喫茶店のバイト内容が、人理修復だった件   作:考えるな。感じるんだ!

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第二話「お客様であることを願います」

 時は、店に大挙して押し寄せた骸骨共の掃討が完了したところまで少し遡る。

 我らがホーム、喫茶【アーネンエルベ】の入り口に俺を初めとした従業員一同と、時をかける喫茶店に何故か、定期的に来店される常連客一同が正座していた。

 俺達の視線の先には、黄色のヘルメットを被り、作業服という本気の勝負服に身を包んだセミ様が、神妙な面持ちで窓の縁を人差し指でツツッ、となぞった。

 

―――ゴクリ。

 

 我知らず、確定した死刑判決を言い渡される囚人のような気持ちとなってしまい、唾を飲み込む。

 

「……ダウトじゃ」

 

 セミ様の指には、微かに茶色に見える程度の砂塵が付着していた。

 おそらく、先日のエネミー襲撃で舞い上がった砂塵が積もったのだろう。

 この判決を受け、我々の心は一つとなった。

 

「飲食店たるもの、常に衛生を心掛けよ」

「それが、外的要因で乱れるならば!」

「排除、それしか道はなかろう」

「「「然り!然り!然りィィィイイイイイ!!」」」

 

「では、これより!〈チキチキ、8時だよっ!エネミー全員集合!〉作戦を執り行う!!」

 

 

 

 常連さんには回覧板を通して、既に作戦内容は通達済みであったため準備は手早く完了し、すぐさま実行へと移された。

 そして、セミ様のトラップが一望出来るビルの屋上にて作戦が最終段階に入った事を確認し、手元のボタンを押す。

 

「ポチッとな」

 

『お仕置きだべ~!!』

 

 何とも間の抜けた音声と共に、爆音が響き渡ってドクロ型の煙がトラップの発動が成功した事を伝えた。

 

「フッ。汚い花火じゃな」

「たーまやー!と、叫ぶのが慣習でしたっけ?」

「えっちゃん。そんな雅なもんじゃないから、言わない方がいいわよ」

 

 俺の背後には、ニヒルに口元を歪めるセミ様に、気力を感じない無表情なままのえっちゃん、苦笑しながらえっちゃんにツッコミをするマジカル☆ブシドーがいる。

 その時、俺の持っていた無線機に通信が入る。

 

『こちら、クソド外道ヒキニート。……自分で言っておいて何だが、このコードネームは如何にかならないのかい?』

「そう言う文句は、一回でも金を払ってから言え。H氏を見習い給え。今度、爪の垢をコーヒーに混ぜようか?」

『それは、遠慮願いたい。で、民間人らしき人達を確保したんだが、どうするかい?』

「どうするも何も、お金を持ってるなら大歓迎さ。どこぞの常連さん達と違ってネ!!」

『じゃ、そっちに転送するから後はヨロシク』

 

 無線が切れると同時に、俺達も立っていたビルの屋上からいつもの喫茶店の中に転送された。

 常連さんは、奥の座席に「 」さん、カウンター席にエドもんがいた。

 

「他の人は?」

「一位になれなかったから、帰ったさ。あの暗殺者と女王さんは、用事ができたとか言っていたがね」

 

 不敵に笑いながら、優雅にコーヒーを啜るエドもん。

 「 」さんにいつもの茶を点てるセットを運んだえっちゃんに視線を送ると、頭上で両腕を使って「 」さんを見てマルを作り、エドもんを見るとバツを作った。

 ほほー。つまり、素知らぬ顔でコーヒーブレイクしている御仁は、一位ではなかったと。

 

「ツケ、追加しますね」

「……フ、フハハハハハ!!」

 

 どこからか、青白い炎を纏うと一瞬にして店内から消えたエドもん。

 一拍遅れて、店のドアに下げている鐘がカランカラン、と鳴った。つまり、また無銭飲食だ。

 

「あの、私達を助けて頂いたのでしょうか?」

 

 常連さんの毎度の行動にため息をついていると、片目が前髪で隠れた体のラインが妙に協調された服装の少女が、おずおずと話しかけてくる。

 彼女と、床で伸びている白い制服のような服の少年、さらにはゴテゴテした装飾が施された服の少女の三人が、ヒキニートが言っていた民間人か。

 そして、つい彼女の奇抜な恰好をまじまじと観察していたら、グラスを磨いていたセミ様と、コーヒー豆を挽いていたマジカル☆ブシドーに脛を蹴られた。何故!?

 

「ようこそ、喫茶【アーネンエルベ】へ。お客様のご注文は、何でしょうか?」

「……人理の救済、ですかね?」

 

 いや、質問を質問で返されても困るんだが。というか、人理の救済って何ぞや?

 

 

 そして、これが人理継続保障機関カルデアとのファーストコンタクトであり、俺達の本当の業務の始まりでもあったのだった。

 




次回、戦闘回の予定!
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