廃棄物の私へ   作:お米精米委員会

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何故か描いてしまった物を取り合えず投稿、何かあったら速攻消すので、悪しからず



追記

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色々肉付け


廃棄物の私へ

私は何がしたかったんだろうか

知りたくなかったのか、知りたいのか今でもわからない

解ることなんて今になっても解らない

 

でも

 

このままで良いだろうとは、思わなかった

私はどこにでもいる一般家庭の夫婦の間に出来た子供だった

私が産まれた時、両親はとても喜んでいたと聞いている

私の父は、清掃関連の仕事をしていたらしい

その為父が家に居るのを見たことがありませんでした

父が帰ってくるのは夜中で、まだ小さかった私が父に会うことは殆どありませんでした

私が物心ついた時に、父のことを自分の父親だと認識したのはそれから一年程経った時でした

 

そのまま私は親に時々怒られるぐらいで、そのまま成長した

 

 

それから少し経って、私が7歳ぐらいの時に、父は出張で遠くに行くと言って、荷物を纏めて出てしまいました

離婚とその後何年かしたら教えてくれた

 

元々父親は仕事であまり家に居なかったので、寂しさや悲しみは余り感じなかった

 

私はそれを重く受け止めず、皆こんな気持ちなのかな?という感じでそれを受け止めていた

 

その年から、私の家に母親が知らない男を連れ込んで来た

 

これから同居すると、母親は言った

私は驚きこそあれど、恐怖や疑問は湧かなかった

 

母親が決めたことだから、そう心の何処かで思いながら私はその同居人を受け入れた

 

同居人をいれて三人暮らしになったところで、私の生活が劇的に変わることはなかった

同居人は機械系の仕事をしているようで、よく壊してしまった自転車等を修理してくれました

その時の同居人の顔も、嫌々ではなく穏やかそうな顔をしていたので、私は同居人の事を少しずつ信用していきました

 

私はその日その日を気ままに過ごしていた

 

私が小学生高学年になった時、同居人は母親と喧嘩して出ていきました

私に特別暴力を振るう人ではなかったので、別れた理由は解りませんでした

 

その後から少しづつ母親が変わり始めました

 

私に対してあれこれ言い出したり、突然理由もない暴力をしてきたりと、乱暴になっていきました

私は机に頭を叩きつけられても、頬を張られても、外に投げ出されても、泣くことはあったが悲しいと思った事はありませんでした

 

その時期から私は母親の祖父母の元で過ごす事が多くなっていきました

祖父母は同情にも似た気持ちで私を受け入れてくれたのか解らなかったが、それでも祖父母は私に優しくしてくれた

学校からは遠かったが特に気にはならない距離だった

この時期が私の幸せと呼べる時期だったろうか

私はそれから中学生になるまでの年の半分以上は祖父母の家で過ごしていました

 

私が中学に入ってから感じたのは、緊張感とかではなく疎外感だった

その中学校は、私が通っていた小学校から近く、殆どの人がその中学校に入学した

私の事をよく知らない人たちを集めて、アイツは変なやつだから近づかない方がいい、と丁寧に言ったお陰で、私は一月の内に学校で浮いた

 

私は学校に行っても誰とも話さないし、昼時は人気のない場所を選んで食事していた

 

そのまま卒業まで私が話した人は祖父母と近くのコンビニのスタッフぐらいだった

その時の私は二次創作やゲームに夢中になっていました

こことは違う世界に憧れていた、と思う

特にファンタジーが好きでした

でもそんな生活が長く続くはずも、ましてや祖父母は止めなさいと言うぐらいのハマりようでした

私は流石にこのままでは不味いと感じ、ここより遠くて祖父母の家から通える距離の学校を選びました

私は特に勉強もせずに、面接のみでその学校に入学することができた

 

私は流石に友達がいないと不味いと今さらながら思い、学校の同級生に片っ端から声を掛けました

答えてくれたのは二人、私はその人を友達として大事にしようと心に誓いました

 

私は友人達と学校生活を満喫していた翌年、祖父が亡くなりました

 

病気でした

 

その病気が見つかったときにはもう手の施しようがないと医者に言われたそうです

その報を学校の電話で聞いた私は頭の中が真っ白になりました

私が学校で休み時間中の時でした

私はそのまま教室にカバンを取りに戻り、祖父が入院している病院に向かいました

 

 

