第六天魔王 草薙護堂 作:吉良吉影
勝者は草薙護堂だった。他者という存在を肯定し、自己強化し続けた結果はまつろわぬパシリをワンパンしたという事だ。故に第六天波旬の弱点であった、弟の畸形嚢腫の触覚と遭遇すると弱体化が、強化に変わるという仕様となった。
その後、護堂は無事に家に帰宅して風呂も入らず着替えもせずに自室のベッドに飛び込んだのだった。
そして今日。彼はイタリアに飛行機で向かった。その理由は祖父が古い友人に物を届ける為だが、訳あって護堂がその役目を任されたのだ。
_______________________________________
「身体中が痛いなぁ」
と冗談は置いていて。飛行機の機内では爆睡をして原作通りにイタリアに来たわけだが、赤い服を着た金髪の美人が絡んできた。
「ねえ、そこの貴方。突然で申し訳ないけれど、お尋ねしたい事があるの」
「何々? 逆ナン?」
「才色兼備の私が貴方みたいな冴えない男をナンパなんてするわけないでしょ。貴方と私では、まず釣り合わないわ。失礼しちゃうわね」
「そんな冴えない男に何の用だよ」
冴えない男って言われたんだが。これでも一応日本のカンピオーネなんですけど。これは侮辱罪で魔王の権力を使ってSEXですわ。ヨツンヴァインにして犯してやる。
「三日ほど前からこの島の各地で顕現している【まつろわぬ神】について教えていただきたいの。私の名はエリカ・ブランデッリ。【赤銅黒十字】の大騎士よ。知らないとは言わせないわよ。怪しそうな魔術書を持ってる時点でギルティよ」
魔導書を持ってるだけで怪しいとか気が早いよね? 早くない? まぁ、いいや。未来の嫁だし多少はね?
俺が所持している物はプロメテウス秘笈と呼ばれる石板で、青い炎を当てると神力をかすめ盗る事ができる。原作の効果だったら対処の神と長く話し込んでないと使えない。アニメ版だと問答無用に奪うチート性能になってる。尺の都合だよね。なおどちらも人間が使用すると瞬間脳髄や全身が沸騰するほどの苦痛を受けて、死亡する模様。俺は魔王だから大丈夫だ。
「話してる余裕はないみたいだぞ」
「え、何を言って…」
エリカの言葉を遮って突然、轟音が鳴り響いた。その理由は港から巨大な猪が町の建造物に突進を仕掛けていたからだ。そして猪が鳴き叫ぶと窓ガラスが割れて砕け散る。エリカは突然の出来事に立ち尽くしているけど、俺はカンピオーネの仕事をしようかね。
俺はその場で思いっきりジャンプした。そして空中で更に蹴る。ゲームの二段ジャンプ的な感じで猪に距離を詰めていって、加速したままの一撃。
「オラァ!」
俺のワンパンを受けて、猪は悲鳴を上げて消滅した。所詮、まつろわぬ神の一部で神獣。この程度相手は問題ない。俺はその場に降りた。辺り一面は瓦礫の山で復興まで時間がかかりそうだな。
「御身は【まつろわぬ神】を弑逆した魔王陛下とお見受けします。これまでの度重なる無礼をお許しくださいませ。その償いとしては足りませぬが、我が命と引き換えに怒りを収めてはくれないでしょうか」
この俺に跪き、許しを乞う未来の嫁エリカ。原作護堂は余り権力を使いたがらなかったが今回は俺が護堂だ。魔王の権力を好き放題使ってやるぞ!
