東方大魔王伝 -mythology of the sun-   作:黒太陽

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-秘伝- 合唱(コーラス) Ⅴ

 

 

 

やるせない儚さに身を委ねようとする

 

              そんな危うい時代に……

 

足掻いても手の届かない岸を目指し

 

              無我夢中で泳いだ……

 

 

 

 

     流れに逆らう 声もあげられない

 

 

 

        行き止まりの場所で……     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら終わってるじゃない、そんなに時間掛けたつもりは無かったけれど早かったわね」

 

ポップの後に紫と席に戻って来たレミリアはつまらなそうに咲夜を呼んで紅茶を淹れさせる

 

「バーサーカーはブチギレたら全力で殺しに行くからバーサーカーなんだぜ?そりゃ試合は早いわな、あのオリハルコンのヒムって奴じゃなきゃ決着はもっと早かったろうぜ」

 

「でしょうね、しっかしまぁ……予想できた事とは言え酷い有り様ね」

 

リングも土台も消え失せた舞台を見て溜め息をつく

 

「咲夜、にとりに言って新しいリングを至急用意させて、紫にスキマで運んで貰うわ……パチェ土台お願い」

 

「はいはい了解」

 

パチュリーが魔法を使い武闘会場を造る過程で出た残土を持ってきて消滅分を埋めしっかりと固める

 

「時間も丁度良いし一旦食事休憩にでもしましょうか」

 

後はリングだけだがいくらにとりでも一瞬では造れないのでその間を使って休憩に決めた

 

 

 

 

 

 

 

 

『ピンポンパンポーン!お知らせします、リング復旧に少しお時間を貰いますので一旦休憩時間とします、第五試合は1時間後に開始しますので御了承くださーい!』

 

 

文のアナウンスが流れ武闘会は一時お開きとなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっと、今のとこ2勝2敗かぁ……どう思うよ皆?」

 

頂点達が集う場で魔理沙が感想を問う

 

「皆さんお強いですよね!ね?フランちゃん!」

 

「そーだね大ちゃん!あたし的には妖夢が負けちゃったのはビックリだったもん」

 

「ルナ!出店にかき氷買いに行くわよ!後に続け!」

 

「えっ!?親分待って~!」

 

「あ!私も行くよ!」

 

大妖精とフランが素直な感想を言い興味無かったチルノがルナを連れてその場から消え妹紅とロランが追いかけて行く

 

「思っていた以上ではあったけれど大きくは越えない……そんな印象かしら」

 

武闘大会を開く前に勇者一行の実力を心配していたパチュリーは対戦を振り返り答えた

 

「そうね、私もパチェと同じ印象よ……出る奴を厳選してたら全勝もそう難しい話ではなかったでしょうしね」

 

レミリアも答える

 

今までの試合を見て極端な話、幻想郷側の選手が全員頂点だったならば全勝も有り得たと言っている

 

空を飛べない遠距離攻撃も乏しい者に空から弾幕を撃ち続けるような真似はする気は無いがそれでもレミリアは勝てると思っている

 

「そうかぁ?そりゃちっとあいつ等見くびり過ぎてんじゃねぇか?最初以外は……まぁ何でもいいか盛り上がってるみたいだし、幽香のは葬式みたいになってたけどよ……勇者にまで続けば何でも良いんだぜ」

 

魔理沙も陽気に笑っている

 

「そうね、目的は武闘大会の成功ではないもの」

 

そう、皆の目的は勇者であって武闘大会の結果は極端に言えばどうでも良い、勇者に行き着くまでに例え全敗しようが構わない

 

それがやる気はあるが気楽な理由

 

「つかよ、バーンはまだかよ?何処でかくれんぼしてんだアイツ?ホントに来てんのかよ?」

 

「居るのは確かよ、私にはわかる」

 

「惚気かよかりちゅまレミリアたんよー!うぜぇから日光浴びて灰になってくれだぜー」

 

「嫉妬は見苦しいわよ魔理沙、ねぇフラン?」

 

「お姉さまウザイよね魔理沙ー!」

 

「フラン!?」

 

妹のまさかの裏切りにあわあわするレミリア

 

「でも本当に見つからないわね、私の感知にも引っ掛からないし……こいしの能力でも使えるようになった?」

 

「さすがにそりゃねぇだろ……とも言えねぇのがバーンか、完コピは無理でも近い事は出来るようになったとしても不思議じゃねぇぜ」

 

「レミィだけわかってるのがそれっぽい根拠と思わせるわね」

 

今に至ってもバーンは姿を見せていない、ただ居るのは間違いないらしい

 

「あと残ってるのはポップさんとヒュンケルさんかぁ……どっちが出ると思うフランちゃん?」

 

「わかんないよ~大ちゃん、勇者が出るかも!」

 