病院の場所は余り遠くはなかったので、なんとか日が出ている内にたどり着けました

私は祖父の名前を受付で言い、病室の場所を聞きました

急いでいたので、聞くのを忘れていたのです

私が病室に着いたとき、祖父は眠っていました

薬で眠ってるんだよ、と祖母が教えてくれました

 

私はそれから、学校が終わったら毎日祖父のところを訪ねました

休みの日は流石に祖母と二人きりが良いと思い、自重していました

 

 

 

そんな日々を数ヶ月過ごし、その日は雪がよく降る季節だった

 

私はその日、母親の元で過ごしていました

祖母が祖父に付きっきりなのもあったが、家に私がいて負担になるのでは、と思い一端母親の元に戻ってきていました

 

 

帰ってきたのは夜でした

私はその時丁度バイトと言うものをして、祖父に何かプレゼントでも贈りたいと思っていました

その為、祖父の元に行く回数は減ってしまいましたが、私は根拠もなく大丈夫だと思っていました

祖母が医者から祖父は来年まで大丈夫と教えてくれました

祖父も、私の頭を撫でながら大丈夫、大丈夫…と言ってましただから私はきっと大丈夫なんだと、思ってしまいました

私は、私の都合の良いようにその言葉を受け止めてしまいました

 

 

バイト先から帰ってきた私は、テレビを見ながら笑い声を上げている母親を一瞥した後、奥に居ようと体の向きを変えたときでした

母親が笑いながら言いました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祖父が死んだと

 

 

 

 

 

 

 

 

私は最初何を言っているか解りませんでした

祖父の余命は来年、医者の話では桜が散る時との話の筈でした

 

私は信じられないという気持ちとそれと同時に強い怒りを感じました

何故、自分の都合で祖父が大丈夫なんて思ってしまったのだろうかと

私は自分自身にもそしてもう一人についても私は怒りを抱いていました

 

 

今馬鹿みたいに笑っている母親に対してでした

自分の親が死んだのに、それを笑いながら、しかも視線はテレビに向けたままの報告でした

 

私の中の怒りはやがて何かに変わっていきました

 

でも、私にはその感情が何なのか説明できませんでした

 

 

それは私が今まで感じることも、思うこともなかった感情でした

 

私はその感情の赴くままに台所から包丁を持ち出し、母親の元に行きました

母親はテレビに夢中で私の事など気にしていませんでした

 

私は寝そべって見ている母親に向けて、迷う事無く包丁を刺しました

 

 

 

 

 

母親は突然の事でどこか呆けていましたが、自分の脇腹に刺さっている包丁を見て、叫びました

 

私から逃げようと這いずる母親に、私は包丁を刺し続けました

 

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺しました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれだけ時間が経ったかは解りませんでした

目の前の物体が動かなくなったのを確認した私はそのまま外に出ました

私の着ていた服は胸辺りまで赤く染まっていました

道で人とすれ違う度に皆驚いた顔をして振り返ってきます

中には何処かに携帯で電話している人もいました

 

私は少し気になりましたが、すぐにその感情は無くなりました

 

私は橋まで歩いて来ました

幸い、母親の家からこの橋までの距離は大したことはないと感じられるぐらいには遠くない場所でした

 

 

私は迷う事無く橋から身を投げ出した

服が水を吸って重くなり、身体が沈むのはそう時間は掛かりませんでした

 

息苦しくなってきた私は、少しずつ自分の体の感覚が無くなっていくのを感じながら、目を瞑りました

 

 

 

 

 

 

心残りは、あります

 

祖父の葬式に出席したかった

 

祖母の事が心配だった

 

父親にもう一度会いたい

 

友達ともっと遊びたい

 

美味しいものが食べたい

 

 

 

私は…私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…これより…目の実…開始…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其処は全てが白色一色の部屋だった

 

部屋の中央には一人の女の子が地面に座っている

 

次の実験台の監視中に、私は後何回これを続ければいいのか、後何回すれば、こんな気持ちを抱かなくてすむのかを性懲りもなく考えていた

 

私は只の都市部で働く医者だった

医大を卒業し、医者として数年は忙しくも私にとってはとても充実した日々だった

 

それから暫くして、妻と出会い、翌年には子宝にも恵まれた

 

一般の幸せをてに入れられたと痛感しながら、何年か過ごしていた

 

 

一本

 

