やはり和はいいですね
ではどうぞ
注、京助は今猫です
___んぁ?どこだっけここ...。ああ。神社か...
寝苦しさに目が覚めた。まだ頭がぼーっとする。
__あれ、背中に柔らかいものが.....
後ろを見ると、諏訪子が俺を抱きしめて眠っている。
__寝苦しさの原因はこれか...
昨日神社に来てからのことを思い出した。そう。あの後諏訪子の布団で一緒に寝たのだ。
__しっかし、寝ぼけて人化しなくてよかったな...
もし俺が人の格好になってしまっていたら、諏訪子に誤解されてしまい今後関係がギクシャクするだろう。そうなると非常にめんどくさい。
__ぃよし、起きるか
布団の暖かさに名残惜しさを感じつつ、諏訪子を起こさないように布団から抜け出す。その時少し乱れてしまったので、布団を咥えて掛け直してあげた。諏訪子からはスースーと規則正しい寝息を立てている。よし、起こしてはいないようだ。
前脚で襖を開け、廊下に出てから音を立てないように閉める。そして玄関の方へ歩いて行き、ポンッと小気味よい音を立てて人化して、外へ出る。
ガラガラっとこれまた小気味よい音を立てて木の引き戸を開けると朝日のオレンジ色の光と、早朝の冷たく澄んだ空気が流れ込んできて一気に脳が覚醒する。
ぐーーっと伸びをして、深呼吸をし、朝の空気を身体に行き渡らせる。
「やっぱ和って...ふぁ....いいなぁ..,」
欠伸をしつつ、そんな言葉が自然と口から出た。この早朝の冷たく澄んだ空気と橙色の太陽の光。そして後ろにある純和風の神社の豪華な居住スペース。それらはとてもマッチしていて、見ているととても心が清々しくなる。
時刻は5時頃だろうか。諏訪子が起きるのはまだ先だろう。ならば...と思い妖力と能力の実験をしようと思ったが、実験するとなると妖力を大きく放出してしまうためやめた。
諏訪子とはまだ会って間もないため、彼女は俺の妖力にまだ慣れていないだろう。国民を守る立場でもあるからか、妖力には敏感なようである。起こしてしまっては申し訳ない。
「よし、朝飯作るか」
と、家に戻って台所へ向かう。式神になるとは言え勝手に食材を使うのはどうかなとも思ったが、まぁ諏訪子だし、後々許可を取ればいいだろう。
「さて、何作ろう」
うーん...と1分くらい悩んだ末に、せっかく気持ちのいい朝だし和食を作ってみようということになった。
なにがあるかなーと食料庫を確認したところ、昨日使った野菜達の他に竹の筒に入った鮎があるのを見つけ、焼き魚を作ることにした。
先ず竈でご飯を炊き始め、それなら外に出る。この時代には魚焼きグリルがないので、外に出て建物から充分に離れてから昔の七輪のような物に鮎を2匹乗せて焼いていく。燃料にはその辺に落ちてた木を変質させて木炭にし、それを使った。
鮎にはとても脂が乗っていて、焼ける匂いがとても食欲をそそる。
鮎がいい感じに焼けてきたので、台所に戻って味噌汁や大根おろしを作った。そしてご飯が炊けたので二人分の食器を出してきてそれにご飯、焼いた鮎、大根おろし、捧げ物であろう漬物、味噌汁をそれぞれ分け、居間に運んで諏訪子を起こしに行く。今は6時半頃だろうか。
寝室にそのまま入ろうとしたが、人化していたのを思い出し、あっぶねぇと思いつつ猫に戻って入っていく。
成り行きで一緒に寝たが、ここに入るのを許されたのは猫の俺であり、人間の俺ではない。目が覚めて目の前に人の俺がいたら絶対驚かせてしまい、また昨日みたいなことになるだろう。
「諏訪子起きろーご飯出来てるぞー」
と、両前脚で諏訪子を揺さぶっているとやっと起きたようだ。
「んぅ......ああ..京助...ふぁ..おはよう..」
と寝ぼけ眼で目を擦っている。昨日見た神様の威厳など皆無であり、頭が爆発していらっしゃる。
「おはよう諏訪子。勝手に竈やら借りてご飯作ったから冷める前に食べよ?」
「おお..ありがとねぇ〜」
となぜかまた寝ようとしているので仕方なくポンッと人化してまた揺さぶる。ここに入るのを許されたのは猫の俺?知ったことか
「ほら、起きて諏訪子」
「んぅ..........。.....ひゃあっ?!!」
