最後の詰めをどうしようか悩んでいると、思いがけず、やに臭いその口からぼそりと漏れてしまった、その一言!
ここは、警視庁警察学校内にあるレイバー分校。
レイバー犯罪増加に伴い、埋立地1か所だけの特車2課だけでは対応できないため、一度解散し組織体系を見直し、都内各所に分署を設置して初動対処に当たっている。
しかし、レイバーはあっても要員が足りない!
そこで、1度は解散した第2小隊のメンバーを教官として招集した。
このお話は、そんな『古き良き特車2課』が帰ってきた物語である。
(夜、残業中の事務室。2人きり。)
喜一:しのぶさん。
しのぶ:はい。何ですか、後藤さん。
喜一:結婚しよう・・・かな~と思って。(競馬新聞読みながら)
しのぶ:誰と?
喜一:あなたとだったらいいな~(小声)
しのぶ:ごとうさん。(少し怒った感じ)
喜一:はい(上ずり気味で)
しのぶ:いい年した大人の男が、そんな大事なことを競馬新聞読みながらボソボソ言うのは・・・。いつもそう。大事なことをしゃべる時は面と向かって相手の目を見て…
喜一:あ(また、怒らせちゃったな、どうしよう)
しのぶ:(ため息)本当に私でいいんですか?
喜一:え?(気が抜け気味)
しのぶ:同じことは2度言わせない!
喜一:はい。もちろんです。(ここから小声)っていうか、ず~っと、あなたしか見てませんでしたし。
しのぶ:き・こ・え・な・い
喜一:(がばッと立上がり、机ドン)私、後藤喜一と結婚してください。不幸にはしませんから。
しのぶ:そこは『幸せにしますから』って、言うんじゃないの。(吹き出しそう)
喜一:いや、お母さまから『不幸にしないから』と言った方が良いですよと助言があったもので。(もじもじしながら)
しのぶ:やだ、あの人にそんなこと聞いたの?
喜一:そりぁもう、泣きながら『ふつつかな娘ですが宜しくお願いします』って。
しのぶ:あいかわらず、根回しは天下一品なのね。(ちょっと間。微笑みながら)わかりました。
しのぶ:(立ち上がり、敬礼しつつ)警視庁警察学校レイバー分校長、南雲しのぶは、同副分校長、後藤喜一の求婚を受諾します。
(お互い敬礼。ちょっと間で、お互い吹き出す。)
しのぶ:私、執念深いの知っているでしょ。後悔しない?
喜一:しないしない。後悔も浮気も。
しのぶ:ほんと、調子いいんだから・・・。さぁ、この話はここまで。まだ勤務中ですよ。
喜一:はいはい、お仕事お仕事。
しのぶ:ところで、あなたのことだから私がプロポーズを断らないって思ってプロポーズしたでしょう。
喜一:(ため息交じりに)しのぶさん、気付いています? 最近『結婚』って単語を聞いた時、ため息ついていたの。
しのぶ:(机の引き出しから手鏡出して)あら、やだ、そんな顔してた?
喜一:さて、これから忙しくなりそうだ。(髪をかき上げながら)
(警視庁警察学校レイバー分校の夜はまだ続く)
けど、このお話は、ここでおしまい。