俺の名前は
世間一般で言う受験生だ。学力はそこそこ、運動もまぁまぁと、ごく普通の受験生である。
そんな俺が、今、どういう状況に陥っているか説明しよう。
俺は昨夜、定刻通りにベッドに入り、録画していたアニメを片っ端から見ていた。
12時を過ぎた頃だったか、急に睡魔が襲ってきて、それに負けて眠ってしまった。
そして、目を覚ましたら...
「なんだこれ...」
自分の発した声は、男性の声色よりも高く、まるで“女性”の様な声で。
部屋にあった鏡を覗き込む。するとそこには、巫女服を着て、長い金髪、青い目をした女性、年齢は16才辺りだろうか。
一言で表すと、ラノベに出てくるメインヒロイン的な女性がそこにいた。
ただ一つ言わせてもらうと、鏡に映っている綺麗な顔と、“狐の耳”、“尻尾”が印象に残る。
ちなみに尻尾は1本で、触ってみたが、かなりもふもふだった。
と、鏡の前で尻尾を触っていたら、
「起きた~?」
「!?」
扉を開けて、人が入ってくる。
だが、小さかった。
「あ、起きてる~!おねーちゃん、起きたよ~?」
「あ~、はいはい」
お姉ちゃんということは...妹か。
しばらくして姉がやってくる。
「ん、やっと起きたか。私はネア。よろしく...」
少女の姉は眠そうに自己紹介する。
頭を見ると、耳が無い。まぁ、それが普通なんだが...。
妹の方には耳があった。あの形は...猫か。
「あ、そうだ!私はね、ミアって言うの!よろしくね!」
ミアちゃんと...ネアさん...で良いのか?
そうだ...ここのこと聞かなきゃ...!
「あ、あの...お...私...、どうして...?」
男口調にならないように、気を付けて話しかける。
すると、ネアが数秒遅れて口を開く。
「倒れてたんだよ...、家の裏山で。だから運んできた」
「倒れてた...?私が....?」
ネアが頷く。
そして、私になにかを渡してくる。
「ほらこれ。お前のだろ?」
開かれた手にはお札の様なものがあった。
そこに、墨かなにかで文字が書かれていた。
『稲荷神社ノ巫女』
名前じゃないみたい...なんか残念...。
「それ、名前じゃないだろ...?」
「はい...多分...。というか...何にも覚えてないんです...。自分が誰なのか...ここがどこなのか...」
「記憶喪失ってやつか...?」
「きおくそうしつ?」
「ミア、少し静かに...」
「じゃあ名前も無いわけか...」
「じゃあ、私が名前考える!」
「と言うと思ったから、私が先に考えておいた」
ネアさんがドヤ顔でミアちゃんを見る。
ミアちゃんは、不機嫌そうな顔をしている。
「イヅナ...ってのはどうだ?」
イヅナ...私の名前...!ラノベで出てきそう!
この名前...気に入った!
「私、気に入りました!」
「良かった~...考えた甲斐があった..」
「で、話が有るんだけど、行くあてとか、ある?」
「行くあて...」
ここが日本なら、歩き続ければ帰れると思うけど、まず日本に獣耳と尻尾が生えている人間はいないし...。
コスプレならまだしも...。
「ないよな...?」
あれ、この流れ...もしかして...
「うちで暮らすか...?」
まぁ...行くあても無いし...このまま外に出て飢え死にするのも嫌だし...ここにいる方が安全...かな。
「...はい!」
「よし、決まりだ!」
「お姉ちゃん、イヅナお姉ちゃん...ここで暮らすの?」
「あぁ!賑やかになるぞ!」
異世界でのケモミミライフ...スタートっ!
でも、今いるケモミミって...私の狐と、ミアちゃんの猫だけなんだなぁ...
ケモミミが好きすぎて書いてしまった。
反省はしている。