「それは無いんじゃ……とは言いきれないよね、順番は自由だし……ダイさんかもしれないね確かに」

 

その後、チルノ達が買ってきた出店の品を皆で仲良く食べるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらが昼食になります、どうぞごゆっくり」

 

「失礼します」

 

咲夜とウォルターが用意した豪華な料理を置いて勇者一行の控えスペースから出ていく

 

「飯が来たぞー食べようぜ」

 

テーブルを囲んで皆で食事を始める

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 

空気が重い、誰かベタンを唱えたのではないかというくらい控えの空気は重く、悪い

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

誰も喋らない、その理由はダイにあった

 

「…………」

 

醸し出される異様な雰囲気、良いモノには感じられない明らかに良くないモノが滲み出ている

 

(一回戦の時はまだ普通……いや弱ってたのは間違いねぇけどそれでも普通だった……のによ……!)

 

おかしくなったと感じたのは二回戦から、思えばラーハルトが勝利の命令を貰う時から違和感は有った

 

『……わかったよ、勝ってよ……ラーハルト』

 

あの時は戸惑いからあんな言い方になったと思っていたがもうラーハルトとも長いダイが今更戸惑うのはおかしいのだ

 

アレは戸惑いではなく無関心から来る感情の籠らない返事、要はどうでもよかったのだ

 

(思えばダイは誰の勝利も喜ばず怪我の心配もしていない……)

 

それどころかダイは武闘大会が始まってからほとんど喋っていない、一回戦に美鈴の天地魔闘を見た後の言葉が最後のまともな言葉だった

 

(もう……手遅れなのダイ……?)

 

余りの触れ得ざる雰囲気と迂闊な言葉を掛けて更なる悪化する事を恐れまるで腫れ物の様な扱いになっている

 

「……おいダイ」

 

ポップが声を掛ける

 

「全っ然食べてねぇじゃねぇかよお前、動いてねぇから腹減ってねぇのか?」

 

いつもの様に話しかける

 

そんな中でも動くのはやはり親友のポップだった

 

「……ああごめん、お腹減ってなくてさ」

 

ダイはポップを見ず手をつけていない料理を見ながら答える

 

「ちょっとでもいいから食っとけよ、お前の出番の時に空腹で力出ませんじゃ笑われちまうぞ?だから食っとけ、すげぇうめぇぞこれ!」

 

ポップ自身も無理矢理作った空元気の様な笑顔だったがそれが場の空気を少し良くした

 

「そうよダイ、すっごく美味しいから食べてみなさいよ」

 

「ボクおかわりしよっかな~」

 

「俺も頼むか」

 

若干のぎこちなさがあるも談笑もするようになった

 

「……」

 

そんな皆をダイは見つめる

 

「ほら食おうぜダイ!」

 

「……ポップ」

 

ポップを見て、俯いた

 

「……ごめんよ……」

 

まるで残った感情を絞り出したかのような小さな謝罪の言葉

 

その言葉には皆に気を遣わせる申し訳無さ、自分の情けなさ、世の無情など全てを感じさせた

 

「……ッ!?」

 

ポップの顔が辛く歪む

 

(ダイ……!?)

 

何も出来ない、してやれない無力感が堪らなく苦しいのだ

 

この場の誰よりもダイと親しい親友のポップだから……

 

(なんでお前が謝るんだよ……お前は何も悪くねぇだろ……!)

 

辛過ぎて泣きそうになるもポップは堪えて気持ちを切り替える

 

「なーにを謝ってんだおめーはよ!いいから食うぞダイ!ほら食え!」

 

「……うん、わかった」

 

ポップへ渇いた笑みを見せたダイは料理を食べ始める

 

「うめぇだろ?よっしゃ俺も食うぜぇ!おいチウそれ寄越せ!」

 

「あ!?ボクの勝手に取るなー!」

 

「俺の食えよ隊長、食えねぇのになんか用意されてたからよ」

 

ポップの頑張りによって良くなった雰囲気で食事は進んでいく

 

「……」

 

料理を一口食べたダイは一瞬手が止まる

 

(味がしないや……)

 

それでも親友に応えたくて無味の料理を食べた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はーい清くて正しく尚且つ可愛い文ちゃんです!それではリングの復旧が完了しましたので試合を再開しまーす!』

 

観客の歓声があがる

 

程好い休憩時間が幽香の試合で下がった熱を取り戻させ今か今かと待ちわびるまでになっている

 

『さぁ勇者一行は残り三人!次は誰が出るのかー!そして幻想郷はー?我こそはと思う者は誰だー!』

 

すると勇者一行の控えスペースから一人出てきてリングに上がる

 

『アレはヒュンケル選手だー!彼はイケメンだし強そうだぞー!』

 

リングに上がったのはヒュンケル、防具は着けず剣を一振携えての登場だった

 

「ヒュンケル!」

 