たった一本の電話で私の人生は変わった

 

子供がそろそろ入園の時期だね、と妻と話していたときだった

私の携帯に連絡が来たのは

 

連絡してきたのは、医大の時の先輩だった

私と先輩は余り親しいとは言えず、どちらかと言えば知り合いぐらいの関係だった

 

私は何で連絡してきたのか解らないまま、電話に出ました

 

 

先輩の話はこうです

 

「どうしても人でが足りない場所があって、お前に是非来てほしい」

 

 

「給料も良いし、上手く行けば有給が働いて直ぐ3ヶ月も出る」

 

 

「人の為、果ては人類の為になる仕事なんだ」

 

 

 

こんな感じでした

 

その後詳細をメールで送ってもらった私は先輩の話が殆ど本当だということが解りました

仕事内容や雇用形態、保険等を一通り見た私は、何ヵ所かの部分が曖昧だと思いました

 

 

 

 

場所:海外

 

注意事項:守秘義務が課せられます

 

 

 

守秘義務という単語を見て、私は一瞬危ないと思いましたが、子供の養育費云々も考えて私はその話を受けることにしました

 

…養育費等は建前で、人類の為ということに一番心引かれたという本音を胸の片隅に押しやった

 

 

 

 

 

 

 

 

妻の説得は難しかったが、直ぐに帰ってこれると言うと渋々了承してくれました

 

子供には妻の方から出掛けると言ってほしいと私は頼みました

時間が無かったのもありますが、私が余り子供との接し方に悩んでいたからが大きな理由でした

 

 

私は受けると先輩に話したら、彼は大袈裟に喜んで明後日までに準備を終わらせて、家の前で待ってて欲しいと言われました

 

場所が海外とだけ書いてあったので、パスポート等の貴重品や衣類、家族写真等をバックに積めて指定された日を待ちました

 

 

先輩が言っていた日になり、私は家ノ前で迎えを待ちました

 

時間の指定等は無かったので、早朝から待っていると、車が一台、私の目の前で止まりました

 

迎えの車かな?と思った瞬間、車のドアが急に開き中に無理矢理乗せられて、事態を把握してない私はされるがままに、急な眠気に襲われてそのまま意識を手放した

 

 

 

 

 

目を覚ましてまず驚いたのは、私はいつの間にか現地に到着していたことだった

 

あまりにも現実味が無かった私は暫く呆然としていたが、目の前の人物の顔を見てまた唖然としてい

 

私の目の前に居たのは、余りにも弱々しい先輩の姿だった

 

私が最後に先輩と会ったのは、高々数年前ぐらいでダイエットだとかなら理解出来たが、明らかに痩せすぎだった

 

先輩の着ている白衣の上からでも解るぐらいなのだ、本当はもっと状態は悪いのではと、私が言葉を選んでいる内に、先輩は鳴き始めました

 

 

 

 

 

「…ありがとう…ありがとう」

 

「これで漸く…漸く俺の仕事は終わる」

 

「本当に…すまない」

 

そう先輩はボソボソっと言っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後直ぐに、私の職場の上司と会ったり、このよく分からない施設を案内されたりしていたら、いつの間にか先輩は居なくなっていた

 

他の職員に聞いても、彼は退職したとあっさりとした解答しか得られなかった

 

気にはなったものの、私には既に指示が来ていたため、詮索する時間は無かった

 

この時、私は仕事より先に先輩について調べるべきだったと、今でも思っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事の内容事態は簡単なものだった

 

基本は医務室でのメディカルチェックやら報告書の作成、メンタルケアが専らの仕事だった

 

 

といっても、ここの職員に対してではない

 

私が相手しているのは見た目10代前半かそれ以下ぐらいの年齢の子供にだ

 

何故こんな施設に子供が居るのか、疑問に思ったが私は新しく雇われた人員、この施設の中では権限的に下でした

なので、疑問には思っても詮索する程の勇気が無かった

 

私の所にくる子供の殆どが、殆ど同じ顔をしているのも、私の詮索するという行為を止めていたのだった

 

子供達は皆静かで、大人しい性格の子が殆どだった

私の質問にも、うん、はいといった答えしか返ってこないので、最初の年は私も色々と悩みました

 

 

 

私は色々な事を試しました

子供とのメンタルケアにケーキやクッキー等の菓子類を食べさせてみたり、時には絵本を読んで聞かせた事もありました

 

