キャスター?いいえバトラーです!   作:鏡華

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プロローグ

「──はーあ、おなかすいたなあ」

 

 

 そうひとりごちるのは藤丸立香。

 

人理継続保障機関カルデアにて現在絶賛世界救出活動中の人類最後のマスターである。

 

人理修復の大義をその一身に背負う彼は、とは言え元は魔術師ですらない極々普通の一般男子高校生。

 

レイシフトを行わない間も毎日のように行われるシミュレーターでのトレーニングや契約するサーヴァントたちとの戦略訓練は、育ち盛りの彼のエネルギーを遠慮なく搾り取っていく。

 

まるで部活帰りの学生のように暴れて喚きまくる腹の虫を抱えた彼は、可愛い後輩──デミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトと共に、現在召喚の間へやって来たところだった。

 

 

「やあやあ、お疲れ様だね立香くん」

 

 

と、絶世の美女──というかモナ・リザそのままの姿をしたダ・ヴィンチちゃんことレオナルド・ダ・ヴィンチ。

 

そして、その隣に構えているDr.ロマンことロマニ・アーキマンが苦笑いと共に彼らを出迎えた。

 

 

「あはは、トレーニング後だからね。少しハードなのは承知の上だけれど──レイシフトの事前の戦力の増強は必須だし。これが終わればすぐにお昼だから、もうひと頑張りしてくれ」

 

 

そう言いつつ、ロマニは立香に聖晶石を手渡し、召喚サークルへと彼を誘導する。

 

 

「何回やっても慣れないなあ……」

 

「先輩、頑張ってください!」

 

 

後輩の声援を背中に受けつつ、立香はサークルの上に聖晶石を3つセットする。

 

1つで令呪三画にも匹敵する膨大な魔力量を秘めた欠片たちが砕け、サークル上に強烈な光と魔力が迸る。

 

その光はやがて3本の輪に集約し、回転を続け、中心へと集い──

 

 

──その神秘さをも湛える光景を目にして、しかし立香が胸に抱く思いは一つだけであった。

 

 

 

 

 

──────はらへった。

 

 

 

 

 

「──Oui(かしこまりました)!その注文(オーダー)、確かに承りましたとも!」

 

「……へ?」

 

 

いつの間にか眼前にまで迫っていた彼女(・・)は、立香と目が合ったのに気付くと、にこりと笑んだ。

 

そして咳払い一つと共に居直り、改めて立香の正面に向き合う。

 

 

「あぁ、失礼しました。まずは初めましてマスター!よくぞ私を召喚してくれましたね!!」

 

「え、あぁ……うん……えーと、どこのどちら様?」

 

 

やけにテンションの高いシェフの恰好をした女性に絡まれ、あまり成績が良くなかった世界史の知識を振り絞っても当てはまる英霊に思い至らなかった立香は、目を白黒させつつやっとのことで疑問を口から絞り出した。

 

 

 

「おっと申し遅れました。私はサーヴァント・バトラー……じゃなくてキャスター、アントナン・カレームと申します!以後どうぞお見知りおきを!

 ところでマスター、厨房(私の戦場)はどこです?」

 




カルデアでみんながごはん食べて穏やかに過ごす日常をひたすら見たいという願望で作りました。
食文化とかの考察はガバガバです。Fate知識もガバガバです。
聖杯の知識あるし皆現代の食文化わかるよね!!

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