この素晴らしい世界で放浪を!!   作:ACS

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アニメ知識しか無いのでかなり現行スタートになります、二期枠に入ったら週一更新になれば良いかと。

後放浪者、超丸い。


一話

第一話 駄女神

 

 

さて、状況を整理しようじゃねぇか。

 

俺は確かに最初の火の炉であの男に負けた、目潰し食らって心臓を抉られて肉体が王のソウルに耐えられなくなって燃え尽きた。

 

その事に対して何の後悔もねぇし、逆に清々しい負け方だったからあーだこーだ言う言い訳もするつもりもねぇ、アレで俺は存在ごと消えた筈だった。

 

––––––なのに俺は気が付いたらよく分からん女神の前に座っていた、周りにゃ見渡す限りの暗闇しか無く、カアスの居た深淵に近いか。

 

ソウルにしてある武器はきっちりと残ってる、墓王の大剣はねぇが何故かそれ以外の武器も含めてだ、不審には思ったが戦える状態ではあるっつーことだ。

 

昔の俺ならこの時点で踏ん反り返っている目の前のクソ女神の首を刎ねていただろう、肌に感じる神性的にゃロードランの連中以下だが神は神、殺さない理由は無かったはず。

 

だが、少なくとも満足した終わりを迎えた俺は大分丸くなったらしい、どうにも斬りかかる気にはならなかった。

 

「あれー? 此奴日本人じゃないわよね? 他所から迷い込んで来たのかしら? もー、何処の管轄の奴よ」

 

 

鬱陶しいわねー、とブツブツ呟く小娘に早速前言撤回したくなったが、現状の把握に努めようとした俺は怒りを堪えて話を聞く。

 

めんど臭そうに答えた小娘の話によるとこの場所は所謂あの世の世界らしく、転生やら何やらをする場所だと。

 

そして、此処とは違う世界に魔王とやらが存在し、其処の世界の人が減る一方な為、態々別の世界から人間を集めて魔王討伐を行なっている、そしてこの小娘はその斡旋者だ。

 

…………大前提として俺は転生とやらが何なのかは分からず話の半分も理解出来なかった。 元々ダークリングの影響でロードラン以前の事の大半を忘却しているんだ、断片的な昔の記憶はあっても殆どが消え去ったんだ、分かる訳ねぇ。

 

俺の様子を見て女神は転生そのものを理解していないと察したのか、ムカつくため息と共に『要は新しい世界で新しい人生を送れるって事よ』と言い俺の足元に何かの書類を置いた。

 

 

チラッと目を通すと転生特典とか言う物らしく、特別な才能や神の武具などをなんでも一つ持って行けると言う話だ。

 

なんで他人から貰った力で戦わなきゃならねぇんだよ、バカじゃねぇのか? んな三下みてぇな真似、なんでこの俺がしなきゃいけねぇんだよ。

 

転生そのものを断ろうにも確定事項だと言わんばかりの態度、つかボリボリと何かの薄揚げを食ってやがるし、一々見下した目が腹立つしで段々腹が立って来た。

 

そもそもこの女神、説明の時の態度も悪かった、神っつー時点で人間見下してる節がある典型的な神族だ。

 

 

「ねーまーだー? 後がつっかえてるんですけどー? どーせなに選んでも一緒なんだからサクッと選んでよ、人間なんて弱っちいんだから」

 

「あ゛? じゃあテメェを連れてきゃ安心だな? 何せカミサマだ、それはそれはお強いんだろうよ」

 

 

元々、俺は短気な性格だ、売り言葉に買い言葉でついそう言ってしまった。

 

「そ、じゃあ足元の魔法陣から出ない様に––––って今何て?」

 

 

ポカンとした顔で惚ける女神、その隙を突いてシミターを取り出し首を刎ねようと足を踏み出した瞬間、俺の足元の魔方陣から光の壁が立ち上がり行く手を塞ぎやがった。

 

思わず舌打ちを零したが、上から羽の生えた女が降りて来て『承りました』と言った為、俺は一気に我に返った。

 

 

見れば俺の足元の魔方陣と同じ物に取り込まれたクソ女神がぴーぴー泣き言を言っている、思わず目元を覆い天を見上げてしまった。

 

考えれば『異世界に持って行く物』の話の真っ最中だった、迂闊な事を答えたこの口を引き裂きたいぞ畜生。

 

 

涙と鼻水でぐっちゃぐちゃになったアホ女神が相棒になって別世界で新しい人生?

