令和も何卒よろしくお願いします!
ふわふわ、ふわふわり。
カルデアの廊下を浮くように飛びながら移動するまつろわぬ神──通称”お竜さん”。
重力の一切を感じさせないその佇まいは、しかし普段とどこか違う。
いつもより身が軽いような、浮ついているような──浮足立っている、ような。
そしてそれは、彼女の相棒たる彼にも伝わっているようで。
「お竜さん、今日は随分と機嫌がいいね」
「お竜さんはいつだってご機嫌だぞ。……だけど、確かに今日はいい気分だ。何たっていいことがある日だからな。いえーい」
「いいこと、かい?」
いつも通りの平坦な表情と声色ながらも、長年連れ添った彼──坂本龍馬には、それが確信を持った発言であることが容易に察せられた。
「ということでリョーマ、このまま食堂にゴーだぞ。何ならお竜さんが連れて行ってやろうか」
「いやいや、自分で歩けるよ。……にしても、食堂、ねえ……」
常日頃、ことあるごとにカエルや
一抹の不安を胸に抱きつつ、龍馬はお竜さんの先導を受け、歩みを進めるのであった。
***
「──おや、いらっしゃいませ!」
食堂に立ち入った2人を出迎えるは、アントナン・カレーム。
「やあ、どうも」
「お竜さんが来てやったぞ。諸手を挙げて喜べ」
挨拶の後にふよふよとカレームに寄って行くお竜さん。
ぽそぽそとカレームに声を掛ける。
「例のブツは出来ているか?」
「ええ、もちろんですとも!あんなに新鮮な上物をいただいたのですもの。こちらとしても腕が鳴りました!」
「そうだろうそうだろう。何てったってお竜さんだからな」
ふんす、とお竜さんは胸を張る。
得意げな彼女の姿を微笑ましく眺めつつ、カレームの態度からそう悪いものが待ち構えているわけでもないと推察した龍馬は隠れて胸を撫で下ろした。
「ではでは、龍馬さんにも召し上がっていただきましょう!お二方ともお座りになってくださいな」
「ありがとう。それじゃあお言葉に甘えまして」
「ほら、リョーマ、座れ座れ。そしてたらふく食べろ。お竜さんはこのままでいいぞ。落ち着かないからな」
「そう言わないで、さ。隣においでよ」
「むむ。リョーマが言うならそうしよう」
そんなやり取りの後に、ちょこん、と龍馬の隣の席に座るお竜さん。
普段とは違う、地面に繋がっている感覚が落ち着かないのか、パタパタもぞもぞと足を動かしている。
そんな二人の前に出されたのは、皿に均整がとれた状態で並べられた、小さな骨付きの肉。
ガーリックとバターが芳しく、散らされたバジルの緑が美しい。
「良い素材だったので、シンプルにソテーにしてみました。手で掴んでお食べくださいな。おかわりもありますよ」
「へえ、ハイカラだねえ。美味しそうだ」
元々南蛮渡来のものは大好きな男、坂本龍馬。
いかにもな洋食に好奇心が刺激されたのか、目を輝かせている。
そして、彼の「美味しそう」という言葉が嬉しかったのか、表情こそ変わらないものの、目が喜びに満ちているお竜さん。
龍馬は手袋を外して皿の上の骨をつまみ上げる。
「それじゃあ、いただきま──」
す、と言う前に。
彼の手元から肉が消えた。
「……あれ?」
一瞬の呆けの後、隣──お竜さんが座っている席とは反対──に視線を移す。
「──なんじゃあ、旨そうなモン食いよるのォ、龍馬」
ニヤニヤと、赤ら顔を歪めて嗤うは岡田以蔵。
幕末の世で《人斬り以蔵》として恐れられたアサシンである。
もっとも、酒に博打と、根っからの俗物な彼。
徳利片手に呼気からアルコールの匂いを漏らすその姿は、気高い英霊からは程遠い。
「あー!以蔵さん、また勝手にお酒飲みましたね!ルールを守ってくださいっていつも言っているでしょう!」
ぷんすこと怒るカレームを、以蔵はひらひらと手を振ることで躱す。
「ここは旨い酒もつまみもこじゃんとあるきに、我慢ができんにゃあ。多少は許してくれや、食堂の姉ちゃん」
「全く、気配遮断スキルの無駄遣いですよ……」
困ったように息を吐く彼女を尻目に、あー、と大きな口を開けて肉を頬張った。