最初の内は反応も喜びというより、どういう反応をしたらいいか解らないといった風に感じた私は、子供達に成るべく色々な経験をさせてあげることにした

 

でも、結局は無駄だった

 

子供達に此方がどれだけ親身に接していても、他の職員に見つかると直ぐに連れていかれてしまう

 

そして私は、見てしまった

 

 

人類救済を詠いながらも黒く汚れた裏の顔を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はある日、同じ医療班の職員に連れられてある部屋に行くことになっていた

 

子供達を見に行くとしかその職員は言わなかったし私も見てみたいと思っていたので、何事もなく部屋に着いた

 

 

最初に目に映ったのは、大きなガラスで仕切られた部屋

 

ガラスで四方を仕切られた中央には、女の子が一人

 

 

「これより第…回英霊降臨実験を開始する、今回は最優の物より早期の戦力確保の為、狂戦士の英霊降臨を行うことになっている」

 

部屋のスピーカーからそんな声が聞こえる

 

英霊?戦力?と私の理解が追い付かない内に、実験は始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果なんて解りきっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…今回の実験のデータを次回の実験までに纏めて担当者に提出するように…それと[それ]は可及的速やかに片付けるように」

 

 

 

それ…それとはいったい…いや解っている筈だ、目を背けては駄目だと自分に言い聞かせ、私はガラスの向こう側を見る

 

 

中央にいた女の子は、体の至るとこから液体を垂れ流していた

目や口、鼻や下半身まで床は濡れていた

 

防護衣に身を包んだ二人組が女の子に…いや女の子[だったもの]に近づく

 

そのままガラスの向こう側…私の目の届かない場所まで運ばれてしまった

 

私は直ぐに上司の元に向かった

 

上司の元にはやけにすんなり通され、私は上司に怒鳴り散らした

 

 

 

あれはなんだ

 

あの子達の命を何だと思っているのか

 

貴方があれをやらせているのか…と

 

 

 

 

上司は一通り聞いた後終始笑顔で言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人類救済の為だ…と

 

 

 

 

 

 

 

最早正気処の話ではなかった

 

笑顔…笑顔で言うのである

 

 

言葉に嘘偽りは無く、人類の為だと

 

実験に成功したらきっと人類の為になると

 

失敗していても、失敗した子供達の…子供達の臓器を医療方面に流せば、多くの人が助かると

 

それに子供達は人がデザインした人間…人造人間の為、なんの問題もないと

 

上司は笑顔で、まるで今晩の夕食のメニューを言うかのように愉しそうに言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数年が経っても、私は此処で働いている

 

私に上司があの事を話した時点で私に逃げ道等はなかった

 

辞める際には別の人材…即ち身代わりを見つけて来なければならない

 

そしてやめた後も暫く監視がつくので、人目を気にしながら生活しなければならない

 

辞めるのは簡単だと思った、実際何度も辞めようと思った

 

だが、辞められない

 

監視や身代わり云々の話ではない

 

初めて見た実験の時のあの子の目が忘れられない

 

救われる事なく、ただ他人の為にその命を失う事への理不尽に対する怒り

 

そして結局それすらも叶わないと知ったときの絶望

 

私はあの目が夢にまで出てくる

 

きっとこれは後悔だ

 

軽い気持ちで受けてしまった私自身に対して

 

そして何もしてあげられなかった無力な私に対してでもあった

 

 

 

 

 

 

定期的に子供達の元で絵本を読ませたり、定期的に行うメンタルケア等でお菓子を食べたりと、特別何か変わった事は無かった

 

ただ、私は実験に参加はしないが見学をする事を上司に直接許可を取りに行った

 

上司はあっさり了承し、私はもう何回やったか解らない実験を見ている

 

 

「これより第…回英霊降臨実験を開始する、今回は前回の実験の失敗を反映し、行う」

 

 

 

 

部屋の中央には一人の女の子

 

人類救済の為の実験

 

ガラスの向こう側が眩い光で包まれる

 

 

始まる、人類救済という綺麗で眩しいもののために

 

 

その光の下には、灯りに釣られて依ってきた虫のように群がる人類の屍が積み重なっていることも知らずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ…神よどうか…

 

 

 

「れ…霊基反応あり…です…じ…実験成功です!我々は等々やりました!実験は…成功しました!]

