マルバ・アーケイ、再起する   作:なみ高志

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次話投稿します。

暖かいと眠くなりますね。





たまには一息いれようぜ

 マクマード・バリストンとの会談を終えたマルバたちは、屋敷の警備をしている男達の案内により屋敷の庭園で歓待されていたオルガたちと合流を果たした。

 彼らの身のこなしはそれなり以上に修練されたものであり、各場所で不動の姿勢をとる警備の者が同程度の能力だとすれば、自分の予想以上に武力を有しているテイワズにマルバは内心の警戒を一段階引き上げる。

 幸い歓待の場では、出されたカンノーリをためらいなく両手でほおばるユージンのお陰で警備の視線は若干の暖かいものが混じっているのを感じ、彼を副団長にした甲斐があったとマルバはほくそえむ。

 他者の警戒心や緊張感を緩ませる才能は、ユージンの稀有な才のひとつであるが本人のみがそれを自覚していないあたりがシノと通じる点であり、両者の仲が友好な理由の一つであるのかもしれない。

 

 「おう、今戻ったぜ」

 「ああ、顧問とクーデリアさん、どうもお疲れ様です。後三日月もご苦労様」

 

 名瀬と対話していたオルガに代わり、ビスケットがマルバたちを出迎える。

 

 「まあ、詳しい事は後で話すぜ。で、そっちは何か問題はあったか?」

 「いえ、クーデリアさんの地球までの護送ルートとか、今盃事のやり方とか用意するものについての話をしていたところです。明後日の今頃に固めの式を開くことまでは決まりました」

 「順調でなによりだぜ」

 

 マルバはそういいつつ出されたカンノーリを口に運ぶ。

 

 「うん、美味いな。お嬢さんも一つどうですかい?」

 「いえ、ちょっと食欲が」

 「なら、これ食べる?」

 「ありがたいですが、すみません」

 

 緊張が未だ解けないクーデリアに、三日月がポケットから出した火星ヤシをすすめるもクーデリアは辞退する。この場合は大物であるマクマードと対面後に、緊張の見えないマルバと三日月のほうが図太い神経の持ち主であるといえた。

 

 「お、帰ったか。親父と対面した割りに普段とかわらねえなあ」

 「いえ、別段悪さして絞られたわけでもないですからね。まあでも流石にしんどいですわな」

 

 オルガと会話を終えた名瀬がにこやかにマルバに語りかけている所へ、黒服の男がタブレットを手に近づくと、無言で名瀬に会釈してからそのタブレットを手渡した。

 

 「それはなんですかい?」

 「頼まれていたギャラルホルン周りの情報が『今』届いたところだ。お前らの奴出しな、今転送してやるからよ」

 

 内容にざっと目を通した名瀬の言葉に、ビスケットはタブレットを取り出しデータを転送してもらう。

 転送が終わると、名瀬はタブレットを持ってきた黒服の男に返し、受け取った男はまた無言で会釈をするとその場から去っていった。

 

 「今のが情報部門の方ですかい?」

 「まあな、あまり詮索はするなよ?内輪でも名前は知らんし、知ろうとはしないことになってるからな。ただその正確さは信用してくれて良いぜ」

 

 情報というデリケートな商品を扱う部門だけに、特殊な地位にあるということを察したマルバは納得の表情を浮かべると、ビスケットに向き直る。

 

 「おう、とりあえずイサリビに帰ってから検討しようや。今はしまっとけ」

 「わかりました。オルガとユージンもそれでいいよね」

 「ん、おう」

 「ふぉっけい(オッケー)」

 「ユージン、とりあえず全部食べてから話そうよ…」

 「でオルガは何か考え事か?」

 「ああ、顧問たいしたことじゃないんすがね」

 

 若干上の空気味のオルガに、マルバが問いかけると前置きの後に話を続けた。

 

 「こうして、名瀬さんと兄弟分になれると決まったし、何か皆で祝いてえと思ったんす」

 「成る程、悪くはねえな。やったらいいんじゃねえか」

 「いや、でもあまり不用意な出費は不味いかなとも思ったんで」

 「おいおい、水臭せえなあ。ほらよ」

 

 途中で口を挟んできた名瀬が懐から何かを取り出して、オルガにアンダースローで投げ渡した。

 オルガが思わず受け止めたそれはギャラー札のぎっしりと詰まった財布だった。

 

 「前祝いと、土産にもらった分をあわせると少し足りねえが足しにしてくれ」

 「そんな!悪いですよ」

 「いいんだよ、この仕事が上手くいけば充分元は取れるしよ。その金でお前ら鉄華団の英気が養われたらそれだけ俺らタービンズも楽が出来る、そう考えとけ」

 「オルガ、そういうこった。有り難くもらっとけ」

 「…わかりました、ありがとうございます兄貴」

 「少し早いが、よろしく頼むぜ兄弟」

 

