字数を2倍くらいにしてみました。
ではどうぞ
身体強化オンリーの京助です。
「うおっ?!危ねぇ!」
鉄の輪は、上から1つ、左右からそれぞれ2つずつ襲ってきた。
慌てて妖力を纏って身体強化をし、回避する。
「6等分されるとこだった...っとまた来た!」
休む暇もなく次から次へと襲ってくる。5つの輪は編隊飛行をし、的確に俺を切り刻もうと追ってきている。
それでも幻庵の指導の賜物なのか、身体強化した俺はギリギリながら躱し続けられていた。
「もう!避けるなっ!」
「避けるよ!!」
躱され続けてイライラしてきた諏訪子が意味不明なことを口走っている。本当に理不尽極まりない。
(さて...あとどんくらい躱し続ければいいのかな?)
妖力に限界があるように、神力にも限界があるはず。攻撃できなくなるまで躱し続ければこちらの勝ちだ。
「そっちも反撃したら?!」
「鉄の輪避けるので精一杯だなぁ!」
反撃させる気などない程の速度で鉄の輪を飛ばしてくるくせに、どの口が言うのだろう。
そう思っていると、次第に諏訪子に疲れが見え始めた。
まあそれはそうだろう。もう15分くらい鉄の輪を編隊飛行させ続けているのだ。それなりに精神と神力を消耗しているだろう。
というかもうそろそろ終わってくれないとこちらもやばい。身体強化に妖力を使い続けているため、尋常じゃない速度で妖力が減っていっている。これ以上長引けば、身体強化どころか人化の術までが解けてしまう。
「はぁ..はぁ...次こそ!」
そう言って諏訪子が腕を降ると俺の背後を取り囲むように鉄の輪が集まった。
これでは諏訪子ががら空きだ。身体強化して走れば鉄の輪よりも速く諏訪子に辿り着き、反撃することができるだろう。
俺は脚を強化し、勝負に出た。後ろから輪が追ってくるが、やはりこちらの方が速いようだ。
(俺の妖力、あと少しだけもってくれ!)
もう身体強化はできない、、本当にこれで決めるしか勝機はない。
「ここで決めてやる!」
「それはどうかな!」
と、諏訪子は鉄の輪をさらに速くする。
が、追いつけない。諏訪子まで残り2m、よしいける!と手を伸ばし、意識を刈り取ろうとしたその時、諏訪子はニッっと笑って手を横に降った。
___その時、
横の地面が盛り上がったかと思うと土の柱が出現し、鞭のように横薙ぎに迫ってきた。__
「っ?!!」
驚いて回避しようとするも、間に合わない。
___あ、だめだこれ避けきれない...
俺は衝撃にそなえ、目をつぶった。
.......ん?
