遊戯王ARC-V ある脱走兵の話   作:白烏

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ハートランド

とても平和な町だった

あちこちで決闘が行われ、プロを目指す決闘者が切磋琢磨し、決闘は最高のショーだった

 

 

アカデミアが来るまでは

 

 

「古代の機械猟犬で直接攻撃!」

「うわああ!」

アカデミア兵士がエクシーズ次元の人間を倒し、カードにする

正直言って、ここまでなら想像はしていた

決闘を用いて戦争している以上、決闘で倒した相手をカード化するだろうとは思っていた

しかし、ここまで一方的だとは思っていなかった

さらには

「た、助けて・・・」

「よっしゃ!スコア更新!」

決闘できない相手を嬉嬉として相手をカード化するアカデミア兵

「なんだよ・・・これ・・・」

思わず口から出てしまった

それを隣にいた分隊長のオベリスクフォースに聞かれた

「あ?お前ハンティングは初めてか?」

「・・・ハンティング?」

「まぁ安心しろって、このあとは自由行動だ、お前のぶんの獲物も残ってるよ」

笑いながらそう言った

「獲物・・・」

これが戦争・・・?決闘戦士の戦い?

これが・・・こんなのが・・・

・・・ああ、そうか、ようやく分かった

間違ってるのは俺じゃない、アカデミアだ

 

・・・

 

「クソッタレ!」

レジスタンスの少年、神月アレンは毒づく

「アイアンヴォルフの効果でてめぇに直接攻撃だ!」

「ぐあっ!」

自身のエースモンスターで敵のライフを0にする

しかし

「あーあ、やられちまって、なっさけねー」

「後で説教だな」

敵はまだあと二人いる

「ほら、お前の攻撃は終わっただろ?エンドでいいんだよなぁ?」

アレンにこれ以上出来ることは無い

「くっ・・・ターンエンド」

「俺のターン!古代の機械猟犬の効果!ハウンドフレイム!」

「うわっ!」

機械でできた猟犬の口から火球が放たれ、アレンのライフをあと一撃という所まで削る

「ちっ!この手札じゃトドメはさせないか・・・この獲物はお前にやるよ」

「おっ?まじか、ラッキー」

アカデミア兵のそんな会話が聞こえる

最後のアカデミア兵の場にも猟犬がいる

アレンは非戦闘員を逃がすために殿になった

故に、近くにレジスタンスはおらず、援軍は望めない

「ちっくしょおおおお!」

「ターンエンドだ」

「よっしゃ、俺の」

『乱入ペナルティ、2000ポイント』

無機質な機械音がなり、アカデミア兵とアレンの間に赤い影が割り込んできた

「俺のターン!ドロー!」

赤いアカデミアの服を着たリョウジだった

 

 

 

「貴様!獲物を横取りする気か!」

「そんなつもりは無い」

「だったら邪魔をするな!さっさとそこをどけ!」

楽しみを邪魔されたアカデミア兵が怒り心頭といった感じで吠える

「横取りする気は無い、けど」

アカデミア兵を指さして宣言する

「お前らの邪魔をさせて貰う」

カードを盤に叩きつけるように発動する

「融合を発動!サイバードラゴン2体を融合し、現れろ、サイバーツインドラゴン!」

双頭の機械龍が列車とアレンを守るように猟犬に立ちはだかる

「やれ!サイバーツインドラゴンでお前らの古代機械の猟犬に攻撃!」

二つの口にエネルギーを溜め、2体の猟犬に狙いを定める

「正気か貴様!」

「アカデミアを裏切る気か!」

アカデミア兵が叫ぶ

「ああそうだよ!アカデミアの崇高な理想?次元統合?知るかそんなもの!無抵抗の人間いたぶって笑ってるようなところなんざこっちから願い下げだ!速攻魔法、リミッター解除!」

サイバーツインドラゴンの口のエネルギー量が増す

「消え失せろ!エボリューションツインバースト!」

「「ぐああああ!」」

 

 

 

アカデミア兵が消えていく

アカデミアの盤には決闘で負けた場合強制送還される機能がある

戻ったら自分の事も報告されるだろう

これで自分は立派な反逆者、帰ったら粛正でカード化か、よくて牢屋行き

少なくとも、今までの生活は送れない

でも後悔はしない、むしろ清々している

「お、おい・・・」

後ろからつり目のガキが話しかけてくる

「あんたアカデミアだろ・・・なんで俺を助けた?」

「それは・・・」

なんと答えようかと考える

遠くから悲鳴が聞こえた

「っ!まさか追いつかれたのか!?」

「話はあとだ」

悲鳴の方へ駆け出そうとする

「待て!」

つり目のガキが俺を止めた

「・・・グズグズしていたら犠牲者が増えるぞ」

「・・・近道を知ってる、このへんの地理ならあんたより詳しい」

「・・・」

「・・・たのむ、今だけでいい、力を貸してくれ」

「さっさと案内しろ、手遅れになりたいのか」

「あ、ああ!」

つり目のガキの案内について行った

 