なんとも可愛らしい声を出して諏訪子は飛び起き、ジト目で睨んでくる。
「もぉーー!いきなり人になられたらびっくりするじゃんか!」
「ごめんごめん、眠そうだったからさー」
「まぁ眠気は吹っ飛んだけどさー」
諏訪子が相変わらずジト目で睨んでくるので、話題を変え、どうせ覚えてないようなのでもう1度朝食のことを説明する。
「そうだ。勝手に竈やら食材やら借りて朝食作ったからね」
「おお、ありがとね京助!」
やはり聞いてなかったみたいだ。
「冷める前に食べちゃおう?」
「うんわかった!着替えるから先行っててー」
「はいよ。」
と俺は部屋を後にしようとする。
「京助!」
「ん、なに?」
「覗かないでね?」
「じゃ、居間で待ってるから。」
冷ややかな目線を向けながら言い、そして居間に向かった。後ろからごめんごめん!冗談だから!などと聞こえるが俺の知ったことではない。この紳士な俺になんてことを。
居間に行き、お茶を煎れていると着替えた諏訪子がきた。
「おお〜美味しそうだねぇ!」
「はいお茶。よし、食べよーぜー」
ありがと。と諏訪子が受け取ったのを確認し、
「「いただきます!」」と言って食べ始めた。
「京助をこの神社のご飯係に任命します」
鮎を1口食べて諏訪子が言った。面倒事を回されたように思えるがここに住まわせてもらう以上文句は言えないし、 諏訪子は政務やら修行やらで忙しいらしいので、そういう面からもサポートできれば本望である。俺は快く了承し、味噌汁を啜った。
食事後、簡単な契約をして正式に諏訪子の式神となった。
「いやぁ、式神かあー実感ないなぁ」
特に身体面で変わったことは無い。
「あはぁ、まぁ使い魔的な簡単な術式だしねぇ。もっと雁字搦めにするのもあるんだけどそっちはなんか堅苦しくてね。」
「へぇ、あ、そういえば国の人間にはもう妖怪だってこととか説明して大丈夫なの?」
「うん。大丈夫だよ。代表の霊能者とかにはさっき伝えといたから京助のことは今頃伝わってるんじゃないかな。」
「なるほど、わかったよ」
とりあえずこれで妖力を隠したりしなくても良くなるので安心できる。妖力を微弱にまで隠すのは長時間になるとなかなかきついのだ。
そんなことを思っていると諏訪子が真面目な顔で話してくる。
「京助、色々頼みっぱなしで悪いんだけどさ、私の修行に付き合ってくれない?」
諏訪子は大和との戦に向けて修行をしているようだ。俺もこの能力を練習しようと思っていたので別段断る必要もなく、快く了承する。
「ああ、いいよ。俺で相手になるかはわからないけど。」
「京助昨日私の攻撃全部躱してたじゃんか。なら全然大丈夫でしょ」
「まあ実際あれすんごいギリギリだったけどねぇ」
そう、昨日諏訪子の攻撃を躱しきれたのは偶然である。もしあそこで妖力が切れていなかったら、俺は階段の一番下までかっ飛ばされていただろう。
すると諏訪子がジト目で睨んでくる。
「ふん、謙遜しちゃってさー。私結構ショックだったんだよ?まぁいいや、とにかくよろしくね?」
「ほんとに偶然だったんだけどな。まあ、うん了解」
「うん、ありがとね。じゃあ午後になったら行こっか。国の外側の森でやるから」
「ああ、いいよ」
さてなんか能力の使い道考えとかないとな。
_______________________________________________
場所は変わり、ここは国の近くの森。
「よし、じゃあいくよ京助!」ゴォッ
諏訪子は開始を宣言し、神力を纏い身体強化をして殴りかかってくる。
俺も身体強化をし、諏訪子の攻撃を躱し、いなしながら考えていた能力の使い道を実践してみる。
まず考えたのが、肉質の硬質化。能力を使い、全身の肉質を硬化させて諏訪子の攻撃をくらってみる。
「そこっ!」
諏訪子がそう叫んで神速で俺の眼前に移動し、腕に回し蹴りを放つ。神力で身体強化して放たれた蹴りが俺の腕の骨を砕こうとするが、ゴキン!と いう鈍い音がなり俺にはダメージがない。諏訪子が驚く。
「うわっ硬っ?!」
「ちょっと能力でな。まだまだ試すぜ!」
(よし、硬化は成功だ。充分実戦に使える。次は...)