俺を場外ホームランさせて社の階段の一番下まで吹っ飛ばすような衝撃はなぜかこなかった。
ゆっくりと目を開けてみると目の前には驚愕の表情を浮かべている巨大化した諏訪子がいた。
__? 何が起こって.........ああ。運が良かった。
そう、ホームランされるギリギリの所で妖力の限界が訪れ、俺は猫の姿に戻ったのだ。
とても危なかった。そして俺は妖力が切れたのでもうまともに戦うことも出来なければ、避けることもできない状態だった。なんとか停戦を申し込まなければいけない。
俺は息を整え、残りの妖力を振り絞ってなんとか人化して言った。
「洩矢様、申し訳ありませんが俺は妖力が切れたのでもう戦えません。今回はこれで見逃してもらえませんか?」
「..........。」
返事はない。
「差し出がましいようですが、今日1日だけこの国に泊まることを許して頂けませんか?明日にはでていきますので...」
「.....妖怪1匹も倒せない。..こんなことじゃ、...国の人達を守れないっ....。」
諏訪子は俯き、目に涙を浮かべながら呟いた。
なにか訳ありらしい。これはいけない。神様とはいえ、女の子を泣かせては紳士の名が廃る。
「よくわかりませんが、なにか大変なことがあるんですか?力になれるかわかりませんが、俺でよければ話してくれませんか?」
諏訪子は一瞬間を置いてから、袖で涙を拭い、呟くように、自分に言い聞かせるように言った。
「..........大和って知ってる?」
「はい。」
大和の国。人間のころの知識でうろ覚えではあるが、たしか大和朝廷があり、それを高天原の主要な神たちが天上から支配している国である。
__ああ、そういうことか...
「...大和の国は領土を広げてより多くの信仰を得ようとしていて、近隣の国まで迫ってきてるんだ。そしてこの前ついにこの国にも使者が来たの....領土と信仰を明け渡せ。さもなければ戦争だ。ってさ...はは..笑っちゃうよね......あ、無理やり付き合わせてごめんね?迷惑だったよね..」また諏訪子の目には涙が滲んできていた。
とても酷な話である。話を聞く限り、諏訪子は自国民を非常に大切にしているようだ。いや話を聞かずともわかる。昼間の人間達も祟神を祀っていながらとても活き活きしていた。この時代、民があんなに笑い、元気なのは統治者が民を本当に大切にしている証拠だ。
国を明け渡すだけで、民が無事なら諏訪子は応じたかもしれない。だが信仰を奪うということは民に信仰を強制するということ。つまり仕事を奪い、奴隷として扱うのである。
おそらく諏訪子は民を守るため戦争する気だろう。しかし向こうは高天原の主要な神々。いくら諏訪子が頑張ったとしても、負けるのは目に見えている。
そこで少しでも強くなろうとしていきなり襲ってきたのではないだろうか。
「たいした怪我はありませんので大丈夫です。しかしそんなことが...高天原の傲慢な神とあれば、話し合いで和平的解決も出来なそうですね..心中お察しします...」
今の俺にはこんなことしか言えない。なんとも情けないが、例え俺が大和の国に乗り込んだとしても、諏訪子に苦戦していたような俺では殺されるのがオチだ。
「...そう?よかった!....あははっ!神の心配するなんて変な妖怪だねっ!そうだ、今日この国に泊まるんでしょ?ならここに泊まっていきなよ。ここ広いし、どうせ誰もいないしさ。」諏訪子は無理やり笑って言った。
「それはとてもいいお話なのですが...妖怪が社にいてもいいのですか?」
民にばれて諏訪子の信仰が落ちたらどうするのだろう。
「ああ、それなら大丈夫だよここ結構高いとこにあるから多少の妖力じゃ下の人間は気づかないよ。現に今まで戦ってたのに人来てないじゃん。....それにさ、話相手にもなって貰いたいし...だめ?」
..なるほど、それならいいのだが...
はは..多少の妖力か...俺がもっと強ければ諏訪子に無理な笑顔までさせることはなかったのに..なんて情けない...
「ねぇ、だめなの...?泊まってってくれない?」
気づくと諏訪子が悲しそうな顔をしている。
ああもう言った側から!
「あ、すみません考え事を...!ではお言葉に甘えて泊まらせていただきます!ありがとうございます!」
気をつけなきゃ...
すると諏訪子の顔は明るくなり、ニコッとした笑顔になった。
「へへ、じゃあ決まり!猫の妖怪さん名前は?」
出会い頭の威厳を放つ態度とはうってかわり、見た目相応の少女の言動だ。こうして見るととても可愛いと感じる。
「俺は英 京助です。よろしくお願いします洩矢様!」
「妖怪なのに人間みたいな名前なんだね〜!ふふっ、よろしくね京助!あと私のことは諏訪子って呼んで!敬語もいらないからね!」
幻庵にも同じことを言われたが、妖怪は苗字がないのが普通なのだろうか。しかしこの少女はずいぶんフレンドリーである。とにかく俺の役目は話を聞き、少しでも苦しみを和らげてあげることである。
「わかりまし...わかった。よろしく諏訪子」
「うん!よろしくね京助!」
能力無しでの戦いはきつい、、、主に字数が。
ではではまた次回