに遺る抜け殻に泣く二人を見る事なく進む

 

 

「ねぇ!何して遊ぼっか!」

 

「あたい弾幕ごっこがしたい!」

 

「まずは皆でお茶にしましょう、積もる話もあるでしょうしね」

 

「そうですねお母……パチュリーさん!ようやく揃ったんですもんね!」

 

「あ~!次はどんな大冒険が待ってんだろうなぁ!楽しみだぜ!なっ?」

 

「勘弁してくれ、もういいってそれは……戦いはもう飽きたよ」

 

 

友と同じ速さで、同じ時を……また……

 

 

「行きましょうバーン、幻想の彼方へ……」

 

「ああ、お前達となら……何処までも……」

 

 

永遠の想いが起こした奇蹟、過ぎ去りし時と共に幻の彼方に消えていく王の軌跡

 

それはそこに生きた証として後世に伝記、伝説となって伝わり……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      「幻想の日々よ……さらばだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         そして幻想へ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               東方大魔王伝 ー完ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて東方大魔王伝、完全終了となります。

この主人公独りは栄枯盛衰、いつかは終わり、人気があっても時が経てばいずれは無くなり、誰も居なくなり、思い出も新しい時代に埋もれ忘れられるオンラインゲームの儚い常、そんなイメージをしていただけたらなと思います。


見てわかってくださったと思いますが本当に完全に終わらせてあります、続きが書けるネタが有るじゃないかと思われるかもしれませんがバーンが居てこその東方大魔王伝なのでバーンが居ない続編、しかも既存キャラも誰も居ない続編なんて有り得ません、何度も言いますが本当にこれで終わりです。

そして、キャラを貸してくださったウジョー様と音信不通になってしまっていますが根無草様に多大な感謝を贈らせていただきます。
お二方のお陰で物語により熱が入りました、ありがとうございました!

本編の更新はこれにて終了になりますが作者のあとがきと言いますか朧気な部分の説明を番外で綴ろうと思ってます、双子の詳細やら何やらを……

今日は大魔王伝が始まった日であり終わった日、4年も続いた東方大魔王伝、お楽しみいただけたでしょうか?
いつか東方やバーン様をまた見た時に「そういえばこんな小説が有ったな……」なんて思い出してくだされば嬉しいです。

読了ありがとうございました!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。