声を掛けられ振り向くとロンが持っていた剣を投げて来たので受け取る

 

「そんなナマクラじゃ今のお前には不十分だ、そいつを使え!」

 

「これは……」

 

懐かしい剣にヒュンケルは思わず笑みを溢す

 

「鎧の魔剣……か」

 

見ただけでわかる、ロンがバーンに譲りバーンから下賜されたかつての愛用剣

 

「お前の完治祝いだ、お前用に調整してある好きに使え」

 

「……ありがたいが前のとかなり違うな」

 

前とは違い収納時は鞘になる刺々しい鎧部分が無くなり禍々しさが消えスッキリしている、見た目は大きめの鞘に入った剣という印象

 

「防具に頼らなくなったお前に合わせて鎧部分を詰めた、籠手、脚籠手、胸当て、額当て……剣士の命である手足と急所の最低限にしてある、鎧の魔槍と差程変わらなくなったが今のお前には最適な筈だ」

 

「そうか……しかし本当に良いのか?」

 

「何度も言わせるな、お前の完治祝いに俺がそいつをやりたかったからやっただけだ、お前は素直に受け取ってりゃいいんだ、わかったらさっさとそのナマクラをこっちに渡せ」

 

「ふっ……わかった」

 

持っていた剣をロンに渡し鎧の魔剣を携え永琳を見る

 

「見せて貰うわヒュンケル」

 

「ああ、見ていろ」

 

大会前に約束した治療の成果を見せる事を確認し互いに頷く

 

『さぁヒュンケル選手準備万端だー!幻想郷からは一体誰が出るのか期待が膨らみますよー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お?あいつ……」

 

「完成したね……強いよ彼」

 

妹紅が気付きロランが感心した声を出す

 

「へぇ!こいつはスゲェぜ……さすがのお前も文句ねぇだろパチュリー?」

 

「そうね……文句無いわ魔理沙」

 

魔理沙とパチュリーも感心している

 

「間違いなく一番強いわね、今までの中ではあいつが」

 

レミリアが断言する

 

皆わかったのだ、ヒュンケルが持っていた数打ちのような剣では測れなかった実力が己が力を存分に発揮出来る剣を手にした事で表面化したのを感じ取ったのだ

 

「スッゴーイ!あたし行って来ていい?」

 

フランが興奮して手を挙げる

 

「はぁ?ダメよフラン!あたいが先よ!」

 

我慢してきたチルノが出ようと声を張り上げる

 

「チルノちゃんは秘密兵器だからまだ待っててね、はいっ!かき氷!」

 

「わーい!大ちゃんありがとー!」

 

気を逸らされてチルノは蚊帳の外へ追い出された

 

「ねーお姉様あたし出てもいい?」

 

「少し様子を見て誰も出ないならいいわよ」

 

「えー!?出たいのにー!」

 

頬を膨らませながらフランは他の者達の様子を伺う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うほ!良い男!」

 

「ホントですね!」

 

早苗と靈夢が目をキラキラさせている

 

「ほぉ……戦鬼かあの男」

 

「戦いでしか生きられないって顔してるねー」

 

神奈子と諏訪子の二柱の神

 

「あいつボクより強くねー?」

 

「間違いなく強いわね、あんたが弱いとも言えるけど」

 

「酷いね!?でもそれはそう!」

 

博麗神社の奉る龍神と霊夢

 

ここは博麗と守矢、両神社の者達が集まる場所

 

「靈夢、あんた行ってきたら?」

 

「え!?私がですか霊夢様!?」

 

「良い修行になりそうだしイケメンを引っかけるチャンスよ?」

 

「それはそうですが……やめときます、勝てる気がしません、わかるんですよ……相手にならないって」

 

「ふん……修行の成果は出てるみたいね、これで馬鹿みたいに行くなんて言ってたらお説教だったわよ」

 

「さすがにわかりますよ……」

 

成長に霊夢がうんうんと頷いていると早苗が声をあげた

 

「じゃあ私が出ます!」

 

手を挙げ高らかに立ち上がる早苗

 

「あんな良い男が目の前に居て動かないなんて有り得ないですよ!あのイケメンさんだって戦うなら可愛い女の子が良いに決まってます!待っててくださいね神奈子様、諏訪子様!私が婿を手に入れて守矢神社を未来永劫安泰にしますから!」

 

「座ってろ早苗」

 

早苗は神奈子にしばかれて諏訪子に無理矢理座らされた

 

「霊夢様はどうなんですか?」

 

「私?出ないわよ、賽銭入れてくれるならやるけど」

 

「えー……霊夢様の強いところ見たいなぁ」

 

「出ないわよ」

 

「もしかして怖じ気づいてたりします?」

 

「その手には乗らないわわよ靈夢、ムンドゥスでもないのに怖じ気づいたりなんてするもんですか」

 

