fgoで新宿のアーチャー引いたので強化に勤しんでました、スキル素材多過ぎィ!!(白目
第十三話 癒し
俺は今知り合いの道具屋でテーブルに座って紅茶を啜っていた。
此処の店主は働けば働く程貧乏になっていく不思議な奴だが、その分店の中が静かで落ち着くし、店主自体も気立てが良い、女らしい女といやいいのかねぇ。
「リチャードさん、おかわりどうですか?」
「ん? あぁ、空になってるな頼むわウィズ」
何だろうか、前世から付きまとっている女運の悪さのせいで俺の中での店主の株がうなぎ登りなんだが……。
此奴と知り合ったのは丁度例の幹部が攻めて来る前だったか、魔女っ子の爆裂散歩に付き合う時にありったけポーション買って行ったのがきっかけのはず。
『お陰様でギリギリ赤字にならずに済みました』とか言って次の来店時に涙目になって御礼を言われたのを覚えてる、第一印象からポンコツだったが此奴は大人しいし何より中身が大人だ、非常に付き合いやすい。
「お前だけだわ、ストレス無く付き合える相手は」
「そうですか? リチャードさんは街の人にも頼りにされてますし私なんかよりずっと接しやすい人も居ると思いますけど……」
「頼りにされ過ぎなんだよ、昨日なんぞクエスト帰りに喧嘩の仲裁やら定食屋の手伝いやらガキの遊び相手やらで一日中だぞ……ったく俺は便利屋じゃねぇっての」
この世界に来て二月もした頃にゃ今の状態だった、クエスト帰りは暇だからとぷらぷら出歩いては暇潰しに手伝いやらなんやらをやってたらいつの間にかこうなっていた、ガキにゃ先生だのアニキだの勝手に呼ばれるわ、商店街通りゃ野菜やら魚やら肉やらを貰っちまうわで疲れる。
「今日この店に来る前にもな、『幼馴染に告白するので台詞を一緒に考えて下さい』とか言われたもんだから、自分で考えろつって蹴り飛ばして来たし、散々ガキに剣術教えてくれだの弓術教えてくれだの槍術教えてくれだの駄々こねられた、ガキにゃ早ぇし親が生きてんだから大事にしろっての」
「はい、リチャードさんお茶が入りましたよ」
そう言ってウィズは俺のカップに紅茶を注ぎ、俺の前の椅子に座って俺の顔を見ながら優しく笑う。
この女は何時もこうだ、さして面白くも無い話を聞いてニコニコ笑って、話のネタを使い切って黙り込んだ俺が外を見ても横顔を見てるだけ、付き合いやすくはあるが師匠とはまた別のベクトルで調子が狂う。
そんな事を思いながら晩飯の献立を考えてたら急な夕立が降り始めた、話すネタも無くなったし帰ろうとしたところにかなり激しい雨なんで暫く様子見だ。
「こりゃ当分止みそうにねぇな」
「朝から少し空気が湿ってましたからね、良ければ傘をお貸ししますよ?」
「止まねぇ様なら頼むわ、代わりにっちゃなんだが有り合わせで飯でも作ってやるからよ」
「…………その、お気持ちは嬉しいんですが、今お塩とお砂糖しか食材が無くてですね?」
「……それは食材じゃなくて調味料だ」
▽
台所を拝見したが食材と呼べる物が無かったので買い出しに行く事になった、俺一人で行くつもりだったんだが申し訳無いからとウィズも付いて来た。
傘は一つしかねぇから二人で一つの傘を使ってるんだが、もしかしなくても勘違いされねぇかこれ?