 

嗚呼、俺の女運の悪さは死んでも治らねぇらしい。

 

 

 

次に俺が目を覚ますと活気のある街の中だった、ロードランとは全く違う明るく華やかな街の空気は何処と無く落ち着かねぇ、スラム出身で娼婦の捨て子だったからかねぇ。

 

昔の事を思い出しながら嘆息した俺は先ず街中の探索に向かう事にし、項垂れている小娘を置き去りにしようとしたんだが……思いっきり襟首を掴まれて揺さぶられた。

 

 

「ねぇどうしよう!? どうすんの!? 私帰れないんですけど!? どうしたら良いの!?」

 

 

そう言って小娘は往来の真ん中で号泣し始めた、俺は腹ただしさよりも哀れさが生まれ、頭を抱えてしまう。

 

昔なら絶対にこの女斬り殺してるが、アホさ加減にその気が薄れ、ある種の罪悪感が生まれてしまう。

 

女運、マジで治んねぇかな……。

 

 

「わーったよ、テメェが帰れる様に魔王とやらを何とかしてやるよ」

 

「本当!? ほんとに!?」

 

「ああ、だから先ずギルドかそれに近い場所を探す、情報が欲しい」

 

「おおー、旅慣れてる、なんか妙に頼もしい!!」

 

(こっちは微塵も頼もしさが感じられねぇんだがな)

 

女神を宥めた俺は道行く人々の動きを観察しつつ、ギルドと主要な商店の位置を把握した後、改めてギルドの中へと入る。

 

中には如何にもな装備をしたゴロツキ崩れが屯していて、犯罪集団か何かにしか見えん、つかクソ女神がさっきから俺の背後で服の裾掴んでビビりまくってる、神だろテメェ。

 

 

取り敢えずギルドの受け付けへ行き、登録を済まそうとしたんだが、此処であっさりと躓いた。

 

「登録料?」

 

「はい、流石に登録無料ですと実力の見合わない方や遊び半分の方が加盟されてしまうので……」

 

背後のクソ女神に金の持ち合わせを聞くも答えはノー、何の準備も無くほっぽり出されたからそりゃそうか。

 

仕方ねぇから古竜の大剣を取り出し、カウンターの横へ立て掛け、『此奴を手数料代わりに出来ねぇか?』と聞こうとした矢先、クソ女神が震え声とドン引きした目で質問を投げて来た。

 

「あ、あの、これ、トンデモな力が篭ってるんですけど? 何なのこれ?」

 

「お前の所に行く前に古竜の尻尾から手に入れたもんだよ、限界まで鍛えてあるし手数料には足りるだろ? な、受け付けさんよ」

 

そう言って交渉すると、受け付け嬢は『しょ、少々お待ち下さい』と言って店の奥に引っ込み、十数分位相談した後に古竜の大剣を手数料として受け取った。

 

 

「本当に良いんですか? 数千万エリスは下りませんよ? 後でギルドに請求されても困りますよ?」

 

「それは趣味じゃねぇから良いんだよ、それより早く登録してくれ」

 

 

俺は取り回しの効く得物が好みだからな、特大剣の中じゃ軽いツヴァイは採用の範囲内だが、ありゃ重過ぎる、重量武器ならスモハンがあるし特に使う予定は無ぇ。

 

んな事を思っているとアホが周りの空気に慣れたのか俺を押しのけて先に登録を済ませやがった。

 

結果は知力以外が平均を大きく上回るスペック、腐っても神だからな、そりゃそうだろうよ。

 

知力の必要な職種以外なら何にでもなれると太鼓判を押されたアホは調子に乗って舞い上がっている、周りの群衆も拍手して持て囃してるししばらく天狗だなありゃ。

 

「では貴方もどうぞ、この水晶に手をかざして下さい」

 

「へいへい」

 

気のない返事と共に差し出された水晶へ手をかざす、サラサラとした粒子状の物が俺のギルドカードに記入を行なっている、んだが、ちょっと様子がおかしい。

 

名前の欄が空欄なのは良い、元々生まれからして名前があったかも怪しいんだ、無くて当然なんだが、所謂ステータス欄の数字が並ぶ筈の場所に意味不明の文字列が並んでやがる、なんだこれ?

 

「……文字化け、してますね」

 

覗き込んでいた受け付け嬢の引きつった笑いは忘れん、後一番コメントに困ってんのは俺だから群衆どもなにか喋れよ。

 

取り敢えず名前の空欄だけは埋めるためにリチャード・ロウ(名無しの死体)と名乗っておいた、意味はそのまんまだ、どの道一片死んでるしうってつけだ。

 

んな事を考えながら、アホの襟首を引っ掴んで俺は仕事の張り出しを覗きに行った。

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