「ダメかぁ……」

 

靈夢が残念がっていると霊夢にお金が投げられた

 

「では私が賽銭をあげる、出てくれるわね?」

 

投げたのは神奈子、笑みを浮かべているが嫌がらせではない笑み

 

「そう来るのね……」

 

「じゃあボクも賽銭出すよ!ほいっ!」

 

龍神もお金を出した、自分を奉る神社への賽銭という意味がわからないがとにかく出した

 

「私も出すよー!早苗の分もほいっと!」

 

諏訪子も乗ってお金を投げる

 

「ど、どうぞ霊夢様……」

 

ついには靈夢もお金を差し出す

 

「あーもー!わかったわよ!行けば良いんでしょ行けば!」

 

言った手前撤回出来ない霊夢が立ち上がり払い棒を持ってリングへ飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おっ?これは意外な人物が来ましたー!幻想郷からの出場は皆さん御存知!紅白の通り魔こと先代博麗の巫女、博麗霊夢だー!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が俺の相手か」

 

「ええ、よろしく」

 

ヒュンケルは霊夢を見つめる

 

(たゆまぬ鍛練の軌跡を感じる……強い)

 

歴戦の戦士の目が一目で霊夢を強者だと見抜き自惚れや戯れの類での出場ではないとわからせる

 

「確か……俺達を帰らせる事が出来る巫女、だったか」

 

「そうよ、紫が忙しかったり監視をすり抜けて来たあんた達みたいなのを帰したりするのが私の役目ね」

 

「それはそうと巫女とは力も必要な仕事のようだな」

 

「まぁね、暴れる外来人をしばいたり異変を解決するのにも必要だからね……もっとも、それを気付かせてくれたのはバーンだけどね、あんたもバーンは知ってるんでしょ?」

 

「……」

 

因縁浅からぬ相手故に気軽に答えられなかったヒュンケルが沈黙を返すと突然観客席から声が響いた

 

 

「ちょーっと待ったーーー!」

 

 

声高に叫んで霊夢の隣に吸血鬼が降り立った、フランである

 

「ズルいよ霊夢!あたしが戦おうと思ってたんだよ!」

 

プンプン怒りながら抗議するフランに霊夢は呆れた顔を返す

 

「知らないわよ、私も戦う理由があるんだから邪魔しないで」

 

賽銭の為なのだがそれらしい理由が有る様に言う霊夢、戦わないと賽銭が手に入らないから結構必死

 

「あたしだって知らないし!邪魔するなら破壊しちゃおっかなー?賽銭箱!」

 

「人質ならぬ物質ってわけ……くっ!?あんた卑怯よ!」

 

賽銭箱とは霊夢にとって命と同価値の物である

 

「……待って、じゃあこうしましょう、あいつにどっちと戦いたいか決めて貰うのよ」

 

「そんなの霊夢が棄権したらいいだけだからやらないよーだ!」

 

「うるさい!いいから決めて貰うわよ!」

 

「ズルーイ!」

 

このままでは勝ち目が無かった霊夢は強引にヒュンケルへ選択権を持たせた、その方が戦える確率が少なくとも0ではなくなるから

 

「さぁ決めなさい!どっちとやりたいの!?」

 

「……」

 

問われたヒュンケルは二人を注視する

 

「俺が選ぶのは……お前だ」

 

選んだのはフランだった

 

「やった!ざまーみろ霊夢ー!」

 

「くぅ……仕方ない、大人しく引き下がるわ、はぁ……お賽銭が……」

 

お金を返さないといけない憂鬱と共に霊夢は観客席へ戻って行く

 

「って事であたしが戦うよヒュンケル!あたしはフランドール・スカーレット!よろしくね!」

 

「ヒュンケルだ……あの時の子どもが頂点だったとはな」

 

初めて紅魔館に行った時に見た寝起きのフラン、その時は寝惚け故にまさか頂点どころか強者とも見えずレミリアの言葉も身内贔屓と思っていたが永琳から頂点と聞いて今改めて見ると嘘ではないとヒュンケルにこれでもかとわからせる

 

(……恐ろしい力を秘めている、先の風見幽香に似た波長を感じる力だが精錬されたモノを感じる)

 

戦士の本能でほとんど無意識で探りを入れるヒュンケルは突如顔を歪ませる

 

(ッ!!?なんだ……このおぞましい感覚は!?何を持つというんだこいつは……!?)

