ある少女の斬魔大聖   作:アイオン

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ぶる・まジフ「汝等人間は、いつも胸胸胸! 人として恥ずかしくないのかッ!」

紳士・淑女達『紳士・淑女以外の発言は認めない!』

ぶる・まジフ「ぐぬぬ……!」


第37.5話―アーカムシティでの一日・前―

 「……ねぇ、ライカさん?」

 

 「んー? なぁに、九淨ちゃん?」

 

 「確か、買い出しがメインって聞いてた様な気がするんだけど……」

 

 「うん。そう言ったよー」

 

 「じゃあ……何で最初に来るのがココなワケ!?」

 

 そう叫ぶ私、そしてライカさんとアルの現在位置。

 其処は、アーカムシティに存在する下着専門店―――所謂ランジェリーショップだった。

 

 普通買い出しといえば、食料品とか消耗品の類だと思うんだけど……予想は見事に裏切られ、私たちはライカさんによって此処へ連れて来られた。

 これだと買い出しついでではなく、ついでの方がメインになっていないだろうか?

 

 「まあまあ、折角のお買い物だし。細かい事は気にしちゃダメよ」

 

 「ハァ……しょうがないわね」

 

 確かに今更アレコレ言うのも何だろう。

 それにライカさんには日頃お世話になっている以上、今日くらいは大人しく付き合うべきだ。

 そう自分を納得させ、私は大きな溜息を吐いた。

 

 気分を切り替え、私も商品を物色することにした。

 別に買うつもりはないけれど、とりあえず自分に合いそうな物を探してみる。

 

 (レースとかフリルはちょっと可愛過ぎるし……かと云って地味過ぎてもアレよね……)

 

 まあ、見せる相手なんていないんだけども。

 そんな風に考えたところで、ふと、自分の周囲には“男性”という区分(カテゴリ)の人が居ない事に気付いた。

 

 執事さん→“男性”と云うより“執事”。

 ドクター・ウェスト→どう贔屓目に見ても“男性”と云うより“○○○○”。そもそも敵。

 治安警察の方→ただの顔見知り。名前すら知らないので論外。

 

 ……うん。

 気付かなかった事にしよう。そうしよう。

 

 「む? 何やら面妖な顔をしておるが……どうした、九淨?」

 

 ショッキングな事実を心の奥底にそっと封印したところで、可愛らしいスポーツブラを手に持ったアルが声を掛けてきた。

 

 (そうだ。折角だしアルに、私にはどんなのが似合うか聞いてみよう)

 

 「ねぇ、アル?」

 

 「ん? なんだ?」

 

 「アルから見て私って、どういう下着が似合うと思う?」

 

 「む。汝に似合う下着、か///」

 

 そう言って私が訊ねると、アルは何故か若干顔を赤くして悩み始めた。

 

 「ふむ……汝は身長もあるし、妾のように可愛い系とは少し違うからな……やはり落ち着いた、シックな感じの品が良いのではないか?」

 

 「悪かったわね、可愛げがなくて」

 

 「そういう訳ではない。汝は“可愛い”と云うよりも、その……“美しい”や“綺麗”と云うべきだからな///」

 

 「―――へっ?」

 

 (美しい? 綺麗? ……私が?)

 

 思いがけないアルの言葉が、脳内で繰り返される。

 長い時間を掛けてその言葉の意味を認識し―――私は、体温が急上昇するのを感じた。

 

 「え、あっ、その……///」

 

 「な、なんだ?///」

 

 「……あ、ありがと///」

 

 「う、うむ///」

 

 鏡を見ずとも分かる。

 私の顔は真っ赤になっているだろう。

 

 アルに言われた、“美しい”や“綺麗”と云う言葉。

 その言葉を聞いた私はまるで―――そう。

 ()()()()に、愛を囁かれたかのような感覚に陥った。

 

