ある少女の斬魔大聖   作:アイオン

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九淨さんは触手に絡まれた方が良いのか、それともやっぱり瑠璃さんを助けるべく偃月刀支えに立ち上がる方が良いのか……次話について考えながら書いてたのですが。

…………………………………………………………………………………………ナンダコレ?(困惑)


番外話:3

 漸くエルザを撒いたと思ったら、既に日は落ち夜の時分。

 流石にこんな時間に行くのは失礼にあたるだろうと、私は渋々帰路についた。

 

 「折角謝ろうと思ったのに……何でこうなるかなぁ」

 

 ソファーに寝転び、呟く。

 お嬢様のところへ謝罪に向かうのは、結局明日になる。

 こういうのはなるべく、早くあるべきなんだけど……。

 

 「まったく……謝罪する必要などあるまい。我等はやるべき事、当然の事をしておるだけであろうが」

 

 「だってお嬢様は、一応依頼主(クライアント)なワケじゃない? 円滑な関係継続の為にも、誠意を見せるのは大事なコトだと思うのよね」

 

 「分かった分かった……」

 

 アルは、どうやら気が乗らないようだ。

 

 「……何でそんなに不機嫌なのよ?」

 

 アルの返答―――と言うか言葉の節々には、どこか苛立ちが感じられる。

 

 「……別に。些細な事で一々気に病んでいる汝の弱さが、妾を苛立たせているだけだ」

 

 (うーん。やっぱり、この軟弱者めっ! ってパターンなのかしら)

 

 そんな風に考えていたところで、ふと、ライカさんの言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

 「アルちゃん、九淨ちゃんに構ってもらえなくて寂しいのよ」

 

 

 

 

 

 (……まさか、ね)

 

 有り得ない、と頭を振るが……もしかしたらもしかするかもしれない。

 

 お嬢様と若干険悪な感じになってしまっているのに、この上アルとまで関係が悪くなるのはよろしくないだろう。

 幸いこちらは雇用関係ではなく、言わば友人関係だ。

 多少の茶目っ気は許される―――と良いなぁ。

 

 (……よしっ、当たって砕けろ(go for broke)、私!)

 

 玉砕覚悟で私はソファーから立ち上がり、棚に置いてあるボックスから、ある物を手に取った。

 それを後ろ手に隠しながら、ダンセイニ(ウォーターベッド)に寝転んでいるアルへと近づく。

 

 「……む? なんだ、九淨?」

 

 「……ちょっとソファーの方に座ってもらえる?」

 

 若干の不機嫌オーラを滲み出しつつ私を見上げるアルに、ソファーへ座るように促す。

 

 「一体どうしたというのだ? ……これで良いのか?」

 

 訝しがりながらも立ち上がり、ソファーへ腰掛けるアル。

 

 「うん。そのまま前を向いててねー」

 

 私はアルの背後―――ソファーの後ろに立ち、後ろ手に隠していた物を取り出した。

 まあ、そんなご大層なモノでは無いのだけど。

 

 「ん? 何をするのだ九……うにゃ!?」

 

 アルが変な声を上げた。

 いったいどうしたのだろうか。

 

 「どうしたの、アル?」

 

 「な、な、な、汝が! いきなり妾の髪を触るからであろうにっ!」

 

 ……どうやらびっくりさせてしまったらしい。

 と言っても、私はアルの髪に―――()を通しただけなのだが。

 

 私が手に持っているのは、鼈甲で作られた櫛だ。

 結構古い品―――母さんが亡くなる前に使っていた物だから当然―――だけど、品の良い意匠と細工、それに異常な程丈夫なので、私の愛用品になっている。

 

 「ごめんごめん、じゃあ、続けるわね」

 

 「にゃにゃ!? お、おい、九淨……ひゃう!?」

 

 左手でアルの髪を優しく撫で、右手で髪に櫛を通していく。

 

