キャスター?いいえバトラーです!   作:鏡華

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※新茶の真名バレあります※

研修で更新遅れました申し訳ございません……。
社会人って大変。

新茶の霊衣がアサシンカレームの考えていたキャラデザとくりそつで正直やっちまった感。
お蔵入りにしようかしら……。

あと新アヴェの幕間最高だったから皆読んで。


シェフにマスター、バーテンダー

それは、老獪な蜘蛛が取り仕切る、期間限定の酒場。

 

洒脱でシックなそこは、マスターの部屋を改造して出来たものである。

 

ジンにベルモット、混ぜたらマティーニ。

 

今日も蜘蛛は、シェイカーを振りながら客をもてなす──

 

 

 

「──じゃあないんですよ、ムッシュ」

 

 

 

と、詰め寄るは我らがアントナン・カレーム。

 

それを何処吹く風とグラスを拭く、蜘蛛──新宿のアーチャー、ジェームズ・モリアーティ。

 

とあるレイシフト先での装いが気に入ったようで、バーテンダー服に身を包んでいる。

 

 

「ふむ、何か問題でもあるのかネ?レディ」

 

「大ありです!こんな風に好き勝手店を建てられては、食堂(こちら)の立つ瀬が無いじゃありませんか!おまけに、元がマスターのマイルームだなんて……。許されない狼藉ですよ、これは!」

 

「それは失敬!こちとら新参者でねェ。ボイラー室があんな有様だから、許されるものだと、つい」

 

「あ、あれは……信長さんたちは例外と言いますか、何と言いますか……」

 

「それならこのカルデアは例外ばかりじゃあないか!そんなことでは、成り立つ計算も成り立たないものサ。キミだってそうじゃないのかね?サーヴァントでありながら戦場に立たないキャスターくん」

 

「……」

 

 

やや思うところのある部分を突かれ、押し黙るカレーム。

 

それを見て、モリアーティは悪党然とした笑みを浮かべる。

 

 

「まま、ここは宴をする場所だ。そういきり立たずに!一杯いかがカネ?」

 

「お断りします。貴方のような方から頂く酒ほど危険なものもないでしょう」

 

「それは生前の教訓かい?」

 

「ええ。大方の悪知恵は()()()から教わったようなものです。

 ──本当、貴方は癇に障る。《ナポレオン》の名を冠しておきながら、やっていることは()()()の方がよっぽど近いんですもの。まあ、どちらも生前の上下関係思い出すから嫌なんですけれど」

 

「存在から否定してくるよネー」

 

 

客──特にマスターには絶対に見せないカレームの冷ややかな視線に、おどけたように涙目を見せるモリアーティ。

 

 

「でも、そんな話を聞けば聞くほど、私たち相性良いと思うわけだよ。一回組んでみない?ウィーン会議の再来と行こうじゃないか!」

 

 

そう言って差し出された手に、カレームは嘆息する。

 

 

「……そうやって、貴方の口車に乗れば悪の道に引きずり込まれ、乗らずともまた、違う悪道に堕ちるのでしょうね。下手な正義よりも、悪の方がよっぽどわかりやすく、簡単に力を得られるのですから。

 (おもね)ろうが対抗しようが、貴方という蜘蛛を意識の内に入れた時点で、自覚の有無関わらず悪になるしかない──。成程、厄介なスキルですね」

 

 

「……」

 

モリアーティは、何も言わず、ただあくどい笑みを深める。

 

スキル──《蜘蛛糸の果てA+++》。

 

自らの宝具スペックを上昇させるのと同時に、()()()()()()()()()()()

 

 

「そこまでわかっているなら話は早い。──()()()()()()()()()()。この私に対抗するために!私からマスターを取り戻すために!自覚はあるだろう?」

 

「くっ……!ああ、マスター、お許し下さい……!」

 

 

悔し気に唇を噛みしめるカレームを前に、モリアーティは高らかに告げる。

 

 

「さあ、蜘蛛の糸は紡がれた──ここからは!悪の時間サ!」

 