 

フランの中に形容出来ない何かとてつもなく不安にさせるモノを感じ取ったのだ

 

「あ、気付いちゃった?ヒュンケルが感じたのはね、あたしの……」

 

フランが答えようとすると文の声が割って入る

 

『どうやら話し合いの結果フランドール・スカーレット選手が出る事になったようです!ではこの試合の禁じ手はフランドール選手が持つ「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」が禁じ手になりますのでお気をつけください!』

 

「先に言われちゃった……て事だよ、ヒュンケルが感じたのはあたしの能力なの」

 

「ありとあらゆるものを破壊する能力……」

 

答えを聞いたヒュンケルは内心戦慄する

 

それが言葉通りありとあらゆるものを破壊出来るなら勝ち目の無い無敵の能力なのだから

 

実際は実力が離れた相手には効かないがそんな事を知らないヒュンケルは禁止にされる事が言葉通りの証明だとして驚きを隠せないのだ

 

「大丈夫だよ!あたしは絶対に使わないから安心して!」

 

「……ああ、そこは心配していない」

 

考え無しに使うような事も我身可愛さで使うような事も無いだろう事は見たらわかる、ヒュンケルは本当にそこは全く心配していない

 

「じゃあそろそろやろっか」

 

「そうだな、噂の頂点の実力……見せて貰うぞ」

 

息を合わせた二人は距離を取り向き合う

 

「……鎧化(アムド)!」

 

鎧の魔剣の鞘が分解されヒュンケルの体の各所に装着される

 

「カッコイイー!いいなぁそれ……変身!みたいで!」

 

フランもやる気は充分

 

 

 

 

『それでは!試合開始ィ!!』

 

 

 

 

五回戦 ヒュンケルVSフラン

 

 

 

 

「じゃあ行くよヒュンケル!」

 

宣言したフランが飛び出した

 

(速い!)

 

驚く速さ、ラーハルトや妖夢程ではないがそれに準じる速度からの爪撃

 

「ハアッ!」

 

見切った魔剣の一閃が切り払いフランの軌道を逸らす

 

(重い……!)

 

痺れる手にフランの攻撃の重さを強く感じる

 

(あの細い腕のどこにこんな力があるというんだ……)

 

旋回し攻撃を仕掛けてくるフランを切り払いながらヒュンケルは幼子に見える姿からは想像も出来ない膂力を持つフランに驚きを禁じえない

 

(これでまだ様子見程度なのだからな……あの時レミリア・スカーレットが言っていた言葉は誇張ではなかった)

 

初めて紅魔館に行ったあの時、寝惚けたフランと会った後にレミリアが言った自分達の誰よりも強い腕力を持つと言った言葉が真実だったと痛感している

 

「上手いね……ならこれはどうだ!」

 

容易く切り払ってくるヒュンケルにフランは策を講じ同じように飛び込み爪を突き出す

 

「その程度なら何度やっても結果は同じだぞ!」

 

同じく切り払おうと魔剣を振った瞬間、ヒュンケルは目を見張った

 

指が動き開手となって魔剣を掴んだのだ

 

「ウオオオオオッ!?」

 

魔剣を掴んで放さないフランに押されリングを数十メートル擦り押される

 

「ぐっ……!?」

 

リングの端際でようやく止めたヒュンケルが押し返そうと魔剣を押すがビクともしない

 

「よーし捕まえた!いっくよー!」

 

片手で魔剣を掴んだままもう片手を握り繰り出す

 

「……ッ!!?」

 

ヒュンケルはその握る拳から強烈な悪寒を感じ悪い未来を予感する

 

「ツアアッ!」

 

次の瞬間、ヒュンケルは魔剣を押すのではなく引いた

 

フランの手を切り裂くように斜めに引いた

 

「えっウソッ!?切れちゃった!?」

 

予想外だったフランが飛び退き切られた手を見ている

 

「その剣スゴイんだねー、流石は妖夢の旦那さんが造っただけあるよね」

 

意識して掴んでいた手が切られるとは思わなかったフランは感心している、魔剣の作者のロンに向けてだったが

 

(……鎧の魔剣でなければ終わっていた、あの一瞬……死を予感した)

 

対してヒュンケルは戦慄していた

 

最初に持っていた剣だと切れ味が悪く切り抜けられなかった事、そしてその場合にフランの拳が自身の顔面を捉え陥没させ終わらせていただろうイメージに

 

(よくわかった、力で勝負は無理だ……強過ぎる)

 

クロコダインを遥か上回る怪力に同じ力ではどうやっても敵わないと悟る

 

(……近接戦闘の理想を体現した肉体と言ったところか)

 

力は強く魔剣クラスでなければ切れない頑強さ、スピードも一級品に加え空も飛べる

 

肉弾戦に必要な全てのステータスが超高水準で纏まった理想の身体を持っているのだ、気になるのは手足が短い故のリーチの短さくらい

 

「ならばそれ相応の戦い方をするまでだ」

 

ヒュンケルの集中が一段上がる

 

「……行くよ!」

 

感じ取ったフランが飛び込む、次は鋭角縦横無尽にフェイントを入れながらヒュンケルの周囲を飛び回り後背やや左方へ爪を突き入れる

 

(……見切ったぞ!)

