遊戯王ARC-V ある脱走兵の話   作:白烏

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襲撃

煌々と輝く満月の夜、普段であれば静寂に包まれているハートランドは喧騒に包まれていた

 

「くっ…どういうことだ……!」

 

サイバードラゴンを繰り出してアカデミア兵と交戦する

 

始まりはほんの数分前

これまで昼間にしか攻め込んでこなかったアカデミアが突如として夜中に攻め込んでた

それに気づいた見張りのレジスタンスからの連絡を受け、今まで無かった突然のことにレジスタンス本部は大混乱

元々こういった訓練を受けていたリョウジが先行してアカデミアと交戦している、数分も経てばレジスタンスも落ち着いて来るだろう

 

「カードを伏せてターンエンド、……おい!なぜこんな時間に攻めてきた!奇襲でもしなきゃ勝てない腰抜けに落ちたか!?」

「俺のターン!ドロー!抜かせ!脱走兵とくたばり損ない共を相手にそんなことあるか!古代の機械猟犬を召喚!」

 

決闘をしながら徴発するようにして情報を探る、普段であればやらないことをしている以上この襲撃にはなんらかの理由があるはずだ

 

「俺のターン!ドロー!だったら何故こんな卑怯な真似をしている!」

「俺が知るか!こっちだって迷惑してるんだよ!」

 

こいつは情報を持ってない…ハズレか

 

「そうか、なら喜べ、もう帰れるぞ……サイバーツイン!」

 

双頭の機械龍が敵を吹き飛ばして融合次元に送り返す

 

「これで3人……あっちか!」

 

戦闘音が聞こえる、レジスタンスとアカデミアの戦闘が始まったようだ

急いでそっちの援護へ向かおうとし……

 

「……っ!?」

 

強烈な寒気を覚えて立ち止まる

暗い通路の先から一人歩いてきている

 

「…あれ?今回の作戦は黄服以上の参加のはずだけど?」

 

リョウジの赤い制服を見るなりそう声をかけてきたのは特注の紫のアカデミア制服を着た少年

 

「……ユーリ」

「ん?そうだけど?」

 

思わず口に出た言葉を肯定する

リョウジはユーリのことを知っていた、いや、アカデミアに所属している者でユーリのことを知らない者はいない

関わってはいけない

喧嘩を売ってはいけない

関われば笑いながらカードにされる

喧嘩を売るなんてものは自殺と同じだ

そんな存在が目の前にいる

決闘盤を構え、いつでも対応できるように全神経を研ぎ澄ます

 

するとユーリは「ああ」と納得して手を叩く

 

「君が件のレジスタンスに寝返った脱走兵か、なるほどなるほど」

 

興味深げにリョウジの顔を見る、その姿に警戒している様子は全く無い

敵であると理解していないのか、それとも、警戒するまでもないと思っているのか

 

「あっそうだ、ってことはこの次元のことも詳しいよね?」

 

ユーリはリョウジの事など知らない、にも関わらず親しげに話しかけ続ける

 

「プロフェッサーからこの子を連れてこいって言われてるんだけど……知らないかな?」

「っ!?」

 

ユーリが懐から取り出した写真にはリョウジもよく知る人物……黒咲瑠璃が映っていた

 

「…さあな、それ、セレナじゃないのか?」

「あっ、やっぱりそう思うよね?僕も最初は見間違えたよ、よく似てるよねー」

 

ケラケラと親しい友人と話すように笑うユーリ

 

「でも…」

 

その顔がニタァ…と歪んで

 

「君、さっき表情が変わったよね?……何か知ってるんでしょ」

 

獲物を見つけたとばかりに獰猛な笑みを浮かべる

 

「……っ!」

 

ぞわり、と産毛が逆立つ

リョウジは融合次元の頃よりも確かに強くなった

だが、目の前の圧倒的な力に膝を折りそうになる…それでも

 

「…誰が話すか」

 

リョウジは立ち向かう、ユーリを睨みつけて盤を構える

 

「あっそ」

 

それを興味なさげに切り捨てて決闘盤を構え……

 

 

 

「リョウジさん!!」

 

向かい合った向こう側、ユーリの後ろから来た者がリョウジの名を呼んだ

 

「っ!?」

 

レジスタンスからの救援だった…が

今の状況では最悪だった

 

「来るな!!」

 

それに気づいたユーリが不機嫌そうに振り返り……「あは」と上機嫌に笑う

 

「見ぃつけたぁ」

「コイツの狙いはお前だ!逃げろ瑠璃!!」

「何言って…ヒッ!?」

 

一瞬リョウジの言葉を理解出来なかった瑠璃だが、ユーリの笑みを見て本能的な恐怖から足が止まり悲鳴が漏れる

 

「逃げろ!」

「っ!…ごめんなさい!」

 

2度目の声で足が動き、見捨てる形になったことの謝罪とともに反対側に走り出す

 

「ああ、彼女瑠璃って言うんだ…ありがとね」

 

それを追う…と言うにはあまりにもゆっくりとした動きで歩き出すユーリ……その前にリョウジが回り込む

 

「……なんのつもり?もう君に用はないんだけど?」

「……行かせない…!」

 

アカデミアが何のために瑠璃を求めているのかは分からない、けど、渡すわけにはいかない

 

「……なら、君を倒してから行くことにするよ」

「何をしているユーリ」

 

苛立たしげに盤を構えたユーリに話しかける人影がいた

 

「っ!……オベリスクフォース…!」

 

エリート中のエリートを示す白い仮面を付けたアカデミア兵が3人、そのうちのリーダー格と思しき男がユーリに話しかける

 

「貴様の仕事は例の少女の確保だろう」

「ああ、見つけたんだけど、これが邪魔でさ?」

 

指刺さした先、赤い制服を見て忌々しげに表情を歪める

 

「……状況は把握した、ユーリ、貴様は目標の確保に迎え、こいつは私達が片づけよう」

「えー?でもさー」

「目標の確保はプロフェッサーからの命令だろう?」

 

プロフェッサーからの命令…と言われればユーリも我儘を通す気はしなかった

 

「……はいはい、分かりましたよ……ばいばーい」

「っ!?」

 

紫色の閃光に思わず目を腕で隠す、再びユーリのいた場所が見える頃には…ユーリの姿が無くなっていた

 

瑠璃に危険が迫っている、しかし動くことは出来ない、リョウジの危機もまだ消えてはいないのだから

 

「さて、言い残すことはあるか?好きなやられ方はあるか?ビートでもバーンでも、可能な限り叶えてやろう」

 

生真面目そうな声でそう言うオベリスクフォース、後ろに控えていた二人も出てきて盤を構える、アカデミアでは作戦中三人一組での行動が基本だ

 

これが黄服や青服…通常のアカデミア兵ならばさしたる問題はなかった、だが相手はオベリスクフォース、プロフェッサー直属のエリート部隊、一筋縄では行かない

 

あちこちで火の手が上がり、戦闘音も派手なものになっている……今は瑠璃がユーリから逃げ切ってくれるのを祈るしかない…

 

「どっちも断らせてもらう、お前達に構っている暇はない…押し通らせてもらう!」

「脱走兵ごときがよく吠える」

 

オベリスクフォース三人とリョウジは向かい合い、決闘盤を起動させて叫ぶ

 

「「「「決闘!」」」」




超余談、キャノンソルジャーが禁止になったせいで1話のモブが正規融合出来なくなりましたね、まぁ再登場の予定はないので問題ないですが
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