微妙な関係から、ゴールイン手前の喜一としのぶ。その陰からおっさんカップルを冷やかそうとする若い二人もいつの間にやら・・・

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警視庁警察学校レイバー分校 after

(事務室のドアを前に)

 

遊馬:どうする、野明。後藤隊長、南雲隊長にプロポーズしちゃったよ。

野明:うわー、初めてプロポーズの場面に出くわしちゃった。

 

遊馬:そもそも、そんな場面に立ち会う事ないからな。

野明:そっか、それじゃ「めでたし、めでたし」ということで、帰ろうか。

 

遊馬:馬鹿か、野明。踏み込むぞ!

野明:なにそれ、それじゃあ、ただの出歯亀じゃん。人の恋路を邪魔すると何かに蹴とばされるって。

 

遊馬:いいから、黙ってついて来い!

野明:(小声)ほんと、遊馬は強引なんだから。

 

遊馬:それから、当初の作戦を実行に移すからな。

野明:え~、当初の作戦通り「私と遊馬が結婚します。」って嘘報告して、あの二人を焚きつけるって安直な作戦をあの2人が信じると思ってるの?

 

遊馬:それは大丈夫だ。だって「結婚」って単語を聞いた時の南雲隊長の反応を覚えているだろう。

野明:「結婚」どころか「”結構”なお手前で」でも後藤隊長の顔をチラチラ見てるとこ、かわいい…

 

遊馬:だろ。いいか行くぞ。バックアップとフォワードは…

野明:一心同体。

 

遊馬:よし。行くぞ!

野明:ちょっと、待った~

 

遊馬:なんだ、野明! 早くしないとあの2人、帰っちゃうぞ。

野明:嘘でも、遊馬と結婚なんて…

 

遊馬:何! 俺じゃダメなのか!

野明:ダメじゃないけど…

 

遊馬:わかった。…じゃあ、結婚しようか…。

野明:(困り顔)え? 聞こえないよ、遊馬

 

遊馬:(怒鳴り気味)だ・か・ら、嘘じゃなくって、本当に結婚しようかって、言ってるの!

野明:(戸惑い顔)え?

 

後藤:(窓がガラっと開く)うるさいぞ、お前たち。痴話げんかは他所でやれ。

 

南雲:(後藤の後ろで微笑みつつ)で、返事はどうなの、泉教官。

 

野明:(戸惑い顔)どうなのって言われて…そんな…遊馬から…心の準備が…

 

後藤:篠原、どうした、あと一歩だぞ。

 

遊馬:(もじもじ)あと一歩って言われても…

野明:(覚悟を決めて、穏やかな表情)バックアップとフォワードは…

遊馬:(ヤケッパチ)ああっもう、一心同体!

野明:じゃあ、決まりだね。

 

南雲:(いたずらっぽく)これじゃあ、どっちが焚きつけているか分からないわね。

 

遊馬:ってことは、最初っから…

 

後藤:うん、気づいてた。お前らのやり取りが面白くて、ずっと見てた。(後ろで南雲、くすくす笑い)

 

遊馬:(ふるふると身を震わせながら)適齢期男子の心のヒダを弄びやがって、このくそ中年。

 

後藤:仲人な、俺できそうにないから、シゲさんに頼んである。

 

遊馬:呪ってやる~

(遠景、男性チームが何やら話している。)

 

野明:南雲隊長、なぜそんなに手際がいいんですか?

 

南雲:あなた達が八王子の篠原の研究所に出向していた時の様子を聞いた時にはダメかなって思ったけど、こっち(警察学校レイバー分校)に帰ってきた時のあなた達を見ていたら、大丈夫かなぁって思っただけ。

野明:そうですね。ここは、レイバー分校っていっても、私たちにとっては「特車2課」そのままですから。

 

南雲:だから、あの時からずっと私たちは「同僚」でもあり、「家族」だったのよ。(視線を男性チームに向けて)あっちも話がまとまったみたいね。

 

遊馬:おーい、野明。役所に行くぞ。

野明:気が早いよ、遊馬。ちゃんと順番踏まなきゃ。

 

遊馬:冗談だよ。ひとまず寮に帰ろうか。

野明:うん。(満面の笑み)

 

(2人の背中を見送りながら)

しのぶ:若いって良いわね。勢いがあって。

喜一:恋愛に老いも若きもないよ。

 

しのぶ:それって、遠まわしに私が”おばさん”って言いたいの?

喜一:俺だって適齢期男子を弄ぶ中年だしね。

 

しのぶ:じゃあ、私たちも帰りましょうか?

喜一:寮じゃないけど俺んちに来る? 目黒のさんまが入ったんだけど?

 

しのぶ:それで口説いてるつもり?

喜一:さっきプロポーズ受けてくれたでしょ。口説く必要ないじゃん。

 

しのぶ:それもそうね。あ、榊さんからお酒を預かってきたの忘れてた。

喜一:じゃあ、さんまを肴に一献傾けましょうか。

 

しのぶ:人肌が恋しいですから。(後藤の腕にきゅっとしがみつく)

 

(遠くからガヤ)

 

整備班員他「ばかやろー 死んじまえ リア充上等! やってらんねー! 明日、お前らの仕事場ないからなー がやがや」

 

※この顛末は警察学校レイバー分校内で配信されているメールマガジンの号外として広まったそうな。おしまい。


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