 

 

「やれ!エターナルエボリューションバーストォ!」

「ぐわっ!」

最後のアカデミア兵のライフを0にする

「はっ、ははは!」

次元移動で体が消えかかっているアカデミア兵が笑う

「何がおかしい」

「お前は終わりだよ・・・アカデミアに逆らって、タダで済むわけがない!お前も!そこの獲物共も!せいぜい怯えながら過ごせばいいさ!ははは!」

高笑いとともに消えていった

「・・・はぁ」

肩の力を抜く、さすがに連続での決闘は堪えるものがある

「ア・・・アカデミア?」

「なんでアカデミアが・・・?」

後ろにいる非戦闘員からの困惑の声が聞こえる、まぁ当然だろう

突如、左腕の決闘盤が光り始める

危ないととっさに判断して決闘盤からカードを抜き取り、盤を投げる

決闘盤は次元移動の光に包まれ、その場から消えた、帰還した兵が俺の事を報告したのだろう

そして盤の強制送還機能で俺を呼び戻そうとした、間一髪だったな

しかしどうするか、これでは決闘が出来ない

ちらりと後ろを見る、まぁ、俺に対する警戒の度合いが上がっているな

ここは・・・

決闘戦士として鍛えられた身体能力をフルに生かしてその場から離脱する

「ああっ!おい!」

つり目の声が聞こえたが、面倒なことになりそうな予感がしたので無視した

 

・・・

 

さてと、これからどうするか

時間は夜、サバイバルの訓練で学んだ火起こしで火を確保し、焚き火をつくり、寒さをしのいでいる

サバイバルの訓練を受けているとはいえ現状はどうしようもない

融合次元に戻っても反逆者として粛正される

かと言ってこっちでも、融合次元の人間と言うだけで怪しさしかないし、あいつらの同類ということで敵対意識を持たれるだろう、よってこの次元の人に頼ることも出来ない

そしてなにより重要なことが、決闘盤が無い

幸いデッキは無事だが、盤が無ければ宝の持ち腐れ、持ち手のない刀など何の役にもたたん

そもそも盤がない以上融合次元に帰る選択肢すらない

「どうするかなぁ・・・」

思わず声に出てしまったが、まぁしかたない

・・・足音か

遠くから足音がこちらに近づいてくる

焚き火に土をかけて消し、物陰に隠れ、息を潜める

嫌っていたアカデミアだが、そこで学んだサバイバル術が役に立っているのが腹が立つ

足音の主が現れた

「焚き火の跡・・・この近くにいるはずだな」

昼間に会ったつり目だった

「俺を探してるのか?」

「!?」

物陰から身を出す、理由は二つ、相手がなんの目的で動いているのかを確認したかったことと、周りに気配がないから最悪決闘(物理)で逃げ切れると判断したからだ

「・・・あ、ああ、あんたを探してた」

「なぜだ?」

「アンタに聞きたいことがある」

「なんだ?」

「・・・アンタは・・・俺達の味方・・・なのか?」

敵味方の確認か、敵か味方かの区別は戦場で真っ先に付けなくてはいけないことだな

「少なくとも俺はお前らに敵対する気は無い、アカデミアは許せないと思っている、可能であれば協力したいとも思っている」

「・・・そうか」

つり目が手にしていた包みを投げ、俺がそれを受け止める

「・・・?これは?」

包みを開く、レジスタンスが付けているのと同じ形の盤が入っていた

「アンタの決闘盤が無くなるのが見えたからな、レジスタンスのスペアのひとつを貰ってきたんだ」

「感謝する」

目下最大の課題が解決した

「けどよ」

つり目が続ける

「それは今日助けてもらった借りを返しただけだ・・・俺はまだアンタのことを完全には信用出来ない」

「そうか、それでいい」

「・・・え?」

「俺はお前らから見れば侵略者の一味だ、信用出来なくて当然、むしろスパイの容疑をかけるべきだ」

貰った決闘盤をつける、カード化の機能はない、まぁ元々使ったことのない機能だから問題ない

「この盤は大切に使わせてもらう」

そう言い残し、闇夜に消えた




アニメ版古代の機械猟犬は相手の場にモンスターがいれば毎ターン600バーン効果です

アニメ版とOCG版の効果が混ざることがありますが、ご了承ください
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