と、今度は諏訪子の頭上の空気を凝固させて水にしてみる。すると数秒の間、ザーーーっと豪雨のような水が降り注いだ。
うーん違うな..と呟きながら、俺にも若干掛かってきたので急いで退避する。ほんとは全てを1箇所に集めて水の塊にして、それを落としたかった。
「うわ!冷たっ?!雨?!」
諏訪子も急いで退避する。しかし既に遅く、全てがびしょ濡れになってしまっていた。これはこれで技(嫌がらせ)としては成功のようだ。
「もぉ!酷いじゃないか!」
ずぶ濡れになった諏訪子が抗議してくるので、一旦戦いを止め、諏訪子の服や髪についた水を蒸気にして乾燥させる。
「おお、ありがと」
何気なくやったけどこーゆー使い方もあるのか。すんごい家事に使えるなこの能力..
そんなことを考えていると、突然目の前の地面がビシッと音を立てて割れ、さっきの雨とは比較にならないくらい冷たい水が勢いよく噴出し、俺をびしょ濡れにする。
「?!!...ブハッな、なんだこれ?!」
「地下水さ!さっきのお返しだ!」
笑いながらそう叫びつつ諏訪子は蹴りを入れてくる。硬化も身体強化もしてなかったのでかなり痛い。
「ちぃ!」
服を乾かし、身体強化をして攻撃を躱していく。
(よし、今度は...)
と、人化を少し弱める。すると隠れていた猫の耳と尻尾が現れる。その尻尾に能力を使って伸縮自在にし、長く伸ばして硬化させ、ムチのように使って諏訪子の放つ土の弾丸や、神力の弾をビシバシと弾き飛ばす。
(よしこれも使えるな..)
などと考えていると俺の足元がいきなり動き出し、諏訪子の方に移動し始めた。
「うおっ?!」
俺は体制を保つので必死で、そこから回避できなかった。諏訪子の前まで運ばれると、足元の地面がいきなり隆起し、俺を空に突き上げる。飛べない俺は、重力に身を任せて真っ逆さまに落ちていく。飛べない猫はただの猫だ...
