超兵器が少しずーつ動き始めます。
「もう射点に着いたか…ちっ、もう少し早く始めるべきだったか?……いや、あれがベストだろう。2隻潰せたしな。とはいえただ撃たれるのも癪だな。副砲射程延伸弾装填。弾頭は三式。完了次第射撃開始。」
本来ならば、遠距離から五式──気化弾で瞬殺して終わり。なのだが、今回は伊吹が五式を回収していた。曰く、「まともに戦え」とのことであった。
(三河とか雫はどうなんだよ…)
と思ったが、あれはそれ以外の戦い方がない、と抗議は瞬時に却下された。兵装が光学系で統一された雫。存在そのものが大艦巨砲主義たる三河。あれ?俺の存在意義は?と、一瞬自分の存在の必要性を疑った常陸。
「ま、いっか。さて、どうしようかな………近接かなあ?機関戦闘出力、全速前進!」
39ノットで突撃を開始する常陸。
「少し、遊ぶか。機関出力制限解除、超過出力!」
号令に応え、機関はスペック上の最大出力を発揮。さらに加速。
モンロー効果すら考慮され、核兵器ですら内部は無傷を保つ常陸の装甲は、滅多なことでは破れない。そこで、人型を取った今、かつて超兵器を相手取った戦術を使ってみよう、と考えたのだった。
超兵器を相手とするとき、常陸がとれる戦法は二つ。その射程を生かし、遠距離から打破するか、機関の超過出力を以て、超近接戦闘を行うか。遠距離狙撃は既に実施済、なら次は近接戦闘だ。まずは既に射点に着いた金剛型から。
副砲で三式改を乱射し、視界を阻害しつつ急接近。さらに命中しそうな砲弾を、舷側の対空火器群で迎撃する。
「全砲塔、硬芯徹甲弾装填!反航戦、各砲塔1隻ずつ狙え!」
最高速度のまま、金剛型の真横を通り抜けた瞬間。
「撃て!」
1隻あたり3発ずつ、砲塔基部を狙って、徹甲弾を叩き込む。
『呉鎮守府、戦艦金剛、比叡、榛名、霧島、轟沈判定。』
46㎝砲塔と言っても、全てが46㎝防御ではなく、またそうであっても、71㎝砲弾に耐えきれるわけではない。お返しとばかりに放たれた46㎝砲弾も、僅かばかりの手傷を与えたのみであった。
霧島の真横まで駆け抜けてきた常陸は、そのまま右に急旋回。90度回頭すると、そのままの速度で今度は大和以下に向かう。
圧倒的な砲火力を見せつけられた大和達。それでも、負けるわけにはいかないと、自らを奮い立たせ、砲撃を開始する。その幾つかは命中するが、損害を与えることなく弾かれた。お返しだと言わんばかりに、まず副砲が連射を開始。30㎝なので、損害を与えることは出来ないが、次々と林立する水柱は視界を阻害する。
しかし、呉艦隊は、砲撃戦に入る前に、弾着観測機を上げていた。
「やはり観測機がいるな…対空誘導弾が使えないのがかなり面倒だ。ま、良いか。対空戦闘用意、1機残らず叩き落とせ。」
艤装の背面および副砲塔の周囲にある対空火器群が動き出す。狙いを定め、全力射撃。遠くの敵は光学兵器、比較的近距離は機関砲で叩き落とす。
「さて、次はどうする?って言っても決まってるんだよな…主砲連続斉射用意。前から順に仕留めろ。」
その頃、護衛艦艇群も激しい戦闘を続けていた。と言っても、軽巡洋艦を相手取った琴風は、<太刀風級>の艤装に変えると、主砲を撃つだけでよかった。2基搭載する155㎜単装速射砲であれば確実に役目を果たせる。
『呉艦隊、軽巡洋艦阿賀野、矢矧、撃沈判定。』
一方で夕立改二対暮風、島風改対音風は、以外にも平行線を辿っていた。レーダー管制射撃システムと、ミサイルを封じられ、簡単には決定打を見出だせない現代艦に対し、決定打を擁するが、尽く迎撃されてしまい、打つ手が減っていく近代艦。