バレねぇ程度に傘をウィズ側に寄せながら歩いていると、その予想が的中しちまった。
「あー!! リチャードのアニキが女連れで歩いてるー!!」
「デートだデートだ!!」
「八百屋ンとこの兄弟か……」
確か今年で7つと6つだった筈、槍と弓を教えてくれとせがんで来る奴らだ。長靴履いて傘でチャンバラやってやがる、ずぶ濡れになって何やってんだか……。
「アニキ!! 言いふらされたく無かったら槍教えろー!!」
「アニキ!! ビラばら撒かれたくなかったら弓教えろー!!」
「好きにしな、ぜってーテメェらにゃ教えねぇ」
「「けちんぼ!!」」
「あの、簡単な手ほどきくらいは教えてあげても良いんじゃないでしょうか?」
「はぁ……別に教えるのが怠いって理由で断ってるんじゃねぇんだよ」
教えようと思えば勿論教えられる、一年ありゃ幼竜ぐらいならヤれる実力に鍛える自信もある、だが此奴らは俺と違って是が非でも戦う力が無けりゃ生きていけないって訳じゃ無い。
衣服もきちっとしてるし血色も良い、何よりまともな両親が両方生きてる、魔王だなんだと世間は言ってるが実際に戦うのはそれ専門の人間だ。
態々人並みの幸福と人生を捨てる様な選択をガキの間から選ばせる気は無ぇ、後数年しても考えが変わらねぇってならそれも良いんだがな。
「ほれ、無駄話は終わりだ、風邪引かねぇ内に家に帰んな」
そう言ってガキどもを掴み上げ、商店街にある八百屋に引き渡したら店番サボって遊んでたらしく、店先で母親に叱られる二人に呆れちまった。
「いやーリチャードさん、何時も何時もウチの倅達が迷惑掛けて……、コレ今朝取れた野菜です」
「別に良いっての、毎度毎度でもう慣れた」
「しっかしリチャードさんも隅に置けませんねぇ、何時の前にウィズさんと良い仲になったんです?」
「オヤジ、一つ断っとくがんな関係じゃねぇぞ」
「またまた〜!! お似合いですぜ?」
「……サキュパスの店に出入りしてっこと、チクるぞ?」
「すんませんでした!! コレ今旬の奴っす!! お代も結構っす!!」
「ユスリじゃねぇんだから払うっての」
こんな調子で俺とウィズは揶揄われながら食材を購入した後、店へと戻った。
道中で食材を見たウィズが『久しぶりに固形物が……』とか言って、哀れに思ったのは秘密だ。
▽
ウィズの店で飯を作った後、ギルドへ顔を出した俺に名指しで仕事の依頼が届いて居た。
街の共同墓地に夜な夜なゴーストやアンデットが現れるので調査してほしいとの事、アクアのアークプリーストとしての実力を買われたのだろう。
だが、なぁ……。
「リチャードさーん!! ご飯作ってー!! 後デザートもお願い!! パフェとワッフルねー!!」
「えへへ〜もう飲めましぇん、爆裂散歩の後にのむしゅわしゅわ……最高」
「ああ、泥酔した私を沢山の冒険者が慰みモノに……そして廃墟で目を覚ました私は毎日毎日男達の相手をさせられて––––」
今日中にって言われてんだが、アホ女神以外は使い物にならんな、つか早い所拠点を買わにゃ此奴らの将来が心配だわ。
仕方ないので一升瓶に頬ずりしているアホ女神を引っ掴んで依頼された墓地の調査へと向かう、雨の中を無理矢理連れてきたもんだからブツブツ文句を言われたが、墓地に着くなりアホ女神が鼻をヒクつかせた。
「臭う……臭うわ!!」
「酒の匂いがか?」
「違うから、人をアルコール中毒者見たいに言わないでよ!! アンデット臭よアンデット臭!! 雨に流されてるから分かりづらいけど結構な大物が居る予感が……」
「いや、だから俺に仕事が回ってきたんだろ?」
「揚げ足取らないでよ!!」
「はぁ、さっさと済ませるぞ……って、ん?」
雨と闇夜の所為で判断が付きづらいが、墓の真ん中に居る人影は……。