 

 

 

 

 

 

 

 

この子に…

 

 

 

 

 

 

人理継続保障機関フィニス・カルデア

 

100年後に時代設定したカルデアス表面の文明の光を観測する事により、未来における人類社会の存続を保障する事を任務とする

 

文面にすれば簡単だが、実行するとなると話は別だ

 

 

実験であの子達を使っているのも、保障の為と割りきれと言われても、はいそうですかと言う人は基本的に居ないと信じたい

 

例え話をしよう

 

事故で一人死んだとしよう

 

他の人はその人の死を悲しんだり、又は哀れんだりするだろう

 

だが、大多数の人にとってはどうでも良いこと

自分は同じことに成らないと勝手に思い込み、自分と自分の周りが大丈夫だというのが大半だろう

 

 

カルデアの職員も多少善良な心の持ち主が多いと言っても、多いだけで全員と言うわけではない

 

根源にたどり着きさえすれば良いという奴

どんな犠牲を出しても成果を出そうとする奴

 

基本的にこういうのが英霊降臨実験の主だったメンバーだった

 

幾度かの実験の末、3体の成功でこの研究は頓挫した

 

何て事はない

 

この人類継続保障機関 フィニス・カルデアの最高責任者

 

マリスビリー・アニムスフィアの急死である

 

 

この所長の死と同時に、研究の主だったメンバーも同時期に急死

 

研究員の死より所長の死の方がダメージが大きく、研究員達の死の真相は解らないまま忘れ去られた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に所長に任命されたのはマリスビリーの娘オルガマリー・アニムスフィアだった

 

本当なら1つ年下の弟にとの声が多かったが、オルガマリーの協力者にして後にカルデアの顧問魔術師であるレフ・ライノールによって黙殺される

 

オルガマリーは最初、マリスビリーが残した物の整理を始めたが、ここで問題が発生する

 

 

そう、一応の成功例として残っていたホムンクルス達、ホムンクルス達にしてきた実験の数々

これを一通り見たオルガマリーはあまりの事に発狂した

 

彼女は暫くはこの案件に拒否反応が出てしまうほどだったが、少しずつ元に戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホムンクルスの一人には名前があった

他のホムンクルスは番号…ただの数字が名前として認識されていた

 

マシュ・キリエライト

 

フィーア

 

ヌル

 

一番の成功例のホムンクルスには、カルデアスタッフが考えて名付けた

 

後の二体はつけられなかった

単に忘れられたとか、そんな理由ではない

 

そのままで良い

 

二体はそう言ってまた無菌室に入っていった

 

マシュ・キリエライトは正式にカルデアの職員として登録されても、二体は出てくることはなかった

 

他のマスター候補が集められて、本格的に組織全体が動き出した時に、漸くマスター候補Aチームに名前だけ記載された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

辺り一面が火の海

 

今正にレイシフトしたマスター候補の一人…藤丸立香の目の前には今まで見たこと無い彼からすれば地獄とも思えることだろう光景が広がっていた

 

 

彼は先程まで一緒にいた少女、マシュ・キリエライトを探して燃える町を歩いていた

 

彼はカルデアから一般枠でここに来た只の民間人だった

 

だが無情にも彼が最後のマスターにして唯一の生き残りであり、彼以外のマスターはその殆どが瀕死或いは死亡している

 

彼…藤丸立香は暫くしてそれらしい音を聞く

 

何か大きな物体を振り回しているかの様な風切り音と、その後に響き渡る金属同士がぶつかりあったかのような甲高い音

生きてる人が、もしかしたらそこに居るかもしれない

 

確かに藤丸立香が捜していた人物…藤丸立香を先輩呼びし、何処か不思議な、それでいて何処までも純白そうな人柄のマシュ・キリエライトを見つけた

見つけたが、彼からすればそれどころではない

 

マシュ・キリエライトは囲まれていた

 

全身の殆どを骨だけの人の形をしている相手にマシュ・キリエライトは圧倒していると言っても良い

ただその数の差で囲まれているという点を除けばだが

 

マシュ・キリエライトはこの燃える町より前の姿とはかけ離れた格好をしていたが、藤丸立香にとっては些細なことだ

 

藤丸立香は自分に突如押し寄せてきた寒気と恐怖で尻餅をつく

それは彼の寿命を引き延ばす事になった

 

彼の先程まで首のあった位置に空気を切り裂くような音がした

 