「エリカ。お前の命は要らないが別の条件がある」
「何なりと。魔王陛下」
「俺に剣を捧げ、俺の騎士となり、俺の嫁になれ。それが条件だ。その条件を飲めば俺の寵愛をお前と結社に与えよう。もし条件を飲まなかった場合は手当たり次第に無関係な男共を殺すし、イタリアの魔術結社を壊滅させる。今、選択しろ。寵愛か破滅かを」
エリカに拒否権はない。俺は男に厳しい魔王だから問答無用でやる時はやるぞ。
「【赤銅黒十字】大騎士エリカ・ブランデッリ。御身に剣を捧げ、愛と忠誠と誓います」
顔には感情を出さないがきっと屈辱を噛み締めていることだろう。でも逆らえない。俺が魔王なのだから。
「じゃあエリカ。このサルデーニャ島で何が起こっているのか教えてくれ」
「はい。まずは…」
お互いの情報を共有する事にした。俺が軍神ウルスラグナと神王メルカルトが降臨しているというのは知っているが、取り敢えずエリカには現状を説明してもらった。簡単に言うならば【まつろわぬ神】が降臨しているという事。剣の王サルバトーレ・ドニが不在の為にエリカが島に来たという事を教えてもらい、俺が持っている魔道書を持ち主のルクレチア・ゾラの元に届ける為にこの島に来たということを伝えた。
「ルクレチア・ゾラの場所はご存知ですか?」
「これから探すつもりだったんだよ」
「ならば私が案内しましょう。車の運転は私の召使いにさせますがよろしいでしょうか?」
「それじゃあ、お願いしようかな」
護堂はエリカと行動を共にすることを決めた。最初は電車に乗ってルクレチア・ゾラの元に向かおうとしたが、エリカの海外の電車は時間にルーズという助言により、車で向かうことになった。
「彼女は私のメイドのアリアンナよ」
「初めまして。私はアリアンナ・ハヤマ・アリアルディです。よろしくお願いします。魔王陛下」
「こちらこそよろしく頼む」
「さぁ、行きましょう
」
「本当、道案内から車まですまないな」
そうやって、護堂の旅は再開された。旅の車内ではエリカが魔王カンピオーネの事や世界の裏事情などの説明をしてくれた。暴虐の魔王ヴォバンや世界最大宗派の十字教について。
そんな話をしていると数時間ほどのアリアンナのドライブを経て、目的地のルクレチア・ゾラの住処に着いた。
「どう?アリアンナのドライビングテクニックは?」
「アトラクションみたいで楽しかったよ。初めての体験だった」
「お気に召して何よりだわ。さぁ、行きましょう」
二人は車から降りて、ルクレチア・ゾラの家の前でインターホンを鳴らすが、反応が無かった。しかし外に居た黒猫が女性の声で喋り、護堂達は家に中に入っていった。
家の中に入ると、ルクレチア・ゾラが居た。しかし護堂は想像していた人物像とは違うものだった。祖父と40年以上前に出会っていたというのを聞いて、ヨボヨボのお婆ちゃんを想像していたが、その予想は裏切られる事になった。ヨボヨボどころか肌にツヤがあり、妙に色っぽい女性が薄着でソファーで横になっていたからだ。
お互いに自己紹介した後、護堂はルクレチア・ゾラが最高位の魔女だという事を教えてもらった。そして若作りしている事も。
「実に驚いたぞ。真逆、一郎の孫が神殺しの魔王陛下になっていたとはな。人生とは面白いな」
「もっと俺を敬っても構わんぞ」
「それよりもルクレチア。この石版は何なのかしら?」
「おお、これは随分と懐かしいものだな」
エリカは護堂が持ってきていた石版の事を尋ね、ルクレチアは語り出した。
石版の名前はプロメテウス秘笈。ギリシア神話に登場する神を欺き人を導く偸盗の英雄神プロメテウスの神力を宿す神具であり、神の力を盗む魔道書。
その使い方は対象の神と長く接し、話し込めば神の力を掠めとる事が出来る。しかし、力の強い神にはま一部しか盗めない。
「私が管理するよりも、魔王である君に託そう。この魔道書を奪いに来る不届きな輩も魔王の所有物なら手は出せまい」
「ルクレチア。本音は?」
「管理するのが面倒だ」
「思ってても本人の目の前で口に出しちゃ、ダメでしょ!」
その後、時刻が6時を回ったので料理上手なアリアンナが料理を作る事になった。食事を食べ終わるとルクレチア、エリカ、アリアンナの女性陣が酒を飲み始め、エリカが酔い潰れて介抱する事になった。余談だが、ルクレチアが護堂とエリカを閉じ込めようとして失敗したのは言うまでもなかった。その後エリカ、ルクレチア、アリアンナの三人は護堂に美味しく頂かれた。
そして次の日。ルクレチアが神力の高まりを感知したので、護堂はその場所までエリカに送ってもらった。
「死ねよウルスラグナとメルカルト。まだ俺はアイツラとSEXしてたいんだよ!」
「何を言ってるのだ神殺しよ!」
「我らとの闘争よりも女だと! 侮辱以外の何物でも無いわ!」
謎のプッツンを起こした極東の魔王と、まつろわぬ神が激突した。