 心臓が荒々しく鼓動し、妙に自分の身形が気になりだす。

 今着ているシャツ、変じゃないだろうか。

 パンツスタイルは見苦しくないだろうか。

 髪型はおかしくはないだろうか。

 シャワーはちゃんと浴びてるけど、変な匂いとかしてないだろうか。

 彼女を不快にさせてはいないだろうか等々……。

 

 気になって、チラリと、アルの顔を見遣る。

 

 「あっ―――///」

 

 「っ―――///」

 

 完全に、目が合ってしまった。

 何故かアルから視線を逸らすことが出来ない―――彼女もそうなのだろうか。

 気がつけばアルの顔も赤くなっており、見詰め合う私達の間には、何とも言えない空気が漂い始めている。

 

 「ぁ……る……///」

 

 「九、淨……///」

 

 搾り出した声は、やけに熱っぽい―――アルの声も、不思議とそう聴こえる。

 見詰め合う、黒と翡翠の瞳。

 少しずつ、徐々に、そして確かに縮まる、二人の距離。

 それは―――

 

 「じ―――――――――」

 

 「「はっ!?///」」

 

 第三者の視線を前に、弾かれる様にして急速に離れた。

 

 「らっ、ララララライカさん!?///」

 

 「みっ、みみみみ見ておったのか!?///」

 

 動揺しながら問い掛ける私たちに、ライカさんはかなりハイテンション―――具体的には、インスマウスで私が男装した時のような荒ぶるテンション―――で答えた。

 

 「ええ、それはもうっ! 九淨ちゃんがもじもじしながら『……あ、ありがと///』って言って、二人が目と目が合う瞬間青春アーカムストーリィしてる辺りからバッッッチリと見ていましたとも!」

 

 何を言ってるか分からないけど、完全に見られていた事は理解した。

 とりあえず一時の気の迷いというか、誤解を多分に含んだ高度に政治的な問題だという事をライカさんには分かってもらわねばなるまい。

 私は何とか言い訳を口にした。

 

 「ライカさんっ! さっきのはアレよアレ! ねっ! アル!」

 

 「ああああああ、ああ! そうそう、そうともさ! アレなのだアレ! 全部アレがアレでアレというかその……うむ! つまりは何も問題ないのだ!」

 

 ―――言い訳ですらなかった。

 

 しかしか私達の勢いが功を奏したのか、ライカさんは呆気に取られた様な表情になった。

 

 (よしっ、今がチャンスね!)

 

 これを好機と見た私はアルに目配せし、ごり押しでさっきの場面を流すことにした。

 

 「さ、さあライカさん! まだ買わなくちゃいけないものは沢山あるし、そろそろ次のお店に行きましょうそうしましょう!」

 

 「うむ、そうだ! 時は金也と云うし、有意義に使うべきだろう! さあさあさあ!」

 

 「え、え? ちょっと二人とも?」

 

 「あー、何だか私、無性に誰かを引っ張って走りたくなってきたわー(棒)」

 

 「奇遇だなー、妾も今、無性にそんな気分だー(棒)」

 

 完全な棒読み台詞を読みつつ、私達は両サイドに回ってライカさんの手を掴む。

 そして

 

 「行くわよ、二人とも!」

 

 「うむ。行くぞ、二人とも!」

 

 「え、え、えぇ?」

 

 お店から駆け出した。

 

 「きゃああああああ~~~~っっっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 因みに私とアルは何も買わなかったけど(アルはスポーツブラを持っていただけで、お店を出るときにはちゃんと戻しました。念のため)、ライカさんは自分の下着を買っていたらしい。

 サイズが大きいと可愛いデザインの物が中々無いと愚痴っていた。




量が少ないのはともかく、内容が薄っぺらいのは申し訳ありません。
以下、没ネタ。

ライカ「アルちゃん×九淨ちゃん……薄い本が厚くナリマスワー!」

 アル「ウス=異本? 聞いたことのない魔導書だな」

 九淨「……世の中、知らない方が良い事もあるのよ」
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