落下しながら嫌な予感がして諏訪子を見ると、諏訪子の横には既に神力が滾りに滾ったとても太く、大きい土の柱が立っており、
「いっけぇ!」
という諏訪子の叫び声と共に、土の柱が大きくしなって一気に俺を打つ。その瞬間かろうじて硬化をかけたが勢いは防げず、俺はまた大空へと打ち飛ばされた____
「...う、あぁ〜いててて...あれ、どこだここ...」
目を覚ますとどこかの森の中だった。どうやら気絶してしまったらしい。日の光的に気絶してからあまり時間は立ってないように思える。
「さて、帰らなきゃ」
よっこいしょ..と、なんとも年寄り臭いことを言いながら立ち上がり、振り返ると後ろの方の藪から3mはあろうかというヒグマが突進してきて、腕を振り上げてその先についた鉤爪で今にも俺を切り裂こうという所だった。
「うおおおおおおお?!」
とても驚き、咄嗟に硬化をかけた。ガキキキキと音を立てて俺の腹部を爪が擦る。あと数秒遅れていたら、大惨事になっていただろう。
「こっの!」
俺は近くにあった太めの木の枝を手に取って限界まで硬化させ、それで熊の頭を殴った。バキッという嫌な音が響く。頭蓋骨が割れたようで、数秒悶えてから熊は息絶えた。
「ふぅ、危なかった...しかし思わぬ食材が手に入ったな...」
この時代に銃はまだないので、あまり熊肉は出回らない。たしか供物の中にもなかったはずだ。
俺は手に持っている枝を捨ててもっと長めの枝を拾って硬化させ、近くの木に巻きついていた蔓を使って熊の両手足を枝に縛り付ける。身体強化して枝を担ぎ、諏訪の国の方に歩き出す。
今日は熊鍋だな..と思っていると、空から声が聞こえてくる。
「おーい京助ーー!...あ!いた!」
と俺をかっ飛ばした張本人の諏訪子が降りてきた。風で服が舞い上がるので、誤解を生む前に目をそらす。白い布地なんて見えていない。
「あははは...ごめんね京助、つい全力で打っちゃった...」
謝りつつも、諏訪子はどこか嬉しそうだ。初日に諏訪子ホームランを躱されたのがよっぽど悔しかったのだろう。
「ああ、まったく酷い目にあったよ。俺硬化してたのに暫く気絶してたし...ただ一連の技としてはすごくいいと思う。まったく対応できなかった。」
と感想をいうとさらに嬉しそうな表情になる
「えへへへ、そう? 実は昨日寝る時に少し考えてたんだー♪」
と、ひとしきり嬉しそうに語る。すると俺の担いでるものに気づいたのか、諏訪子が聞いてくる。
「あれ、京助後ろのそれは?」
「ああ、誰かさんにかっ飛ばされて気絶してて、気づいたらこいつが目の前にいて襲おうとしてきたから倒したんだよ。今日は熊鍋だ。」
「う、ごめん....。てか私熊食べたことないかも」
「まぁいいけど...。熊は結構美味しいよ?それにたしかコラーゲン入ってるから美肌効果があるらしいぜ」
俺は幻庵と遊んでた(修行してた)頃、何回か熊に襲われたので、その度に狩っては食べていたのだ。
「美肌効果?!熊食べると肌綺麗になるの?」
「ああ、そうみたい」
「やった!楽しみだね!」
「ああ、早く帰って食べよう」
と言って歩き出す。気づくと辺りは夕焼けの橙色で暖かくも儚い光に包まれていた。日の出の光とはまた違い、とても風情がある。
「綺麗だな」
と思わず呟くと、諏訪子もそう思っていたのか、
「綺麗だねぇ」
と返してきて、俺に手を突き出してきた。
「ん」
「え?」
「ん!」
なるほど、手を繋げということか。
「ああ、ちょっと待って」
俺は能力を使って水を作り、それで片手を洗って熊の血を洗い流し、水分を蒸発させてから諏訪子と手を繋いだ。すると諏訪子はニコッとして言った。
「えへへ、ありがと♪」
この夕焼けに包まれていると、たしかにちょっと寂しい気持ちになってしまう。 諏訪子は毎日この道を独りで帰っていたのかと思うと、心が痛んだ。
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社に帰り、早速外で熊を解体する。石の上に熊を寝かせ、包丁を限界まで硬化させる。
「諏訪子、なにか大きい入れ物持ってきて」
「はーい」
諏訪子をパシり、台所へ行かせている間に血抜きを行う。喉に包丁を入れ、溢れ出る血を片っ端から蒸気に変える。臭いが汚すよりは断然いい。一応神社なので、汚したらまずいのだ。