「これで、終わりっぽい!」
「それがまだなんだな~」
空中至近距離から放たれる魚雷を腰と腕に4基配備された40㎜自動機関砲が叩き落とす。同時に手に握る155㎜単装速射砲を放つが、ギリギリで回避する夕立。
「おっそーい!」
「んだとてめえもういっぺん言ってみろや!」
全速力で同航反航戦を続ける音風と島風。ちなみに島風は遅いと言うが、普通に同航出来ているので決して遅いわけではない。
『呉鎮守府、重巡洋艦利根、高雄、愛宕、摩耶、最上、鈴谷、撃沈判定。』
「終わりか、ずいぶん長くもたせたな、誉めてやろう。」
そう言って笑う穂高の前には、ほぼ全身ペイント弾まみれの巡洋艦娘が海に倒されていた。
「しかしあれは使いやすそうな技だったな、今度試してみるとしよう。それにしてもあんな技どこで覚えたんだ?」
目の前の重巡利根に問いかける。
「駆逐艦がやっていたのを真似してみただけじゃ。」
「ほう。ではあとでその駆逐艦と話をさせてもらえないか?少々興味が湧いた。」
6隻纏めて捻り潰そうと、まず小手調べで放った初弾を、重巡が弾き返したのだ。驚いた穂高はそれをもう少し見ようと、観測機を最低限残して落とし、魚雷を迎撃しつつ、中距離砲戦を行った。
結果わかったことは、艤装の装甲を、飛んでくる砲弾に対し浅い角度で構えることで、弾くという物だった。
面白そうだと思いつつも、早く常陸の援護に向かうべきと思い、弾道を重ねたり、榴弾を混ぜたりして戦闘不能判定に追い込んだのだった。
「夕立じゃ。ただ…話をする暇があればよいがの…」
名前を聞いたときには既に走り出していた穂高の耳に、最後の一言が聞こえることはなかった。
ピッ、ピッ、ピッ、ピピピピピピピピピピピピッ!
突然の電子音に走っていた足を止める穂高。
ほぼ同時に常陸も射撃を続行しながら顔を上げる。
伊310は緊急浮上。
伊吹は瞬時に
他の全ての合同艦隊所属艦も顔をあげ、周囲の警戒を開始した。
そして電子音が唐突に止む。これを人は、嵐の前の静けさ、と呼ぶ。
『出撃中のケイキュリア帝国軍、ならびにヴェイルクロイツ連邦軍所属全部隊に告ぐ!』
『南方に複数の超兵器ノイズを確認!ただちに原隊、所属基地に復帰せよ!繰り返す…』
「──常陸より全艦へ、演習を手早く終わらせて対策を練る。仕留めろ。」
感情が完全に消え失せた、冷たい声が響く。
『『了解。』』
命令に一番早く反応したのは、戦闘中の暮風と音風。
「「緊急加速用ブースター点火。」」
次の瞬間、夕立と島風が見たものは、顔は変わらず、ただ瞳からは全ての感情が抜け落ちた状態で、先程の五割増しの速度で距離を詰めてくる相手の姿だった。
「もうなんなのよ!」
所変わってここは南極。そこには超兵器機関も作動させ、全速で航行するヴィントシュトースの姿があった。否、彼女は逃げていた。追っているのは…
進路を少し変更した直後に舷側に水柱が立ち上る。40㎝無いとは言え、55口径の砲弾。まあ砲身が短くとも、当たってしまえば、大型とはいえ巡洋艦クラスのこの艦は1発当たれば終わりだが。
「何で答えが返ってこない上に撃ってくるのよ!?」
彼女を追うのは同じドイツの超兵器。
ちょっと長くなったかもしれませんね
次は出来るだけ早く投稿します。
気長にお待ちくださいm(__)m
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