 両手で財布を掲げて頭を下げるオルガの真摯な礼に、名瀬はオルガの肩を優しく叩いて応じた。

 

 

 

 

 「オルガと鉄雄、オメエら酒弱いんだから少しはペース考えろや」

 「うっ、すんません口当たり良過ぎてつい」

 「ぐお、世界が回ってるっす!」

 

 タービンズとの盃事の前祝いと慰労を兼ねて夜の街に遊びに出た鉄華団一同は、マルバから仕切りを任されたオルガとビスケットの采配でまず一軒貸切にして飲み食いから入った。

 が、店で出た口当たりの良すぎたカクテルに早い段階でオルガ含む数名が酔いつぶれたため、夜遊び継続組をユージンとシノ、ハエダに任せて、マルバを含む幹部とヒューマンデブリ組は酔いつぶれた者たちをイサリビへと運ぶことになった。

 

 「おい、おめえらの次いく店は名瀬さん紹介の店だぜ。くれぐれも行儀よく遊んでこいよ」

 「了解です!よっしユージン、ハエダのおっさん!いくぜ」

 「何でお前が仕切るんだよ!ここは副団長の俺がだな」

 「てめえら、年上に譲ることを覚えろや!俺がまず先にだな」

 

 騒がしい割りにしっかりした足取りの彼らに、マルバは再度の釘を刺した後に送り出す。

 

 「すまねえ、こんなだらしない団長ですまねえ」

 「大丈夫、オルガはやればできるし、俺がついてる」

 「まだいけるは、もう危ない…覚えたぜ」

 「かっこいい台詞だけど、台無しだよオルガ」

 

 昭弘に支えられつつふらふらと歩くオルガのよくわからない台詞に、その都度合いの手を入れる三日月とビスケットを眺めながら、マルバたちはイサリビへと帰路へついたのであった。

 蛇足だが、翌朝帰還した継続組一同の意見は『名瀬さん、すげえ人だ』という意見で一致した。

 

 

 

 

 「で俺らが何で、クーデリアの買い物につきあってんだよ!」

 「いいじゃないかライド、その代わりに僕らも買いたい物買っていいって顧問に言われてるんだし」

 「こんな機会でもないと、オレたち歳星で買い物なんてできないしね」

 「そりゃ、タカキやヤマギは欲しい物や、あげたい相手がいるからいいけどよお」

 

 年長の元参番組と一軍が飲み食いと『買い』に繰り出した翌日、待機していたライド、タカキ、ヤマギらと年少組に整備班、女性陣三名らが交代で休養となり、年少組はタービンズのアジーら数名の引率で名瀬の子供らとテイワズのテーマパークへ遊びにいったのだが、上の三人には女性陣の買い物に同行する様にオルガから指示があったのだ。

 同じくタービンズのラフタに案内され、女性陣三名はあちらこちらと店を回り、嬉々として買い物を続けていくが、付き合うライドたちは自分達の持たされる増え続ける荷物の量と、立ち寄る店数の多さに若干以上にげんなりしていた。

 

 「今の服だって、前の店に同じのがあったじゃんか」

 「いやライド、この店のほうが少し安かったし、店員さんもこっちのほうが親身だよ」

 「そうか、こういうとこを見習えって事だね!流石団長だ」

 「なあヤマギ、タカキはちょっと団長らのこと美化しすぎじゃね?」

 「まあそこがタカキのいいとこだし」

 「ほらほら、そこの男子!無駄口叩かない。あんた達の私服もあるし、もう少ししたらお茶するからちゃっちゃと動く!」

 「はーい」×3

 

 ラフタの鋭い指摘の声に、ぼやいていた三名は姿勢を正してその後をついて行くしかなかったのである。

 ちなみに彼らの戦利品は、ライドが最新イラスト集データ、タカキが年少向け学習ソフト、ヤマギはクーデリアと同じ店で買った揃いのネックレスであった。

 

 

 

 「で、俺らがオメエの部屋に集められた理由は何だよ、マルバ」

 「そうすよ、顧問。ちょっと飲みすぎで頭いたいんすけど、俺」

 

 上記と同時刻、上陸休養の交代の際にマルバに声をかけられた雪之丞と鉄雄はその私室に集められていた。

 

 「なあに、ちょいとお前らに頼みたいことがあってな」

 

 マルバはそういって悪い笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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今回は場面転換多すぎたかな?



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