「持ってきたよー」
「ありがと、こっちにちょうだい」
と言うと、諏訪子は俺に木製の箱を渡し、俺の隣に立つ。
「うわぁーしかし大きいねこれー」
「まぁ、ヒグマだからな。諏訪子3人分くらいじゃない?」
喉から腹にかけて包丁を入れつつ諏訪子をいじる。かっ飛ばされた仕返しだ
「ちょっと、いくらなんでも3人分はないでしょ。私そこまで小さくないよ?」
諏訪子がジト目で睨んでくるが気にしない。俺は熊を捌くので忙しいのだ。
臓器をあらかた取り出して箱に入れ、今度は腕と足の肉を切り出す。
「いやぁ、これから3、4日は熊肉尽くしだねこれは。保存とかどうしよう」
こんな量を2人で食べるとなると、どうしても3日以上かかる。当たり前ながら冷凍庫などないので、腐ってしまわないか心配していると、
「この量だとそうだねー。あ、保存なら大丈夫だよ?あの食料庫は食べ物保存する術式が組まこまれてるからね。どんなものでも1~2週間はもつよ」
どうやら俺の杞憂だったようだ。今日の朝食べた鮎も、昨日取れたかのように新鮮だった。少し不思議に思いはしたが、なるほど、そういうことだったのか。
「それ聞いて安心したよ。便利なもんだね」
と言うと、でしょー?と諏訪子が胸を張る。今日の朝実際に体感したけど身長の割には結構あるな....などと考えているうちに最後の背肉を切り終える。
「ふぅーー、終わったぁ〜」
「あはは、お疲れ様〜」
痛くなった腰を伸ばしていると、諏訪子は熊の亡骸を見て言った。
「ねぇ京助、この熊もう肉とったりしない?」
「ん、ああ。食べれる部分はほとんど取ったよ?」
「じゃあこの死体ミシャグジにやっていい?」
どうやら死体をミシャグジという蛇に食わせたいらしい。熊には食べれない部分の臓物と、硬い肉しか残っていなかったし、ミシャグジが食べている所を俺も見たいので了承する。
するとどこからか1匹の白い大蛇が現れ、熊の亡骸を飲み込むと、すぐにまたどこかへ去っていった。
「今のがミシャグジ?」
「うん。まあもっといっぱいいるんだけどね。こうすれば無駄がなくていいでしょ?」
神様に残り物あげるってどうなのだろうかと少し悩んだが、諏訪子のドヤ顔を見ていたらどうでも良くなり、熊鍋をつくるために台所へ行った。
その後、熊肉のすき焼きを作り、そのコラーゲンたっぷりでプルプルの熊肉が諏訪子に大好評だったのは言うまでもない。
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「ああ〜〜染みるぅ〜」
俺達は今、月を見ながら熱燗を飲んでいる。入浴後、諏訪子に誘われたのだ。
「こっから月見ながら飲む酒は格別でしょ〜?たまーに飲んでるんだよ〜?」
そう諏訪子が笑いかけてくる。純和風な建物の縁側で月を見ながら酒を飲む。なんという様式美だろう。さっき見た夕焼けに負けず劣らず風情がある。
「ああ、すごく綺麗だな」
そう言って月を眺めていると、顔を真っ赤にした諏訪子が俺の膝を枕にしてゴロンと横になった。
「諏訪子?」
「いーじゃんか〜、京助が来るまではこんなことできなかったんだよぅ」
諏訪子の隣を見ると、とっくりが5~6本空になっている。
いつの間に...と驚いていると、諏訪子はスースーと寝息を立て始めた。ため息を一つついて残った酒を飲み干し、諏訪子を抱えて部屋へ運ぶ。
簡単に布団を敷き、諏訪子を寝かせて掛け布団をかけて出ていこうとすると、出しっぱなしになっていた尻尾を掴まれる。
「京助〜、一緒に寝よ〜〜?」
まったく、と言って猫に戻り、布団に入る。すると諏訪子に前から抱きしめられる。
「えへへぇ〜京助おやすみぃ〜」
「ああ、おやすみ諏訪子」
翌朝は酷いものだった。酒を飲んで寝たせいか俺が夜中に人化してしまったらしく、違和感で目を覚ました諏訪子が俺と抱き合って寝ているのに気づいて発狂し、神力弾をかましてきたのだ。
それからというもの、強姦魔などと諏訪子にからかわれ、そのいじりは1週間後に耐えきれなくなった俺が前世の知識と能力をフル活用して作り上げたプリンを献上するまで続いた。
俺がもう二度と酒を飲んだ日は一緒に寝ないと決めた苦い事件であった。
料理シーンが多い気がする。
ではまた次回