 

 

***

 

 

 

「……い、いいの?本当にいいの!?」

 

「ええ、マスターのために作ったものですから」

 

「日頃我慢しているんだろう?たまにはこれくらいやっちゃってもいいさ」

 

「じゃ、じゃあ、食べちゃうよ?この

 

 

 

 

 

 

────ラーメン!」

 

湯気と芳しい香りを立てる器を前に、マスター・立香は溢れる唾液を飲み込みながら目を輝かせる。

 

 

 

現在、深夜の午前2時。

 

禁忌にして魅惑の、夜食タイムである。

 

 

 

 

育ち盛りの男子である立香。

 

当然、夜中にカロリーが欲しくなることもある。

 

しかし、厨房係の誰かしらが在中している食堂に行くことは憚られ、こっそりと軽食を自室でつまむことが常であった。

 

 

それがどうだ。

 

このマイルーム──バーで、モリアーティとカレームとの3人きり。

 

その2人から勧められている以上、この手を止めるものは誰もいない!

 

 

「いただきます!」

 

 

と、割り箸を持った手を合わせ、空の胃を携えて、目の前のボリュームあるカロリーの塊に挑む。

 

匂いからして豚骨をベースにした、背脂たっぷりの白濁したスープ。

 

それがこれでもかと絡んだ細麺を箸で掴み、すすり上げる。

 

ガツン、とくる濃厚な、それでいて臭みやクセのない豚の旨味と、裏腹に強く主張してくるニンニク。

 

噛めば噛むほど麺とスープ、そして脂の甘味が口内で混ざり合い、1つの強い旨味となって表れてくる。

 

時折出てくる葱のシャキシャキとした食感が良いアクセントだ。

 

並べられた肉厚のチャーシューに噛みつけば、調味料と肉本来の旨味が混ざったものが溢れだす。

 

メンマや味玉も、添え物ながらよく味が滲みており、器全体を引き立てている。

 

 

「うっま……!」

 

 

外聞など気にせず、湯気に目を潤ませ、熱気に頬を紅潮させながら麺とスープを交互にすする立香。

 

それを、カレームとモリアーティの2人が、バーのカウンター越しに見守っていた。

 

 

「……しかし、君、マスターのこと好きすぎない?私のバーに盗られないように、今まで禁止してた夜食で釣ろうとするとかサ。しかも何日もかけて仕込んだラーメンで」

 

「そうするように計算して動かしたのは貴方でしょうに。スキルまで使って私を悪属性にして、やらせることがマスターの夜食づくりとか……。確かに悪い事ですけれど。主に身体とモラルに。躊躇なくできる自分が怖いですよ。悪属性怖い」

 

「腹を空かせた彼を放ってはおけまいヨ。マスターにはいっぱい食べてたくさん育ってほしいと思うのが、従者(サーヴァント)たるものだろう?

 それはさておき、これで君と私は秘密を共有する共犯者となったわけだが。どうだろう。このラーメン、このバーで他の客人にも提供して──」

 

「嫌です。これ以上此処を繁盛させたくないですし」

 

「ソンナー」

 

「第一、マスターに初めてお酒(もどき)を提供したり、グラスを滑らせて『あちらのお客様からです』とかしたりしたの、結構根に持ってるんですからね。私だってやりたかったのに!」

 

「ハッハッハ、そこはまあ、役得ということで。ハッハッハ」

 

「腹立つ~~~!!やっぱり私、貴方のこと嫌いです!」

 

 

そうして夜は更けていく。

 

期間限定の蜘蛛のバー。

 

店じまいまで、あと──。




会話7(カエサル or 新宿のアーチャー所属時)
「ま、マスター!先程お話してた方なんですけど……。ああいう胡散臭い方を信用してはダメですよ!あれは人が丹精込めて作った料理を丸々床にぶちまけた上で全く同じものを作らせたり、365日違う食材で違うメニューを作れとか無茶振りしてくるタイプです。きっとそうです!ええ!……いえ、後者は楽しかったんですけどね?」
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