 

一歩下がり爪を避けると同時に流れる様に上段に構えた魔剣をフランの腕に振り下ろす

 

 

ザンッ

 

 

血飛沫が舞う

 

(切り落とせなかっただと……素でオリハルコン並みの防御力を持つと言うのかこいつは!?だがこれで攻撃力は落ちた筈……機は逃さん!)

 

フランの動きを見切りカウンターを決めたヒュンケルだったが予想と違う結果に驚きつつも冷静に努め追撃を決めようとフランの右腕に食い込む魔剣を抜く

 

「……イッターイ」

 

魔剣は抜けなかった

 

「何ッ!?」

 

「スゴいねヒュンケル、今の見切るんだー妖夢と美鈴くらいスゴいねー!」

 

動かない魔剣に力を入れるヒュンケルを尻目にフランは悠長に語る

 

(ま、まさか筋肉の収縮で剣を押さえていると言うのか!?)

 

有り得ないと思うがそれしか考えられない、有り得ないと思う程それは異常な事なのだ

 

クロコダインのような怪力太腕ならわかるがフランの細腕でそれをしているのがヒュンケルどころか幻想郷の者達にも信じ難い光景だった

 

「でも終わっちゃったかなこれ?」

 

フランが言う、剣士の得物を押さえた状態で自分は圧倒的に身体能力で勝る手足三本をまだ動かせる、詰んだと言いたいのだ

 

「どうする?降参する?」

 

「……降参など俺はしない」

 

フランの一応の問いにヒュンケルは拒絶を返した

 

「けど剣取っちゃったし何も出来ないよ?」

 

「そうでもない」

 

答えたヒュンケルは握る剣に力を入れる

 

「だから無理だって……あれ?」

 

呆れた声を出したフランは気付いた、自分の体が浮き始めた事を

 

「え!?何これ何これ!?」

 

魔剣はしっかり押さえているのに自分は浮く、魔剣に加える力を上げても変わらない

 

「……!」

 

ヒュンケルは力の入れ方を変えていた、剣を抜こうとするのではなく剣を通してフランごと持ち上げる、そういう力の入れ方をしていた

 

「わわわ……!?」

 

馬鹿げた膂力を持つも体重は軽いフランは剣ごと上段へ持ち上げられた

 

「……大地斬!!」

 

リングへ向けて思い切り振り下ろした、フランの重さも加え凄まじい重みになったアバン流の力の技が放たれる

 

「……逃げられたか」

 

砕いたリングと押さえられていない魔剣を見てヒュンケルは前へ向く

 

「危なかったぁ……」

 

離れた場所でフランが焦った声で息を整えていた

 

(リングに衝突する直前に収縮を緩め投げ飛ばされる形で脱出された……咄嗟の状況判断も申し分無い、しかし……)

 

ヒュンケルは内心称賛しつつフランの右腕を見る、その腕からは血が吹き出していた

 

ヒュンケルの振り下ろしの方が速く収縮を緩めた事で魔剣が更に深く斬っていたのだ

 

「その傷は致命傷だ、降参しろ」

 

勝負は着いたとヒュンケルは言う、実際はヒュンケルの言う通り勝負有りだろう、普通なら終わりだが……

 

「え?なんで?しないよ?」

 

ヒュンケルは知らなかった、吸血鬼という種族を、フランという頂点の凄味を

 

「何……?ッ!?」

 

ヒュンケルの目の前でフランの吹き出ていた血が止まった

 

「あ!心配してくれてたって事?ぜーんぜん問題無いよ!」

 

フランは血濡れの笑顔で応える

 

フランはレミリア以上に吸血鬼の体を鍛えた最強の吸血鬼、その体は非常に強く剣が刺さった程度問題にならず風穴が空こうが心臓を貫かれようがすぐには死なない強みを持っている

 

腕を多少強く切られて血が吹き出た程度では軽い切り傷のようなモノ

 

「ね?」

 

「……わかった」

 

相手が人間ではなかったのだと改めて強く理解したヒュンケルは魔剣を構える

 

「だからねー、殺すつもりでやらないとあたしには勝てないよー?」

 

「……」

 

ヒュンケルはフランを見つめた

 

「いいんだな?」

 

意味は確認、本当に間違いが起きても構わないのかという確認

 

「いいよ!」

 

フランは笑って答えた、殺されない自信があるのか見た目に違わぬ強がりか……その笑みからは読み取れない

 

「……」

 

ヒュンケルはレミリアへ視線を向けた、大会の主催者でありフランの実の姉でもあるレミリアに殺すつもりで戦って良いのかの確認の視線

 

「好きにしなさい、それでフランと貴方が心置きなく戦えるなら構わないわ」

 

そしてレミリアは頷いた、許可を得たヒュンケルはフランへ向き直る

 

「いいだろう……試合ではなく敵と対峙したつもりでいくぞ」

 