藤丸立香はそれを聞こえる前に前に転がり避ける

彼がカルデアから支給された服装である制服にはマスターが緊急時には使用者の安全のため自動で魔術が発動されるよう組まれている

最も、これは相手が高水準のステータス…C+までしか通用せず、それ以上は発動が間に合わない

 

彼が振り返った時、相手の姿は何処か非現実的で、それでもなお実際に目にしているので現実だと再認識される

 

「ふム、まさカ避けらレるトは。まだ修練が些か足りない...カ。」

 

黒い靄で全体像はハッキリしないが、この人物が襲い掛かってきたのは確かだろう

 

「だガな、そう何度モ避けられルノもオモシロくない、拙者も武士の端くレ故にな」

 

 

黒い靄...シャドーアサシンは、思考する暇すら与えんと得物を構える

 

遠くでマシュ・キリエライトが何かを大声で言おうとしているのが見えたが、それもほんの僅かな時も必要とせずに事切れるだろう

 

(せめて、もう少しちゃんと話がしたかったな)

 

藤丸立香は諦めきれないと思いつつも、その一撃を避ける手立ても、まして反撃など不可能な事を悟っていた

 

 

斯くして彼の苦難の旅は始まる前に終わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった

 

藤丸立香は何時になっても一向に来ない衝撃に、まさかもう死んでしまったのかと恐る恐る諦めて閉じていた目を開ける

 

視界に写ったのはアサシンが得物を振り切った態勢…ではなかった

 

まず背丈、あのアサシンより小さい背中が見える

 

全身を中世の時代に用いられていたかのような銀色に薄く黒が混じった甲冑を纏った人物が、アサシンの得物を正面から両手で刃の部分を掴み、藤丸立香の盾となっていた

甲冑の人物が行動を起こす前にシャドーアサシンが動き出す

 

掴まれた得物で強引に振り切る

振り切られた事によって手から鮮血が飛び散り地面を汚すが、距離を稼ごうとした相手に詰め寄る

黒い靄の人物が構えるより先に殴りかかる

甲冑の人物は右ストレートを胴体に放つ

アサシンは避ける動作をすることなくもろにくらい二、三回転がり素早く起き上がる

起き上がる頃には甲冑の人物はそこら辺に落ちていた瓦礫を手あたり次第投げつけていた

飛んでくるコンクリートの破片やら瓦やら木材をアサシンは自分に当たる物だけを防ぎ、近づいてくる

ある程度アサシンが近づいて来たら瓦礫を投げるのをやめ、近くに落ちていた骸骨達が持っていた錆びついた剣を拾うとアサシンに斬りかかった

アサシンは驚いた様子もなく迎え撃つ

何度も金属がぶつかり合う音が響く

甲冑の人物が持っていた剣は半ば折れてしまったが、アサシンと打ち合えていた

だが武器はもう限界だったのだろう遂に刀身は砕け散り、甲冑の人物は無手になった

 

「これで終いダな、うら若き娘ヨ!」

 

アサシンは水平に刀を構えると甲冑の人物が行動する前に振るう

刀は甲冑の人物の右脇腹を甲冑ごと切り裂かれる

血を流しながらも甲冑の人物はアサシンに組み付く

 

「最後のワルアガキか!」

 

アサシンは引き剥がそうともがく

その頭部に矢が刺さる

 

「な!、ソンな...ばか...」

 

アサシンは黒い塵となって頭から消えていく

 

藤丸立香は全てを見えていたわけではないが、何が起きたのかわからなかった

 

その時、藤丸立香の前の空間が歪む

歪みから赤い服の男が出てきた

 

「やれやれ、何かと思ってきてみれば...君達は一体何をしているのかね」

 

その男は、何処か困ったような笑みを浮かべていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、今回の聖杯戦争?は今までのそれとは違うって事…ですか?」

 

「あぁ、今はアーチャーである私以外はセイバーの手駒になっている。最も君達が倒したアサシンと私が倒したサーヴァント合わせると後残っているのはバーサーカーとセイバーぐらいだな、バーサーカーは動く事はないから今の所無視で大丈夫だろう」

 

藤丸立香は、小学校だったであろう廃墟にセイバーの元に向かう前の小休止の場所として立ち寄っていた

 