カリカリに焼かれた表面を食いちぎると、ささやかながらも旨味の強い肉汁が口内を満たす。
バターの濃厚な香りと、ガーリックの食欲をそそる香り、肉の野趣溢るる香ばしさが鼻を突き抜ける。
小ぶりな肉のプリプリとした食感を楽しんでいると、中に凝縮された濃い旨味が舌を蹂躙する。
やや味が濃いながらも、それが酒のつまみとしては嬉しく。
「うンまいのォ!まっこと旨い!こりゃあ酒が進むぜよ!」
「へえ、そんなに美味しいのかい。それじゃあ僕も」
上機嫌に酒を煽る以蔵を見て、我も続かんと肉を口に運ぶ龍馬。
早々と一本目を食べた以蔵は、それと同時に二本目を手に取り、かぶりつく。
「あ、美味しい。鶏肉かな?」
「おう、そうじゃろうそうじゃろう!酒にこじゃんと合うきに、龍馬も飲め飲め!」
旨い酒と旨い肉。
すっかり上機嫌になった以蔵は、普段の剣呑さはどこへやら、龍馬に御猪口を渡し、酒を注ぐ。
しかしそれを見て面白くないのがお竜さん。
むすっと頬を膨らませ、以蔵を睨み付ける。
「おいクソ雑魚ナメクジ、それはお竜さんがリョーマのためにとってきてやった特上カエルだぞ。あまりバクバク食うんじゃない。お前を食ってやろうか」
「なんじゃスベタァ、トロい龍馬が悪いぜよ。ほれ、おまんも食わんと、すぐにのうなるきの」
「……待ったお竜さん、今、何て言った?」
ふと、龍馬の咀嚼が止まる。(以蔵はバクバクと食い続けている)
聞き捨てならないことを聞いた気がしたからだ。
「? 何って、リョーマのためにとってきたカエルがイゾーに食われて腹立たしいんだ。こいつ食っていいか?」
「うん、食べちゃ駄目だからね。……それよりも、これ、カエル……?」
恐る恐る尋ねる龍馬の様子を、以蔵は一笑に付す。
「ハッ、龍馬は阿呆じゃのう。こがな旨いもんがカエルなわけがないぜよ!鶏じゃ鶏!」
「いえ、カエルですよ?」
「「……んん?」」
不意に聞こえてきたカレームの声に、二人の困惑の声色がユニゾンする。
「ええ、グルヌイユ……
「「…………」」
数瞬の沈黙。
「そ、それじゃあ……今わしらが食うちょったのは……」
「嘘じゃろ……?うっ、ぷ」
声が震える。
顔面蒼白になる二人。
龍馬は動揺しすぎて普段隠している土佐弁が出ているし、以蔵に至っては思わず口元を押さえてしまっている。
それを見たカレームとお竜さんは、不満気に口を尖らせた。
「おい、お竜さんがリョーマのために丹精込めて狩ってきたカエルだぞ。もっとありがたそうに食え」
「文化を理解していなかった私も悪いですが、今まで美味しいと食べていたものを偏見だけで拒絶するのはよくないですよ!食材の種類に貴賤はありません!」
「え、えぇ……」
女性陣からの「食え」オーラに押され、思わず目を見合わせる二人。
その後、彼らが再び皿に手を伸ばしたかどうかは──。
残念ながら、その場にいた彼女らのみぞ知る。
[Battle]
戦闘開始1
「自らの目で食材を吟味するのも一流の仕事……さあ、狩りといきましょうかマスター!」
戦闘開始2
「え、戦闘ですか?本当に?嘘ですよねマスター?」
カード選択1
「はい!」
カード選択2
「承りました」
カード選択3
「ご注文はこちらで?」
攻撃1
「それっ!」
攻撃2
「えいっ!」
攻撃3
「これで……どうです!」
EXアタック
「焼き加減はウェルダンで?」
スキル発動1
「さて、まずは下ごしらえ……っと」
スキル発動2
「もちろん隠し味も忘れずに……ですね」
宝具(選択)
「それでは、仕上げのデザートといきましょうか!」
宝具(真名解放)
「最高の美と甘味を此処に。天上の極楽を再現致しましょう!「
ダメージ(小)
「きゃっ!?」
ダメージ(大)
「いったぁー!?」
戦闘不能1
「流石に……厨房とは勝手が違いますか……」
戦闘不能2
「だから言ったじゃないですか~!私に戦闘は無理ですって~~!!」
戦闘終了1
「ふう……案外、何とかなるものですね」
戦闘終了2
「お疲れさまでした!運動後のコーヒーはいかがです?」