「腕切り落とそうとしたり最初から結構容赦無かったけどそれでいいよ!」

 

この瞬間、試合は限りなく実戦に近いものとなった

 

禁じ手は勿論無しではあるがリング禍を容認された妖夢とラーハルトの試合と同じと言う事

 

高いレベルの戦いとは殺す気がなくとも殺してしまう事が多々起こる、世界樹の葉がある事が前提故に許される実戦形式

 

 

「あたしもそのつもりで行くからよろしく!」

 

軽い口調で言ったフランから紅黒のオーラが立ち昇り、揺らめく

 

「来い!」

 

光の闘気を全身に纏いヒュンケルは魔剣を強く握る

 

 

ヴンッ

 

 

フランが高速でヒュンケルへ飛び込む、揺れ動くオーラが一筋の軌跡を描く

 

「!!」

 

フランは気付く、これ以上無いタイミングで出されていた魔剣の刺突がカウンターで顔面を狙っていたのを

 

「くっ……わっ!?」

 

急停止し魔剣の間合いの外で止まった直後に魔剣が伸びて来て顔を逸らして避けた

 

「オオッ!」

 

急停止する意を察知しフランが次の行動に移るよりも早く間合いを潰したヒュンケルは突いた魔剣をそのまま下ろし、フランの右肩を切り裂く

 

「イッ!?」

 

肩を切られたフランが一瞬驚く、振りが無いため力が入っておらず斬るよりは撫でるが近くその程度で傷付くフランでもなかったが魔剣の切れ味故に浅い切り傷が出来た

 

フランにとっては引っ掻き傷程度のモノだが反射的に怯んだ

 

「オオオッーー!」

 

「くっ……こんのぉー!」

 

その機を逃さずヒュンケルが剣閃を繰り出し完全に動きが止まったフランが手刀で迎え打つ

 

「ハアアアアアッ!!」

 

「テリャアアアッ!!」

 

息もつかせぬ剣と手刀の応酬

 

一撃の威力よりも手数で攻め、出た或いは出させた隙に一撃を決める為の攻防戦

 

「……!」

 

優劣はヒュンケルに軍配が上がっている、技量で勝っていたヒュンケルが内容的には押している

 

いくらフランでも魔剣の切れ味に勝る手刀を作るのはまだ無理であり手刀には小さな切り傷が無数に出来ている、オリハルコンのヒムでもないのにそれで済んでいるのがおかしい話ではあるが

 

とは言え技量と切れ味で優位に立っているのは間違いなくこのまま押し切る事も可能

 

「オリャー!」

 

な筈なのだがフランは全く崩れず打ち続けている、技量で劣ろうが手が少々切れ続けていようが臆する事も疲れる事も無く、むしろ楽しい玩具と戯れるかのように嬉々として打っている

 

これが内容はヒュンケルが勝っているのに崩し切れない理由

 

(スタミナは無尽蔵だとでもいう気か!?……このままではむしろ俺が不利になる)

 

フランの長所である腕力を制限したは良いがそれでも強い腕力と有り余る吸血鬼の体力に逆に危機を感じたヒュンケルは身を退き流れを変えようとするが

 

「こんのー!」

 

「……!!」

 

だが変化したフランの動きに中断する

 

「これでどうだー!」

 

小刻みな動きから一転、大振りで殴りかかって来たのだ

 

(好機……自ら勝機を逃したか)

 

都合良く自分から隙を晒して来たフランの拳を最小限の動きでリングへ向けて受け流す

 

「海破斬!!」

 

そして最速の剣技にて首を狙った

 

 

ドガンッ!!

 

 

ヒュンケルの足場が無くなった

 

「なっ……!?」

 

宙に浮いていると一瞬で理解する

 

(予測出来た筈だ!くそっ!)

 

受け流したフランの拳がリングに命中し大きく陥没させていたのだ

 

これはフランの膂力はわかっていた筈なのにこの結果を想定していなかったヒュンケル自身の落度に他ならず自分の甘さに舌を打つ

 

「くっ……おおおッ!!」

 

しかしそこはヒュンケルでもあった、僅かな滞空時間の中でも瞬時に動き魔剣を構え直して目下のフランへ振り下ろした

 

 

ザンッ

 

 

拳を抜いて体を起こそうとしたフランの背を魔剣が斬った

 

「……イッタイなぁ」

 

「ッ!!?」

 

 

ドゴォ!

 

 

ヒュンケルは裏拳で吹き飛んだ

 

「ぐはッッ!!?」

 

凄まじい勢いで打ち上げられ結界に叩きつけられる

 

「ぐうっ……ッ!?」

 

着地はするも苦痛で顔が歪んでいる

 

(ガードして……これか!?まともに受ければ貫通、よくて内臓破裂だろう……ッ!?)