 一応アルも女の子だし、寂しいというならこんな時間を持ってみたらどうだろう? と考えてみた。

 アルは綺麗な銀髪なので、やっている私としても中々に楽しい。

 ……別に変なコトをしている訳じゃないんだけど、アルが何やら、にゃうにゃう言ってる。

 

 「にゃ……うにゃ……にゃう!?///」

 

 「え、えっと……もしかして、擽ったい感じ?」

 

 私は髪を梳かす手をそのままに、アルに訊ねた。

 

 「うにゅ!? ……な、何か変な……なにゃ!?///」

 

 「あー……アルって、誰かに髪梳かしてもらったりとか無い感じ?」

 

 「にゃにゃ!? ……そ、そうだ……にゃ!? ……それが、どうか……にゃふ!?///」

 

 そういうコトらしい。

 

 まあ、誰かに髪を触られるっていうのは決して多くないことだ。

 小さい頃なら家族。

 年齢を重ねていけば恋人。

 そういう存在が居れば、機会は少なくないだろうけど……魔導書の精霊であるアルに、そんな相手が居たとは思えない―――恋人は有り得ないだろうし、無理矢理家族を定義するとすれば、著者であるアブドゥル・アルハザードだろうか? まあ、何にせよそういう事はしなかったのだろう。

 

 「にゃぁ……うにゃ……ふにゅ!?///」

 

 ―――なんだろう?

 なんか、ゾクゾクしてきた。

 何と言うか……ヘンなモノに目覚めてしまいそうだ。

 

 (いけないいけない。私はノーマル、ノーマルよ)

 

 そう自制するが……

 

 ―――もっと、アルの声が聞きたい。

 どこからかそんな思いが湧き出し、アルの髪を、更に梳いてゆく。

 痛めないよう、傷つけないよう、優しく/丁寧に。

 

 「にゃうぅ!? ……んぅ……はぁっ……く、九淨……うにゅっ!?///」

 

 ―――仄かに上気したアルの吐息が聞こえる。

 

 私は、熱に浮かされたようだった。

 

 「……ぃ……に……」

 

 アルの吐息が

 

 「い、いい加減に……せんかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!///」

 

 ―――私の意識は、そこで途切れた。

 

 

 

 

 

 「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……///」

 

 乱れた呼吸を整える。

 

 (い、いったい何だったのだ!? さっきまでの感覚は!)

 

 九淨に髪を触られ、梳かれたときのあの感覚。

 いきなりの事であったにも関わらず、決して不快ではなかった。

 いや、むしろ―――

 

 「き、気持ち良……って! 何を言っているのだ妾は!?」

 

 口から飛び出した発言に驚愕しつつ、慌てて九淨を見やる。

 今の発言を、聞かれてはいないだろうか……?

 

 「九淨、九淨?」

 

 軽く揺すってみる。

 ……どうやら気絶しているようだ―――特に外傷は無い。

 

 「ふぅ……って! 本をただせば、九淨の所為ではないかっ!」

 

 何故、此奴に心乱されねばならぬのか。

 

 (ええい! 一時の気の迷いだ、気の迷い!)

 

 ……とりあえず、湯に浸かって落ち着こう。

 そうしよう。

 それが良い。

 

 九淨を一瞥する。

 ―――このまま放置したら、流石に風邪をひいてしまうだろうか?

 

 「……仕方ない」

 

 呟き、魔力を使って持ち上げる。

 そして、いつも九淨が寝ているソファーへと降ろした。

 ついでに毛布をかけてやる。

 

 「これで良いだろう……さて」

 

 今度こそ、バスルームへと向かう。

 

 

 

 

 

 ―――いつの間にか、アルの九淨への苛立ちは収まっていた。

 もっとも、九淨はそれを知る由も無いのだが。




………………………………………………………………………………………ホント二、ナンダコレ?

ちょっと何書いてるかわかんないですが、番外話なのであまり気にしないでください。

九淨さんの撫で撫でスキルと髪梳きスキルは高い方です。
……まあ、それ以上にアルが触られるのに慣れてない+敏感なのですきっと。

―――何かアルって可愛いですよね。
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