あの戦闘の後、カルデアから通信が届き現状と自分と一緒に来たのがマシュ・キリエライトのみでなく、後二人居ることか解った

今彼女達は藤丸立香の為に近くで何か口に入れられるもの、食料を探してもらっている

 

「そう…解ったわ、マシュ・キリエライトと『二体』が帰ってきたら早速大聖杯の元に向かいましょ」

 

『二体』という単語に反応してアーチャーは若干の不快感を、藤丸立夏は純粋な目でその発言をした人物に目を向ける

 

 

オルガマリー・アニムスフィア

人理継続保障機関の所長である

オルガマリーはアーチャーの目線に脅え二、三歩後退り小さく悲鳴が口から洩れるが、何とか言葉を続ける

 

「あ、アーチャーである貴方はセイバーの真明は解っているの?それが解れば対策のしようもあるのだけど?」

 

アーチャーはオルガマリーの発言に対しての問いに一つため息をついて答えた

 

「あぁ知っているとも、セイバーと私は過去に戦った事もある相手、セイバーの武器を見れば誰だって真明は解るだろう」

 

アーチャーはそれだけ言うと壁に背を預け目を瞑ってしまった

 

「そ、そう、じゃあセイバーと戦闘するのはアーチャーと...まぁマシュがいれば大丈夫ね」

 

「あ、あの所長、二人は?」

 

「露払いだよ」

 

通信がいきなり入りオルガマリーと藤丸の会話を遮る

映像に出てきたのは最初に通信をかけてきた医療部門のトップであるロマニ・アーキマンではなく、知らない顔が出てきた

 

「あら?貴方は…アーキマンはどうしたの?」

 

「アーキマンさんは今手が離せないので私が代理です」

 

 

「あの、露払いって?」

 

「あぁ、彼女たちはサーヴァントとの戦闘には耐えきれないからね、出来れば戦ってほしくはないんだけど「あなたにそんな権限は無いと思いますが?」...はい所長、失礼しました」

 

そう言うと職員の人が黙ってしまう

 

「あの、一応飲料水を見つけましたが、何か問題でもありましたか?」

 

気まずそうに顔を出すマシュ・キリエライトを見て所長は淡々と歩いて言う

 

「とにかく行くわよ、この異常事態を解決に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はフィ■アと呼ば■ている

 

元々は■がったと■もうがもう思考がお■つかない

 

目の前の対■を■■いする

 

■が見える

 

血が■える

 

血が見■る

 

 

 

 

 

 

 

血が見える血が見える血が見える血が見える血が見える血が見える血が違う私は違う違う違う違う私私は何がなんでどうしてどうなってるなぜ私はしんだはずしんでるはずいきてるよかったしにそこねたざんね■なんでうれしくないどうしてこんなことに■をコロ■そうでないとわたしはじぶんかってなやつちがうわたしはそんなつもりじゃようちなやつちがうかんじょうろんな■てすてればよかったのに

たたかう■は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今目の前で藤丸立夏の前にマシュとその姉と思われる二人が漆黒の鎧を身に纏ったセイバーと戦っていた

 

アーチャーはバーサーカーが突如として襲い掛かってきた

 

「ここは任せて先に行け!私も此奴を倒してからそちらに向かう」

 

そう言い残しアーチャーはバーサーカーと戦闘している

 

そしてこの大聖杯の元にはマシュと藤丸、オルガマリーにフィーア、ヌルの五人でセイバーと戦うことになった

 

ヌルはアーチャーのクラスなのか、赤い弓に関節部に革製の防具を身に着けていた

フィーアは全身を甲冑姿だった

 

セイバーが何か言う前に、ヌルが弓でセイバーの額を撃ち抜くべく矢を射る

セイバーは一瞬顔を歪めるが、苦も無く矢を叩き落すと五人に向けて宝具を使う

 

 

 

卑王鉄槌

 

極光は反転する

 

光を呑め

 

約束された勝利の剣!(エクスカリバー・モルガン)

 

 

 

目の前に禍々しい光の束が視界いっぱいに広がる

マシュは盾を構え、フィーアとヌルはマシュを後ろから支えるように立ち宝具を迎え撃った

 

盾に当たった瞬間土煙を上げながら三人は押されていく

 

「アアアアアアアアアアアァァァ!!」

 

マシュが叫ぶ、それでも勢いは弱まるどころか強くなるばかり

 

 

 

 

かくして永遠かと思われた時は過ぎ、終る

宝具は止まり、後に残ったのは塵...だけではなかった

 