 

咄嗟に魔剣を挟み自らも飛んでダメージを最小限にした筈なのに受けた衝撃は凄まじい

 

「惜しかったなーやっと一発返したと思ったのにガードされちゃった」

 

対して血濡れなのに陽気に姿を見せるフラン

 

「まだやれる?あたしは大丈夫だけど?」

 

それは余裕か気遣いか

 

ダメージで言えば明らかに多いのはフランなのに続きをするか否かの選択をくれるのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほえ~やっぱあいつやりやがるぜ、フラン相手に五体満足、ダメージ有利たぁ本物だな!けどフランもあのクロコダインって奴と同じ体力オバケだから苦労すっぜ~?」

 

「危ない部分も有ったけど経験と腕でのりきってんな、どうだロラン?」

 

「凄い剣技の腕前だよ、槍術の理も入ってる、もしかしたら妖夢さんよりも……いや、まだわからないな」

 

頂点達はヒュンケルの強さに興味深々で見ている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだこりゃあ……」

 

勇者一行の場は混乱していた

 

「何なんだあのガキんちょはよ!?いやガキんちょじゃねぇけど食い込んだ剣を筋肉で止めるぅ?意味わかんねぇ!?魔王か!?馬鹿げてる!?」

 

「相手の異常さは勿論だ!しかし見るべきはヒュンケル!あの魔王のような相手と渡り合うとは……完治したとはいえあんなに強かったかあいつは!?」

 

「いや……俺もよ、頂点って奴等見てないからヒュンケルが圧勝すんじゃねぇかって思ってたんだ、けどよ……何なんだアレ、あれでまだ本気って訳でもねぇのか?マジで化物じゃねぇか」

 

「ボクと同じくらいちっちゃいのに……あ、聞いた事あるぞ……姿形を変えられる伝説の吸血鬼が居るって、少女の姿もあったとかなんとか……名前は忘れたけどあいつだ!絶対そうだ!」

 

フランの予想を越えた人外ぶりが場を驚愕の渦に巻き込んでいた

 

「ッ……ねぇラーハルト?ヒュンケル勝てるかしら……?」

 

「……わからん、相手の戦力はまだ測りきれていないが頂点と呼ばれるくらいだ、先の4人より格上なのは間違いないだろう、ヒュンケルが勝てるかは完治した奴の本来の力量次第だが……」

 

友たるラーハルトは違和感を感じていた

 

(ヒュンケル、お前の最期の全盛を見ていたわけではないが今のお前は全盛と同等の力で戦っている筈だ……それなのに)

 

友であり戦った事のあるラーハルトだけが感じれる確信にも似た予感

 

(お前はまだ力を出し切っていないように見える……)

 

その予感にゾクリと肩を震わせる

 

「……」

 

そして……顔だけ向けて見てはいるが見ていないダイの虚しい視線が向けられていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

リングに戻ってきたヒュンケルは左手をかざし、魔剣をフランに目掛け水平に構える

 

「……?それってヒュンケルの世界の降参のポーズじゃないよね?」

 

フランが首を傾げた次の瞬間

 

 

「ブラッディースクライド!!」

 

 

高速回転させた魔剣から螺旋剣圧が撃たれた

 

「!!」

 

フランの顔の真横を通り過ぎ壁に着弾、綺麗な穴を空ける

 

「これが答えだ……フランドール・スカーレット」

 

戦う意思の表れ、すなわち続行の意思表示

 

「そうこなくっちゃ!壊れないでねヒュンケル!もーっと遊ぼっ!」

 

猟奇的な笑みを見せる幻想郷が誇る7人の頂点の一角、元は狂気の血に狂う破壊の申し子にして紅魔館の厄災

 

新鮮な遊び相手を前に克服した狂気の片鱗を陽気に垣間見せる

 

「こんなものではないぞ完治した俺の力は……見せてやる俺が歩んできた全てを」

 

精悍な戦士の顔で獲物を射ぬくは再起せし不死身の男

 

新たな剣を得て完成された戦鬼、人間の持つ可能性が至らせた最高峰の一人

 

嘗て無い強敵を相手にも大胆不敵に笑みを見せる、だがその闘志は静かに……されど烈火の如く燃え上がっている

 

それはまさに……戦いにしか生きれない戦士の生き様

 

 

 

 

 

 

 

戦鬼と破壊鬼

 

異なる鬼同士の戦いはここからが本番なのだと二体の鬼の戦意が唸りをあげていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、色々匂わせていたヒュンケル遂に出陣です。
霊夢とフランが出たのは対戦相手を最後まで迷っていた名残で書きました。

なのですが……上手く表現出来ない!ヒュンケルの強さとフランの強さを表現出来てない気がして……どうですかね?

とりあえず前置きが長くなったんで五試合目は2話構成となりますので御容赦を……

次回も頑張ります!

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