「皆、大丈夫?」

 

「先輩...はい、問題、ありません」

 

 

藤丸立夏が唖然としている時を、セイバーは見逃さなかった

セイバーは魔力放出を使い一気に四人の元に現れる

セイバーはまずヌルに襲い掛かった

 

ヌルはセイバーが正面から落ちた聖剣による切り上げ、半身をずらし避ける

その一時のうちにフィーアがセイバーに接近する

フィーアは両手で己の武器とした『鉄柱』を振るう

 

一撃、二撃三撃と連続でセイバーの聖剣と撃ち合う

そちらにセイバーが意識を向けてるうちにヌルが藤丸の襟首を引っ掴んで下がり、マシュがその前で二人を守るために壁となる

 

 

「成程、貴公もまた面白いな。混ざってはいるがな」

 

フィーアが鉄柱をセイバーの頭に叩き落す

 

セイバーが両腕で聖剣を扱っていたのが、左腕一本で聖剣を使い迫っていた鉄柱と拮抗する

 

「貴公にはこれでも十分過ぎる...な!」

 

右肘を魔力を噴出させることで瞬間的に音速を超える一撃になった殴打がフィーアの腹部に直撃し鈍い音と共にフィーアが吹き飛ばされる

 

そのまま魔力放出で一気に藤丸達に接近、マシュが盾を前面に押し出しセイバーを押し飛ばそうと前に出るが、それをセイバーは聖剣を地面に突き刺し、魔力放出を放つことによって発生する土煙を利用し即席の目くらましに使いマシュを操りすり抜けて藤丸立夏とヌルの元に躍り出る

 

「弱点を最初に叩くのは頭からと相場が決まっている」

 

「先輩!逃げてぇ!!」

 

マシュが叫ぶ、急いで戻るがどう見ても間に合わない

 

今藤丸立夏の近くに居るのはヌルのみ

ヌルは藤丸を一瞥し、そのまま自分より後方に放り投げ、セイバーの前にでる

 

セイバーの行動を少しでも阻害しようと足や目、首に矢を射る

セイバーはそれを叩き落しながら近づき、斬りかかる

流石に接近戦に慣れてるわけではないため、ヌルは体のいたるところに傷が増えていく

そして等々聖剣がヌルを捉える

ヌルの左肩から右わき腹を聖剣が切り裂く

ヌルは弓を落としてしまったがまだ立っていた

だがもうセイバーを抑えられるほど力が残っているわけでもなく、そのまま血を流しながら膝をついてしまう

セイバーがヌルの前までゆっくりと近づき、目の前まで来る

 

「もう終わりか、呆気ないモノだ」

 

少しの失望が含まれた言葉がセイバーの口から漏れる

そのまま一息にヌルにトドメを刺そうと聖剣を構え...そのまま自分の後ろに横薙ぎに振るう――

直感に従い聖剣を振るったセイバーの視界にはフィーアが持っていた鉄柱が半分に切り裂かれた物のみ

鉄柱を持っていたはずのフィーアが居ないことに気づきそれでは何処にと探す前に視界に写る影があった

瞬間、顎に衝撃が走り視界がブレる

セイバーは自分に一撃加えた相手を正しく理解し、そして困惑した

 

 

 

 

 

 

 

――――その籠手は黒く染まっていた――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバーが消え、レフの裏切りに終わり、所長も消えた

特異点の崩壊が始まったが、こればかりはカルデアにいる職員達の頑張り次第なのでどうしようもない

 

藤丸立夏、マシュ・キリエライト・フィーア・ヌルは一か所に集まり、その時を待っていた

 

フィーアとヌルはセイバーとの戦闘でダメージが大きく正に満身創痍と言える

逆にマシュは特に目立った傷もなく、戦闘での軽い疲労のみと言えるだろう

 

藤丸立夏はこの三人をみて思う

 

所長の発言

 

職員の対応

 

そして彼女達とほんの少し過ごして解った、無垢さ

 

これからどうなるか解らない

解らないけど、決してこの手を放すまいとマシュ、ヌルの手を握り、フィーアに目をやる

 

その目は、藤丸立夏の姿を写しては居なかった

 

まず、自分を見てもらうとこから始めよう

 

藤丸立夏は全身を浮遊感に襲われて、意識が遠のいてやがて眠るように落ちていった

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